TOP  > 自分らしい向き合い方を考える  > 自分らしい向き合い方とは

自分らしい向き合い方とは

一人一人、生き方が異なるように、がんとの向き合い方、治療の進め方も1つではありません。
自分らしい向き合い方を考えてみましょう。

がんとの向き合い方は人それぞれ

がんとわかった後、あなたとあなたの家族は数多くの意思決定の場面に遭遇します。治療法はどうするか、治療をどこで、いつから始めるか、どのような療養生活を送るか、いつごろから社会復帰できるか……。迷うこともあれば、いったん選択した後に「これで本当によかったのか、ほかにもっとよい方法があったのでは」などと、悩むこともあるかもしれません。

病気とどのように向き合っていくかは、人それぞれです。例えば、治療法を選ぶとき「手術で悪いところは全て取ってしまいたい」と思う人もいれば、「後遺症や合併症の少ない、できるだけつらくない方法にしたい」と考える人もいるでしょう。いずれも、自分にとって最もよい選択をしたいという気持ちは同じです。つまり「最もよい選択」とは、あなた自身が一番納得できる方法を選ぶ、ということにほかなりません。

たくさんの意思決定の場面で一つ一つ選び決めていく過程が、自分らしいがんとの向き合い方を形づくっていきます。自分自身でいろいろな人に聞いたり、本やインターネットで病気のことについて調べて決めていく人もいれば、信頼できる医師に「お任せします」と、治療の進め方について委ねる人もいるかもしれません。どれが正解ということはありません。

相談することで自分の気持ちを整理する

インフォームドコンセント(説明に基づく同意)用語集アイコンを行ったり、セカンドオピニオン(ほかの医師の意見)を得たり、がん相談支援センターなどで情報を集めることは、あなたとあなたの家族が、より正確で客観的な情報を得て、納得のいく選択をするための手助けとなるものです。しかし十分な説明を受け、多様な意見を聞いたとしても、なかなか結論を出せなかったり、治療を開始してから思い悩むこともあるかもしれません。そんなときは、友人、知人、患者仲間など、医療者でも、家族でもない第三者に相談することを考えてみてください。悩んでいることをこれまでと違う人に話してみることで、自分が何を大切にしたいと思っているのか、どんなことが不安なのか、どんなことを迷っているのか、などといったことが整理されることがあります。

あなたがこれまでに得た情報の理解が正しいかどうかをがん相談支援センターのスタッフに確認してみるのもよいでしょう。あなたの言葉で話すことで徐々に考えが整理されてきたり、自分の気持ちがはっきりしてくるかもしれません。話すことで、これからのあなた自身の経験の中からヒントが見つかることもあります。

いつでも、どんなときも、相談する場所があり、患者さんを支える人たちがいます。患者会用語集アイコンに参加している人は、このような機会や場所を提供することで、治療中や治療後の患者さんを支援しています。また、がん相談支援センターで提供される情報を含めて、患者さんや家族向けの支援の仕組みは、患者さんと家族の声、そしてそれを支えるさまざまな医療者の声を踏まえてつくられるようになっています。いろいろな人たちと話しながら、自分なりの向き合い方を探していきましょう。

自分なりの気持ちを伝えてみましょう

自分自身の気持ちを伝えることは、自分らしく病気と向き合い、過ごしていくための第一歩です。あなた自身の想いを伝え、家族や医療者を含めたほかの人に気持ちをわかってもらうことは、大きな安心と信頼を生み出し、また、周りの人との関係を強めることにつながります。

家族や医療者を含めて、あなたと周りの人との意見が合わないこともあるかもしれません。どちらが正しい、間違っているというのではなく、ほかの立場の人の意見を聞いたり、違った視点からの説明を聞いてみることで、それまで見えなかったものに、気付くこともあります。

病気になって気付くこともある、出会う人もいる

がんという病気によって、思いがけず人生設計の見直しや軌道修正を余儀なくされることもあります。しかし、病気になって初めてわかること、見えてくるものもあり、人生を見つめ直すきっかけになることもあります。そのときは、今の自分の状態について自分なりに整理した上で、「これからどうやって過ごしていこうか」「どんな人と出会って、どんなことをしたいのか」を考えていくことも大切です。

あなたにとって大切なものは何か、どんなことをしたいか、がんという病気をきっかけに気付いたという人はたくさんいます。病気になったことで失うものは確かにありますが、それ以上に得るものもあるという人もいます。
「患者さんの手記」では、がん体験者の皆さんの手記を紹介しています。
たくさんの方々のさまざまな向き合い方を通して、今度はあなた自身の向き合い方を見つけてみてください。
慌てて決断をしないで時間をかけて情報を集め、納得できる選択を
乳房の切除手術をしなければならないとわかったとき、乳房のない自分を想像するだけで涙があふれ出し、「術後すぐに乳房の再建手術を受けよう」と決心しました。ところが手術までの数日間、インターネットや本などで情報を集めていくうちに、再建への決意が次第に薄れていき、結局は再建しないまま手術から5年がたちました。下着などに多少不便なことはありますが、生活を送る上で特に困ることはありません。また、今の私が手術前より女性としての魅力が減ったとも思っていません。

乳がんと告げられれば、どんな女性でもパニック状態におちいります。でも、そのような状態で、手術の方法や再建手術などを焦って決めることは、とても危険だと思います。乳がんは一般に、一刻を争って治療をしなければいけないものではないので、いろいろな情報を集め、必要であればセカンドオピニオンを求めたりして、自分が納得できる選択をすることが一番大事だと、今振り返ってあらためて強く思います。
患者自身が知識や情報を得て活動することが大事
大腸がんで開腹手術を行い、術後2ヵ月で職場復帰したものの、半年後に再発(腹膜播種:ふくまくはしゅ)がわかってから、初めて闘病について考えました。

地元で患者会・家族会の設立に参画しながらがんについて勉強を始めましたが、自分の病気でありながらちっとも理解していないこと、患者仲間の悩みも医療者側の問題も知らない、ということをまず認識させられました。

今は、患者自身が知識を身に付け、情報を入手し、仲間と一緒に闘病生活の改善を目指して活動することが大切だと感じています。そして、“闘病”や“延命”にとらわれずに自然に死ぬこと、小さなことでも多くの人と力を合わせて成し遂げ、感謝の思いで生活していけることを願っています。
仕事人間からバランスの取れた生活へ
治療後の社会復帰は、人それぞれで異なると思いますが、私の場合は、“病気・家族(生活)・仕事”の3要素のバランスが取れることだと考えています。

病気になる前は仕事人間で、手術後もその姿勢は変わりませんでしたが、5回目の手術を終えて復帰したとき、上司が変わったこともあり職場に居場所がなくなっていたのです。試行錯誤しましたが状況は改善されず、やっと踏ん切りがつきました。『仕事はあきらめよう』と。

どうがんばっても、以前と同じように働くことはできない。それならば自分の体や家族のために時間を使おう——。いつしかそう考えるようになりました。男として出世をあきらめるのはつらいことでしたが、何かをあきらめないと、がんというやっかいなものを抱えている自分に、バランスの取れた生活は送れません。現在は職場を変えてほどほどに仕事し、家族との時間に重点を置いて生活しています。そして、ちょうどよいくらいに病気のことは忘れています。
療養手帳(日記)をつけました
がんを告知されたとき、治療について、先生は説明文書に書き込みながら丁寧に説明をしてくれました。がんを受け止めて前向きに話を聞き理解したつもりでいました。入院して手術を受け経過もよく、『悪いところは切った、もう治った』そんな思いを持ちました。そして退院後術後補助療法として化学療法、放射線療法、ホルモン療法を勧められました。思いもよらないフルコースの治療でした。がんを告知されたときと同じくらいのショックを受け、聞いていないという怒りがわいてきました。その後手術前の説明文書を読み直してみて、手術の前にきちんと術後の治療についても説明があったことを思い出しました。しっかりと説明を聞いたつもりでしたが、告知を受けて動揺していたことや、嫌なことや不安は考えたくないという気持ちが記憶を消した(忘れた)のではないかと苦笑してしまいました。それから文書に残すことの大切さに気付き、自分の療養手帳(日記)を作りました。書くことで自分の体や心に向き合ったり、経過を冷静に判断できたり、くじけそうになったときに、その時々の思いや決心を思い起こしたりして有効に活用しています。
病気になってもチャレンジを続ける
私は抗がん剤治療を6年半休むことなく続けていて、副作用の宝庫となっています。はじめのころは病気について知識が足りず、苦い経験もしましたが、『自分の体に無責任ではダメだ!』と気付き、妻の協力を得ながら書物、インターネット、新聞、テレビなどから学び、各種講演会、セミナー、がん患者集会にも参加して、必死で勉強し情報を集めました。そのかいあって医師との細かい相談も可能となりました。

生き抜こうという強い意志と行動力が、自分の命を救うためには必要なのだと思います。今では、一番の趣味であるスキーを続けるためにトレーニングを重ね、娘と毎年(32年間連続!)スキー旅行を楽しんでいます。担当医や看護師さんたちにも『ほかの患者さんたちの希望の星』とおだてられ、毎年冬が来るのが楽しみです。

治療中でも何もできないわけではありません。『体は病気だけど、心まで病気になっていないね』と言ってくれる周囲の人たちの言葉も励みです。希望を持ち続け、チャレンジを続けていきたいと思っています。
つらさを分かち合い、ポジティブに
自分が新米患者のころは、がんとわかったショックで落ち込み、かつ知識も不足していたため、誰に何を相談すればよいかもわからず、同室の患者さんに声をかける勇気もなく、不安で心細く暗い毎日を過ごしていました。このときの経験から、その後は同室となった人で同じような思いで苦しんでいる人を見かけると、自分から声をかけて経験談を話したり、相談に乗ったりしています。すると、皆さんみるみる表情が明るくなり『おかげでスーッと楽になった』と言って、ポジティブな気持ちになってくれます。こうして、ともに病気に立ち向かう仲間がふえていきました。

患者は一般的に、医師に対しては遠慮もあって、気軽に悩みを相談することはなかなかできません。そんなとき、がん患者の先輩に相談したいことが数多くあると思います。病院内に患者同士が気楽に交流できる、井戸端会議場のような情報交換の場所があるとよいなと切実に思います。
「がん難民」になっても治療をあきらめない
単身赴任先でがん告知を受けたときは、『そんなバカな! こんなにピンピンしているのに、何かの間違いではないか?』と心の中で叫びました。自宅近くの病院に転院しましたが、『もう手遅れですから治療しても意味がありません』と突き放され、治療してくれる医師を必死で探しましたが見つからず、いわゆる“がん難民”となってしまったのです。

抜け殻のようになった私は、妻とともに旅へ出ました。つらく悲しい旅でした。しかし、その旅先で『治療を引き受けてくれる先生が見つかった!』との連絡を受けたのです。『これで治療が受けられる。何とかなるかもしれない! 暗闇に一筋の光が差し込んできた!』まさにそんな気持ちでした。

翌日から治療を始め、約8年たった今も治療継続中です。医師探しに奔走してくれた妻と、治療を引き受けてくれた医師、その医師を探してくれた知人の医師に心から感謝しています!
苦しいときは助けを求めて
がんは、いまやありふれた病気です。誰が悪いのでも、何が悪かったのでもありません。“なったこと”を思い煩わずらうのではなく、“これからのこと”に目を向け、自分にとって、よいと思う方法で立ち向かい、付き合っていけばよいのだと思います。それぞれのがん体験にひとつとして同じものはありません。一人一人の選択が、後から来る患者さんたちの道しるべになっていくのだと思います。

がんという病気に出合ったために身体的に損なわれる部分があったとしても、“自分そのもの”は何も損なわれません。厳しい状態に直面したとき、あなたを助けてくれる人は必ずいます。苦しいときは、『助けて』と言ってください。それに応えてくれる人がいます、応えてくれるものもきっとあります。あなたはひとりではないのです。
関連情報
アンケートにご協力ください
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
アンケートページへ
前のページへ次のページへ
用語集
このページの先頭へ