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療養生活を支える仕組みを知る

ここでは、あなたの療養生活を支える施設や制度について紹介しています。自分らしく過ごすために、役に立つ仕組みを活用しましょう。

あなたらしい療養生活の過ごし方を考える

がんの治療を含めて、多くの病気との付き合い方を考えてみると、病院や診療所などの医療機関を受診し、検査や治療を受けている時間はほんの少しで、大半は自宅で過ごすなど、日常生活の時間になります。これまでの生活と違うこととしては、「治療のための検査や通院が必要になる」「治療後に後遺症や合併症についての対応が必要になる」「体調の変化によってあまり無理ができない」「病気や治療によるストレスやつらい気持ちがある」「家族や周りの人たちとの関係が気にかかる」など、心と体の両面について、悩みや心配事があるかもしれません。全てを一気に解決することは難しく、いろいろな心配事のそれぞれについて、解決していったり、軽くしたり慣らしていったり、場合によっては受け入れていくというように、あなたなりの向き合い方と過ごし方について考えていきましょう。

最近は入院治療の期間が短くなったり、治療に伴う副作用への対策がなされてきたことなどによって、外来で治療を継続したり、はじめから外来だけで通院治療を行うことも多くなってきています。このため、療養生活の準備や普段の生活の過ごし方について、治療前や治療中にある程度見通しておくと、その後の生活をより快適に送ることができます。

ここでは、がんの治療を始める前でも、治療の後でも、療養生活の間でも、介護が必要なときでも活用できる施設や制度について紹介しています。地域の病院や診療所、あるいは介護支援施設も含め、さまざまな仕組みが連携してあなたと家族を地域全体で支えるようになってきています。

治療の方法や治療を受ける医療機関を選ぶのと同じように、どのように療養生活を過ごしていくのかは人それぞれです。今の状況と今後の見込み、必要な情報や準備などについて、いろいろな施設や医療、また介護にかかわる職種の人が連携して支えていくことになります。医療機関や自治体など地域によって窓口となる担当部署が異なっていたり、具体的な進め方はさまざまです。地域ならではの独自のネットワークがある場合もあります。

地域のがん診療の連携の仕組みを知っておく

全国のどこでも、「質の高いがん医療」を提供することを目指して、都道府県による推薦をもとに、厚生労働大臣が全国のがん診療連携拠点病院を指定しています。がんに関する診療の体制や設備、情報提供、ほかの医療機関との連携などについて、国が定めた基準を満たしています。がん診療連携拠点病院は、2次医療圏単位や都道府県単位などの地域のがん医療の拠点となっているとともに、がん相談支援センターなどを通じて、がんに関する多くの情報を集めて地域のがん患者さんや家族、地域の医療施設などに提供しています。

お住まいの地域の医療機関や施設のこと、連携して継続的に治療を受けられる近くの医療機関のこと、緩和ケア外来や緩和ケア病棟のこと、在宅医療のことや助成制度のことなど、あなたや家族が活用できるところがあるか、がん相談支援センターに聞いてみましょう。がん相談支援センターのある病院にかかっていなくても、あなたや家族からのがんに関するさまざまな相談を、無料で受けられます。がんの診療体制や連携の仕組みは地域によって異なります。専門的ながん治療を行っている病院、訪問での診療や緩和ケアに力を入れている病院や診療所、県や自治体などによる支援体制や、その地域独自の取り組みなど、さまざまな情報も得ることができるでしょう。

「地域の療養情報」など、地域で活用できる身近な情報を集めておくことで、これからの治療の具体的な進め方や、療養生活の過ごし方について、準備や心構えができ、療養生活の間にも家族や親しい人、担当医や看護師などにも相談しやすくなります。

地域のがん対策の取り組みがわかる、都道府県のがん対策推進計画

都道府県では、それぞれの地域についてのがん対策推進計画を策定しています。都道府県のがん対策推進計画には、がんによって亡くなっている人数、新しくがんにかかる人数、がんの種類ごとの人数など、現在のがんの状況についての統計や分析が示されています。その上で、がん医療や医療機関の連携、がんについての情報提供、がん登録用語集アイコン、緩和ケア、がん予防、がん検診、禁煙への取り組みなど、それぞれの地域の特性に応じたがん対策を推進するための計画を定めています。

具体的な取り組みについて、各都道府県で独自のがん対策についてとりまとめたホームページがつくられています。
お住まいの地域の医療体制や療養に関する情報がわかる「地域の療養情報」
都道府県で、この本「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」と組み合わせて使うことのできる、「地域の療養情報」が作成されていることがあります(がんサポートブックなど、名称は各都道府県で異なります)。身近ながん診療連携拠点病院やがん相談支援センター、セカンドオピニオンの窓口や、緩和ケア外来や緩和ケア病棟の紹介、患者会や患者支援団体の情報や、医療費など経済的な負担を減らす制度や相談窓口などが掲載されています。

詳しくはお近くのがん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターにお問い合わせください。がん情報サービス「地域のがん情報」でも、「地域の療養情報」をご覧いただくことができます。
地域の連携体制とがん診療連携拠点病院
がん医療の提供体制や治療内容は、地域ごとに整備されている医療機関、医師・看護師などの医療職種、医療機器の整備などの状況によって異なっています。また、連携の仕組みも地域によってさまざまです。

地域による格差を減らし、全国どこに住んでいても、がんの状態に応じた適切ながん医療を受けられるように、「がん診療連携拠点病院」が設置されています。がん診療連携拠点病院の所在地および診療内容の情報は、「がん情報サービス(病院を探す)」ganjoho.jpに掲載されています。

● がん診療連携拠点病院
2次医療圏(医療法に基づいて定められた地域単位)に1ヵ所を目安に設置されている病院で、主に以下にあげる役割を担っています。

(1) 専門的ながん診療の提供
標準治療をはじめ、薬物療法(抗がん剤治療)や緩和ケアの提供、専門の技能を持つ医師や専門スタッフの配置など、国が定めた基準を満たしています。

(2) 地域の医療機関や医師との連携と協力体制の整備
地域の医療機関との連携によって、適切な医療が受けられるように協力体制を整備し、地域連携クリティカルパス(がん診療連携拠点病院と地域の医療機関などが作成する共同の診療計画書)を整備しています。

(3) 患者さんへの相談支援と情報提供
院内に「がん相談支援センター」を設置し、患者さんや家族だけでなく、地域の住民、医療施設からの相談や当事者の療養上の相談にも対応し、がんの診療にかかわる情報提供を行っています。

(4) 専門的な知識や技能を持つ医師の配置
放射線治療、薬物療法(抗がん剤治療)、病理診断、緩和ケアを担当する医師などを基準に沿って配置しています。

医療機関の役割分担と地域連携

現在多くの医療機関は、「高度に専門的な医療を行う病院」「日常的によく見られる疾患の治療を行う病院や診療所」「健康診断や検診など、予防を含めた継続的な健康管理をする医療機関」「在宅医療や介護など主に療養生活を支える医療機関」「緩和ケア病棟や在宅緩和ケアを行う医療機関」など、それぞれが専門的に取り組む分野に応じて役割を分担し、地域全体でお互いに連携しながら患者さんや家族を支える仕組みに変わってきています。

がん医療において、地域連携で中核的な役割を担っているのが、前述したがん診療連携拠点病院です。がん診療連携拠点病院は、病院、診療所、訪問看護ステーションや調剤薬局、介護保険で利用できる居宅介護支援事業者など、さまざまな施設やがん医療にかかわる職種とネットワークをつくり、切れ目のないがん医療とケアを提供する仕組みをつくる役割を担っています。

地域連携クリティカルパス(連携パス)

地域連携を円滑で確実なものにするために「地域連携クリティカルパス(連携パス)」(図1 乳がん手術後の例)があります。連携パスは、あなたが地域の複数の医療機関にかかっても、共通化された診察や検査、治療や経過観察の計画に沿って、近所の医療機関で質の高いがん医療を受けることができるように、治療を行った病院と住まいの地域の医療機関などで作成した共同の診療計画表です。がん医療を行っていく上での、長期的な予定表ともいえます。

この連携パスがあることによって、それぞれの医療機関やがん専門の医師、かかりつけの医師、看護師、薬剤師などの医療者が、専門性や長所を生かしながら、継続的にあなたと家族に適した医療やケアを行うことができます。

多くのがんの連携パスでは、はじめに専門的・集中的な治療を受けた後の予定について、引き続いて行われる治療や検査がいつごろ、どの医療機関で行われるのか、大まかな見込みが示されており、今後の見通しが一目でわかります。

また連携パスは多くの場合、患者さん向けの予定表のほかに、より詳細な情報が盛り込まれた医療者用の連携パスがつくられています。医療者用の連携パスでは、複数の医療機関・職種が、治療を行っていく上で必要な情報を記入していきます。連携パスを活用することで、検査の情報や治療方針についてやりとりがなされたり、話し合ったことがらなどの必要な情報は、必ず共有されるという利点があります。
図1:地域連携クリティカルパス(患者さん用共同診療計画表)の例
厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
「全国のがん診療連携拠点病院において活用が可能な地域連携クリティカルパスモデルの開発」より
図1:地域連携クリティカルパス(患者さん用共同診療計画表)の例
厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
「全国のがん診療連携拠点病院において活用が可能な地域連携クリティカルパスモデルの開発」より

在宅医療、在宅での療養生活を支える仕組み

住み慣れた自宅で、家族や友人、近所の人たちと触れ合い、できるだけ普段どおりの生活を送りながら療養する方が自分らしく過ごせる、という考えから、在宅で治療を受けたり、終末期を含めて自宅でできるだけ長く過ごすことを選ぶ人がふえています。自宅での生活は入院生活に比べると、よいところもたくさんありますが、在宅医療のための態勢や必要な設備、物品について事前に準備が必要です。

自宅で過ごす場合、患者さん本人も家族も、「急に具合が悪くなったときや痛くなったらどうしよう」など、不安な気持ちになるかもしれません。あらかじめ予想される体調の変化について、対応の仕方を担当医や看護師に聞いておくと落ち着いて対処できます。また、入院から在宅での治療に移行するときに、短期の外泊を試みるなど、少しずつ実際の環境に慣らして準備していきます。訪問診療用語集アイコンを行う病院や診療所、24時間対応してくれる診療所(在宅療養支援診療所)など、在宅療養を支える仕組みが整備されてきています(図2)。

在宅での治療や療養生活に移行してからも、あなたや家族、周りの人の心と体の不安を取り除くための仕組みもあります。通所介護用語集アイコン(デイサービスセンターなど)や短期入所施設を利用したり、レスパイト入院(家族で介護する人が疲れ切ってしまうことを防ぐため、あるいは介護ができない用事などが起こった場合に、病院や施設に一時的に入院すること)を受け入れる医療機関を探すこともあります。担当医や地域のがん相談支援センターなどに聞いてみましょう。
図2:在宅療養を支援する施設や職種
参考文献:「おかえりなさい」プロジェクト事務局「あなたの家にかえろう」
図2:在宅療養を支援する施設や職種
参考文献:「おかえりなさい」プロジェクト事務局「あなたの家にかえろう」

在宅療養支援診療所

在宅療養支援診療所とは、患者さんの在宅療養を支える診療所です。患者さんや家族からの連絡に365日24時間体制で応じ、必要な場合には訪問診療(往診)や訪問看護用語集アイコンを行います。ほかの医療機関や訪問看護ステーション、さらにはケアマネジャーとも連携を取りながら、患者さんが安心して療養生活を送ることができる態勢を整えます。また状態が急変したときには病院医師と連携し、治療法の相談や再入院の手配を行います。

在宅療養支援診療所は、一般の診療所とは料金やシステムが異なります。詳しいことは、がん相談支援センターや地域の医師会などに問い合わせてみましょう。

訪問看護ステーション

通院や外出が困難な患者さんのために、看護師または准看護師が自宅を訪問して、医師の指導に基づく診療の補助や、患者さんの健康管理や相談などを行うサービスを「訪問看護」といいます。この訪問看護を提供する施設を「訪問看護ステーション」といいます。

訪問看護では、血圧や体温などから患者さんの健康状態をチェックしたり、痰(たん)の吸引や褥創(じょくそう:床ずれ)の処置といった医療的処置、医療機器の管理や療養上の世話(入浴介助、体の清拭〔せいしき:体を拭くこと〕など)などを行います。希望する場合は、地域のかかりつけ医やがん相談支援センターに相談してみましょう。
在宅での緩和ケア(在宅ホスピス)
在宅でも十分な緩和ケアを受けることができます。一番の心配である痛みも、医療用麻薬を含む鎮痛剤を使うことで治療できます。息苦しさも、体の向きの工夫などにより和らげることができます。訪問する医師や看護師によって、中心静脈栄養や持続点滴、経管栄養、酸素の吸入、痰の吸引などが行われます。

最期を自宅で迎えるか、病院で迎えるかについては、患者さん本人と家族や担当医、看護師を含めて十分に相談しておきます。自宅の場合は、主に24時間対応の在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションなどから支援を受けられる場合が多いのですが、地域やかかっている医療機関によっては病院の在宅緩和ケアチームが対応したり、緩和ケア病棟と連携して在宅での緩和ケアを行うなど、希望に沿った態勢で支援を受けられることもあります。

介護保険の申請から利用まで

在宅療養を行っていると、人の助けや物品などが必要になるときがあります。そのようなときの支援の1つに、介護保険制度があります。介護保険の対象者になると、介護度に応じて、以下のような介護サービスを、総費用の1割の自己負担で受けることができます。

介護保険の対象となるのは、(1)65歳以上の人、(2)40~64歳の人で、医師が「末期がん」と診断した場合です。利用するにはまず、本人または家族が市区町村の担当窓口で申請します。訪問調査員による調査やかかりつけの医師(主治医)の意見書などをもとに審査が行われ、「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1~5」のいずれかに認定されます(図3)。認定申請から30日以内に認定結果が通知されます。

その後は、介護度によって決められている支給限度額を踏まえて、在宅でのサービス利用か施設への入所利用か、どのような介護サービスを利用するかという計画(ケアプラン)を作成する必要があります。

居宅介護支援事業者(多くの場合、結果の通知と一緒に、居宅介護支援事業者のリストが同封されます)に依頼をすると、居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャーが訪問し、患者さんの体や心の状態、また患者さんと家族の希望を聞いた上で、介護に当たっての課題や問題点を検討し、ケアプランを作成します。利用するサービスや事業者が決まると、それぞれの事業者と具体的な話し合いが行われ、同意の上で契約を結び、サービスの利用が始まります。
図3:介護保険利用までの流れ
図3:介護保険利用までの流れ

介護保険(要介護1~5)で受けられるサービスの例

詳しくは、市区町村の担当窓口に確認しましょう。

居宅サービス

《訪問サービス》
  • 訪問介護(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが訪問して、食事や入浴、排泄(はいせつ)などの介助や、炊事・洗濯・掃除など家事の援助を行います。
  • 訪問入浴介護
看護師などを含むチームが訪問し、入浴介助を行います。
  • 訪問看護
訪問看護ステーションなどの看護師、保健師などが家庭を訪問し、在宅医などと連携を取りながら、療養上の世話や診療上の手当てなどを行います。
  • 訪問リハビリテーション(リハビリ)
理学療法士や作業療法士などが家庭を訪問し、日常生活の自立を助けるためのリハビリを行います。
  • 居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師などが訪問して、医学的な管理や指導を行います。
 
《通所サービス》(自宅から通うもの)
  • 通所介護(デイサービス)
自宅からデイサービスセンターに通い、日常動作の訓練や、食事・入浴などの支援を受けたり、レクリエーションなどに参加したりできます。
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
病院や診療所、老人保健施設などに通い、理学療法士や作業療法士の指導でリハビリを行います。
 
《施設入所サービス》(短期宿泊するもの)
  • 短期入所生活介護/療養介護(ショートステイ)
福祉施設などに短期間、宿泊しながら介護や機能訓練を受けられます。

《その他》
  • 福祉用具貸与
車いすや介護用ベッドなど、福祉用具が借りられます。
  • 特定福祉用具販売
入浴用いすや腰掛け便座など、入浴や排泄などに使用する、衛生上貸し出しに適さない福祉用具について、購入費用の一部が助成されます。
  • 住宅改修費の支給
自宅の手すりの取り付けや、段差解消などの改修をした場合、一定額を上限に費用が支給されます。

※ がんの在宅療養の患者さんでは、訪問サービス、特定福祉用具販売、福祉用具貸与、居宅介護支援、住宅改修用語集アイコンの利用が中心となります。

施設入所

介護保険の適応を受けるサービスとして指定を受けた有料老人ホームなどに入所し、その施設内で入浴・食事・排泄などの介護や、日常生活の世話、機能訓練などを受けることができます。
大切な日々を積み重ねていく
進行した腎臓がんの分子標的治療導入のために入院したとき、これから私はどうなるのかと医師に尋ねました。しかし、これからのことはやってみないとわからないと言われました。そして2人に1人が、がんになる時代。元気な人よりも少しだけがんになる時期が早かったと思い、今を大切にしてほしいとアドバイスをいただきました。それは決して諦めることではなく、大切な日々を積み重ねていくことだと理解しました。

私にとっての一番の原動力は病気が教えてくれました。仕事を続け、同じ病で悩む人の力になることです。がんの進行と副作用の影響で、できなくなることや失っていくものはあります。だけど最後まで希望は失わずにいたい。治療のために生きているのではなく、幸せになるために生きているのだから。
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