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公的助成・支援の仕組みを活用する

医療費の自己負担分には上限が設けられているほか、休職している間に生活を支える制度など、さまざまな助成・支援の仕組みがあります。

公的助成・支援の仕組みを活用するには

  • 主な問い合わせ先を確認する。
・がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センター
・各医療機関の相談窓口
・ソーシャルワーカー
・各自治体の相談窓口(インターネットで情報を得られることもあります)など
  • 本人と家族の医療・介護その他療養生活での支払いの領収書などは、なくさないように保管しておく。
  • 各制度の対象となる基準には、本人だけでなく家族(世帯)の所得や状況も関係するものもあるので、家庭全体の状況から活用できる制度はないか調べてみる。
  • 新しく治療を始めるとき、退院したり療養場所を変えるとき、家族の状況が変わったりしたとき、転居のときなどの機会に、活用できる制度について見直してみる。
  • 『患者必携 わたしの療養手帳』に、調べたり問い合わせたりした仕組みや窓口、手続きした助成や支援の記録を残しておく。

医療費の費用負担を軽くする制度

高額療養費制度

私たちは、公的医療保険が適用される医療について、その費用の1~3割を自己負担しています。がんの治療では、医療費の自己負担分が高額になることがありますが、そのようなときに利用できるのが高額療養費制度です。この制度は、1ヵ月間(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が、一定の限度額を超えた場合に、超過部分の費用を公的医療保険で賄うというものです(図1)。差額ベッド代や、入院中の食事代などは対象外ですが、保険が適用される医療費であれば、入院・通院・在宅医療 用語集アイコンを問わず対象になります。つまり、保険適用の医療については、患者さんが負担する1ヵ月の医療費は、最高でも限度額までとなります。
図1:医療費(保険適用分)が高額になった場合−−高額療養費制度の仕組み−−
図1:医療費(保険適用分)が高額になった場合−−高額療養費制度の仕組み−−

高額療養費の計算の仕方

高額療養費の対象となる医療費は、次のように計算します。
  • 対象となるのは、1日から月末までの1ヵ月間に支払った医療費(保険適用のものに限る)。
  • 入院と外来の医療費は別に計算する。
なお、自己負担限度額は、年齢や収入、加入している医療保険の種類によって異なります。また、計算方法なども、70歳未満の方と、70歳以上の方とでは違います。

70歳未満の方の場合

  • 医療機関ごとに、また入院医療費と、外来(在宅医療を含む)医療費を別々に計算します。
  • そのうち、21,000円以上のものを合計します。
  • 合計額が限度額を超えていた場合、超過分の費用について払い戻しが受けられます。
※ 12ヵ月以内に、制度を4回以上利用した場合、4回目からは限度額が引き下げられます。
※ 一定の条件を満たしていれば、同じ月にかかった家族(同じ世帯内)の医療費も合算できます。

70歳以上の方の場合

※入院した月の医療費については、一定の条件を満たしていれば、同じ月にかかった家族(同じ世帯内)の医療費も合算できます。
これらの仕組みは複雑なため、手続きをする前に、医療機関の相談窓口やがん相談支援センターのスタッフなどに相談しておくとよいでしょう。

手続きの方法

この制度では、原則として患者さんが医療機関で一度医療費の自己負担分全額を支払い、後日、保険者から、限度額を超えた部分の費用の払い戻しを受けるようになっていますが、平成19年4月より入院医療費について、また平成24年4月1日からは外来医療費についても、窓口での支払いを限度額までにとどめることができる仕組みが導入されました。

ひと月に支払う医療費の合計金額が限度額を超えそうな場合には、加入されている健康保険組合・全国健康保険協会・市区町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などに「限度額適用認定証」(70歳未満の課税世帯の方)、「限度額適用・標準負担額減額認定証」(非課税世帯の方)の交付を申請しておくとよいでしょう。交付された「限度額適用認定証」をあらかじめ医療機関等の窓口に提示しておくことで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。

「限度額適用認定証」を提示しない場合は従来通りの手続きとなり、高額療養費の支給申請を行う必要があります。保険者によっては、通知がない場合もありますので、念のため保険者に確認されることをお勧めします。高額療養費の支給申請の際には医療機関から受け取った領収書も提出する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。70歳以上の方(住民税非課税の方を除く)は、「高齢受給者証」または「後期高齢者医療被保険者証」を提示することにより、窓口での支払いを限度額までにとどめることができます。

限度額適用認定証 交付申請の流れ 高額療養費 支給申請の流れ
  1. 加入する公的医療保険(保険者)の窓口に「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」の交付を申請する
  2. 交付された「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」を医療機関などの窓口に提示する
  3. 限度額までの金額を窓口で支払う
  1. 加入する公的医療保険(保険者)の窓口に連絡し、申請書を送付してもらう
  2. 申請書に、医療機関からもらった領収書などを貼り付け、保険者に送る
  3. 3ヵ月ほど後に、加入する保険から払い戻しを受ける

小児慢性特定疾病医療費助成制度

がんを含む小児慢性特定疾病の治療にかかった費用のうち、世帯の所得税額に応じて支払う自己負担金額を超えた部分を助成する制度です。

手続きの窓口

  • 市区町村担当課、保健所担当課など

心身障害者(児)医療費助成制度

心身に重度の障害がある方が医療機関を受診した場合、医療費の自己負担金について助成する制度です。

手続きの窓口

  • 各市区町村の福祉課など

自立支援医療制度(更正医療・育成医療)

心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

手続きの窓口

  • 各市区町村の福祉窓口

経済的負担に対する制度

高額医療・高額介護合算療養費制度

医療、介護サービスの両方を受けている方の負担を減らすために、2008年4月から始まった制度です。すでに説明したように、公的医療保険には1ヵ月の自己負担額の限度を定めた高額療養費制度があります。介護保険でも同様に、高額介護(予防)サービス費制度が設けられています。

しかし、これらの2つの制度を利用しても、高額の医療と介護をともに受けた場合、大きな負担が生じます。そこで、医療、介護双方にかかった費用について、「1年間に○○円まで」と負担の上限を決めたのがこの制度です。

この制度の対象となる方

  • 公的医療保険と、介護保険の両方を利用している方

主な仕組み

  • 1年間(8月1日から翌年7月末日まで)にかかった医療費、介護費の自己負担(保険適用のもの)が限度額を超えた場合に利用できます。
  • 世帯全体での医療、介護費の合計額が対象になります(一定の条件があります)。

手続きの窓口

  • 各市区町村の介護保険の窓口、加入する公的医療保険の窓口

医療費控除

1年間に一定以上の医療費の自己負担があった場合に、税金を軽減します。税制上の仕組みのため、高額療養費制度などとは、控除の対象となる医療費や、手続きなどが異なります。

医療費控除を受けるには、会社などの年末調整とは別に、自分で確定申告をする必要があります。このとき医療費の領収書なども添付します。

この制度の対象となる方

  • 一定の収入がある全ての方

主な仕組み

  • 1年間(1月1日~12月末日)に、自分や家族のために支払った医療費が、一定の金額を超えた場合に、医療費控除の対象になります。
※控除される医療費は、次のように計算します。
「医療費控除の計算方法」
医療費控除額(200万円まで)=(支払った医療費)—(高額療養費などから払い戻された費用、民間保険の給付金・保険金)—10万円
*その年の総所得額が200万円未満の方はその5%の額

手続きの窓口

  • 住まいの地域の税務署

医療費控除の対象となる主な費用

  • 医師や歯科医師による診療費
  • 診療を受けるために直接必要な費用
  • 通院交通費(ガソリン代や駐車料金は除く)、医師などの送迎費、入院時の部屋代(必要性がある場合)や食事代、医療器具の購入・貸与費など
  • 介護保険サービス(介護予防サービスも含む)利用料の一部
    訪問看護、訪問リハビリテーション(リハビリ)、通所リハビリ(デイケア)、医療機関や介護老人保健施設でのショートステイなど
    ※ これらのサービスと併せて利用する場合、訪問介護用語集アイコン(身体介護主体)、訪問入浴などの費用も対象になります。
  • 治療目的でのマッサージ・指圧師、鍼灸(しんきゅう)師、柔道整復師などの施術費用
  • 薬代(病気やけがのために、薬局・薬店で購入した市販薬も含む)など

医療費控除の手続き

会社員など自分で確定申告をする義務のない方は、支払った翌年の1月1日から5年間は医療費控除の申請ができます。その際、医療費を支払った年の源泉徴収票を提出しなければならないため、会社などで再発行してもらう必要があります。

一方、その年の確定申告をすでに行った方については、申告内容の修正になるため、期限が異なります。原則として、その年の確定申告の期限から1年以内に、医療費控除の手続きを行う必要があります。どちらの場合も、手続きは住所地を所轄する税務署で行います。

傷病手当金

会社員や公務員などが、病気などで働けなくなったときに、生活を支えてくれる制度です。被用者保険(健康保険、共済、船員保険)独自のもので、給料がもらえない場合などに、ある程度の収入を保障しています(図2)。

すでに退職した方でも、当時加入していた保険から、さかのぼって傷病手当金を受給できることもあります。ただし、1年以上その保険に加入していたこと、辞める前に傷病手当金がもらえる条件を満たしていたことなどが条件になります。

この制度の対象となる方

  • 被用者保険(健康保険、共済、船員保険)の被保険者本人(被扶養者は除く)

主な仕組み

  • 休職している間、1日につき給料(日額)の3分の2に当たる額を保障されます。
  • 最長で1年6ヵ月間支給されます。
  • 次の全ての条件を満たした場合に利用できます。
(1)病気のために仕事ができない。
(2) 3日以上連続して欠勤している(傷病手当金が支給されるのは4日目以降)。
(3) 給料や、障害・老齢年金などが支払われない。その額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、その額までを補てんする。

手続きの窓口

  • 加入する公的医療保険の窓口
図2:傷病手当金の仕組み
図2:傷病手当金の仕組み

そのほかの経済的支援制度

そのほかにも、経済的な負担を減らす制度には次のようなものがあります。詳しい条件などについては、各手続きの窓口やがん相談支援センターなどに問い合わせてください。

収入が少ない場合の医療費などの助成

ひとり親家庭等医療費助成

離婚や死別、婚外出産などの理由で、父親、母親、養育者が、ひとりで子どもを育てている家庭の医療費を助成する制度です。子どもがおよそ18歳に達する(障害がある場合は20歳未満)まで、自己負担額(保険適用分)が減らされます。一定の所得以下の家庭が対象になります。

手続きの窓口
  • 各市区町村の育児、医療助成などの窓口

限度額適用・標準負担額減額認定

住民税非課税世帯の方に対し、入院中の食事代や、入院医療費の自己負担限度額を低くするものです。加入する公的医療保険の窓口で事前に手続きを行い、限度額適用・標準負担額減額認定証を発行してもらいます。なお、高額療養費の自己負担限度額適用認定証とは、申請書や提出書類が異なります。

手続きの窓口
  • 加入する公的医療保険の窓口

生活保護制度

病気で仕事ができない、収入が乏しいといった理由で生活が苦しい場合に、経済的援助を行う制度です。あらゆる手段を尽くしても、最低限度の生活を維持できないときに、初めて適用されます。

生活保護の給付には、日常生活に必要な費用については生活扶助、必要な医療は医療扶助、必要な介護サービスは介護扶助というように種類があります。

申請を行うと、福祉事務所のケースワーカーが自宅を訪れ、生活や仕事、資産状況などを調査します。その結果をもとに給付の可否や、その世帯にとって必要な扶助が決められます。

手続きの窓口
  • 各市区町村の福祉窓口や福祉事務所

医療費や生活資金などを借りる

生活福祉資金貸付制度

低所得者世帯、障害者世帯、介護を要する方のいる高齢者世帯に、都道府県の社会福祉協議会が生活福祉資金として貸し付ける制度です。貸付資金の種類として、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類があり、用途別に、貸付の条件(貸付限度額、据置期間、償還期限、貸付利子、連帯保証人)が設けられています。

手続きの窓口
  • 各市区町村の社会福祉協議会

年金などからの支給

障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)

病気などで重度の障害が残った65歳未満の方に、年金を早くから支給する制度です。人工肛門の造設や、咽頭(いんとう)部摘出を受けた方のほか、日常生活で介助が不可欠だったり、生活や仕事に著しい制限を受ける状態になった方で受給できることがあります。

加入している年金保険によって、障害基礎年金(国民年金)、障害厚生年金(厚生年金)に分かれます。障害基礎年金は障害等級1、2級が対象ですが、障害厚生年金などは1~3級までとなっています。なお、障害等級は、身体障害者手帳の等級とは異なり、手続きも別に行う必要があります。

そのほか、原則としていずれかの年金に加入中に障害を負った方、保険料を一定期間納めていることなどの要件を満たしている必要があります。なお、障害基礎年金は、20歳未満、または60歳以上65歳未満の方でも条件が合えば対象になります。

手続きの窓口
  • 「障害基礎年金」…各市区町村の国民年金の窓口
  • 「障害厚生年金」…職場の担当年金事務所、共済組合事務局

障害手当金

障害手当金(一時金)は厚生年金の加入者が対象です。障害年金の対象にならない軽度の障害を負った方に、一度だけ支給されるものです。

手続きの窓口
  • 職場の担当年金事務所、共済組合事務局

そのほかの助成制度

高額介護(予防)サービス費

介護保険サービスを利用した場合、サービス料の1割を自己負担しますが、その額が高くなった場合は助成する制度があります。1ヵ月に支払う自己負担の上限額が定められていて、超過分の費用は後日払い戻される仕組みです。

この制度の適用対象になると、各市区町村から通知があります。それに従って申請を行うと、1~2ヵ月後に超過分の費用が払い戻されます。一度申請すれば、次回以降は手続きの必要はありません。

手続きの窓口
  • 各市区町村の介護保険窓口

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体に障害が残った方の日常生活の不自由を補うために、さまざまな助成・支援を受けられるようにするものです。人工肛門や人工膀胱を造設したり、咽頭部を摘出した方などが対象になります。

利用できる助成・支援には、人工肛門や人工膀胱などの補装具や、会話補助装置や介護用のベッドなど日常生活用具などの支給・貸与、税金の減額免除、公共交通機関運賃の免除・割引などがあります。ただし、手帳は、障害の種類や程度などによって1~6級に区分され、級によって受けられる助成が変わります。

原則として障害の状態が固定してから申請手続きを行いますが、障害の内容によってはすぐに申請できる場合もあります。申請には、都道府県知事に指定された医師に、診断書を作成してもらう必要があります。

手続きの窓口
  • 各市区町村の窓口、福祉事務所
給付制度と扶養手当の申請を忘れずに
娘は小児脳腫瘍で手術と化学療法を受けました。手術後すぐに説明を受けた「小児慢性特定疾病医療費助成制度」のおかげで、入院中に支払った医療費は、大量化学療法前の全身検査にて口腔外科(虫歯チェック)を受診した際の支払いのみでした。退院後も、給付制度(公費扱い)の自己負担内での支払いです。また、「特別児童扶養手当」について教えてもらい、役所に申請書類(認定診断書)をもらいにいきました。化学療法1クールが終わってから主治医に認定診断書の記入をお願いしました。申請から2ヵ月後には決定通知がきて、申請翌月から支給対象となりました。

転院先の病院には母親の私が6ヵ月間毎日、通いました。付き添いのための交通費、短期のウイークリーマンション賃貸料、外食代、大量のオムツ代などにこの手当を充当することができました。正職員で働いていた私は急きょ退職しましたので収入が減り、出費が続きましたが、この制度や手当のおかげでずいぶんと家計が助けられました。
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