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手術のことを知る

ここでは、入院から退院までの手術の大まかな流れを紹介します。手術を安全に実施するため、手術前にはさまざまな準備が行われます。

入院後から手術のための準備が始まります

手術の流れは、がんの種類や手術の内容のほか、手術を行う医療機関や医師の方針によっても異なります。しかし、大まかな流れはだいたい同じです。

最近では、手術の事前検査や担当医からの手術の説明は入院する前に外来で行われ、手術の1、2日前に入院することが多いようです。

入院してからは、手術に向けてのさまざまな準備が始まります。

看護師からの入院生活の説明

担当の看護師から、面会時間や消灯時間、入院中に使用する設備などについての説明を受けます。また、手術後の体の動かし方や呼吸の仕方(腹式呼吸など)、痰(たん)の出し方、うがいや排泄(はいせつ)の方法などを教わります。これらは、術後の合併症を防ぐために大切なので、練習して身に付けておきましょう。

麻酔の説明

通常は手術の前日までに、手術を担当する麻酔科医から、手術のときの麻酔の説明と、麻酔を受けるのに必要な問診を受けます。検査が事前に済んでいなければ、このときに行われることもあります。

体の清潔

手術の前日に、入浴、シャワー浴で体をきれいにします。手術後しばらくは入浴できないので清潔にしておきましょう。

除毛(じょもう)/剃毛(ていもう)

手術する場所に近い体毛(腹部や陰部、腋わきの下など)をそります。除毛クリームを使うこともあります。これは手術をする場所の感染予防を目的に行われるものです。しかし、最近では実施しない、または必要なところだけ部分的にカットするといったところもあります。

食事

一般的に手術前日は夕食までは食べられることが多いのですが、手術の内容によって水分や食事が制限されます。薬ののみ方などについても担当医や看護師に確認しておきましょう。

毎日のんでいる薬がある場合は、事前に担当医に相談しておきましょう。

トイレ

手術当日の朝に排便できるよう、前の日に下剤をのむことが多いです。

当日は病室で着替えなどをして待ちます

手術当日は、朝から準備が始まります。病室では手術の準備をしながら、リラックスして過ごしましょう。

食事

朝食は食べられません。水ものめず、うがいだけです。

着替え

眼鏡やコンタクトレンズ、入れ歯、時計やアクセサリーなどの装身具は全て外し、下着も脱いで、手術着に着替えます。また手術中は、長時間横になったままの姿勢が続き、水分も不足するため、血液の流れが悪くなって足の静脈に血栓(血液の中にできる血のかたまり)ができやすく、肺塞栓(はいそくせん)という重大な合併症を引き起こす場合があります。これを予防するために、足を圧迫する医療用の弾性ストッキング用語集アイコンをはきます。

トイレ

特に消化器系の手術の場合には、浣腸(かんちょう)や下剤により十分に排便をすませておきます。

点滴

手術中と前後の全身管理のために点滴を受けます。

十分に麻酔がかかったところで手術が始まります

病室から手術室への移動は、歩いていくこともありますが、車いすやストレッチャーによる移動の方が多いようです。鎮静剤などを注射して、少しぼんやりした状態で手術室に入ることもあります。

入室、名前の確認

手術室に入るときに、名前やリストバンドなどによる本人確認がされます。

手術の準備

手術台に移動し、点滴の場所や、心臓や呼吸の状態を監視するための医療機器(モニター)が取り付けられます。体の位置が固定され、感染を防ぐために手術する場所が消毒され、大きな布で体が覆おおわれます。背中から管(くだ)を挿入して麻酔薬を注入する硬膜外麻酔(こうまくがいますい)用語集アイコンが行われることもあります。手術後もこの管を通して、痛み止めの薬を注入することができます。

麻酔

点滴や麻酔ガスによって麻酔がかけられます。麻酔がかかるときのことを、力が抜けるような感じ、と表現する人が多いです。なるべくリラックスし、落ち着いて呼吸しましょう。十分に麻酔がかかったところで、手術が始まります。手術の進み具合などによって麻酔薬の調節がなされ、手術終了のころには、徐々に麻酔から覚めるようになります。

手術

がん組織や周りのリンパ節を取り除きます。また、取り除いた臓器や器官の再建(臓器などを取り除くことによって、損なわれた体の機能や外観を元の状態に近づけるための手術)などの処置が行われ、創(きず)が縫い合わされます。手術した場所の近くには、たまった血液や体液を体の外へ出すための管(ドレーン)が付けられることがあります。

手術にかかる時間は手術の方法と内容によってさまざまで、短時間のこともあれば、10時間近くかかることもあります。

手術後すぐは無理に動かないように

手術が終わると、回復室や集中治療室に移動し、呼吸や血圧、意識などの状態について集中的に管理されます。その後、状態に応じて、回復室や病室で術後の管理を継続します。

目覚めたときは、酸素マスク、点滴などの管が取り付けられた状態で、器具にわずらわしさを感じるかもしれません。創が痛んだり、横になった状態が長く続いたために腰や肩がしびれたりするかもしれませんが、無理に動かないで、何かしてほしいことがあれば、看護師に具体的に伝えましょう。

手術が無事に終わっても、その後に合併症が起こることがあります(表1)。あわてないで対応できるように、事前にどのような点に注意すればよいか、担当医や看護師に聞いておきましょう。そして、実際に痛みや急な発熱、息苦しさ、だるさなどの異常を感じたら、我慢しないで医師や看護師に伝えましょう。
表1:手術の合併症と予防・対策の例
表1:手術の合併症と予防・対策の例

安定したらなるべく体を動かして回復を早めます

検温、血圧測定や傷口の確認などが行われます。このほか、回復状態を確認するためのX線検査や血液検査なども行われます。また必要があれば、水分補給や抗生物質などの点滴を受けることもあります。

手術後は創の痛みで動きにくいこともありますが、体を動かすことは回復を早めることにつながります。ただし、手術後の状態によって、動かす時期や動かせる範囲などに違いがあります。自分で判断しないで、担当医や看護師に相談してください。

トイレまで歩けるようになると、それまで体に付いていた管が外せることで、身軽な感じになるかもしれません。ドレーンが入っている場合には、外した後も含めて、数日から1週間くらい、排出される滲出液の様子をみます。手術の傷口を縫合した糸や金具を取る抜糸(または抜鉤〔ばっこう〕)は、創の状態を見ながら、術後1週間程度で行われます。

食事は、手術の方法や回復の状況をみながら、点滴だけの状態から水分をとってみて、流動食、おかゆ、と少しずつ元の食事に近づけていきます。食事が十分とれるようになるまで長時間かかる場合には、中心静脈栄養という、高カロリーの点滴や小腸内に栄養剤を注入する経けいちょう腸栄養法が行われることもあります。

また、ドレーンが入っている間は入浴できないことが多く、蒸しタオルで体を拭いたり、髪だけを洗ったりして清潔を保ちます。場合によっては、傷口を防水カバーで覆うことで、シャワー浴ができることもあります。浴槽で湯につかれるようになるのは、抜糸のころが目安です。

最近では、入院診療の効率化が図られていることなどから、以前よりも入院期間が短くなる傾向にあります。このため、合併症などの不安がなく回復が順調なら、退院してから外来通院で継続して経過を見るという病院もふえています。中には早めに退院して、外来通院のときに抜糸をするという人もいるようです。
今後の治療の流れがわかるクリティカルパス
クリティカルパス(クリニカルパスと呼ぶこともあります)とは、治療するために必要な検査や手術などの一連の予定表のようなもので、いつどんな検査や手術をして、いつごろ退院できるのかを確認することができます。本人と医療スタッフが情報を共有し、チームになって治療に当たることができるという利点があります。ただし、これは目安であって、状態によっては必ずしも予定どおりに進行しない場合もあります。

現在、がんのクリティカルパスはがん診療連携拠点病院をはじめとする医療機関で少しずつ整備されてきていますが、がんの種類や治療法、医療機関によっては、まだ十分に普及していないところもあります。医療機関によってはホームページ上でクリティカルパスを公開しているところもあるので、参考までに見てみるのもよいかもしれません。
先輩患者さんの一言で安心
入院してから手術予定日の前に、執刀医や麻酔科医の先生や手術室やICU(集中治療室)の看護師からの説明を受けました。病棟の看護師からは手術に備えての「呼吸訓練」や「咳(せき)をして痰を出す訓練」などの説明と励ましがありました。

私は、階段の上り下りを1日に何往復もしていました。心の片隅に不安な気持ちを持ちながらも、真剣に取り組んでいました。そんなある日、検査室の前で待っていたとき、数週間前に手術を受けた先輩患者さんに会いました。

「手術までに気を付けることは何ですか?」
「トレーニングを怠けずにやること」

日に日に回復していく姿を見て知っていたので、その一言は心に響き、一番の励ましと勇気づけになりました。手術前夜もしっかり眠れて、手術も無事終わり、退院後2週間で誰もが驚く職場復帰を果たしました。
手術後の合併症で腸閉塞に・・・・・・早期対応と予防がカギ
大腸がんの手術からようやく5年目を迎えてほっとしていた初夏のある夕方、下腹部に何か引きつったような違和感を覚えました。その後、違和感がだんだん痛みに変わり、やがて激痛になりました。脂汗が出て、動くこともままならないのです。陣痛のように間隔をあけながら次第にひどくなってくるその痛みは、がん患者会で、ほかの患者さんから聞いた腸閉塞の話とまったく同じでした。

私は、手術した病院に連絡し、タクシーで向かいました。すぐに処置してもらえたので、10日ほどの入院ですみました。後日、私が病院に連絡した際に「腸閉塞かもしれない」と伝えておいたために診断が早くでき、治療も手遅れにならずにすんだのだと聞きました。

その後は、おなかを冷やさない寒さ対策をしたり、緊張するとわかっているような予定があるときは、できるだけおなかにやさしい食べ物を食べるようにして、腸閉塞の予防に努めています。
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