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食事と栄養のヒント

食事は、「楽しく、おいしく」が基本です。
栄養相談などの機会をうまく利用し、おなかの様子をみながら慣らしていくようにします。

食事は大切、でもあまり神経質になる必要はありません

体力を維持するために、また感染などを防ぐためにも、エネルギーやタンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しないような食事をとることは大切なことです。基本は、バランスのよい食事をゆっくりととることです。

しかし、「がんばって食べよう」と思うあまり、食べることがつらくなってしまうこともあるかもしれません。病気になると、心配や不安、生活環境の変化、手術による後遺症や治療による副作用など、さまざまな要因によって食欲は低下します。医師から食事について特別な指示がある場合以外は、無理をしないで体の調子やおなかの具合に合わせて、食べられるものから食べるようにすることが大切です。外食で気分を変える、色合いや歯応えを一工夫するなど、そのときの状況に応じて、食べることを楽しめるようにしてみるとよいでしょう。

病気や治療の内容によっては、これまでどおり食事がとれるようになるまでに時間がかかることもあります。そのため、自宅での食生活に不安を持つことが多いかもしれません。とはいっても食事の内容によってがんが進行したり、治療の経過に影響を及ぼすことはほとんどありません。病状によって、塩分やタンパク質を控えた食事をとる、感染予防のために加熱処理された食事をとる、食事の形状や時間を変えるなど、医師から栄養と食事について説明や指示があり、それに応じた献立や調理の方法について、栄養相談などで助言が受けられます。遠慮しないで、担当医や看護師、栄養士に相談してみましょう。

症状別の食事のとり方の工夫

体重減少が気になるとき

食べられるものを食べられるときにとるようにします。少量でエネルギーの高い(高カロリー)食品を利用したり、一度にまとめてとらず、間食をうまく取り入れるとよいでしょう。エネルギーの高い油を使った料理や、はちみつやジャムなどの糖分を取り入れてみましょう。

治療の影響で食欲がないとき

薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療に伴って食欲がなくなっても、副作用の強い時期を過ぎれば食べられるようになることが多いので、心配ありません。食べにくいときは、状態に合わせて消化しやすい食事にしましょう。また、食べたいと思ったときにすぐに食べられるように、好きなものを手元に用意しておくとよいでしょう。

食事は品数を多くし、少量ずつ小さな食器に盛り付けます。味付けは好みに合わせて少し濃いめにし、主食はすし飯にしたり、一口大のおにぎりなどにすると口にしやすくなります。

吐き気や嘔吐(おうと)があるとき

味やにおい、見た目などが誘因になることもあるので、食材や調理法、盛り付けを工夫したり、刺激やにおいの少ないものを選ぶようにします。吐き気や嘔吐の原因によっては、無理して食べたりしない方がよい場合もありますので、担当医に相談しましょう。吐き気止めや胃腸の働きを促す薬を処方されることもあります。

冷たいものや、あっさりとしたもの、口当たりのよいもの、のみ込みやすいものが食べやすいようです。水分の多い果物や野菜(スイカ、みかん、りんご、なし、トマトなど)、プリン、シャーベット、ゼリー、卵豆腐、冷や麦などのような食品を少しずつとるとよいでしょう。

それでも、吐き気が強く、食事ごとに吐いてしまうような場合は、1、2食抜いてみるのもよいかもしれません。食べられないときでも水分はできるだけとり、脱水症状にならないように心がけます。水分とミネラルが同時にとれるスポーツドリンクを利用するのもよいでしょう。

味覚異常があるとき

治療の影響で、味覚、嗅覚(きゅうかく)が変化することがあります。原因としては、味を感じる味蕾細胞の減少や感覚の変化などが考えられています。

多くの場合、においにも敏感になっているので、においの強い納豆、肉、青魚などは控え、食器なども見た目にもおいしく感じられる工夫をしましょう。また、口の中を清潔にし、乾燥させないことも大切です。

塩味、しょうゆ味などを苦く感じたり、金属のような味に感じるときがあります

塩味を控えめにしたり、いろいろな調味料を使って、食べられそうな味を試し、だしを効かせたり、ごまやゆずなどの香りや、酢を利用して風味を添えると食べやすくなります。

甘味に過敏になり、何でも甘く感じる場合もあります

料理に砂糖やみりんを使わないで、塩、しょうゆ、みそなどで濃いめに味を付けてみたり、酢、ゆず、レモンなどの酸味を利用しましょう。汁物は食べられることが多いようです。

味が感じられないときもあります

濃さを加減しながら味にメリハリを付けてみます。酢の物、果物などの酸味を利用し、食事の温度は人肌程度にすると食べやすいようです。

食べ物をかみにくい、のみ込みにくい、むせやすいとき

食べ物をかんだり、ゴクリとのみ込み、食道や胃に送り込むことが難しくなることがあります。歯の劣化、口内炎、のどの腫れや痛み、のみ込む力が弱くなったとき、神経の麻痺(まひ)、のどや食道が狭くなっていることなどが原因で起こります。

このようなときには、思うように物をのんだり食べたりできないだけでなく、食べ物やのみ物が誤って気道に入り込む誤嚥(ごえん)を起こしやすくなり、むせたり、咳が多くなったり、肺炎を引き起こしたりすることがあります。

食事をするときの姿勢、体位の工夫が必要です

食事中にむせることが多いときには、上体を45~60度程度に起こし、あごを引いた姿勢で食事ができるようにします。のみ込みやすさの程度などによって、むせにくい体位があるので、担当医や看護師に確認しておきましょう。

食事の工夫をする

やわらかく、よく煮る料理にします。のみ物や汁物、水分の多い食べ物は、かたくり粉やとろみ剤などを使ってとろみを付けてやわらかくすると、食べやすくなります。パサパサ、ポロポロした食べ物は、むせやすくなるので避けましょう。固形のものは、ミキサーにかけたり、裏ごししたり、すりつぶすなど、ペースト状に調理してもよいでしょう。

口の中を清潔に保つ

肺炎予防のため、食前食後に歯磨きやうがいをして口の中を常に清潔にします。普段から唇、舌、あご、頬などをよく動かしたり、マッサージをしておきましょう(看護師や栄養士、歯科衛生士などの指導を受けて練習します)。

経管(けいかん)栄養について

経管栄養とは、口から食事をとれない、あるいは十分にとることができないときに、胃や腸の中に管を挿入して栄養剤を注入し、栄養状態を保つ、あるいはよくするための方法です。管理に慣れてくると家でもできるようになります。点滴などで栄養をとる方法に比べて、胃腸を使うので、より自然な栄養のとり方であり、安全性が高く、費用が安いなどの利点があります。鼻から管を通す経鼻(けいび)胃管や、おなかに孔を開けて管を通す胃ろう、腸ろうなどがあります(図1)。
図1:経管栄養法
図1:経管栄養法
経管栄養を行うときに、気を付けておきたいこと
  • 普段から管の入り口を清潔に保つ。
  • 栄養剤の種類や注入速度を確認する。
  • 栄養剤の温度を人肌程度(約37℃)に温める。
  • 注入するときに姿勢を整える。
  • 注入直後はむせたり、吐いたり、気分が悪くなったり、おなかが痛くなったりしないか確認する。
  • おなかが張るときには、注入速度をゆっくりにする。
  • 下痢や便秘に注意する。
在宅で行う場合には、担当医、看護師や栄養士、 栄養サポートチーム(NST) 用語集アイコンに確認しながら練習します。

中心静脈栄養について

中心静脈栄養とは、長期間口から食べたりのんだりすることが難しい場合に、点滴の管を静脈の中に挿入し、栄養や水分の補給を行う方法です。糖分が多く含まれるなど、高カロリーの点滴を使うことが多いため、首や鎖骨の近くなどから太い静脈に管を通します。

中心静脈栄養を受けている間は、感染を防ぐため、管が入っている場所を清潔に保つこと、そのために定期的な消毒と保護用のテープ交換が必要です。

中心静脈栄養を行いながら外泊や退院することも可能で、入浴もできます。また、退院後に自宅で中心静脈栄養を行う場合には、ポートという埋め込み型の装置を使用することもあります。日常生活上の注意点などについて、看護師や栄養サポートチームの説明を聞きながら、管理の仕方を練習します。
口内炎・口腔(こうくう)乾燥の予防と対策
風味、温度、硬さの極端な食べ物は口への刺激になります。治療中には、口の粘膜が赤くなり痛みが出る口腔粘膜炎(口内炎)が起こったり、口が渇く、傷つきやすくなるなど、さまざまな口のトラブルが起こります。
  • 予防策
口の中を傷つけないように、歯ブラシは毛先のやわらかいものを使用し、強いブラッシングは避けましょう。毎食後と朝起きたとき、夜寝る前に歯磨きやうがいを忘れずに行い、舌の汚れ(舌苔)も落とすようにして、口の中を常に清潔にしましょう。

治療前に歯科医による口腔チェックを受けておき、入れ歯の調整や虫歯の治療をすませておきましょう。
  • 口内炎の対策
口の中の状態を自分でもよく観察してみましょう。痛みが起こる前に、腫れぼったくなったり、ピリピリする感じを自覚することがあります。口内炎のできている場所や色、大きさはどうか、出血があるかどうか、味覚に変化はないか、舌苔が付いていないかも確認します。症状を和らげるのみ薬やうがい薬、塗り薬などもありますので、担当医や看護師に相談しましょう。

栄養や水分をとるための調理の工夫をします。やわらかく、水気の多い料理をつくりましょう。味付けを薄くし、材料を小さく刻んだり、ミキサーにかけるなどして食べやすくすれば、かみやすく、のみ込みやすくなります。冷ましたお茶や水などをこまめにとり、口の中の乾燥を防ぎ、口の中の潤いを保つようにします。

体調を整えるためにも、ビタミン(特にビタミンB2)を多く含む野菜や果物をとり、バランスのよい食事を心がけます。疲労も避け、睡眠も十分にとりましょう。
  • 口腔乾燥の対策
近くに水や砕いた氷を用意しておき、こまめに口の中を潤しておきます。あめをなめたりガムをかんだりするのもよい方法です。

※ 口内炎の対策については「がんの冊子 がん治療と口内炎(PDF)」  もご参照ください。

※ 口内炎の対策については「がんの冊子 がん治療と口内炎(PDF)」 ganjoho.jp もご参照ください。
いろいろなものを食べようと調理法で工夫
放射線治療で、食べたものが食道や胃にしみるように感じてうまく食事がとれなくなったときに私が心がけたことは、少しずつでもいろいろなものを食べようということでした。肉や魚や野菜を細かく切ってだし汁などで味付けして寒天やゼリーで固めたり、具だくさんの雑炊にしたりすると、少量でもいろいろなものを何とか食べることができました。

抗がん剤治療でも、吐き気をはじめ胃腸の不快感がしばらく続きました。白いご飯や魚の匂いがだめだったので、いろいろな調味料で味付けしたり炊き込みごはんにしたり雑炊にしたりすると何とか食べることができました。また、魚は蒸したものをサラダなどに入れたり、野菜やきのこを入れて寒天やゼリーで固めて冷たくしたりすると、匂いもあまり感じることなく食べることができました。また、とろみをつけると、口あたりがよく、匂いを気にしないでのみ込むことができました。
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