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鹿児島県のがん診療におけるPDCAサイクルの取り組み
鹿児島県がん診療連携協議会関係者インタビュー

鹿児島大学病院院内がん登録部門

鹿児島大学病院 医療情報部 主任 中筋眞寿美  (取材日:2016年12月14日)


——院内がん登録において、鹿児島県全体で取り組んでいらっしゃることについて伺えれば幸いです。

2010年から院内がん登録の研修会を開始し、これまで年に4~6回ほど研修会を行ってきました。がん登録の実務者は、各施設少人数で業務を行っています。実務者は、国立がん研究センターで初級認定や中級認定を受けながら実務に就くという流れですが、この研修のみでは、十分ではないため、精度をあげる目的で研修会を開催しています。

年に4~6回ほど行う研修会は、研修会ごとに参加者へアンケートを行い、登録する際に難しいと思うことや希望する研修内容を回答してもらい、計画します。計画にあわせ、鹿児島県内のがんを専門とする医師へ講義を依頼し、ます。そのうち1回は、国立がん研究センターの先生に来ていただき、研修会を開催し、鹿児島県のデータの精度や今後業務に必要な点を、指摘していただいています。平成28年度から、全国がん登録の担当者とも精度をあげるための交流を図り始めました。



——院内がん登録の領域、勉強しないといけない情報量がとても多く、がんセンター(国立がん研究センター)での研修も5大がんが中心となっている中で、すべての領域をきれいにカバーしているわけではないと思います。

その通りです。県内のがん登録実務者の現状をみると、全体の8割は、初級者認定研修のみで、2割しか中級者認定研修を受講していません。初級者認定研修は、標準登録様式のルールと5大がんのみです。私たちが登録を行うには、がんセンターが提示する標準登録様式、UICCTNM分類やがん取り扱い規約、診療ガイドラインなどを教科書とし、がんセンターが提供しているデータベースに登録していきますが、どうしても知識が不足します。

そのため、年4~6回鹿児島県で開催する研修会では、5大がん以外の脳腫瘍や泌尿器系のがん等の研修を、県内の医師の協力を得て行っています。



——実際に定期的に研修を続けていくのは大変なことではないでしょうか?

そうですね。企画から進めていくには大変ですが、実務者からのニーズもあり、がんデータの精度をあげるためには必要な取り組みだと思います。大学病院の腫瘍センターの先生や各診療科の先生方も協力してくださるので、今後も継続的に進めたいと思います。


——院内がん登録のデータを使ったアイデアがありましたら、ぜひお教えいただきたいです。

これまで院内がん登録データは、データを登録し、がんセンターへ提出するという目的でしか使用されていませんでした。データは使用されないと、データの質が担保されているかわかりません。鹿児島県では、蓄積されたがんデータの精度をあげて、活用していくために、今までの利用方法のみでなく研究等でも活用できるように、現在体制を整備する土台づくりを行っています。院内がん登録データとほかのデータをあわせ、研究を行い、新しい診断や治療に結び付けていける取り組みが行われればと思っています。


——精度の保たれた情報を整理していくことが大事だと思います。このことが、院内がん登録だけではなく、再発を含めて色んな方々の基本的な情報収集基盤になっていくかと思います。

そうだと思います。
ただ、まず院内がん登録の入り口の精度管理の質を高めていくこと、臨床の先生方の思っていらっしゃることと私たちのやっていることの足並みをそろえていくことが当面の宿題と考えています。


——具体的には、診療録から情報を適切に引っ張ってくる点などは、がん登録の実務者の方の実力が求められるところだと思います。

おっしゃる通りかと思います。そのためにも、継続的に研修会を行い、各施設のがん登録実務者の実力がアップし、提出するデータの精度をあげていければと思います。

がんセンター(国立がん研究センター)で収集されたデータが、患者さんへむけて「見える化」される流れが、加速されればと思います。今後は県内の方でもデータを活用し、鹿児島県のがん診療をみえる形にしていけるように努力していきたいと思っています。

更新・確認日:2017年04月19日 [ 履歴 ]
履歴
2017年04月19日 掲載しました。
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