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食道がん(欧米と日本の相違点)

更新日:2006年10月18日    掲載日:2006年10月01日

食道がん治療における欧米と日本の相違

1)組織型と発生部位

欧米では近年腺癌の割合が増加しています。アメリカでは50%以上が腺癌であり、特に白人男性における増加が著明で約70%が腺癌となっています。腺癌の発生部位は下部食道であり、食道がん全体の発生部位も70%以上が下部食道です。これに対し日本では腺癌の増加は明らかではなく、扁平上皮癌が90%以上を占めます。扁平上皮癌は中部食道に多く発生し、食道がん全体の発生部位も60%以上が中部と上部の食道です。これらの違いは治療法、手術術式、治療成績の違いにも影響しています。

2)Stage I について

日本では胃がんの発見を目的として上部消化管の検査が発達したため、Stage Iで発見される食道がんが20%を超えています。Stage Iの食道がんに対する治療経験の積み重ねが、内視鏡的粘膜切除術を発達させました。欧米ではStage Iで発見される患者さんが少なく、このため内視鏡的粘膜切除術の普及も進んでいません。
日本ではStage Iの食道がんに対する治療として、低侵襲(しんしゅう)の内視鏡的粘膜切除術と高侵襲の外科切除手術の間の溝を埋めるかたちで、根治的化学放射線療法が広まりつつあります。欧米では化学放射線療法は切除不能な進行がんを対象に発達してきたため、Locoregional Disease(主病巣およびその周囲に限局した病気)であるStage Iの食道がんは外科切除手術の良い適応と考えられており、化学放射線療法が行われることはまれです。

3)手術術式

食道がんに対する標準的術式として、日本では上縦隔のリンパ節郭清を伴う開胸操作による食道切除術が行われています。欧米では進行がんが多く切除手術の成績が悪いこと、患者のリスクが高く手術合併症が多いこと、下部食道に発生するがんが多く上縦隔のリンパ節郭清の効果が見出しにくいことなどから、開胸操作による縦隔のリンパ節郭清をしない食道抜去術も標準的術式の1つとして行われています。開胸操作をする場合でも、上縦隔のリンパ節郭清が行われるのは一部の先進的施設であり、一般的ではありません。

4)化学放射線療法

切除手術が可能なStage II、IIIの食道がんに対して、切除手術をせずに化学放射線療法が行われることが増えています。アメリカの統計データでは、扁平上皮癌に対しては切除手術よりも化学放射線療法が選択されることが多いようです。しかし、これは治療成績に基づくものではなく、さまざまな社会的状況に基づくものです。NCIのPDQでも化学放射線療法は臨床試験として記載されています。日本でもまだ確立していない臨床試験の段階の治療であるという認識が必要です。


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