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がん統計に関するQ&A

更新日:2010年07月07日    掲載日:2006年10月01日

 Q1院内がん登録と地域がん登録とはどう違うのですか。
 Q2「がんの統計」の最新版はいつごろ掲載されますか。
 Q3がん研究センターのホームページでの罹患者数、死亡者数のデータが更新されていないようですが、直近のデータはありますか。
 Q4「1つの器官に一度に2つ3つの腫瘍ができる」多発がんというのはどのくらいの頻度で発生するのでしょうか。
 Q5多重がんとは何ですか?
 Q6がん患者の生存率に関しての資料にはどのようなものがありますか。
 Q7地域がん登録事業に関する情報が掲載されている、ホームページはありますか?
 Q8貴HPの掲載データを引用したいのですが構わないでしょうか。
 Q9「初回入院患者の入院歴年別5年生存率の推移」という資料がありますが、10年生存率に関するデータはありますか。
 Q10国立がん研究センターでは、どれくらいの頻度で、どのくらいの職員で、予後調査を行っているのでしょうか?
 Q11現在、地域がん登録事業を実施している都道府県はどこですか?また、実施していない県で、事業が立ち上がる県はありますか?
 Q12患者の予後調査をしているそうですが、自治体への住民票照会に関しては具体的にどのような手続きをとっていますか?また予後調査の方法に関して院内で明文化したルールなど作成していますか?
 Q13個人情報の取り扱いについて患者に向けてはがん登録に関する個人情報の取扱いなど説明していますか?
 Q14がんは増えていますか?減っていますか?
 Q15最近増えているがん、減っているがんはどれですか?
 Q16大腸がんは、直腸がんと結腸がんをあわせたものと考えればよいのでしょうか。
 Q17がん統計の国別データはありますか。
 Q18米国のがん統計情報はありますか?
 Q19○○がん死亡は、がん全体の死亡において何位ですか。またその推移を教えてください。
 Q20○○がんの5年生存率、その推移を教えてください。
 Q21○○がんの患者数、その推移を教えてください。
 Q22○○がんの死亡数、死亡率、その推移を教えてください。
 Q23○○がんの罹患率、その推移を教えてください。
 Q24がん対策と死亡率・罹患率の推移の関係を教えてください。
 Q25罹患数と患者数の違いを教えてください。
 Q26罹患率と有病率の違いを教えてください。
 Q27罹患率と累積罹患リスクの違いを教えてください。

Q1
院内がん登録と地域がん登録とはどう違うのですか。
A1
院内がん登録とは、病院のがん診療を向上させることや患者さんを支援することを目的として、病院を訪れたがん患者さんについて、診断、治療、予後などの情報を集めて整理することです。院内がん登録の情報の整理とは、(1)がん患者さんの受療状況を把握すること、(2)がん患者さんの生存率を計算すること、(3)がん診療活動やがん診療に従事する医師の教育・研修を支援する資料を作ること、(4)がん患者さんの診療や、予防に役立てるための研究を支援するための資料を作ること、(5)地域がん登録に資料を提供することを指します。
地域がん登録とは、ある地域(日本の場合は、都道府県や市といった地域)や国のがん対策のために、その地域に居住している住民で、がんに罹患した患者さん(がんと診断された患者さん)の情報を集めて整理することです。院内がん登録で集める情報は、それぞれの病院に来院した患者さんに関することですが、地域がん登録で集める情報源は、その地域の病院・医院だけでなく、検診機関や死亡情報など多方面にわたります。その情報を1つにまとめた後、整理します。地域がん登録の情報の整理とは、(1)その地域の罹患率を計算すること、(2)その地域のがん患者さんの受療状況を把握すること、(3)その地域のがん患者さんの生存率を計算すること、(4)その地域のがん予防や政策を立てるために必要な資料を作ること、(5)がん予防に役立てるための研究を支援するための資料を作ることを指します。

Q2
「がんの統計」の最新版はいつごろ掲載されますか。
A2
冊子「がんの統計」は毎年秋に最新版が「がん情報サービス<統計>」に掲載されます(2007年までは隔年刊行でしたが、2008年から毎年刊行となりました)。最新のがん統計情報は「がん情報サービス<統計>」でも公開しています。

Q3
がん研究センターのホームページでの罹患者数、死亡者数のデータが更新されていないようですが、直近のデータはありますか。
A3
以下の表をご参照ください。

国立がんセンター(現国立がん研究センター)で公開している日本のがん死亡・罹患情報
  情報源 更新
頻度
最新データの公表時期
死亡 人口動態統計死亡
(厚生労働省大臣官房統計情報部)
毎年 約1年遅れ。
例えば2008年度に2007年データを公表。
罹患 厚生労働省がん研究助成金「地域がん登録」研究班(1975〜1999年)および厚生労働省科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「がん罹患・死亡動向の実態把握に関する研究」班(2000年〜)
毎年 約5年遅れ。
例えば2008年度に2003年データを公表。

Q4
「1つの器官に一度に2つ3つの腫瘍ができる」多発がんというのはどのくらいの頻度で発生するのでしょうか。
A4
現在のところ、詳細なデータは出ていません。

Q5
多重がんとは何ですか?
A5
同じ人に発生する異なるがんのことをいいます。重複がんともいいます。発生頻度の高いがん(胃がんなど)との組み合せが多く、乳癌、子宮頸部がん、喉頭がんなどの比較的治りやすいがんとの重複も多いです。多重がんはがん患者さんの1〜2%に見られ、がん家系によく見られます。また、共通の危険因子を持つがんの組み合わせが多重がんになりやすいといわれています。たとえば、喫煙については、喉頭のほかに、肺、口腔、咽頭、食道、膀胱などに多重がんが発生しやすく、がんの化学療法、放射線治療、ホルモン療法の後に治療に関連して多重がんが発生することもあります。がんの罹患数の統計では、多重がんは一定のルールに従って判断され、別個のがんとして集計されます。

Q6
がん患者の生存率に関しての資料にはどのようなものがありますか。
A6
がん患者さんの生存率に関する資料は、(1)院内がん登録のデータに基づき、病院を受診した患者さんについて、それぞれの施設で計算して公表しているものと、(2)地域がん登録のデータに基づき計算しているものがあります。
(1)の資料の例としては、財団法人 がん研究振興財団かが発行している「がんの統計<2005年>」に掲載されている、国立がんセンター(現国立がん研究センター)中央病院の治療成績があります。ただし、これは初回入院患者さんの生存率です。また、宮城県立がんセンターなどいくつかの施設でも生存率を公表しています。ただし、これらの資料を見るときは、集計対象(どのような患者さんを生存率計算の対象としているのか)によって値が変わってきますので、注意を要します。
(2)の資料には、厚生労働省がん研究助成金「地域がん登録精度向上と活用に関する研究平成16年度報告書」(主任研究者 津熊秀明)で計算しているものがあります。ただし、すべての地域がん登録が、生存率計算に必要な「生存確認調査」を行っているとは限りませんので、現段階では限られた地域でしか生存率が計算できません。この研究結果の一部は「がん情報サービス<集計表のダウンロード>」でダウンロードが可能です。

Q7
地域がん登録事業に関する情報が掲載されている、ホームページはありますか?
A7

Q8
貴HPの掲載データを引用したいのですが構わないでしょうか。
A8
本ページに掲載された内容を転載する場合は、下記をご参照ください。
国立がん研究センターがん対策情報センター
リンク・二次利用・著作権など
http://ganjoho.jp/copyright.html

Q9
「初回入院患者の入院歴年別5年生存率の推移」という資料がありますが、10年生存率に関するデータはありますか。
A9
治療成績の向上により長期生存が期待される部位については、10年生存率を算出して、公表している施設もあります。

Q10
国立がん研究センターでは、どれくらいの頻度で、どのくらいの職員で、予後調査を行っているのでしょうか?
A10
国立がん研究センターでは、3名の職員が年に1回、5年間の入院患者に対して予後調査を行っております。外来患者調査の追加など、その手順・方法については、現在検討を進めております。

Q11
現在、地域がん登録事業を実施している都道府県はどこですか?また、実施していない県で、事業が立ち上がる県はありますか?
A11
平成22年7月現在、わが国では38道府県1市で地域がん登録が実施されています。
「地域がん登録の標準化と精度向上に関する第3期事前調査」によると、平成21年9月時点で、わが国では35道府県1市で地域がん登録が実施されていました。その後、福島県、長野県、島根県が新規に事業を開始しました。

Q12
患者の予後調査をしているそうですが、自治体への住民票照会に関しては具体的にどのような手続きをとっていますか?また予後調査の方法に関して院内で明文化したルールなど作成していますか?
A12
住民票照会を含む予後調査などについては、「がん拠点病院向け情報」の中で情報提供をしていきます。

Q13
個人情報の取り扱いについて患者に向けてはがん登録に関する個人情報の取扱いなど説明していますか?
A13
地域がん登録に関しては、事業を実施している府県において、ホームページなどで「がん登録事業について」と題して情報を発信しています。また、いくつかの府県においては、医療機関がパンフレットを提供することで、情報の周知を図っています。
国立がん研究センター中央病院では、「国立がん研究センター中央病院における個人情報の利用目的について」という院内掲示やホームページへの掲載を行い、患者さんに対し、院内がん登録を行っていることや、全国がん(成人病)センター協議会、疾患別がん登録、地域がん登録などへの情報提供を行っていることについて、オプトアウトの形で同意をいただいております。今後、地域がん登録、院内がん登録事業の必要性を理解していただくために、より積極的に上記のような手法およびマスメディアを通してがん登録に関する情報を提示するとともに、成果であるがん診療データをがん対策情報センターから定期的に発信する予定です。

Q14
がんは増えていますか?減っていますか?
A14
がんの死亡または罹患の増減を議論するときには、「粗率で見るか、年齢調整率で見るか」に注意する必要があります。一般的に、がんは高齢になるほど死亡率と罹患率が高くなります。したがって例えば死亡の場合、高齢者の割合が小さい集団より大きい集団のほうががんの粗死亡率は高くなります。このような年齢分布の影響を除去してがんの増減を見るために、年齢調整死亡率が用いられます。
粗死亡率と年齢調整死亡率でわが国のがん死亡の動向を見ると、粗死亡率は男女とも増加傾向にありますが、年齢調整死亡率は男女とも減少傾向にあります。同様にがん罹患の動向では、粗罹患率は男女とも増加傾向、年齢調整罹患率は男女とも近年横ばい傾向にあります。このように、わが国の近年のがん粗死亡率および粗罹患率の増加は、高齢化が大きな要因となっています。がんの増減については「がん情報サービス<統計>」にも解説があります。

Q15
最近増えているがん、減っているがんはどれですか?
A15
がんの増減についての情報は「がん情報サービス<統計>」で公開しております。

Q16
大腸がんは、直腸がんと結腸がんをあわせたものと考えればよいのでしょうか。
A16
大腸がんは、結腸がんと直腸がんを合わせたものです。

Q17
がん統計の国別データはありますか。
A17
外部サイトへのリンク国際がん研究機関(IARC)ではがんの統計についてのデータベースを公開しています(英語)。

<死亡>
世界保健機関死亡データベース(外部サイトへのリンク上記URLの「WHO」)
  世界各国のがん死亡統計をグラフと表で表示できます。各国の人口動態の実測値を用いているためデータのない国があります。
GLOBOCAN(外部サイトへのリンク上記URLの「GLOBOCAN」)
  世界各国のがん死亡率を地図で表示できます。各国の人口動態の実測値や人口構成などから求めた推計値を用いているためほぼすべての国のデータがあります。
<罹患>
5大陸のがん罹患(外部サイトへのリンク上記URLの「CI5」
  世界各地の「地域がん登録」から集められたがん罹患データをグラフと表で表示できます。

Q18
米国のがん統計情報はありますか?
A18
米国ではがんの統計についていくつかの機関が情報を公開しています。

外部サイトへのリンクSEER (Surveillance Epidemiology and End Results)
  がんの統計情報、地域がん登録の情報、がん統計解析用ソフトウェア、がん罹患情報データベース、出版物など。
外部サイトへのリンクACS (American Cancer Society 米国対がん協会)
  がん統計の年報など。

Q19
○○がん死亡は、がん全体の死亡において何位ですか。またその推移を教えてください。
A19
がんの部位別の死因順位とその推移は「がん情報サービス<統計>」で解説しています。

Q20
○○がんの5年生存率、その推移を教えてください。
A20
がんの5年生存率の最新データは「がん情報サービス<統計>」で公開しています。推移については全国レベルのデータがまだありませんが、今後調査結果が整い次第公開していく予定です。

Q21
○○がんの患者数、その推移を教えてください。
A21
がんの患者数は国立がん研究センターでは集計しておりません。厚生労働省が実施している「患者調査」で患者数の推計が行われています。また、研究レベルでも罹患数と死亡数から患者数の推計が行われています。

Q22
○○がんの死亡数、死亡率、その推移を教えてください。
A22
がんの死亡の最新データと年次推移は「がん情報サービス<統計>」で公開しています。

Q23
○○がんの罹患率、その推移を教えてください。
A23
がんの罹患の最新データと年次推移は「がん情報サービス<統計>」で公開しています。

Q24
がん対策と死亡率・罹患率の推移の関係を教えてください。
A24
がんの罹患率と死亡率は、がんの予防、早期発見(がん検診)、治療をめぐる状況によって増減すると考えられます。以下、がん対策とがん罹患率・死亡率の推移との関係を単純化して説明します。がんの予防対策が成功した場合、がんと診断される人が減りますので、まず罹患率が減り、その後死亡率が減ります(図1)。がんの早期発見対策(がん検診)が成功した場合、一時的にがんと診断される人が増えますので罹患率は増加しますが、やがて安定し、死亡率が減少します(図2)。がんの治療技術が進歩し、がんと診断された人の生存率が上昇した場合、罹患率は変化がなく、死亡率が減少します(図3)。実際はこれらが組み合わさったり他の要因が影響したりするので、罹患率と死亡率の推移はもっと複雑な動きを示します。(「がん対策とトレンド」シート参照)

図1 図2 図3

Q25
罹患数と患者数の違いを教えてください。
A25
罹患数はある期間中に「新たに」診断されたがんの数です。これに対し、患者数はある時点で存在しているがん患者の数です。ある時点の患者数は過去の罹患数の累積なので(厳密には死亡例、治癒例が減ります)、罹患数よりも多くなります。詳しくは、「がん統計の用語集」をご参照ください。

Q26
罹患率と有病率の違いを教えてください。
A26
罹患率(粗罹患率)は、ある期間中に新たに診断されたがんの数を、同じ期間の人口で割った値です。有病率は、ある時点で存在しているがん患者の数を、その時点の人口で割った値です。詳しくは、「がん統計の用語集」をご参照ください。

Q27
罹患率と累積罹患リスクの違いを教えてください。
A27
罹患率は、一定の期間に観察された罹患数を、同じ期間の人口で割った値です。例えば2000年の日本の男性のがん罹患率が499.3(人口10万対)であった場合、2000年の1年間に男性10万人当たり約500例のがんが新たに診断されたことを意味します。
これに対して累積罹患リスクは、年齢階級別の罹患率を一定の年齢まで足し合わせて求められ(注)、ある人がその年齢までにある疾患と診断される確率を表します。例えば2000年の男性の累積生涯罹患リスクが49.0であった場合、男性が一生のうちにがんと診断される確率が49%であることを意味します(「男性の2人に1人は一生のうちにがんと診断される」と表現されることもあります)。
単純に「人口当たり」という表現だけで比較した場合、罹患率の観察期間が通常1年であるのに対して、累積罹患リスクの観察期間は生まれてから一定の年齢に達するまで(あるいは一生)であることが通常ですので、累積罹患リスクの方が大きい印象を与えます。しかし、罹患率と累積罹患リスクは異なる概念ですので、両者を数値同士で比較することには意味はありません。
(注)正確な算出方法は文献をご参照ください(厚生の指標 52: 21-26, 2005; Lifetime Data Anal. 4: 169-186, 1998)


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