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乳がん(にゅうがん)

更新日:2016年02月10日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2016年02月10日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2015年03月23日 タブ形式への移行と、「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版」より、内容の更新をしました。
2011年07月15日 内容を更新しました。
1997年10月01日 掲載しました。

1.臨床病期による治療選択

乳がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法内分泌[ホルモン]療法化学療法分子標的治療など)があります。それぞれの治療を単独で行う場合と、複数の治療を組み合わせる場合があります。

がんの性質や病期(ステージ)、全身の状態、年齢、合併する他の病気の有無などに加え、患者さんの希望を考慮しながら、治療法を決めていきます。

図6は病期と治療法選択の目安を表にしたものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

各治療については「乳がん 治療」をご覧ください。
図6 乳がんの臨床病期と治療
図6 乳がんの臨床病期と治療
日本乳癌学会編「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編2013年版」(金原出版)より作成

1)0期

乳房部分切除術または乳房切除術を行います。乳房部分切除術を行った場合、術後放射線治療が必要になります。センチネルリンパ節生検を行うかどうかは患者さんの病状によって判断します。

手術後に切除した組織を検査して、がんの広がりや形態、性質などを調べ、再発の危険性を評価します。術後の検査結果で0期ではなく、I期以上であると判明した場合、再発を予防するための薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療)が行われることもあります。最終病理診断で、非浸潤がんであっても、温存乳房や対側乳がんの発生予防のために内分泌(ホルモン)療法が行われることがあります。

2)I~II期

乳房の腫瘍に対しては、乳房部分切除術または乳房切除術を行います。乳房部分切除術が行われた場合、術後放射線治療が必須になりますが、乳房切除術が行われた場合でも術後放射線治療が必要になることがあります。腫瘍が大きい場合には、化学療法(抗がん剤治療)で腫瘍を縮小させて(術前化学療法)から手術を行う方法もあります。リンパ節に対しては患者さんの病状によって、センチネルリンパ節生検を行うか、または明らかに転移が認められる場合は、わきの下のリンパ節を切除する腋窩リンパ節郭清(えきかりんぱせつかくせい)を行うことが検討されます(参照:リンパ節郭清)。

手術後に切除した組織を検査して、がんの広がりや形態、性質などを調べ、再発の危険性を評価します。多くの患者さんで、再発を予防するための薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療のいずれか1つ、またはいくつかを組み合わせた治療)が行われます。

3)III~IV期

薬物療法(内分泌[ホルモン]療法、化学療法、分子標的治療)を行います。薬物療法を行う前に病理検査を行い、使用する薬剤を選択します。III期では、薬物療法を行ったあとに手術を行う場合もあります。乳房部分切除術または乳房切除術に加えて、腋窩リンパ節郭清を行います。再発を予防するための放射線治療も併せて行います。

がんの治療と併せて、痛みやつらい症状がある場合には、それを和らげるための治療を行います。緩和ケアについては「がんの療養と緩和ケア-4.がんの痛みと緩和ケア」もご参照ください。

4)転移・再発乳がん

乳がんの手術をした場所やその近くにだけ再発した場合(局所再発)には、再発した部分だけを手術で切除したり、放射線治療を行ったりすることもあります。転移・再発乳がんについては薬物療法が原則必要となります。

がんの治療と併せて、痛みやつらい症状がある場合には、それを和らげるための治療を行います。緩和ケアについては「がんの療養と緩和ケア-4.がんの痛みと緩和ケア」もご参照ください。

●妊娠中に乳がんと診断された場合

検査や手術、薬物療法、放射線治療は、妊娠の時期によって、流産や胎児への影響を起こす危険性があります。担当医や家族と十分に相談をすることが必要です。

2.治療成績

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率は通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。こうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、用いるデータによって、生存率の値が異なる可能性があります。

以下の【乳がんの生存率について、さらに詳しく】に、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が公表している院内がん登録から算出された5年相対生存率のデータを示します(表3)。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。診断や治療の技術は進歩していますので、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。

データは平均的なものであり、かつ確率として推測されるものですので、すべての患者さんに当てはまる値ではないことをご理解ください。
【乳がんの生存率について、さらに詳しく】
このデータは、2005年から2007年の間に、乳がんの診断や治療を受けた患者さんが対象となっています。治療については、外科治療だけではなく、放射線治療、薬物療法、その他の何らかの治療を受けた患者さんが対象となっています。そのため、各施設で公表している、外科治療だけを受けた患者さんを対象とした生存率と、異なる場合があります。

臨床病期については「乳がん 検査・診断-2.病期(ステージ)」をご参照ください。
表3 乳がん(女性)の病期別生存率
病期 症例数(件) 5年相対生存率(%)
I 7,029 99.9
II 6,923 95.4
III 1,710 80.3
IV 699 33.0
全症例 16,466 93.0
外部サイトへのリンク全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による
なお、こちらの表の臨床病期はUICC(Union Internationale Contrele Cancer:国際対がん連合)のTNM分類(参照:UICC TNM分類)を用いています。
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3.自分に合った治療法を考える

治療方法は、すべて担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいというわけではありません。自分の生活や人生において何を大切にするのか、自分で考えることが大切です。

まずは、病状を詳しく把握しましょう。わからないことは、まず担当医に質問してみましょう。診断を聞くときには、病期(ステージ)を確認しましょう。治療法は、病期によって異なります。医療者とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認してください。

担当医と話すときの助けとして「わたしの療養手帳 自分に合った治療法は?患者必携サイトへのリンクもご参照ください。「患者必携 わたしの療養手帳」はさまざまな場合で必要なことを書きとめることができる手帳になっています。印刷もできますので、自分で記入してみて、わからないことや聞いてみたいことを整理してみましょう。

診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。最初にかかった担当医に何でも相談でき、治療方針に納得できれば言うことはありません。

担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。セカンドオピニオンを聞きたいときは、担当医に話してみましょう。多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解していますので、快く資料を作ってくれるはずです。

セカンドオピニオンについては「セカンドオピニオンを求めるとき」もご参照ください。

担当医以外でも、看護師など他の医療スタッフやがん相談支援センターのスタッフに相談することができます。あなたの抱えている問題点を整理し、一緒に考えてくれます。

がん相談支援センターについてはがんの相談窓口「がん相談支援センター」もご参照ください。
【妊娠や出産を希望する場合についてもっと詳しく】
・治療後の妊娠や出産に影響を与えることがあります。
・将来出産を希望している場合には、まず、治療開始前にその希望を担当医に伝え、よく相談をしましょう。

妊娠・出産については以下もご参照ください。

平成24年度厚生労働科学研究費補助金(第3次対がん戦略事業)乳癌患者における妊孕(にんよう)保持支援のための治療選択および患者支援プログラム・関係ガイドライン策定の開発班編「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」(PDF:3.1MB

外部サイトへのリンク厚生労働省 若年乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラム 若年乳がん
「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」はこちらのサイトでもダウンロードできます。
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【参考文献】
  1. 日本乳癌学会編.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版,金原出版
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【わたしの療養手帳】
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乳がん
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