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子宮頸がん(しきゅうけいがん)

更新日:2012年05月01日    掲載日:1996年04月01日

1.子宮頸がんとは

女性生殖器(子宮)の構造と名称

子宮は全体として中空の西洋梨の形をしています。球形に近い形の体部は胎児の宿る部分であり、下方に続く部分は細長く、その先は腟に突出しています。この部分が頸部で、腟の方から見ますと奥の突き当たりに頸部の一部が見えます。その中央には子宮の内腔に続く入口があり、この入口を外子宮口と呼んでいます。子宮頸がんは「子宮頚がん」と表記されることもあります。

婦人科のがんで最も一般的な子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)があります。

子宮頸がんは、この外子宮口付近に発生することが多いです。普通の婦人科の診察でこの部分を観察したり、検査すべき細胞や組織を採取することが可能です。従って、早期発見が容易なわけです。

頸部のがんは非常にゆっくり増殖しますが、がん細胞が子宮頸部に見つかる以前の初期に、正常でない細胞が見つかります。この細胞を異型細胞と呼び、細胞診用語集アイコンではこの段階から診断することができるのです。

子宮がんにかかる人は、全体として年間約18,600人で、このうち子宮頸がんが約9,000人、子宮体がんが約8,600人、どの部位か情報がない子宮がんが約1,000人となっています(全国がん罹患モニタリング集計2006年報告上皮内がん用語集アイコンを除く)。また、子宮がんで亡くなる方は、全体として年間約5,900人、このうち子宮頸がんが約2,700人、子宮体がんが約1,900人、どの部位か情報がない子宮がんが約1,400人となっております(人口動態統計2010年)。

年齢別にみた子宮頸がんの罹患(りかん)率用語集アイコンは、20歳代後半から40歳前後まで増加した後緩やかに減少して、70歳ころ再び増加します。近年、罹患率、死亡率用語集アイコンともに若年層で増加傾向にあります。罹患率の国際比較では、頸がんが途上国で高いのに対し、体がんは欧米先進国で高い傾向があります。

子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が関連しています。子宮頸がん患者さんの90%以上からHPVが検出されることが知られています。最近、一部のHPV感染を予防できるワクチンが使用可能になっています。子宮頸がん予防ワクチンについては、「子宮頸がんの予防(ヒトパピローマウイルスと予防ワクチン)」をご覧ください。たとえ、ワクチン接種を受けた場合であっても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。子宮頸がんの検診については、「子宮がん検診の勧め」をご参照ください。

2.症状

初期の子宮頸がんでは、まったく症状がないのが普通です。婦人科の症状がなくても、20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がんの検診を受けることが勧められています。集団検診の知らせがあったらよい機会ですから、おっくうがらずに受診しましょう。詳しくは、「子宮がん検診の勧め」をご覧ください。

がんが少し進行するとはじめの症状としては、月経でない時の出血、性行為の際の出血や普段と違うおりものがふえたりします。ほかに、月経の量がふえたり長引いたりすることもあります。

夫を失った人や高齢の婦人では、性行為の際の出血ということは少ないので、頸部がんが相当進行してから出血を見ることがよくあります。このような方は、特に普段の健康診断を受ける必要があります。

しかし、各地の集団検診において、高齢の方の受診率が極めて低いため、高齢者の方に進行した頸部がんが今なお多いのが現状です。

3.診断

1)細胞診

がん細胞は、正常の細胞と異なった形や色合いをしています。がんの部分からこすりとった細胞や、がんから落ちてきたものをガラス板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見ますと、がん細胞を見つけることができます。この診断法を細胞診と呼んでおり、がんを診断する各種の検査法の中でも非常に重要な方法です。

頸部がんは前述したように外子宮口の付近から発生することが多いので、この部分を綿棒またはヘラのようなものでこすって細胞診を行います。この方法は簡単で痛みもほとんどなく、大勢の人に短い時間で行えますので、集団検診ではこの方法だけを行うことが普通です。ただし、細胞診だけでがんを決定することはしません。なぜなら、がんでなくても、がんと紛らわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異常があった場合は、次の検査を行います。

2)組織診

疑わしい部分から組織を採り、標本をつくって顕微鏡で診断する方法を組織診用語集アイコンと呼びます。子宮頸部の組織診の際は、ほとんど痛みもなく、出血もすぐに止まります。この診断は外来にて実施可能です。ただ採取する組織が小さいので、0期かそれより進行したがんか、または0期にもなっていない状態かを鑑別するのが困難なことがあり、何回か組織診を行うこともあります。時には、「円錐切除術」と呼ばれる方法で組織診を行うこともあります。この場合は、入院する必要があります。

3)コルポ診

コルポスコープという拡大鏡のような機械で、子宮頸部粘膜表面を拡大して、細かい部分を観察する診断法をコルポ診用語集アイコンと呼んでいます。組織診の組織を採取する際に欠かせません。

4.予後と治療選択

治癒の見込み(予後用語集アイコン)や治療の選択は、がんの病期用語集アイコン(がんが子宮頸部にとどまっているか、または別の場所に広がっているかどうか)や全身状態によります。

5.病期(ステージ)

ひとたび子宮頸がんと診断されると、がんが体の別の部位に広がっているかどうか、さらに詳しく検査が行われます。医師は治療を計画するために、がんの進行程度を知る必要があります。子宮頸がんには次のような病期分類が用いられます。

0期または上皮内がん(CIS)

0期の子宮頸がんは非常に早期のがんです。がんは子宮頸部の上皮内のみに認められます。

I期

がんが子宮頸部に限局して認められ、ほかへ広がっていない状態(ただし子宮体部浸潤用語集アイコンの有無は考慮しません)

Ia期

組織学的にのみ診断できる浸潤がんで、肉眼的に明らかな病巣は、たとえ表層浸潤であってもIb期とします。
浸潤は、計測による間質浸潤の深さが5mm以内で、縦軸方向の広がりが7mmを超えないものとします。浸潤の深さは、浸潤がみられる表層上皮の基底膜より計測して5mmを超えないもので、脈管(静脈またはリンパ管)侵襲があっても進行期は変更しません。

Ia1期:間質浸潤の深さが3mm以内で、広がりが7mmを超えないもの

Ia2期:間質浸潤の深さが3mmを超えるが5mm以内で、広がりが7mmを超えないもの
ただし子宮頸部腺がんについてはIa1、Ia2期の細分類は行いません。

Ib期

臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局するもの、または臨床的に明らかではないがIa期を越えるもの

Ib1期:病巣が4cm以内のもの

Ib2期:病巣が4cmを超えるもの

II期

がんが子宮頸部を越えて広がるが、骨盤壁または、腟壁の下1/3には達していないもの

IIa期

がんは腟壁に広がっているが、子宮頸部の周囲の組織、すなわち子宮傍組織には広がっていないもの

IIb期

がんが子宮傍組織に広がっているが、骨盤壁まで達していないもの

III期

がんが骨盤壁まで達するもので、がんと骨盤壁との間にがんでない部分を持たないもの
または腟壁浸潤が下方部分1/3を越えるもの

IIIa期

がんの腟壁への広がりは下方部分1/3を越えるが、子宮傍組織への広がりは骨盤壁にまで達していないもの

IIIb期

がんの子宮傍組織への広がりが骨盤壁にまで達しているもの、または腎臓と膀胱をつなぐ尿管ががんによりつぶされ、水腎症や無機能腎を認めるもの

IV期

がんが小骨盤腔を越えて広がるか、膀胱・直腸の粘膜にも広がっているもの

IVa期

膀胱や直腸の粘膜へがんが広がっているもの

IVb期

小骨盤腔を越えて、肺のような遠隔臓器にがんの転移(遠隔転移用語集アイコン)があるもの


6.治療

子宮頸がんには、外科療法、放射線療法用語集アイコン抗がん剤用語集アイコンによる化学療法用語集アイコンの3つの治療法があります。

1)外科療法

(1)早期がんに対する治療

治療は以下のうちのいずれかです。

  • 凍結療法:がん細胞を凍らせて殺します。
  • 高周波療法:高周波を用いて電磁波の熱でがん細胞を殺します。
  • レーザー治療:レーザー光線を用いてがんを殺します。

(2)手術治療

外科手術は最も一般的で、医師は以下の術式のひとつを用いてがんを取り除きます。

  • 円錐切除術
    がんが見つかった子宮の頸部組織を円錐状の組織として切除します。円錐切除は生検組織を採る診断的意味のほかに、早期がんでは治療的意味も含んでいます。

  • 単純子宮全摘出術
    がんに侵された子宮を摘出する手術です。子宮が経腟的に摘出されれば腟式単純子宮全摘、腹壁を切開して行われれば腹式単純子宮全摘といいます。時には、両側付属器切除術といい、卵巣・卵管も切除されます。

  • 広汎子宮全摘出術
    患部を子宮と腟の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲にわたって切除します。子宮頸がんに関連する所属リンパ節用語集アイコンも同時に切除します(リンパ節郭清用語集アイコン)。通常、リンパ節は小豆のような形をしており、全身に存在します。そして感染とたたかう細胞を産生したり、貯蔵したりしますが、がんのときには転移用語集アイコンしたり、他臓器への転移経路となるので取り除かなければなりません。手術障害については、「女性生殖器がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」をご参照ください。

  • 骨盤内臓全摘術
    がんが子宮頸部だけではなく女性性器外に広がっていると、子宮・腟とともに下部結腸、直腸、膀胱をも取らなければなりません。これを骨盤内臓全摘術といいます。術後、人工肛門用語集アイコン回腸導管(回腸を用いて人工的に尿路を再建用語集アイコンする)、造腟術など形成手術が必要となります。

2)放射線療法

放射線治療には、がん細胞を殺し腫瘍を縮小するために、X線や高エネルギー線が用いられます。放射線は体外から放射線を照射する外照射か、がん細胞の認められる領域に薄いプラスチックチューブを通し、放射線を出すラジオアイソトープを使用したプラスチックを入れて治療する腔内照射とがあります。放射線単独で治療する場合と、手術と併用して治療する場合があります。

3)化学療法(参照:がんの薬物療法

化学療法は、がん細胞を殺すための抗がん剤を使用します。薬剤は経口的に投与されたり血管または筋肉注射として投与されます。抗がん剤は血流に入り全身を巡り、子宮頸部を越えて広がったがん細胞を殺すので、全身療法用語集アイコンと呼ばれています。

病状に応じて、過去の治療成績に基づき、現在最も有効と認められている治療は「標準治療用語集アイコン」と呼ばれています。一方、難治性の進行がんでは、標準治療を行っても、多くの場合、満足できる結果をもたらすのは難しいことです。そのため、さまざまな新しい治療法が研究され、試みられています。新しい治療法は、最新の情報をもとによりよい治療を目指して行われますが、必ずしも標準治療よりもよい結果をもたらすとは限りません。新しい治療法は、担当医だけでなく多くの専門家の認める理にかなった方法で、一定の管理のもとで行われる場合を「臨床試験用語集アイコン」といいます。これから治療を受ける場合は標準治療を受けるのか、臨床試験中の新しい治療法を受けるのか、どちらかを選ぶことになります。

7.病期(ステージ)別治療

上記の各種治療法はがんの進行状況、すなわち「病期」により選択され、その他がんの大きさ、年齢、全身状態、将来の出産の希望の有無などを考慮して決定されます。なお、妊娠中の頸部がんの治療は、病期と妊娠月数との兼ね合いで遅らせることができるかもしれません。

0期

次のうち、いずれかの治療が行われます。

  • 凍結療法
  • 高周波治療
  • レーザー治療
  • 円錐切除
  • 腹式・腟式子宮全摘

    閉経後の女性や、妊娠、出産の希望のない女性に対しては、原則として子宮を摘出します。

I期

がん細胞が正常組織にどのくらい深く浸潤しているかにより、次のうちいずれかの治療が行われます。

Ia期

  • 子宮全摘、両側付属器切除(通常、若い女性では卵巣を残します)
  • 円錐切除(将来、出産を希望する場合)
  • 準広汎または広汎子宮全摘出術(3〜5mmの浸潤がある場合)
  • 腔内照射

Ib期

  • 腔内照射と外照射の併用
  • 広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)
  • 広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)と術後放射線治療

II期

次のうち、いずれかの治療が行われます。

  • 腔内照射と外照射の併用
  • 広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)
  • 広汎子宮全摘出術(リンパ節郭清)と術後放射線治療

III期

次のうち、いずれかの治療が行われます。

  • 腔内照射と外照射の併用
  • 放射線治療と化学療法の併用による新しい臨床試験
  • リンパ節のサンプリングによる病期決定の外科臨床試験と、外照射の併用

    開腹手術をして転移が疑われるリンパ節を採取し、検査することを「サンプリング」といい、リンパ節とリンパ管を系統的に全て切除することを「リンパ節郭清」といいます。リンパ節のサンプリングの結果、がんの転移が認められれば、その部分を含むよう放射線を照射する範囲を拡大します。

IV期

次のうち、いずれかの治療が行われます。

IVa期

  • 腔内照射と外照射の併用
  • 骨盤内臓全摘術
  • 放射線と化学療法の併用
  • リンパ節のサンプリングによる病期決定の外科臨床試験と外照射の併用

IVb期

  • 疼痛など症状を軽減させるための放射線治療
  • 全身的化学療法

再発

再発用語集アイコンとは、治療で完全に消えたようにみえても、わずかに残っていたがん細胞が増殖し大きくなって発見された状態です。骨盤内に起こる局所再発と、肺や肝臓のような原発病巣用語集アイコンから離れた遠隔臓器に転移する遠隔転移再発とに分けられ、それぞれ治療法も異なります。

1)局所再発

以下のいずれかの治療が行われます。

  • 骨盤内臓全摘術
  • 放射線療法と化学療法の併用

2)遠隔転移再発

病巣が一箇所にとどまっていれば外科手術を、多臓器に及ぶ再発や多発性の転移には化学療法が行われます。しかし、標準治療はなく、再発部位に合わせ一人一人に適切な治療を行います。

8.生存率

生存率用語集アイコンとは、診断から一定期間後に生存している確率を示す指標です。
全国がん(成人病)センター協議会加盟29施設の院内がん登録用語集アイコンのデータから算出された5年相対生存率用語集アイコンが公表されています。

【子宮頸がんの5年相対生存率についてもっと詳しく】


病期 症例数 5年相対生存率
I期 2,423 92.2%
II期 969 73.6%
III期 983 52.6%
IV期 405 22.2%

*このデータは、1999年から2003年の間に、子宮頸がんの治療のために、はじめて入院して治療を受けられた患者さんが対象となっています。また、手術のみではなく、化学療法、放射線療法、その他の何らかの治療を受けられた患者さんが対象となっています。そのため、各施設で公表している手術を受けられた患者さんのみを対象とした生存率よりも低い値になっています。

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