膵内分泌腫瘍:[がん情報サービス]
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膵内分泌腫瘍(すいないぶんぴしゅよう)

更新日:2006年10月01日    掲載日:1996年03月19日

1.膵内分泌腫瘍とは

膵臓の機能は消化液としての膵液を排泄する外分泌機能と、種々のホルモンを産生する内分泌機能に大別されます。膵外分泌機能を営む領域は膵全体の95%を占めます。内分泌機能を営むのは、膵内に散在するランゲルハンス島であり、膵全体の5%を占めます。このランゲルハンス島から発生する腫瘍はランゲルハンス島腫瘍、あるいはランゲルハンス島細胞腫瘍と呼ばれています。しかし、近年ランゲルハンス島を構成する内分泌細胞はランゲルハンス島だけでなく、膵外分泌機能に関係する膵管上皮や腺房細胞間にも存在していることが判明したため、広い意味で膵内分泌腫瘍と呼ばれることが多くなりました。これらは一般にいう膵外分泌機能を営む領域から発生する膵がんとは区別されます。

膵内分泌腫瘍は、血液中にホルモンを過剰に分泌する機能性腫瘍と、ほとんどホルモンを産生しない無機能性腫瘍とに分けられます。また、ホルモンを過剰に分泌する場合には、そのホルモン独自の症状が出現しますので症候性腫瘍と呼び、症状の出現しない無機能性腫瘍のことを無症候性腫瘍とも呼ぶことがあります。

関連するまれなものとして、多発性内分泌腫瘍症という病気があります。これは、家族性に多発する複数の内分泌組織に腫瘍が発生する病気で、他の内分泌組織(下垂体、副甲状腺など)とともに膵臓にも腫瘍を合併することがあります。

頻度

膵内分泌腫瘍は膵腫瘍全体の約2%前後、人口10万人あたり1人以下がかかるまれな病気です。

膵内分泌腫瘍の多くは症候性腫瘍で、血糖を調節するホルモンであるインスリンを過剰に産生するインスリノ−マが約7割を占めます。ガストリンを過剰に産生し、過酸症による難治性消化性潰瘍を生じるガストリノ−マが約2割、その他のホルモンを過剰に産生する腫瘍が残りを占め、さらに頻度は少なくなっています。

また、無症候性腫瘍は膵内分泌腫瘍の15〜20%といわれていますが、最近画像診断の進歩で偶然発見される無症候性腫瘍が増加しています。

2.症状

1)症候性腫瘍

症状は過剰に産生されるホルモンによって異なります。

(1)インスリノーマ

乳幼児から高齢者まで広くみられ、男女比ではやや女性に多いようです。低血糖症状をおこし、食事の摂取で回復します。軽い低血糖発作時にはもうろうとして異常行動を伴うことがあり、精神病と区別が難しいことがあります。小児の場合は痙攣や昏睡が主症状で、長期にわたると精神障害がおこることがあり、早く診断することが重要です。

(2)ガストリノーマ

小児から高齢者にみられ、男性にやや多いようです。ガストリンは胃酸の分泌を亢進し、腹痛や胸やけという過酸症状をおこします。古くからゾリンジャーエリソン症候群といわれ、なかなか治らない消化性潰瘍、食道炎がある場合はこの病気も考慮します。

(3)VIP産生腺腫(血管活性腸ポリペプチド腫瘍)

小児から高齢者にみられ、女性に多いようです。WDHA症候群とも呼ばれています。大量の水様性下痢、血液中のカリウムの減少、低〜無胃酸症を示す症候群です。通常、1日3リットル以上の下痢をおこします。その他にもいくつかの症候性腫瘍が報告されていますが、まれな腫瘍です。

2)無症候性腫瘍

ホルモンによる症状はなく、腫瘍が大きくなり腹部腫瘤を触知したり、腹痛、黄疸などの症状が出現します。30〜50歳の女性に多いといわれています。最近では、腹部超音波検査で自覚症状のない無症候性腫瘍が発見されることがあります。比較的小さい腫瘤が発見された場合は、通常の膵がんとの鑑別が困難な場合もあります。

3.診断

症候性腫瘍ではホルモン特有の症状を詳しく尋ね、この病気の可能性を検討します。さらに原因ホルモンの異常分泌がないかどうか、血液検査を行って確認します。次に腫瘍が膵臓のどこにあるのか、いくつあるのか、どの程度の大きさなのか、広がりはどの程度かについて詳しく調べるために腹部超音波検査、CT検査、血管造影検査を行います。

症候性腫瘍の場合は、他の内分泌組織に腫瘍を合併する多発性内分泌腫瘍症かどうかを調べます。

無症候性腫瘍は、腹部超音波検査、CT検査、血管造影検査、内視鏡を用いる膵管造影を行い、腫瘍の広がりを調べると同時に他の膵腫瘍との鑑別診断が重要となります。

4.腫瘍の悪性度

がんは、一般的に病巣を顕微鏡で調べる病理検査を行えば、がんと診断することが可能ですが、膵内分泌腫瘍は病理組織学的に悪性度を判定することが困難です。現時点では、肝転移やリンパ節転移の認められる場合や、膵周囲の臓器、血管に腫瘍が広がっている場合に悪性と判定します。腫瘍自体の性状からは、大きさが大きい場合、特に5cmを超える腫瘍、腫瘍の中に石灰化や中心部に壊死(えし)を認める場合には、悪性を疑うほうがよいといわれています。膵がんと比較すると、膵内分泌腫瘍は進行が遅く悪性度は低いといわれていますが、低分化型のものには非常に増殖速度が速く、悪性度の高いものもあります。

症候性腫瘍のうち、インスリノーマは80〜90%が良性といわれていますが、他の症候性腫瘍は半数以上が悪性といわれています。また、無症候性腫瘍に関しては良性、悪性の比率が同程度といわれています。

5.病期(ステージ)

さまざまな画像診断、および外科手術を行った場合は、その手術中の所見を参考にして腫瘍の進展範囲を確認します。これらの情報から腫瘍の大きさ、周囲組織への広がり、リンパ節転移、肝臓や他の臓器への転移の有無により、腫瘍の進行度をあらわします。膵がんと同じ病期の分類を用いることになっています(詳しくは「膵臓がん 検査・診断」の項を参照してください)。

6.治療

膵内分泌腫瘍の治療は、外科的治療と内科的治療があります。

1)外科的治療

膵臓と周辺臓器の形と名称

小さなものやインスリノーマではリンパ節郭清(かくせい:リンパ節を切除すること)の必要がなく、腫瘍切除による機能温存手術が可能です。症候性腫瘍や無症候性腫瘍でも全身状態が良好ならば、外科手術を行います。症候性腫瘍では、ホルモンの過剰分泌によって全身状態が悪化している場合があります。その場合は、内科的治療によりホルモンの分泌を抑制し、全身状態を改善してから手術を行います。腫瘍の位置や大きさ、進展範囲によって術式は異なります。術式は膵がんに準じ、腫瘍が膵臓の頭部を占拠する場合は、膵頭十二指腸切除を行います。腫瘍が膵臓の体部、尾部に存在する場合は膵体尾部切除を行います。膵頭十二指腸切除の場合は、腫瘍の広がりぐあいにより胃を切除しないことが多くあります。膵体尾部切除の場合は、脾臓を一緒に切除することが一般的です。まれに腫瘍が体部などで限局しているような場合は、部分切除が可能なことがあります。膵内分泌腫瘍は進行が遅い場合があり、完全に腫瘍が切除できなくても、転移巣を含め可能な限り腫瘍を摘出し、ホルモンの過剰分泌による症状を緩和して、薬物療法を併用するという治療が行われることもあります。

2)内科的治療

内科的な薬物治療には過剰に分泌したホルモンを抑制し、症状を緩和する抗ホルモン剤の治療と腫瘍に対する抗がん剤の治療があります。抗ホルモン剤は、症候性腫瘍に対し一時的に手術の前に全身状態を改善する目的で使用したり、外科手術によって腫瘍を切除できない場合に、長期間ホルモンの過剰症状をコントロールするために使用します。抗がん剤は外科的に腫瘍を切除できない場合、腫瘍細胞を死滅させる目的で使用されます。国際的にはストレプトゾシン+アドリアマイシンの併用療法で有効性が報告されています。残念ながら国内ではストレプトゾシンが販売されておらず、日常診療での使用は困難な状態です。

7.治療の副作用

外科治療にはその手術特有の合併症があり、また、内科的治療には薬剤特有の副作用があります。診療に携わる医師は極力その発生を回避するために努力します。いずれの治療を行うにせよ、治療前に担当医より十分な説明を受けることが必要です。

1)外科療法

膵頭十二指腸切除は、胆管、膵臓、胃を再建するため消化器外科の中では大きな手術です。特に膵臓の再建は他の臓器の再建に比べ、縫合不全(ほうごうふぜん:縫ったところのくっつきが悪い)がおこることがあり、十分な注意が払われています。膵体尾部切除では脾臓を一緒に切除しますが、脾臓の摘出自体は成人の場合には特に重篤な合併症はありません。膵臓の手術では正常膵組織も腫瘍とともに切除されるため、失われる正常膵組織の程度によっては、消化機能や血糖調節機能が低下することがあります。術後消化剤の服用や糖尿病に対する対策が必要となります。

2)内科治療

抗ホルモン剤や抗がん剤は経口あるいは静脈内に投与されます。薬剤によりさまざまな副作用が出現することもあり、医師はその副作用に対し必要な処置を行います。

8.予後

上腹部の重要な部分が切除再建されるため、術後生活指導が重要ですが、多くの方は社会復帰が可能です。胃を温存した場合は普通に食事ができます。

症候性腫瘍では、外科的に腫瘍が完全に切除されると血液中のホルモンは正常になるので、症状はなくなります。膵内分泌腫瘍は進行が遅いためか、通常の膵がんよりは外科治療成績は良好です。しかし、残った膵臓や他臓器に再発する場合もあるので、手術後の定期的なチェックが必要です。遠隔転移などにより切除が不可能な場合も、一般に腫瘍の増殖速度は緩やかで比較的長期な予後が期待できるといわれていますが、中には非常に増殖速度が速い場合もあります。

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