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胆のうがん(たんのうがん)

更新日:2006年10月01日    掲載日:1996年04月01日

1.胆のうがんとは

肝臓・胆のう・膵臓の形と名称

肝臓から分泌された胆汁が十二指腸に流れ出るまでの経路を胆道といい、胆のう管という細いらせん状の管を介して、胆汁を一時的に貯留しておく袋状の部分が胆のうです。胆のうおよび胆のう管にできるがんを胆のうがんといいます。

年齢別にみた胆のう・胆道がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに50歳代以降増加します。罹患率の年次推移は、男女とも1975年から80年代後半まで増加傾向でしたが、80年代後半から2000年にかけて男性は横ばい、女性は減少傾向になっています。胆のうがんの死亡率は女性のほうが高く、男性の約1.2倍、胆道がんでは男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。胆のう・胆道がんの死亡率の年次推移は、男女ともに1950年代後半から80年代後半まで増加傾向にありましたが、1990年代から減少傾向にあります。 胆のう・胆道がん罹患率の国際比較では、日本人は他の東アジアの国の人やアメリカの日系移民、欧米人に比べて高い傾向があります。

胆のう・胆道がんは、発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られています。その中で、胆石や胆のう・胆管炎、潰瘍(かいよう)性大腸炎、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵(すい)胆管合流異常症などの胆道系疾患の既往は、胆のうがんのリスク要因として知られています。そして、胆のう摘出術などによる治療は、胆道がんのリスクを低下させるという報告もあります。その他、女性であること、肥満や高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多いこと、特殊なものとしては、ある種の農薬との関連などがリスク要因の候補として挙げられています。

超音波検査の普及で、胆のうに腫瘍が発見される機会が増加しました。胆のうの腫瘍には悪性腫瘍である胆のうがん以外に腺腫や各種のポリープなどの良性腫瘍が数多くみられます。したがって、胆のう腫瘍をただちに胆のうがんと考える必要はありませんが、専門医による確実な診断を受けることが大切です。

2.症状

胆のうがんの初期では、併存する胆石症や胆のう炎による腹痛や発熱などの症状が出現することはあっても、がん自体による特徴的な症状はありません。しかし、胆のうがんが進行して、他の臓器(総胆管、十二指腸、肝臓など)に進展すると、その程度により種々の症状が出てきます。

1)腹痛

最もよくみられる症状で、上腹部や右の肋骨の下に鈍痛が出現します。胆石が合併していれば、繰り返しおこる強い痛みや右の背中へ広がる痛みがおこることがあります。

2)黄疸

次によくみられる症状で、がんが進行し胆汁の通路である胆道を閉塞すると出現するものです。通常は進行がんにみられる症状です。

3)腹部腫瘤(しゅりゅう)

右の肋骨の下に腫瘤として胆のうを触れることがあります。黄疸がある場合は、腫大した肝臓の一部を触れたりします。

3.診断

1)定期検診

40歳を過ぎたら、年に1回は人間ドックなどの定期検診を受けて下さい。通常は胆のうの超音波検査が行われますので、無症状の胆のうがんが発見されることがあります。他のがんと同様ですが、最も大切なことは早期発見です。胆石症がある場合は、無症状でも定期的なチェックや治療が必要です。

2)血液検査

胆のうがんの初期では血液検査で異常は出ません。しかし、がんが近くにある胆道を圧迫するようになると、血清ビリルビンやアルカリフォスファターゼ(ALP)が異常高値となり、さらに進むと黄疸が出ることがあります。腫瘍マーカーであるがん胎児性抗原(CEA)やCA19-9の数値が、胆のうがんの50〜80%で高値になります。ただし、これらの検査は胆のうがんで必ず上昇するとは限らず、あくまで補助的な検査です。したがって、次にあげる画像検査を受けることが大切です。

3)画像検査

各種の画像検査のなかでは、超音波検査は苦痛が少なく反復して行えるので、胆のう疾患のスクリーニングとして最適です。この検査により、最近では小さながんや早期のがんが数多く発見できるようになりました。超音波検査で胆のうがよく見えない時や胆のうに何らかの異常が疑われれば、次の検査としてCTやMRIが行われます。これにより、胆のうがんの確認およびがんの周囲への進行状況や、他の臓器への転移の有無などが確認されます。次に、内視鏡を用いて十二指腸への胆道の出口から細い管を胆管に挿入して、直接胆道を造影する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)と呼ばれる検査があります。さらに、手術を予定している場合には血管造影が行われ、胆のうがんの肝動脈や門脈への拡がりの有無を調べます。

4.病期(ステージ)

胆のうがんがどの程度進行しているかをあらわす目安を病期といい、日本の胆道癌取り扱い規約(第5版)ではIからIV期に分類されています。病期の決定には、胆のう壁や周囲への進展度(T)、リンパ節転移(N)、肝転移(H)、播種(P)、その他の遠隔転移(M)が用いられています。

I期

がんが胆のう壁の粘膜や筋層にとどまっており、リンパ節転移もない状態です。

II期

がんが胆のう壁内にとどまっているが、I期よりは進行している状態です。胆のう壁や周囲への進展度、リンパ節転移の有無によって細かく規定されています。

III期

がんが胆のう壁の外に露出した状態を主として示します。リンパ節転移を伴っている場合が多く、肝臓や胆管側への浸潤も認められます。

IV期

胆のう以外の周囲臓器への浸潤があり、主要な血管への浸潤を認めたり、肝臓・胆管側への浸潤がさらに高度になった状態を示します。リンパ節転移や胆のう以外の臓器への転移の状況によってIVa期とIVb期にさらに分類されています。

5.治療

胆のうがんの治療は、手術が原則です。胆のうがんはI期の早期がんであれば胆のうを摘出するだけでほぼ根治が得られますが、II期以上では胆のう以外の臓器を合併した切除が必要となり、IV期では切除によっても予後の改善が認められないため、化学療法や放射線療法の適応となります。

1)手術(外科治療)

胆のうがんは胆のう壁内にとどまっている場合は胆のうや肝臓の一部を切除することで比較的良好な予後が得られます。しかし、いったん、胆のうの壁を越えて、隣接する肝臓や胆管、十二指腸、大腸などの臓器に浸潤すると、複数の臓器を合併した切除が必要となり、再発のリスクも高くなります。肝臓に多くの転移を認める場合、胆のうから離れたリンパ節に転移を認める場合、腹膜播種のある場合などは、切除を行っても予後の改善が認められないため、他の治療を行うことになります。

(1)単純胆のう摘出術

I期の胆のうがんでは、胆のうを摘出するだけで良好な予後が得られます。胆のうポリープという診断で腹腔鏡を用いた胆のうの摘出術が行われ、病理検索を行った結果でがんが判明した場合、I期であれば一般にはそれ以上の追加切除は必要ないことになります。

(2)拡大胆のう摘出術

II期以上の胆のうがんを疑う場合に、標準的に行われる術式です。胆のうを含めて隣接する肝臓の一部と、所属リンパ節を一緒に切除する方法です。がんの進展度によっては総胆管を一緒に切除することもあります。前述の、術前に確定診断に至らなかった胆のうがんでは、再度開腹して、リンパ節や肝臓の一部などの追加切除が行われる場合もあります。

(3)それ以上の拡大切除

病期III、IVの場合には、病変の状態によっては以下の術式が採用されることがあります。

a) 肝葉切除
胆のうがんが肝臓に広範に浸潤した場合や、総胆管側に明らかに浸潤した場合は、肝葉切除といって肝臓の右葉を主に切除する必要が生じます。所属リンパ節の切除や胆管の切除を伴い、さらにそれらの臓器を再建することになります。

b) 膵頭十二指腸切除
胆のうがんは膵臓周囲のリンパ節に転移することも多く、術前に明らかに転移を認める場合や、十二指腸や膵頭部に強い浸潤を認める場合には、膵頭十二指腸切除が行われることがあります。膵臓の頭部、十二指腸、リンパ節、胆のうや胆管が大きく切除されることになります。

(4)その他の外科治療

切除を目的に開腹を行ったが、播種や肝転移を認めたために、病期を確認するにとどめて、切除は行わない場合があります。これは、切除を行っても予後の改善が期待されないため、患者さんに手術という侵襲を加えないようにするためです。十二指腸や大腸に胆のうがんが浸潤したために消化管の通過障害がある場合はバイパス術を行うことがあります。

2)抗がん剤による化学療法(参照:がんの薬物療法

胆のうがんに対する抗がん剤治療は、まとまった報告がありません。投与の方法としては、(1)経静脈的投与、(2)経動脈的投与、(3)経口投与、(4)局所投与があります。化学療法が胆のうがんに対してどの程度有効かは、これから検討されていく問題です。

3)放射線療法

胆のうがんに対する放射線療法は、一般的にはあまり効果が期待できないといわれています。しかし、放射線によく反応し、がんが縮小したり、胆管閉塞が改善されるため、黄疸が緩和されるなどの効果がみられることがあります。

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