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白血病の診断と治療(はっけつびょうのしんだんとちりょう)

更新日:2006年10月01日    掲載日:2006年10月01日

さまざまな白血病について各項で詳しく述べる前に、まずは白血病全体について簡単に説明します。

1.「白血病」とは

血球の種類
血球の種類

いわゆる「血液のがん」のことです。血液は、酸素を運搬する赤血球、主に細菌やカビ、ウイルスを攻撃する白血球、血管の壁に張りついて出血を止める血小板などの血球と、液体である血漿(けっしょう)成分から構成されています。

普段は赤血球の色で赤く見える血液が、がん化した白血球が異常に殖えて白く見えることから、「白血病」という名前がつきました。この病気は、1800年代にドイツの有名な病理学者であるVirchow(ウィルヒョウ)先生がはじめて報告したのですが1)、当時は十分な検査法や満足のできる治療法はありませんでした。今は容易に血液検査ができますので、血液が白くなるまで診断がつかないことはほとんどありません。以前は「白血病=死に至る病」でしたが、現在では医学の進歩により、治癒が期待できる病気の1つになっています。


2.白血病の分類

白血病には、いくつかの種類があります。急速に進行する「急性白血病」(芽球が急速に殖え、治療しないと数週間から数ヵ月以内に命を落とす)と、ゆっくりと経過する「慢性白血病」(さまざまな成熟段階で白血球が殖え、場合によっては年単位で進行する)、あるいは殖える細胞の種類により、顆粒球などの骨髄球系の細胞を起源とする「骨髄性白血病」と、リンパ球系の細胞から発生する「リンパ性白血病」とに分類されます。詳細は「白血病」の項に記されていますので、ご参照ください。

白血病の分類


1) 急性白血病 (1) 急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:AML)
(2) 急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia:ALL)
2) 慢性白血病 (1) 慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia:CML)
(2) 慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia:CLL)

3.白血病の原因

白血病の原因は、まだ完全に解明されたわけではありませんが、白血病を含めて、「がん」はいくつかの遺伝子異常(遺伝子の傷)が原因で発症すると考えられています。「ファンコニー貧血」、「ダウン症候群」、「ブルーム症候群」等と呼ばれるまれな病気は、いずれも生まれながらにして遺伝子異常を持つ血液の病気で、特に白血病の発症頻度が高くなることが知られています。もちろん、その疾患の患者さんが必ず白血病になるというわけではありません。

また、広島、長崎の原爆投下後に、その周辺で白血病が多発していて、放射線も原因 の1つになり得ることがわかっています。ほかにベンゼンやトルエンなどの化学物質や、アルキル化剤を含む抗がん剤もまた、白血病発症の要因になるといわれています。

一部の感染症も、何らかの仕組みで白血病につながります。九州や四国に多いとされるHTLV-Iというウイルスは、成人T細胞白血病/リンパ腫の原因とされます。また、日本人の多くが感染しているEBウイルスも、バーキット型白血病/リンパ腫の原因になる可能性があります。もちろん、これらのウイルスに感染すると必ず白血病になるというわけではありません。

「白血病は遺伝するのか」ということを気にする方がいますが、一般的に白血病は遺伝しません。ですから、白血病の父母を持つ子どもが必ず白血病になるというわけではありません。また、白血病の患者さんに接したからといって、白血病が伝染することもありません。

白血病の原因


a) 先天的 ファンコニー貧血
ダウン症候群
ブルーム症候群など
b) 後天的 放射線
化学物質(ベンゼン、トルエン等)
薬剤(抗がん剤)
ウイルス(HTLV-I、EBウイルス等)

4.白血病の症状

白血病の症状はさまざまで、白血病に特徴的なものは特にありませんが、その症状は急性白血病と慢性白血病で若干異なります。

1)急性白血病の症状

骨のなかに骨髄があり、ここに血球のもとになる細胞がいます

血球のもとになる細胞は、骨の中にある骨髄にあります。白血病の場合、骨髄の中で白血病細胞(がん細胞)が異常増殖するため、血液をつくる場所がなくなり、正常な血球(赤血球、白血球、血小板)が減少します。酸素を運ぶ赤血球が減ると貧血になり、顔面蒼白、全身のだるさ(全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん))、ちょっとした動作での動悸(どうき)や息切れが認められるようになります。

白血球が少なくなると、感染症を起こしやすくなります。その場合、発熱は感染症を示唆する重要な症状です(なお、発熱は感染症だけでなく、白血病細胞が殖えること自体で起こる場合もあります)。

血小板が減ると、青あざ(紫斑)ができやすくなり、鼻血や歯ぐきからの出血が認められるようになります。

白血病細胞が骨髄で殖えすぎることによって、骨や関節が痛むことがあります。あるいは白血病細胞が血管外に出て、さまざまな臓器に浸潤(しんじゅん)し、肝臓や脾臓が大きくなったり(肝脾腫(かんひしゅ))、リンパ節が腫脹したり、歯肉の腫(は)れることがあります。あるいは白血病細胞のかたまり(腫瘤(しゅりゅう))等をつくることもあります。白血病細胞が脳や脊髄の中に浸潤することもあり、そのときは頭痛、吐き気等がみられることがあります。この状態を“中枢神経白血病”、あるいは“中枢神経浸潤”と呼びます。

急性白血病の主な症状


貧血症状 顔面蒼白、全身倦怠感、動いたときの動悸・息切れ等
感染症状 発熱、咽頭痛(いんとうつう)、せき、下痢等
出血症状 紫斑(しはん)、鼻出血、歯肉出血等
感染症状 骨痛、肝脾腫、リンパ節腫脹(りんぱせつしゅちょう)、頭痛、嘔気(おうき)、腫瘤形成等

2)慢性白血病

慢性白血病は進行がゆっくりであるため、初期にはほとんどの患者さんが無症状で、健康診断の血液検査をきっかけに診断されることがよくあります。このほか、脾臓や肝臓が大きくなったり、リンパ節が腫れたりすることがあります。これに加えて、慢性リンパ性白血病では免疫力が低下し、細菌、カビ、ウイルスによって、溶血性貧血などの自己免疫性疾患を合併したりすることがあります。

5.白血病の診断

問診、一般診察で白血病が疑われたら、血液検査を行い、末梢血液中の異常細胞の有無を確認します。白血病だからといって、必ずしも白血球数が増加しているわけではありません。正常範囲内のこともあれば、むしろ減少している場合もあります。血液検査で血球が減少していても異常細胞が認められないときは、骨髄検査(骨髄穿刺(こつずいせんし):骨穿、マルク)を行い白血病細胞を確認します。骨髄検査は外来でも日常的に行われている検査で、必ずしも骨髄検査のための入院は必要ありません。

6.白血病の治療

1)急性白血病の場合

急性白血病の治療戦略
急性白血病の治療戦略

一刻も早く、抗がん剤を用いた治療(“化学療法”と呼びます)を開始する必要があります。ただし全身状態が極めて悪い場合には、いったん感染症の治療などを優先させ、病態がある程度改善してから化学療法を行います。

まず、「初回寛解導入療法」を行います。これは完全寛解(末梢血液中や骨髄中に白血病細胞がいない状態)を目的とした強力な治療であり、副作用や合併症も強く出る可能性がありますが、適切な支持療法(後述します)により多少軽減することができます。

ただ、急性骨髄性白血病の中の「急性前骨髄球性白血病」の場合は、寛解導入療法として抗がん剤ではなく、レチノイン酸(ビタミンA)を内服して白血病細胞の分化(成熟)を誘導する「分化誘導療法」を行い、完全寛解を目指すこともあります。

寛解導入療法により、血液学的に寛解が得られた場合であっても、まだまだ体内に白血病細胞がたくさん残っています。白血病の治療では、「白血病細胞を完全に根絶させること(Total
Cell Kill)」2)が重要とされているので、寛解導入療法後に残った白血病細胞を、さらに減少させる寛解後療法(地固め療法→寛解維持療法、大量化学療法、あるいは造血幹細胞移植)を行います。

急性リンパ性白血病や急性骨髄性白血病の一部では、脳や脊髄(せきずい:中枢神経)に白血病細胞が浸潤することがあります。抗がん剤は、基本的に中枢神経に移行しにくいため、中枢神経系に直接抗がん剤を投与する「髄腔内注射(ずいくうないちゅうしゃ:髄注)」を行うことがあります。場合によっては、中枢神経に対して放射線療法を行うこともあります。

これらの治療を進めるうえで、支持療法は非常に大切です。例えば感染予防のための内服や、感染症に対する積極的な抗生剤投与、抗がん剤の副作用である貧血、血小板減少等に対する適切な輸血療法、嘔気、嘔吐に対する強力な制吐剤(せいとざい)投与等です。

なお、急性白血病の病型によっては、これらの化学療法の途中で、造血幹細胞移植を考慮する必要がある場合もあります。


2)慢性骨髄性白血病の場合

以前はハイドロキシウレア(別名:ヒドロキシカルバミド)で白血球数をコントロールしたり、インターフェロンを投与することで慢性期からの進行を抑えたりしましたが、いずれも、造血幹細胞移植療法以外の効果は決して満足できるものではありませんでした。しかしながら、2001年にイマチニブ(商品名:グリベック)が日本でも承認されてからは、治療方法が大きく変わりました。イマチニブは唯一、慢性骨髄性白血病を治す可能性がある飲み薬として、大変期待されています。長期的な有効性はまだ明らかではありませんが、2006年6月の米国臨床腫瘍学会で発表された5年間の経過観察では、イマチニブ内服により、約90%の患者さんで病気の進展が食い止められていることが明らかにされています。移植治療には多くの副作用が伴うことも併せて考えると、現時点では、グリベックが効かなくなった時点で移植を検討するという考え方が一般的です。

詳しくは新しい治療法のトピックス「グリベックと新規PTK阻害剤」を参照してください。

3)慢性リンパ性白血病の場合

慢性リンパ性白血病は、欧米に比べて日本では少ない病気です。まだ根治できる有効な治療法が確立されていないため、病期が進行した場合には、症状の改善を目的に化学療法を行います。病期の進行を知るためには、定期的な医療機関の受診が必要です。化学療法のほかには、リンパ節腫大や脾腫が著明となった場合、局所に放射線療法を行います。溶血性貧血を合併しているのであれば、プレドニゾロンのような免疫抑制剤を投与することもあります。慢性リンパ性白血病の患者さんはもともと免疫力が低下しているため、容易に感染症が重篤(じゅうとく)化します。細菌、カビ、ウイルス感染症が疑われる場合は、速やかに医療機関で適切な治療を行うことが重要です。慢性リンパ性白血病もまた、適切なドナーの方がいるのであれば、造血幹細胞移植を受けることを考慮することがあります。

詳しくは白血病「慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫」を参照してください。

参考文献

1) Virchow, R.: Weisses Blut Milztumoren.1. Med Ztg., 157, 163, 1846
2) Skipper, H.E.:Thoughts on Cancer Chemotherapy and Combination Modality Therapy. JAMA, 230(7): 1033-1035, 1974

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