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皮膚がん前駆症・表皮内がん(ひふがんぜんくしょう・ひょうひないがん)

更新日:2007年09月03日    掲載日:1996年09月13日

放置すると皮膚がんへと変化する皮膚がん前駆症と呼ばれるものがあります。皮膚科では、以前から皮膚がん前駆症という言葉は以下の2つの意味で使われます。
1つ目は、悪性の細胞、つまりがん細胞をもってはいるのですが、これが表皮の中だけにとどまっている疾患をさす使い方です。これは皮膚がんの病期分類の0期と同じ状態で、表皮内がんと呼ばれるものです。これを皮膚がん前駆症・表皮内がんと記載しています。これを放置しているとがん細胞はやがて真皮の中へ入り、本物の皮膚がんになりますので、表皮内がんのうちに治療してしまうことが大切です。
2つ目は、もっと広い意味で皮膚がん発生の母地になるものをさします。この中には、慢性放射線皮膚炎や、熱傷瘢痕(ねっしょうはんこん)などが含まれます。現在はどこにもがん細胞はないのですが、正常の健康な皮膚に比べて将来がん細胞が出現しやすいため、注意深く皮膚を観察する必要のある状態のことです。すぐに治療をしなければならないわけではありません。ここでは、皮膚がん前駆症・表皮内がんの中で、発生頻度の高い代表的な病変について以下に述べます。

1.日光角化症

中年以降、頭、顔、うなじ、手の甲、前腕などの日光(紫外線)のよく当たる部位に、大きさ1cm〜数cmで、淡い褐色から紅褐色の表面ががさがさと乾燥したような、輪郭のぼやけた円に近い形の皮疹ができます。老人性角化症とも呼ばれ、高齢になるほど発生頻度は高くなります。この腫瘍は近年増加傾向にありますが、その原因としては、社会の高齢化の他に、地球の環境破壊によるオゾン層の減少のためであるという説もあり、今後もさらに増え続けることが予想されます。日光角化症を放置すると、進行して有棘細胞がんになります。

2.ボーエン病

形がふぞろいの斑状、または軽く盛り上がった皮疹で、正常皮膚との境界がはっきりしています。色は淡い紅色から褐色調であることが多く、表面には白色や黄白色のがさがさと乾燥してはがれ落ちやすい皮膚が付着しています。ときには一部にびらんがあったり、かさぶたがついていることもあります。ボーエンというのは発見者の名前です。日本人では約80%が胸、腹、背、上腕、太ももなどの日光に当たらない部位に発生し、がんこな湿疹と間違われることもしばしばあります。ボーエン病も、日光角化症と同じように、進行すると有棘細胞がんになります。全身にこの皮疹ができる多発性ボーエン病は砒素の摂取と関連があることが知られています。

3.パージェット病

この病名もPaget博士いう発見者の名前に由来しており、ページェット病と呼ばれることも多かったのですが、この呼びかたではベーチェット病という全く違う疾患と混同されやすいため、最近ではパージェット病と呼ばれるようになってきました。パージェット病は、大きく乳房パージェット病と乳房外パージェット病の2つに分けられます。

乳房パージェット病は、40〜60歳代の女性の乳首を中心とした乳房にでき、男性に発生することは極めてまれです。通常、乳首の一部の紅斑やびらんとしてはじまり、だんだん周りの乳輪や乳房へと広がっていきます。乳首が次第に破壊されてなくなってしまうこともあります。この疾患は乳がんの特殊な形として分類されており、よく探すと乳がんと同じように乳房にしこりを触れることもあります。

乳房外パージェット病は、60歳以上の高齢の男性に多く、発生数は女性に比べて2〜3倍で、外陰部、肛門の周り、わきの下、まれにはへそにできます。じくじくとした紅斑で、ところどころ白く抜けており、一部にはびらんがあることも多く、浸出液が出たり、かさぶたのようなものが付着したりし、ほとんどの場合軽いかゆみを伴います。このため、腫瘍というよりも湿疹やたむしに似ています。湿疹、たむしと思って、その治療薬を長期間塗っても治らず、むしろ範囲の広がっていくような場合には注意が必要です。

4.皮膚がん前駆症・表皮内がんの診断と治療

日光角化症、ボーエン病、パージェット病のような病変は、診断が困難なことがあります。確定診断は皮膚生検によって行います。診断がついたら、主な治療は外科療法です。これらは表皮内がんですので、完全に切除すれば治ってしまいます。日光角化症、ボーエン病では、腫瘍の辺縁から0.5cm離して深部は腫瘍が露出しない程度に皮下脂肪組織を含めて切除すれば十分です。ただし、乳房外パージェット病のがん細胞は、表皮内をはうように、またスキップをするようにして、肉眼的な腫瘍の輪郭よりずっと広い範囲に散らばる性質をもっており、完全に切除するためには、腫瘍の周囲の肉眼的には正常に見える部分を3〜5cmの余裕をもって切除しなければ十分とはいえません。また乳房パージェット病に対しては早期の乳がんの治療法に準じた手術が必要です(詳しくは「乳がん」の項を参照して下さい)。

何らかの理由で手術が不可能な場合、放射線療法や液体窒素による凍結療法も効果的です。また、ボーエン病とパージェット病は、内臓がんが身体の中に潜んでいることを示すサインのひとつであるともいわれており、8〜15%くらいに胃がんや肺がんなどの内臓がんが見つかります。

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