原発不明がん:[がん情報サービス]
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原発不明がん(げんぱつふめいがん)

更新日:2004年12月02日    掲載日:1996年06月24日

1.原発不明がんとは

がんがはじめにできた場所を原発部位と呼びますが、転移巣(原発部位から飛んできたがん病巣)が先に発見され、がんが発生した臓器がわからない場合を原発不明がんと呼びます。

一般的に何か体調が悪くて症状が出てきた場合や健康診断で異常が見つかった場合は、血液検査や尿検査または便検査などとともにレントゲンなどの検査を行います。それらの検査によって、何かができていることがはっきりすると、そこの細胞や組織を採取(細胞診または生検)して検査します。病気の種類によっては、身体の表面にできものができる場合もあり、一部を切ってそこの細胞や組織を検査(生検)します。その細胞や組織を顕微鏡で調べて(病理検査)、その結果によって、がんができていることがはっきりするとがんの診断が確定します。それから、がんが他にも広がっているかどうかを調べ、その人に合った治療として外科療法や薬剤による治療や放射線療法が考えられます。

多くの場合は、がんがどこからできてきたのかがはっきりしていますので、肺がんや胃がんなどのように、がんのできてきた場所の名前がついたがんの診断が確定します。

ところが、原発巣がごく小さかったり、診断が難しい部位では病理検査でがん細胞は確認できたものの、どこからがんができてきたのかわからない時があります。以前は、膵臓がんや肺がんなどの身体の深いところにあるがんの診断は大変困難でしたが、レントゲン検査などの画像診断の進歩により原発不明がんは数%までに減少しました。

原発不明がんは、多くの場合原発部位よりも転移部位のがんのほうが大きくなって発見されたのですから、一通りの検査後は原発部位を特定するための検査に時間をかけるより、原発不明がんとして治療を開始することもあります。

したがって、原発不明がんには厳密にはいろいろな種類のがんが含まれている可能性がありますが、がんの広がり方が通常のがんの広がり方とは違っていることも多いため、原発不明がんというまとめ方で研究なども行われています。

このような原発不明がんについて、最後まで原発部位がわからない場合も多いのですが、その後の経過などから原発部位がわかった場合を調べてみると、肺がんや膵臓がんが多いようです。

2.症状

1)リンパ節腫大

首の周り(頸部)、わきの下(腋窩部:えきかぶ)、太もものつけ根(鼠径部:そけいぶ)などのリンパ節は身体の表面にあって触れやすいため、痛くないしこりとして見つかることがあります。

2)胸水、腹水

胸水がたまると、胸痛や息苦しさが出ることがあります。また、腹水がたまると腹部が張ったり膨れてくることがあります。

3)肺腫瘍、肝腫瘍

症状がない場合でも、健康診断などで実施される胸部レントゲン検査や超音波検査で、肺や肝臓に腫瘍が発見されることがあります。

4)骨の症状

骨の痛みが出て、骨のレントゲン検査で異常が見つかる場合や骨折で見つかる場合もあります。

3.診断

腫大リンパ節の摘出や胸・腹水の採取より得られた細胞の病理検査により、細胞の特徴を知り、原発部位を特定するために消化管や呼吸器の検査をはじめとして、耳鼻科、乳腺、泌尿器科、婦人科などの診察も必要になります。

検査の計画は、その症状から原発部位を推測して立てることになります。また、特殊な染色法でがん細胞の特徴を調べることによって、原発部位が予想できる場合もありますし、腫瘍マーカーと呼ばれる血液検査が役に立つ場合もあります。

さらに必要に応じて、胸部や腹部のレントゲン検査、CT、内視鏡検査(胃内視鏡、大腸内視鏡、気管支鏡など)、腹部超音波検査などを行います。このような一通りの検査を行った後でも原発部位が特定できなかった場合に原発不明がんと診断されます。PETやガリウムシンチが診断の参考になる場合もあります。

4.治療

基本的に原発不明がんの場合、いろいろながんの可能性がありますので、その症状や病理検査の結果に応じてその都度最良の治療を行うことになります。外科療法、放射線療法や薬剤による治療(抗がん剤やホルモン剤)が単独または併用で行われます。

しかし、標準治療用語集アイコンがまだ確立されていないがんも数多くあり、標準治療があってもすべてが治るわけではありません。また、いろいろなところに転移があるような原発不明がんの治療効果はまだ不十分です。そのため、よりよい治療効果を目指して、臨床試験または臨床治験と呼ばれる新しい治療の試みが行われています。臨床試験に参加する場合は、担当医や看護師の説明をよく聞き、十分納得した上で同意することが重要です。

5.病型別、または症状別の治療

原発不明がんの治療は、病理検査による組織像や、はじめに出てきた症状によって、最も可能性の高い原発部位を予想して治療法を決めます。

病理検査によるがんの種類には、胃、大腸、乳腺などの腺細胞への分化を示すがん細胞(腺がん)や、食道や肛門などの扁平上皮細胞への分化を示すがん(扁平上皮がん)などがあります。

1)病理検査で腺がんと診断された場合

原発不明がんの中で最も多く約60%を占めます。

(1)腹水のみで診断された女性の腺がんの場合

消化器のがん(胃がん大腸がんなど)のこともありますが、詳しい病理検査や腫瘍マーカーの結果で、卵巣がんの可能性が最も高い場合は、腹部から骨盤部のCTなどで卵巣に異常がなくても、多くは卵巣がんに準じた抗がん剤による化学療法を行います。治療の結果によっては、その後外科療法を行うこともあります。

(2)わきの下のリンパ節腫大のみで診断された女性の腺がんの場合

詳しい病理検査や腫瘍マーカーの結果などによって、乳がんの可能性が最も高い場合は、多くは乳がんに準じた治療として、外科療法や放射線療法、抗がん剤による化学療法やホルモン剤による治療を行います。

(3)その他の腺がんの場合

原発不明がんの多くは、リンパ節や腹水・胸水または肺や肝臓の腫瘤(しゅりゅう)など、いくつかの場所からがん細胞が見つかり、腺がんと診断されることもあります。このような場合は一般的に、外科療法による治療を先に行うことはなく、はじめに抗がん剤による化学療法や放射線療法を行います。しかし症状によっては、症状緩和のために先に外科療法を行うこともあります。

原発不明がんといっても、最も可能性の高いがんに対する標準治療を行います。例えば卵巣がんが疑われる時には、抗がん剤による化学療法を行います。また、前立腺がんや乳がんが疑われる時には、ホルモン剤による治療も行います。

2)病理検査で扁平上皮がんと診断された場合

原発不明がんの病理検査の結果で約5%が扁平上皮がんと診断されます。

(1)頸部リンパ節の腫大のみで診断された場合

原発部位として、頭頸部がん(耳鼻科領域のがん)の可能性が高いと考えられます。その推測により原発部位が不明でも、しばしば局所的治療を行います。外科療法により切除したり、放射線療法を行います。外科療法の後で放射線療法を併用したり、放射線療法の後で外科療法を行うこともあります。

また、部位によっては肺がん食道がんなども考えられますので、その場合は治療法も違ってきます。

(2)鼠径部リンパ節の腫大のみで診断された場合

多くの場合、肛門から陰部のがんが原発と考えられますので外科療法によってリンパ節を切除したり、放射線による治療を行います。抗がん剤による化学療法を行う場合もあります。

(3)その他の扁平上皮がんの場合

場合によっては、リンパ節や腹水・胸水、または肺や肝臓の腫瘤など、いくつかの場所からがん細胞が見つかり、すべて扁平上皮がんと診断されることがありますが、その場合も腺がんと同様、外科療法、放射線療法や抗がん剤による化学療法の中から最良の治療法を選択することになります。

3)未分化がんと診断された場合

原発不明がんの病理検査の結果、約30%くらいは未分化がんと診断されます。

組織の免疫染色や腫瘍マーカーの検査が治療方針を決めるのに役立つことがあります。一般的には、はじめに化学療法を行いますが、経過によってはさらに放射線療法を行ったり外科療法を行います。

未分化がんと診断された原発不明がんの中でも、睾丸、卵巣などの生殖器以外からでき、腫瘍マーカー検査により胚細胞性腫瘍と診断された場合は、睾丸、卵巣あるいは縦隔(じゅうかく)から発生した胚細胞性腫瘍と同じ治療を行います(詳しくは「精巣(睾丸)腫瘍」、「卵巣胚細胞腫瘍」の項を参照して下さい)。その場合は、抗がん剤による化学療法によって約20〜30%が、がんが一時的に完全に消失します(完全寛解:かんぜんかんかい)。さらに約10〜20%のケースでは長期的に完全寛解が持続しますので、がんが治ったと考えられます。

悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫中高悪性度リンパ腫)や悪性黒色腫などが、未分化がんの中に含まれていることもあります。抗がん剤による化学療法を主とした治療が有効な場合も多いので、診断的な検査をしっかりと行うことが非常に重要です。

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