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ぶどう膜悪性黒色腫(ぶどうまくあくせいこくしょくしゅ)

更新日:2006年10月01日    掲載日:2005年11月01日

1.ぶどう膜悪性黒色腫とは

眼球の構造と名称

ぶどう膜とは、虹彩と毛様体、脈絡膜の総称のことです。色は茶色で、眼球を構成する強膜と網膜の間にあります。ぶどう膜に属する組織には、それぞれ役割があり、虹彩は眼球へ入る光を調節し、毛様体は焦点を合わせ、血管に富んだ脈絡膜は網膜に栄養を提供したり眼球の温度を一定にするといった働きをします。

ぶどう膜悪性黒色腫とは、このぶどう膜内に多く含むメラニン細胞が、がん化したものを指します。皮膚や粘膜に発生する腫瘍より、若干ですが悪性度が低いといわれています。

日本での年間発症率は、1,000万人に対して2.5人。性別や地域による差はさほどなく、年齢が高くなるにつれて発症率も上がる傾向があり、小児からの発生はほとんどありません。世界的に見れば白人の発生頻度は高く、1,000万人あたり43人ほどで、日本のおよそ17倍の発症が報告されています。これは、ぶどう膜黒色腫を発症させる危険因子のひとつが紫外線であるため、虹彩の色素が薄い白人の目に紫外線量が多く入るため、と説明されています。なお、赤道に近くなるほど、日差しが強い地域ほど発症頻度は高くなります。

2.症状

虹彩悪性黒色腫では、虹彩の黒いしみ状の腫瘤(しゅりゅう)として、また瞳孔の変形で見つかることが多く、緑内障を併発して発見される場合もあります。

毛様体悪性黒色腫は、水晶体を圧迫して白内障を生じたり、水晶体の位置がずれたりして視力低下を自覚して受診することが大部分です。

脈絡膜悪性黒色腫は、腫瘍の位置、大きさにより症状は異なりますが、視力低下が最も多く、次いで視野異常(見えない部分がある、上半分が見えないなど)があります。その他、変視症(ゆがんで見える)、飛蚊症(ひぶんしょう:目の前に蚊が飛んでいるような感じ)などの症状もあります。また、他の症状で眼科を受診して、眼底検査を受けたため腫瘍が偶然発見される場合もかなりあります。進行して腫瘍が大きくなると、緑内障を生じて目の痛みや充血(視力低下を伴う)などの症状が出現します。

3.診断

ぶどう膜悪性黒色腫の診断は、眼科的な検査である細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査や眼底検査が基本となります。補助的な画像検査として、超音波検査、MRI検査があります。病理学的検査をするには、眼球を摘出する以外は技術的に難しいため、臨床診断に基づいて治療法が決定されます。

虹彩悪性黒色腫では細隙灯顕微鏡で観察すると、虹彩表面から盛り上がった黒いかたまりとして見えます。高周波数の超音波検査で、虹彩腫瘍の大きさを測定し、増大傾向がある場合には悪性黒色腫を強く疑います。また、検査をすると虹彩嚢胞という虹彩毛様体によくある良性の水疱の場合があります。

毛様体悪性黒色腫では、水晶体を圧迫している腫瘍が虹彩と水晶体とのすき間から見えます。超音波検査やMRI検査などの画像診断でその存在と広がりを確認し、増大傾向がある場合は悪性黒色腫を強く疑います。

脈絡膜悪性黒色腫では、眼底検査を行うと、網膜の下に黒褐色で半球状の腫瘍が見えます。腫瘍に活動性があると、腫瘍からの滲出液が網膜の裏にたまる網膜剥離を生じます。また、螢光眼底造影検査では、腫瘍の部分で注入した造影剤の点状の漏れや、貯留が確認されます。小さい腫瘤では特徴的所見がなく、確定診断が困難です。北米で行われた大規模な研究でも、腫瘍の厚みが3mm以下の場合は診断が確実にできないため、経過観察を推奨しています。経過観察で腫瘍の増大、網膜剥離の出現などを確認した場合、臨床的に悪性黒色腫と診断します。このような臨床診断に基づき、結果的に眼球摘出を行った場合の診断一致率は99.5%と非常に高く、臨床診断に基づく治療が妥当と判断されます。

4.病期

ぶどう膜悪性黒色腫では、病期分類は確立していません。

脈絡膜悪性黒色腫では、治療方針決定のため、眼球内腫瘍を小(腫瘍の厚みが1〜3mmかつ腫瘍径が5mm以上)、中(腫瘍の厚みが2〜3から10mmかつ腫瘍径が16mm未満)、大(腫瘍の厚みが10mm以上または腫瘍径が16mm以上)の3群に分類するCOMS(Collaborative Ocular Melanoma Study、北米で行われた悪性黒色腫の比較試験)分類が一般的に使われています。

5.治療

生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。 ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考え下さい。

虹彩悪性黒色腫では、虹彩に腫瘍が限局していれば、手術で摘出することが可能です。術後、白内障の進行、瞳孔の変形などを生じることがあります。眼球内にまで腫瘍細胞が散布している場合には眼球摘出を行います。

毛様体悪性黒色腫では、毛様体の30%以下の範囲で腫瘍を摘出することができれば、手術による治療は良好といえます。これより大きい場合でも腫瘍径15mm以下であれば、小線源治療による放射線治療が可能です。15mm以上大きい場合は眼球摘出が妥当な治療法です。

脈絡膜悪性黒色腫では、大きさにより治療方針が異なります。上に述べた、小腫瘍の場合は無治療で経過観察し、腫瘍の増大が確認された場合にのみ中腫瘍に準じた治療を行います。中腫瘍の場合では、眼球摘出をした場合と小線源治療をした場合で、生命予後に差のないことがCOMSの無作為化臨床試験により証明されたため、現在では小線源治療を行うことが多くなっています。大腫瘍の場合、眼球摘出が妥当な選択です。

COMSでは、大腫瘍に対し、直ちに眼球摘出を行う場合と、摘出前に放射線照射を行った場合の比較で、腫瘍の転移を減らせるかの研究がされてきましたが、術前の放射線は無効である、という結果が出ています。また、陽子や重粒子などの粒子放射線を病巣に照射する粒子線治療という、特殊な放射線の有効性も報告されています。陽子線照射は小線源治療と比べて差がない、という結果がいくつかの施設から報告されていて、わが国でも、炭素イオンなどの重粒子線治療を用いた治療が研究的に行われ、腫瘍の治療効果が認められつつあります。

なお、脈絡膜悪性黒色腫であっても、眼球を残して腫瘍だけを切除する治療法があります。高度な技術を要すること、眼球内の出血や増殖硝子体網膜症という重篤な合併症を生じることがあるため、適応は限定されます。

腫瘍の厚みが少ない場合あるいは治療後の部分的再発がある場合は、赤外線レーザーを用いた温熱治療を行うことができます。複数回の治療を必要とし、出血、眼球内の炎症を生じることがあります。

現時点では、転移に対する有効な治療法はありません。ぶどう膜にはリンパ組織がないため、腫瘍の転移は血液の流れに乗って生じます。特に多いのが肝転移で、約3分の2の症例で発見され、その他に肺、骨、皮下でも見つかることがあります。肝臓だけに転移のある場合には、塞栓化学療法という方法を採りますが、生存率は1年で71%、2年で42%という結果が出ています。


小線源治療とは
眼球の曲面に合わせた形の放射性同位元素を用い、これを手術的に眼球壁の外から腫瘍に相当する部位に固定し、一定時間経過したところで除去する治療法です。わが国ではルテニウム106という放射性同位元素を使っています。欧米ではヨウ素125、パラジウム103なども使われています。ルテニウム106はβ線を放出し、約5mmの厚みまでの腫瘍に十分な放射線を照射できます。距離が離れると減衰するため、眼球の対側の壁には数分の1程度しか照射されず、周りの組織の放射線障害を減らしつつ治療に十分な放射線を照射するために開発された治療法です。治療中は、周りへの被曝の可能性があることから、十分に遮へいされた特殊な病室で過ごす必要があります。線源を除去した後は放射能が残ることはなく、通常の生活が可能です。合併症として、放射線網膜症、白内障、目の動きが少し制限される場合などがあります。

6.予後

生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。
ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考え下さい。

虹彩悪性黒色腫は、ごく小さいうちに発見される腫瘍で、組織型も悪性度が低く脈絡膜悪性黒色腫に比べて予後は良好ですが、10年間で5%程度は転移が生じるとされています。

毛様体と脈絡膜悪性黒色腫は、厳密に分けて評価することが困難です。一般には毛様体悪性黒色腫は発見が困難であることから進行する例が多く、予後は不良とされています。COMSによる比較試験の結果では、中サイズの腫瘍では、5年生存率が82%。12年を経過した結果を見ると、初回眼球摘出と小線源治療では予後に差はありませんでした。小線源治療を行った場合では眼球を保存できる成功率は5年で85%。大サイズの腫瘍では、初回眼球摘出を行っても5年生存率は57%であり、摘出前の放射線照射は転移予防の効果が見られませんでした。

わが国での眼球摘出後の生存率は、5年79%、10年56%、15年41%でした。

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