上咽頭がん 基礎知識:[がん情報サービス]
がん情報サービス ganjoho.jp
右側ナビゲーションの始まり
それぞれのがんの解説

パンくず式ナビゲーション
TOPそれぞれのがんの解説 > 上咽頭がん 基礎知識

上咽頭がん(じょういんとうがん)

  • 基礎知識
  • 診療の流れ
  • 検査・診断
  • 治療の選択
  • 治療
  • 生活と療養
  • 転移・再発
更新日:2012年11月21日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1997年05月12日
更新履歴
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

1.上咽頭について

人間の「のど」は、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)からできています。このうち咽頭は鼻の奥から食道までの、食べ物と空気の両方が通る部分で、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれています。

上咽頭は解剖学的に鼻腔(びくう)のつきあたりで、口を開けた時に見える口蓋垂(こうがいすい:いわゆる「のどちんこ」)、および扁桃(へんとう:正しくは口蓋扁桃)の上後方の部位をさし、頭蓋底(とうがいてい:脳の底を支えている頭蓋骨)の骨を境として脳と接しています。
図1 咽頭・喉頭の構造
図1 咽頭・喉頭の構造

2.上咽頭がんとは

上咽頭に発生する疾患としてなじみのあるものに、アデノイド(腺様増殖症:せんようぞうしょくしょう)があります。アデノイドは咽頭扁桃という組織が増殖するものですが、腫瘍性のものではありません。上咽頭がんはその周辺に発生する悪性腫瘍です。上咽頭の側壁には、耳管(じかん)開口部と呼ばれる中耳(ちゅうじ)と連絡する管の出口があります。このため、上咽頭がんでは鼻症状のみでなく、耳に関連した症状も出現します。

3.症状

上咽頭がんの症状としては、頸部(首)のリンパ節の腫脹(しゅちょう:はれ)があげられます。この腫脹は上咽頭がんの頸部リンパ節転移によるもので、多くの場合、耳介(じかい)の下斜め後方にあるリンパ節(副神経リンパ節)が腫脹しますが、病気が進むと別の頸部リンパ節も腫脹してきます。上咽頭がんは、頸部リンパ節に転移することが多く、ほとんどの症例に認められています。頸部リンパ節の腫脹だけを自覚症状として外科や内科を受診し、なかなか診断がつかず、頸部リンパ節を生検して初めて頭頸科(耳鼻咽喉科)で上咽頭がんの診断が確定することもあります。

上咽頭のがんそのものによる症状としては、鼻症状、耳症状および脳神経症状があげられます。

1)鼻症状

鼻づまりと鼻出血が主なものです。この時の鼻出血は、鼻腔から血液が流れ出す状態(いわゆる鼻血)だけでなく、鼻をかむと鼻汁に血液が混じる状態が継続します。

2)耳症状

がんにより耳管開口部が閉塞し、耳のつまったような感じや難聴(多くは片側性)などの症状を起こします。

3)脳神経症状

がんが脳神経を圧迫、あるいは直接侵すことにより発症します。どの脳神経も侵される可能性がありますが、眼球を動かす神経(外転神経)が障害されると物が二重に見えることがあります。

また、視覚を司どる視神経が障害されることによって視力障害を起こしたり、目や顎(あご)の感覚と運動を司どる三叉(さんさ)神経が圧迫されたり侵されたりすることによって疼痛(とうつう)などが認められることがあります。

上咽頭がんは低分化型扁平上皮がん(参考:分化度)が多いため、頭頸部の別の部位にできるがんよりも遠隔転移が多く認められます。肺・骨・肝臓が遠隔転移の最も多い部位です。肺転移による胸部レントゲン写真上の異常陰影、骨転移による骨の痛み、肝転移による腹部超音波検査での異常像などによって遠隔転移が先に発見されることも少なくありません。
表1 各咽頭の役割とがんの症状
  役割 がんの症状
上咽頭 呼吸する
耳の圧の調整
鼻の症状(鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混ざるなど) 耳の症状(耳がつまった感じ、聞こえにくいなど) 脳神経の症状(目が見えにくくなる、二重に見える など)、頸(首)のリンパ節の腫れなど
中咽頭 呼吸する
正しく発音する
のみ込む
のみ込むときの違和感、のどにしみる感じ、のどの痛み・出血、息が鼻に抜けて言葉がわかりにくくなる、口を開けにくくなる、頸(首)のリンパ節の腫れなど
下咽頭 のみ込む のみ込むときの異物感、のどにしみる感じ、耳の周りの痛み、声がれ、頸(首)のリンパ節の腫れやしこりなど

4.疫学・統計

上咽頭がんは台湾、中国南部、東南アジアなどの地域に多く発生し、わが国ではまれな疾患です。現在、わが国における1年間の上咽頭がん発生数は、約500例と推定されます。男女比は3:1で男性に多く、年齢的には40歳から70歳代に多発していますが、10歳から30歳代にもみられます。組織学的には、ほとんどの場合が低分化型扁平上皮がんで、「悪性リンパ腫」がこれに次いでいます。頭頸部がんで、通常みられる高分化型扁平上皮がんは少なく、腺組織由来のがん(腺がん)はさらに少なくなっています。

上咽頭がんは、中国や台湾などの東南アジア地区で伝統的に食べられる塩蔵魚によって、リスクが高くなることが確実とされています。特に、乳児期から幼少時代の摂取はリスクの増大につながります。喫煙、飲酒、熱い飲食物もリスクを高くすることが確実とされています。
また、ホルムアルデヒドの取り扱い作業との関連は、確立したリスク要因です。その他にEBウイルス(エプスタインバールウイルス)HLAの多型についても関連が指摘されていますが、まだよくわかっていません。

5.検診

上咽頭がんのための検診は行われていませんが、なんらかの症状で耳鼻咽喉科を受診した際に偶発的に見つかることがあります。
アンケートにご協力ください
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
アンケートページへ

フッターの始まり