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皮膚障害

更新日:2006年11月30日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2006年10月01日
更新履歴
2006年11月30日

はじめに

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織による3層からなり、感染や皮膚障害に対する防御作用を備えています。なかでも表皮の一番表面にある角質層は、皮膚を健康に保つために最も重要なバリアとして働きます。角質層には3つのバリア機能があります。

1)静菌作用・細菌侵入防止作用

角質層は常に酸性の状態を保っています。この酸性の膜が細菌の体内への侵入を防ぎ、また有害な細菌となって増殖することを抑制しています。

2)緩衝作用

便や尿、汗などが付着して表皮が過敏になることを中和したり、湿疹・かぶれの原因となることを自然に防いでいます。

3)水分保持・柔軟性維持

角質層内に一定量の水分を保つだけでなく、外からの余分な水分をはじくことで、肌がふやけた状態になり、傷つきやすくなることを防いでいます。また、皮膚表面を覆う皮脂膜が水分の蒸発を防ぎ、うるおいや柔軟性を維持しています。

表皮は、古い細胞が垢となってはがれ落ち、新しい細胞に入れ替わることで新陳代謝を繰り返しています。この新陳代謝が順調に機能し、皮脂腺や汗腺が正常に働くことでバリア機能は保たれるのです。

爪は、根元にある爪を成長させる細胞により成長を続けています。爪には、外からの障害を受けないように保護をする作用や、物をつかんだときに適度な反発力を与える役割があります。

1.皮膚障害の症状

1)発疹・発赤

ぷつぷつとした湿疹ができたり、皮膚全体が赤味を帯びることもあります。薬によっては、特徴的に手や足だけが赤くなることもあります。赤味が落ち着いた後は、下記のように色素沈着することが多いです。

2)色素沈着

皮膚や爪の色が黒味を帯びたり、黒い斑点状のものが出現したりします。皮膚全体が色素沈着することもありますし、手や足、足の付け根や膝の裏など、関節部位に限局して現れることもあります。

3)乾燥性(掻痒性)皮膚炎

皮膚の乾燥が強くなり、かゆみを伴うことがあります。

2.皮膚障害の原因

抗がん剤により、皮膚や爪の新陳代謝を行う細胞がダメージを受けます。皮膚へ栄養や酸素を補給する能力が低下し、細胞分裂が正常に行われなくなります。新陳代謝が順調に機能しなくなるため、皮膚や爪は非常に薄くなってしまいます。皮脂腺自体もダメージを受けるために皮脂の分泌量も低下し、皮膚表面は非常に乾燥した状態となり、3つのバリア機能は著しく損なわれてしまいます。色素沈着は、皮膚のメラノサイトが刺激されることにより生じるともいわれていますが、多くは機序が不明です。爪の色調は、貧血や栄養状態などの全身的な状態によっても変化します。

抗がん剤を投与した直後に、顔や手、首の周りが赤くなったり、蕁麻疹のような発疹が全身に出現するのはアレルギー反応の一部です。すぐに対処が必要な場合があります。医師や看護師に伝えてください。

3.皮膚障害が出現する時期

正常な皮膚の新陳代謝は、1ヵ月から1ヵ月半くらいかかります。これらの皮膚障害は徐々に起こり、長期間かかってもとの状態に戻っていきます。

4.皮膚障害を起こしやすい抗がん剤

一般名 商品名 症状
ブスルファン マブリン散(R) 色素沈着
ダカルバジン ダカルバジン(R) 紅斑性発疹、蕁麻疹、光線過敏症
シクロフォスファミド エンドキサン(R) 色素沈着、爪の変形・変色
フルオロウラシル 5-FU(R) 色素沈着、びらん、水疱、浮腫、掻痒感、紅潮、爪の異常
メトトレキサート メソトレキセート(R) 紅斑、色素沈着、光線過敏症
シタラビン キロサイド(R) 紅斑、色素沈着
ブレオマイシン ブレオ(R) 皮膚肥厚、色素沈着、爪の変形・変色
ドキソルビシン アドリアシン(R) 色素沈着
パクリタキセル タキソール(R) 斑状丘疹性皮疹、爪変化、掻痒、皮膚潰瘍
ドセタキセル タキソテール(R) 色素沈着、皮疹、皮膚剥離、爪疾患
エトポシド ベプシド(R)、ラステット(R) 紅斑、掻痒、色素沈着
ビンクリスチン オンコビン(R) 発汗亢進、皮膚落屑
シスプラチン ランダ(R)、ブリプラチン(R) 掻痒、色素沈着

5.皮膚障害を起こさないようにするために

1)清潔の保持

皮膚を清潔に保たないと細菌や真菌が繁殖し、皮膚障害を起こしやすくなります。できるかぎり入浴やシャワー浴を行って、清潔にしましょう。使用する石鹸は、肌のpHに近い弱酸性の洗浄剤をお勧めします。石鹸が低刺激性であっても、皮膚に石鹸分が残っていると刺激となります。十分にすすぐようにしてください。

2)刺激の除去

圧力、摩擦などの刺激は皮膚を傷つけてしまいます。顔や体を洗うときは、石鹸をしっかりと泡立てて、肌をやさしく包みこみように洗うほうがよいでしょう。きめの細かい充分な泡は、肌への負担を減らすだけでなく、洗浄効率もよくなります。肌に貼ったテープをはがすときは、ゆっくりと少しずつはがすようにしましょう。痺れを伴っているときは、外傷に気づきにくいです。刃物の取り扱いには充分注意してください。庭や畑などの作業をするときは、手袋を着用してください。

3)乾燥の予防

皮膚が乾燥し、柔らかさや滑らかさが失われると、より傷つきやすくなります。入浴後は、保湿能力のあるクリームを塗布することをお勧めします。表皮の水分保持機能を保つために、お風呂のお湯の温度はぬるめがよいでしょう。詳しくは、「乾燥(ドライスキン)」を参照してください。

皮膚障害は、症状がゆっくりと起こってくるために見過ごされやすい症状です。目に見えない部分で症状が悪化することもあります。入浴時や着替えのときなど、自分自身で注意深く全身を観察してみてください。

6.皮膚障害が起こってしまったら…

基本的には、「皮膚障害を起こさないようにするために」の項に書いてあることを継続することが大切です。かゆみがあるときにかいてしまうと、皮膚障害はさらに悪化してしまいます。かゆみが強いときは、冷却まくらで冷やすことも効果があります。かゆみ止めの薬については、医師や看護師に相談するのがよいでしょう。
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