呼吸訓練とは、肺を広げて必要な酸素を体に取り込み、痰(たん)を出しやすくするためのトレーニングです。主に肺や食道の手術を受けた方に必要です。
これらの手術に呼吸訓練が必要な理由は
肺切除により肺容積が減少し、酸素を取り込む量が減ってしまいます。胸に手術の創(きず)があるため、痛みで深呼吸や痰の吐き出しを十分に行うことができなくなります。
手術の範囲が頸部、胸部、腹部と広く、頸部の手術の影響により、唾液や食べ物が気管に入りやすく(誤嚥)、痰を出しにくい場合があります。また、胸にもおなかにも手術の創があるため、深呼吸や痰の吐き出しを十分に行うことができなくなります。
肺に酸素が十分取り込めない(無気肺)状態や痰がたまった状態が続き、肺炎を起こす危険があります。
食後1時間は避けて、次のようにはじめてください。
まず、あおむけに、上半身を30〜60度くらいにします。次に、肩の力を抜き、両手をおなかにのせます。体勢が整ったら鼻でゆっくり深く息を吸い、おなかを膨らませます。次に口をすぼませ、「フー」あるいは「スー」という音をさせながら息を吐き出し、おなかが引っ込むのを確認します。このとき目を閉じずに遠くを見ると、ゆったりと行うことができます。
息を吸い込む時間と吐き出す時間の割合は、1:3〜5程度です。1分間の呼吸回数が10回程度になることを目標に、できるだけゆっくり吐き出すことがポイントです。
痰を出しやすいように、口先うがい(口をゆすぐことです)で口の中を湿らせた後、ゆっくり深呼吸を行います。次に十分息を吸った後2秒ほど呼吸を止め、口を軽く開け、咳(せき)をします。最初は軽く、2回目は強くして痰を出します。あるいは十分に息を吸ったあと、口を開け、いっきにハーッと息を吐き出しても効果があります。
痰を出す際に、創部の痛みを強く感じることがあります。創部を両手で抱え込むように押さえて痰を出すとよいでしょう。
「呼吸が苦しい」と自覚したときには、深呼吸をしたり、横になって安静にしてみてください。
併せて「呼吸困難」の項もお読みください。