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臨床試験の種類と仕組み

更新日:2014年12月05日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2006年10月01日
更新履歴
2014年12月05日 「臨床試験(治験)とは何か」を再編集しました。
2013年10月21日 「6.未承認薬・適応外薬を使った臨床試験について」を更新しました。
2012年03月26日 更新しました。

1.新しい薬や新しい治療・診断法を評価するための方法:「臨床試験」

病気に対する新しい薬や治療・診断法は、その有効性や安全性が確認されてはじめて標準治療用語集アイコンとして確立します。既存のものより有効であると期待される新しい薬や治療・診断法は、安全に実施できるのか、期待されたとおりの効果を発揮するのかを、多くの患者さんの協力を得て調べなければなりません。このような情報を集める継続的な取り組みによって、患者さん自身に、あるいは将来の患者さんに、よりよい治療を提供できるようになります。

新しい治療法は、患者さんに使われた経験がまだあまり多くないために、思わぬ副作用用語集アイコンが生じるかもしれません。あるいは、残念ながら思ったほどの効果がみられないこともあります。さらに、患者さんの体には一人一人個性があり、同じ治療を受けても効果がある方とそうでない方がいます。より多くの患者さんに効果が期待できる治療法、あるいは一人一人の患者さんの体に合うように調節した治療法を見つけることができれば、より多くの患者さんに、よりよい治療を提供できるようになります。

そのような治療法を標準治療として確立していくためには、患者さんの経験した副作用や治療のききめを正確に記録し、正しく分析しなければなりません。けれども患者さんの体には個性があるために、数人の患者さんの治療結果だけでは、新しい治療法の有効性や安全性を確認することはできません。

では、どうすればよいのでしょうか? このような新しい治療法の有効性や安全性を正しく調べるためには、治療法の選び方、治療により患者さんが経験したことの記録の仕方、集まった情報の分析の仕方を工夫する必要があります。

こういった複雑な状況を乗り越えるために、工夫を凝らして新しい治療法の有効性と安全性を科学的に調べる方法が、「臨床試験」です。

現在行われている多くの薬や治療・診断法も、国内および海外での臨床試験によって進歩してきました。現在の治療は、これまでに行われた臨床試験に患者さんが協力してくれたことにより、つくりあげられてきたといえます。

2.臨床試験の種類について

臨床試験には、大きく分けて「治験」と「医師・研究者主導臨床試験」があります。臨床試験というと、「治験」のイメージが強いのですが、がんの臨床試験では、医師・研究者主導臨床試験が治験よりも多く行われています。

1)治験

「治験」とは、厚生労働省から新薬としての承認を得ることを目的とし、未承認薬・適応外薬を用いて主に製薬企業が行う臨床試験です。これまで患者さんに使われたことのない新しい薬、あるいはその病気では使われたことのない薬の有効性や安全性を調べます。厚生労働省による承認が得られると、企業が薬を販売し、認められた病気の範囲内で一般に使えるようになるのです。「治験」の多くは、薬を開発している製薬企業が医師に依頼をして実施する臨床試験のことを指しますが、医師が自ら実施する治験もあり、「医師主導治験」と呼んで企業が行う治験と区別しています。

2)医師・研究者主導臨床試験

医師・研究者主導臨床試験は、医師や研究者が主体となって行うものです。これまで厚生労働省で承認された薬、治療法や診断法から最良の治療法や診断法を確立すること、薬のよりよい組み合わせを確立すること等を目的としています。

医師・研究者主導臨床試験には以下のようなものがあります。
□ 薬物療法の臨床試験
□ 外科治療の臨床試験
□ 放射線治療の臨床試験
□ これらの組み合わせの臨床試験
□ 緩和ケア等の臨床試験 等々

「治験」が薬そのものの有効性や安全性を調べることを目的としているのに対し、「医師・研究者主導臨床試験」は、時には手術や放射線治療等との組み合わせも考えて、治療法の有効性や安全性を調べることが目的であることが多いという違いがあります。
これらの臨床試験の種類をまとめると、図4のようになります。
図4 臨床試験の種類
図4 臨床試験の種類

3.がんの臨床試験の各段階

臨床試験は大きく3つの段階があり、各段階で有効性や安全性を確認しながら順番に進めていきます。この開発の段階のことを「相(あるいは、フェーズ)」、3つの段階のことを、第I相、第II相、第III相(あるいは、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3)などと呼びます。第I相よりも第II相、第II相よりも第III相のほうが治療法の開発が進んだ段階にあり、より臨床現場に近い状況にあるといえます。

ここでは、がんの一般的な治療法開発の進め方について説明します。ただし、薬や治療法によって臨床試験の進め方に違いが生じることがあります。
第I相(フェーズ1):
がん種を特定しないで、少数の患者さんに参加していただきます。
段階的に投与量を増やしていき、薬の安全性の確認、有効で安全な投与量や投与方法等を調べます。
第II相(フェーズ2):
がん種や病態を特定し、前の段階よりも多い数の患者さんに参加していただきます。
前の段階で有効で安全と判断した投与量や投与方法を用い、薬の有効性と安全性を確認します。
第III相(フェーズ3):
より多くの患者さんに参加していただきます。
新しい薬や治療法が従来の薬や治療法(標準治療)と比べ、有効性や安全性の面で優れているかどうかを比較試験で確認します。
現在国内で行われている臨床試験(医師主導の臨床試験と製薬企業が実施する治験の一部)に関して、「がんの臨床試験を探す」で、がんの種類別、開発段階別に情報を閲覧することができます。

4.臨床試験に参加することによって生じる有利な点と不利な点

臨床試験は、これまでの治療法よりもよい治療法を確立することを目指して実施されます。新しい治療法の効果が高いこともありますが、よいと思われていた新しい治療法が、実際にはそれほどききめが高くないというケースや、副作用等が強いことがわかるというケースもあります。つまり、臨床試験に参加することが患者さんにとって有利になる場合もありますが、不利になる場合もあるということです。

このようなことが起きるのは、新しい治療法の有効性や安全性が判明しておらず、必ずしもよい治療法であるとは限らないためです。そのために、新しい治療法を確立していく過程において、多くの患者さんのご協力を得て、臨床試験を実施する必要があるのです。臨床試験を実施しないと、実際に有効なのか、安全性がどのくらいなのかがわからない新しい治療法が漫然と行われ、治療法のききめや副作用等の情報が蓄積せず、問題を把握することができません。

臨床試験に参加する患者さんには、参加することで新しい治療法を受けられる可能性がある一方で、不利益を被る可能性があることも十分に理解していただく必要があります。臨床試験への参加を希望する患者さんは専門家から十分な説明を受け、十分に納得した上で同意し、参加してください。

5.臨床試験を支える人たち

臨床試験は、患者さんの参加によって成立します。そこには、臨床試験を安全に、倫理的に、かつ科学的に行うために、患者さんと直に接する医師や臨床試験専門のスタッフ(臨床研究コーディネーター/CRC用語集アイコン)をはじめとする医療従事者のほかにも、表からは見えないところで多くの専門家が関わっています(図5)。

具体的には、新しい治療法を臨床試験の中で実施することが倫理的かどうかを判断する倫理審査委員会のメンバー、患者さんがどのような治療を受けたか、どのような副作用が出たのか、治療の効果はどうであったのかといった情報を正確に集めて記録する専門家、臨床試験から有益な情報を得られるようにデータのとり方を考える専門家、臨床試験の結果を分析する専門家、さらに、臨床試験が適切に行われているかどうかを外部からチェック・確認する専門家等です。

このように、臨床試験は非常に多くの患者さん、医療関係者、専門家の協力によって動く大きなプロジェクトです。さらには、このプロジェクトをスムーズに運営するための専門家も加わって、臨床試験を支えています。
図5 臨床試験を支える人たち
図5 臨床試験を支える人たち

6.未承認薬・適応外薬を使った臨床試験について

・「治験」で行う場合
未承認薬や適応外薬を使った臨床試験、言い換えると、世界中のどの国でも承認されていない薬、海外では承認されていても日本ではまだ厚生労働省から承認されていない薬を用いる臨床試験や、厚生労働省から承認されていない薬の使い方を伴う臨床試験を行うためには、通常、薬事法という法律に従った「治験」を実施する必要があります。治験は保険診療との併用が認められています。

・「医師・研究者主導臨床試験」で行う場合
「治験」以外の方法で臨床試験を行うこともできますが、その場合、未承認薬や適応外薬を使った臨床試験は保険診療の中ではできないため、患者さんが、普段保険でカバーされている医療行為部分まで含めた医療費を全額負担するか、研究者が何らかの形で費用を負担する必要がありました。実はこれは、日本に特有の問題ではなく、アメリカをはじめとした海外でも同様の問題が起きています。
例えばアメリカでは、臨床試験に参加する患者さんは、公的医療保険の場合も民間医療保険の場合も、すでに保険でカバーされている医療行為の部分についても全額自費負担となるケースが発生して問題となっていました。アメリカではそのような問題を解決するため、2000年代に入って一定の条件を満たす臨床試験の場合は、公的医療保険で通常の医療行為の部分の費用をカバーしつつ、その上で臨床試験に参加できるようにする制度が設けられ、また、民間医療保険に対しても、患者さんが臨床試験に参加しやすいように全額自己負担にならない仕組みを設けている州も増えてきました。
つまり、新しい治療法の開発・評価と保険制度との折り合いをどのようにつけるか、日本に限らず海外においても問題が生じ、取り組みがなされてきたわけです。

日本では、2008年に厚生労働省が新たに設けた制度により、「医師・研究者主導臨床試験」の中で一定の条件を満たすものであれば、薬事法の承認を得ていない医薬品(未承認薬)、薬事法の承認を得ていない使い方をする医薬品(適応外薬)を用いた臨床試験が保険診療下で実施できるようになりました。この制度のことを「高度医療評価制度」といいます。その後、2012年にこの制度が変更され、現在は「先進医療B」と呼ばれる制度で行われます。

「先進医療B(旧・高度医療評価制度)」とは、まだ開発・評価の途上(保険診療の中に導入するか否かの評価を行っている段階)にある新しい医療行為と保険診療との併用を認める「先進医療制度用語集アイコン」に含まれる制度です。
先進医療制度の対象となる医療行為のうち、薬事法で規制を受ける医薬品・医療機器を用いる医療行為を中心とした制度が「先進医療B」となります(図6)。「先進医療B」の対象には、薬事法の対象とならない新しい医療行為(医薬品や医療機器と分類されるもの以外による新しい治療法)も含まれます。さまざまな病気を治すためには、医薬品や医療機器に限らずいろいろな方法で治療を行うことが必要となりますが、「先進医療B」制度は、新しい医療行為に関わる臨床試験も含まれています。医薬品や医療機器と異なり、企業による治療開発がまったく望めない新しい治療法の開発を、保険診療の枠組みの中で行うことができます。
図6 先進医療Bの対象となる治療法
図6 先進医療Bの対象となる治療法
この制度の下で行われている臨床試験や、臨床試験に参加している医療機関の一覧を外部サイトへのリンク厚生労働省のウェブサイトで閲覧することができます(「先進医療の各技術の概要」「先進医療を実施している医療機関の一覧」の「第3項先進医療技術【外部サイトへのリンク先進医療B】」の欄をご覧ください)。がんの臨床試験に関連する情報は、がん情報サービス「がんの臨床試験を探す」からも参照することができます。

なお、海外で承認されていても日本ではまだ承認されていない薬のうち、一部の薬については、厚生労働省のウェブサイト「外部サイトへのリンク医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト」から情報を入手することができます。 そのうち、がんに関連する情報は、がん情報サービス「公的会議で取り上げられた国内未承認薬の情報(医療関係者の方へ)」も参照することができます。

また、現在開発中の薬やすでに国内で承認されている薬で、新たな効能・効果の追加を目指している薬については、財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)の「外部サイトへのリンク臨床試験情報」や社団法人日本医師会 治験促進センターの「外部サイトへのリンク登録済み臨床試験の一覧」、さらに世界保健機関(WHO)の「外部サイトへのリンク国際的臨床試験登録プラットフォーム(International Clinical Trials Registry Platform)」から情報を得ることができます。

※これらの情報は、臨床試験に参加する患者さんを募集するための情報ではありませんのでご注意ください。また、当サイトで紹介しているウェブサイトの内容について、お問い合わせなどはお受けできませんのでご了承ください。

— 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 —

この会議は、厚生労働省が「未承認薬使用問題検討会議」を発展的に解消し、それを受けて2010年に設けたもので、『製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発促進に資すること』( 第1回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議[2010年2月8日]資料2:外部サイトへのリンク開催概要)を目的とした会議です。 具体的には、欧米では薬事承認されているが国内では薬事承認されていない医薬品や、欧米ではエビデンスに基づき広く用いられているが国内では薬事承認されていないために用いることが困難である医薬品の使い方について、医療上の必要性を評価するとともに、薬事法の承認を取得するために十分な根拠があると言えるか、あるいは、不十分な場合には追加で実施が必要な試験の妥当性を検討しています。 なお、適応外薬については、「欧米でエビデンスに基づき広く使われている」からといって、必ずしも欧米各国の規制当局が同様の使い方を薬事承認しているとは限りません。がんの領域の医薬品、特に臨床現場で長く使用されている医薬品に関しては、研究者(医師)が行う臨床試験で医薬品の新たな使い方が確立した場合、欧米でも各国の規制当局から薬事承認を得ることなく適応外使用が行われるケースが多くみられます。日本においても、臨床現場で長く使用されている医薬品であれば、薬事法上適応外使用であっても保険適用されるケースもあります。例えば、カルボプラチンという薬を子宮体がんに用いることは薬事法上承認されておらず適応外使用となりますが、保険診療下で使用することが実質的に認められています(「社会保険診療報酬支払基金 審査情報提供事例」による)。 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議や未承認薬使用問題検討会議で取り上げられた医薬品は、製薬企業による承認申請が行われた後、外部サイトへのリンク独立行政法人医薬品医療機器総合機構による審査、薬事・食品衛生審議会への諮問を経て薬事法上の承認に至ります。 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、未承認薬使用問題検討会議で取り上げられる欧米で承認された医薬品・適応外医薬品は、必ずしも生存期間を延長することが証明されているとは限りません。また、欧米で承認されているからといって重篤な副作用がないわけではなく、致死的な副作用・有害事象が発現することもあります。 そのため、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、未承認薬使用問題検討会議での評価のみで医薬品が承認されるわけではなく、その後に実施された治験の結果も含めて、「医薬品医療機器総合機構にて厳正中立なる審査」が行われます(第4回未承認薬使用問題検討会議[2005年4月27日]外部サイトへのリンク速記録)。 医薬品医療機器総合機構による審査の結果は、承認後速やかに、「外部サイトへのリンク承認情報(医薬品・医薬部外品)」で提供されます。

— 未承認薬使用問題検討会議 —

未承認薬使用問題検討会議とは、『欧米諸国で承認されているが、国内では未承認の医薬品(以下「未承認薬」という)」について、
・ 欧米諸国での承認状況および学会・患者要望を定期的に把握する
・ 臨床上の必要性と使用の妥当性を科学的に検証する
・ 当該未承認薬について確実な治験実施につなげる
ことにより、その使用機会の提供と安全確保を図ること』(第1回未承認薬使用問題検討会議[2005年1月24日]外部サイトへのリンク資料1:開催要綱)を目的として厚生労働大臣が設置した、学識経験者による会議です。なお、この「未承認薬使用問題検討会議」は、2005年に設置されましたが、2009年に発展的に解消され、2010年に新たに「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が設置されました。

未承認薬使用問題検討会議で検討された医薬品についてまとめられた「ワーキンググループ検討結果報告書」が、各外部サイトへのリンク資料項目の中に公開されています。ただし、この文書は、報告書作成時点における欧米での評価を主にまとめたものであり、国内で実施されている治験の結果などを詳細に記したものではありません。
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