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痛み止めQ&A

更新日:2014年08月18日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2003年05月13日
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2014年08月18日 ページ移動にともない、内容を再編集しました。
2006年05月18日 更新しました。
2003年05月13日 掲載しました。

痛み止めについて
薬で痛みを止めることは、悪い部分を取ってしまう手術などと違って、根本的な治療ではないため、痛み止めを使用するのにあまり積極的でない方もいらっしゃいます。ところが、痛みがあるとどうでしょうか。痛みが強いと眠れない日が続いて寝不足になったり、食欲がなくなり体力も落ちてしまいます。また、体を動かすときに痛みがあると、体を動かすのがおっくうになってしまいます。その他にも、検査や治療に必要な体位をとれないなど、痛みを我慢しても得になることは何一つありません。痛みがなければ、よく眠ることができ、食欲も増して、病気になる前と同じような生活を送れるようになるでしょう。

では、痛みを上手に取り除くにはどうしたらよいのでしょうか。何よりも、痛みを我慢せず、どこが、どのように、どのくらい痛いのかを医師に積極的に伝えていただくことが大切です。なぜなら、痛みは最新の機器でも測定することはできない上に、検査でもわからないこともあるからです。痛みは患者さんご自身にしかわからない症状ですので、医師に積極的に伝えていただくことがとても重要なのです。痛みの治療はそこから始まります。

「痛み止め」は、頭痛や歯痛など比較的軽い痛みに用いられる「バファリン(R)」や「SG顆粒」などから、激しい痛みに用いられる「モルヒネ」まで、多くの種類が利用できます。すべての「痛み止め」については紹介できませんので、激しい痛みに用いられる「モルヒネ」を中心に、その特徴を紹介しましょう。

Q1  痛みの治療は、どのように進めるのですか?
A1  痛みの程度や性質は人によりさまざまです。その痛みを止めるには、薬や手術、放射線治療を初めいろいろな方法があります。痛みを取る治療法の中でも、痛み止めの薬をのむことが最も簡単で便利な方法です。次のように目標を定めて痛みを止めるようにしてはいかがでしょうか。

第1目標
現在の症状:痛くて眠れなかったり、目が覚めたりする。
目標:ぐっすり眠れるように、最低限でも夜間だけは痛みを和らげましょう。
睡眠 イラスト
安静 イラスト 第2目標
現在の症状:眠っているときは痛くないが、昼間は体を動かさなくても痛い。
目標:体を動かさなければ痛くないようにしましょう。
第3目標
現在の症状:動かなければ痛くないが、歩いたり体を動かすと痛い。
目標:家事や炊事をしたり散歩したりしても痛くないようにしましょう。
外出 イラスト
痛み止めの薬には、口からのむものとして錠剤、粉薬、水薬があり、その他にもおしりから入れる坐剤や注射薬もありますので、痛みや体の状態に合わせていろいろな使い方ができるようになっています。あなたに合った薬を用意できますので、痛みを我慢しないで医師にお伝えください。
Q2  痛み止めの薬は、強さに違いがありますか?
A2  現在では、痛みを止める作用の強さによって、痛み止めの薬を3段階に分けています。

第1段階の痛み止め
歯の痛みや頭痛などにもよく使われるもので、痛みを止めるだけでなく、炎症や腫れなどを和らげたり、熱を下げる作用もある薬です。よく知られている薬としてアスピリン(R)があり、病院で使われるだけでなく、街の薬局でも売られています。

第1段階の薬には胃腸障害という副作用がありますが、食後にのんだり別の薬を一緒に使うことで最小限に抑えられます。ただし、第1段階の薬には使える量に限度があり、限度を超えて使うと、痛みを止める効果はそのままで、副作用ばかりが強くなってしまいます。そのため、第1段階の薬で痛みがなくならない場合には、次の第2段階や第3段階の薬を使って痛みを取るようにします。

痛み止めの薬 イラスト第2段階の痛み止め
代表的な薬にリン酸コデインがあります。この薬は、街の薬局で売っている咳止めにも含まれています。咳止めに使うときよりも多い量を使うと痛み止めになります。第2段階の薬をのむと便秘がちになることもありますが、下剤を一緒に使えば便秘を防ぐことができます。また、第1段階の薬と同じように、使える量に限度がありますので、第2段階の薬で痛みが残ってしまうような場合には、次の第3段階の薬を使って痛みを取るようにします。

第3段階の痛み止め
代表的な薬にモルヒネがあります。モルヒネは痛みを止める効果が最も強い薬で、大変古くから使われており、現在でも痛みの治療になくてはならないものです。ただし、モルヒネは「麻薬」に分類されており、街の薬局では市販されていません。麻薬というと、中毒になる心配をされる方もいらっしゃるでしょう。確かに、痛みがないのに薬を使うことは体によくありません。しかし、現在でも、大きな手術の後や心筋梗塞のような場合には、短期間ですが、モルヒネを使って痛みを感じないようにします。また、切断してなくなったはずの手や足が強く痛む場合(幻肢痛といいます)には、モルヒネを痛み止めとして何年間も使うことがありますが、薬の量がやみくもに増えていったり、中毒患者のように薬を欲しがったり、人格が変わってしまうようなことはありません。

このようなことから、モルヒネはがんの痛みに対しても世界中で使われていますが、この場合にも中毒にならないことが実証されています。

必ずしも第1段階→第2段階→第3段階の順番で痛み止めの薬を使うのではなく、あくまでも痛みの強さに応じた段階から始めます。また、第1段階と第2段階の薬を一緒に使ったり、第1段階と第3段階の薬を一緒に使うと痛みを止める効果がより強くなります。ただし、第2段階と第3段階の薬を一緒に使うことはありません。
Q3  なぜ、モルヒネを使うのですか?
A3  痛み止めにモルヒネを使うと聞いて、びっくりされたかもしれません。モルヒネは「麻薬」に分類されているため、不安に思うのも無理のないことです。ですが、モルヒネには、第1段階の薬と違って胃腸障害という副作用がありません。また、第1段階や第2段階の薬と違って、使える量に限度がありません。このように、モルヒネは痛みを止める効果が優れているだけでなく、痛みの程度に合わせて量を調節すれば痛みを取ることができるのです。もちろん、治療により痛みが軽くなったり消えた場合には、モルヒネを減らしたり中止することができます。

モルヒネ各種 写真
Q4  モルヒネにはどんな形状があるのですか?
A4  モルヒネそのものは白い粉末ですが、痛み止めとして使いやすいように、いろいろな形状のものがつくられています。例えば口からのむ薬には、粉薬、水薬、錠剤、カプセル、顆粒があります。

錠剤には、速やかに溶けて効果が早くあらわれる塩酸モルヒネ錠や、痛み止めの効果が長続きするように工夫されたMSコンチン錠があります。また、効果が長続きする顆粒の入ったカディアンカプセルやカディアンスティックがあります。さらに、薬をのめないときのために、おしりに入れるアンペック坐剤があり、のみ薬や坐剤が使えないときのために注射薬もあります。

実際には、これらを上手に組み合わせて、なるべく痛みのない状態を保つようにします。

モルヒネの粉薬・水薬、塩酸モルヒネ錠 写真 モルヒネの粉薬・水薬、
塩酸モルヒネ錠
  MSツワイスロンカプセル MSツワイスロン(R)カプセル
MSコンチン錠 写真 MSコンチン(R)   ピーガード錠 ピーガード(R)
カディアンカプセル、カディアンスティック 写真 カディアン(R)カプセル、
カディアンスティック
  アンペック坐剤 アンペック(R)坐剤
モルペス細粒 写真 モルペス(R)細粒   塩酸モルヒネ注射液 塩酸モルヒネ注射液


モルヒネの粉薬・水薬、塩酸モルヒネ錠 写真1)モルヒネの粉薬・水薬、塩酸モルヒネ錠

モルヒネの粉薬と塩酸モルヒネ錠は痛みの治療に古くから使われてきた薬です。

モルヒネそのものは白い粉末ですが、粉薬や水薬を調剤する都合上、ピンク色に着色した粉末と混ぜて使っています。そのため、1回にのむモルヒネの量や、のむ回数によって受け取る薬の色が違う場合もあります。

モルヒネの粉薬・水薬は、効き始めるまでの時間が最も速く、のんでから10分ほどで吸収が始まり、30分ほどで体の中のモルヒネ量が最大になります。そのため、突然の痛みに対して応急的に使用する他、のんだ後の効き方から必要なモルヒネの量を決めていくこともあります。

塩酸モルヒネ錠は直径5mmほどの小さな錠剤で、体の中で溶けるまでに、モルヒネの粉薬や水薬に比べて少し時間がかかりますが、粉薬や水薬とほぼ同じ使い方をしています。

モルヒネの粉薬・水薬、塩酸モルヒネ錠は、どれも効果の持続時間が約4時間と比較的短いため、粉薬や水薬、塩酸モルヒネ錠だけで痛みのコントロールをしている方が痛みのない状態を保つには、1日に薬を5~6回のむ必要があります。

モルヒネの粉薬や塩酸モルヒネ錠は水に溶けやすいので、のむ直前に水またはぬるま湯に溶かしてのむこともできます。

ただし、水薬には保存剤が入っていないため、冷蔵庫に保存し、2週間を過ぎたものはのまないようにしましょう。


MSコンチン錠 写真2)MSコンチン錠

モルヒネの粉薬や水薬の場合、速く効いてくるのですが、効果が長続きしないため、のむ回数が多く、患者さんの負担になっていました。

そのため、効果の長続きする薬が待ち望まれていましたが、平成元年(1989年)になって、モルヒネがゆっくりと溶け出すように工夫されたMSコンチン錠が登場しました。

現在では、モルヒネが10mg、30mg、または60mg含まれている3種類のMSコンチン錠が使用されています。

MSコンチン錠は普通の錠剤のように見えますが、スポンジのような編み目の中にモルヒネが詰まった仕組みになっており、水分を吸収するとモルヒネがゆっくり溶け出すように、特別な工夫を凝らした錠剤です。

そのため、のんでから吸収されて効いてくるまでに1~1.5時間ほど時間がかかります。また、効果の持続時間は約8~12時間といわれているため、1日2回12時間ごと、もしくは1日3回8時間ごとというように時間を決めてのむことで痛みのない状態を保つようにします。

MSコンチン錠を割ったり砕いたりすると、せっかくの仕組みが壊れてしまいますので、飲み物と一緒にかまずにそのままおのみください。


3)カディアンカプセル、カディアンスティック

カディアンカプセル、カディアンスティック 写真MSコンチン錠が登場してから10年経過した平成11年(1999年)になって、効果がもっと長続きするように工夫を凝らしたもう1つの薬が登場しました。それがカディアンです。

カディアンにはカプセルとスティックの2つのタイプがあります。どちらも中には直径が1.0~1.7mm程度の小さな粒がたくさん入っていて、それぞれの粒からモルヒネが非常にゆっくり溶け出すような仕組みになっています。

カディアンカプセルは、モルヒネを20mg、30mg、または60mg含む3種類があり、中に入っている粒の数が違います。

一方、カディアンスティックは袋の中に粒が入っているタイプで、モルヒネを30mg、60mg、120mg含む3種類があり、中に入っている粒の数が違います。

カディアンスティックは、袋から粒を取り出してのむタイプです。そのまま粒でのんでいる人もいるので、粒をアイスクリームやヨーグルトに乗せたり、ゼリーの中に粒を混ぜて粒ごと一緒にのみ込む方法や、水を入れた小さいカップ(ワイングラスのように底がすぼんだものがのみやすい)の底に粒を沈めてストローで吸い込む方法など、いろいろなのみ方が可能です。錠剤やカプセルをのみ込みにくい方ものみやすいようです。
カディアンスティックをストローで服用 イラスト カディアンスティックをアイスクリームにかける イラスト カディアンスティックをゼリーに混ぜ込む イラスト
ただし、このようなのみ方の場合、粒からモルヒネが溶け出ないように30分以内にのんでください。また、粒をかみ砕いてしまうと、せっかくの仕組みが壊れてしまいますので、かまずにそのままおのみください。

カディアンカプセルとカディアンスティックは、ともに効果が24時間持続するといわれているので、1日1回のむことで痛みのない状態を保つようにします。


4)モルペス細粒

効果の長続きするもう1つの薬として、平成13年(2001年)にモルペス細粒が登場しました。直径約0.4mmとカディアンよりもさらに細かい粒の粉薬です。

モルペス細粒は普通の粉薬のように見えますが、1粒1粒がMSコンチン錠と同じスポンジのような編み目の中にモルヒネが詰まった仕組みになっており、水分を吸収するとモルヒネがゆっくり溶け出すように、特別な工夫を凝らした粉薬です。

甘味がついていますので、そのままのむのはもちろん、カディアンと同じようにアイスクリームやヨーグルト、ゼリーに粉薬を振りかけたり、水に溶かしてのむこともできます。ただし、モルヒネが溶け出ないように、食べ物に振りかけた場合には20分以内に、水に溶かした場合には10分以内におのみください。

このように、固形の薬ではのみにくい方やお子様、栄養チューブをつけている方などにのみやすい(使いやすい)薬です。

現在、2種類のモルペス細粒が使用されています。区別しやすいように薬の色が異なっています。

銀色に包装されたモルペス細粒には、白色の粉薬が入っており、1包に10mgのモルヒネが含まれています。また、桃色に包装されたモルペス細粒には、桃色の粉薬が入っており、1包に30mgのモルヒネが含まれています。

モルペス細粒は、MSコンチン錠と同じように、効果の持続時間は約8~12時間といわれていますので、1日2回12時間ごと、もしくは1日3回8時間ごとというように時間を決めてのむことで痛みのない状態を保つようにします。


MSツワイスロンカプセル 写真5)MSツワイスロンカプセル

モルペス細粒の発売に遅れること数ヵ月、カプセルの中に細かい粒を入れた薬として、MSツワイスロンカプセルが登場しました。カプセルの中に、直径0.6~1.0mm程度とカディアンよりも細かい粒がたくさん入っていて、それぞれの粒からモルヒネが非常にゆっくり溶け出すような仕組みになっています。

なお、カプセルを外した後の安定性についての保証がないため、カプセルを外してのむことはできません。

MSツワイスロンカプセルは、モルヒネを10mg、30mg、または60mg含む3種類があり、中に入っている粒の数が違います。

MSツワイスロンカプセルは、効果が8~12時間持続するといわれていますので、1日2回12時間ごともしくは1日3回8時間ごとに時間を決めてのむことで痛みのない状態を保つようにします。


ピーガード錠 写真6)ピーガード錠

2005年になり、効果の長続きする薬がもう1つ登場しました。

それがピーガード錠です。ピーガード錠は水に溶けない殻でモルヒネをコーティングした薬ですが、殻には水に溶ける成分でできた通路がたくさんあります。薬をのむと、水に溶けてできた通路から少しずつモルヒネが溶け出すことによりききめが長く続く仕組みになっています。

ピーガード錠を割ったり砕いたりすると、せっかくの仕組みが壊れ、急激に薬が吸収されて危険ですので、飲み物と一緒にかまずにそのままおのみください。

ピーガード錠 図また、ピーガード錠の殻は水に溶けないため、吸収されず大便中に錠剤の「抜け殻」が排泄されることがありますが、薬の成分はすでに吸収されているので心配ありません。あわてて新しい薬を追加してのまないようにしましょう。

現在、国立がん研究センターではモルヒネを20mg、30mg、または60mg含む3種類を使うことができます。

ピーガード錠は、効果が24時間持続するといわれていますので、1日1回24時間ごとに時間を決めてのむことで痛みのない状態を保つようにします。
ピーガード錠 図


なお、この薬の吸収は、食事により影響を受けることがわかっています。食事の前1時間から食事の後2時間以内に薬をのむ時間がこないように、のむ時刻を決めるとよいでしょう。

7)アンペック坐剤

アンペック坐剤 写真MSコンチン錠の登場後間もなく、薬をのめない方のためにアンペック坐剤が登場しました。

現在では、モルヒネが10mg、20mg、または30mg含まれている3種類のアンペック坐剤が使用されています。

アンペック坐剤は、1回に何個かをおしりに入れることができます。さらに、下の図のように、清潔なカッターナイフなどで坐剤を斜めに半分に切って使用することもできるため、患者さんの痛みの程度に合わせて細かい量の調節が可能です。

坐剤の切り方 イラストアンペック坐剤はおしりに入れてから30分ほどで吸収が始まり、効果の持続時間は約8時間といわれているため、1日3回8時間ごと、もしくは1日2回12時間ごとというように時間を決めて使うことで痛みのない状態を保つようにします。

また、薬の吸収が比較的速いため、突然の痛みに対して応急的に使用することもあります。

吐き気や嘔吐があっても、薬が体の外に出てしまうことがなく、安定した吸収が得られるといえますが、下痢や下血が続いている場合や人工肛門に入れた場合には、薬の吸収が安定しないこともあります。

アンペック坐剤をおしりに入れて、すぐにお通じがあると、坐剤も一緒に出てしまい、薬の効果があらわれません。できるだけ排便を済ませた後に入れるようにしましょう。もし1時間以内に出てきてしまった場合には、新しい坐剤をおしりに入れてください。


塩酸モルヒネ注射液 写真8)塩酸モルヒネ注射液

薬をのめない場合や坐剤が使えない場合でも、注射で痛みを止めることができますので心配ありません。

昔は痛くなってからモルヒネを注射することを繰り返していました。ところが現在では、ききめが切れて痛くならないように、薬を24時間の間ゆっくり少しずつ入れて、体の中のモルヒネの量を一定に保つ方法が一般的です。

最近では、携帯可能なポンプを使って患者さん自身が管理できる方法もありますので、ご自分の家にいながらモルヒネの注射による痛みの治療ができるようになりました。

具体的には、ふだんの痛みに対し、ポンプを使って一定の量のモルヒネを24時間ゆっくりと入れます。また、突然痛くなっても、患者さんご自身がボタンを押すだけで、医師によりあらかじめ設定された量のみが追加されますので、安全にモルヒネを追加でき、速やかに痛みを抑えることができます。

針を抜けばお風呂にも入れますし、ポンプが小さいので、体を動かすのにあまり支障にならないでしょう。

注射による痛みのコントロールは、がんの痛みを抑える目的だけでなく、手術後の痛みを抑えたり、心筋梗塞の痛みにも使われます。
Q5  モルヒネの副作用はありますか?
A5  痛みの治療にモルヒネを使うと、「中毒になる」、「癖になり、やめられなくなる」、「頭が変になる」、「体が弱る」、「命が縮む」、「ひどい副作用があらわれる」などとお考えですか?

痛みの治療でモルヒネを使用した場合に、比較的あらわれやすく問題になる副作用は、吐き気、眠気、便秘の3つです。医師が決めた量と時間を守ってモルヒネを使っていれば、中毒になったり、癖になったりすることはありません。

ここでは、これら3つの副作用について説明しましょう。


1)吐き気

吐き気は、すべての人が経験するわけではなく、3割くらいの人にあらわれるようです。

モルヒネを使い始めてから2週間ほどの間、あるいはモルヒネの量を増やしたときにあらわれやすいのですが、ほとんどの場合は吐き気止めの薬を使えば抑えられます。そのため、吐き気止めの薬を予防的に使う場合が多くなりました。

また、2週間ほど経過して、体がモルヒネになれてくると吐き気はなくなってくることが多いので、その後は医師と相談しながら吐き気止めをやめることもできます。

吐き気止め各種 写真右の写真のように、吐き気止めにも種類があり、効き方にも違いがあります。もし吐き気止めの薬を使っていても吐き気がするようであれば、「いつ、どのような状況で吐き気があったか」を医師に詳しく伝えていただくと、最適な吐き気止めを選ぶことができます。

吐き気を軽くするための日常生活の工夫もありますので、ご紹介しましょう。

刺激やにおいの強い食事は避け、レモンなどさっぱりしたものや消化のよいものを食べる。
気分転換をする。
精神的にリラックスできる環境をつくる。
冷たい水でうがいする。
部屋の空気を入れかえ、冷気に当たる。


2)眠気

眠気も、すべての人が経験するわけではなく、3割くらいの人にあらわれるようです。

睡眠 イラストモルヒネを使い始めてから1週間ほどの間、あるいはモルヒネの量を増やしたときにあらわれやすいといわれています。特に、痛みのために寝不足が続いていた場合には、モルヒネそのものによる眠気に加えて、体が寝不足を解消しようとするため、余計に眠く感じることもあります。そのようなときには、無理をせず睡眠をとるのがよいでしょう。

また、ふらつきやすくなることもありますので、つまずいたり転んだりしないように気をつけましょう。特に、トイレへ行くときなどに注意してください。

体がモルヒネになれて寝不足が解消すれば、1週間ほどで眠気は自然になくなってきますので心配はありませんが、眠気が続いたり、強い眠気のため日常生活に支障を来すような場合には、医師または薬剤師にご相談ください。


3)便秘

残念なことに、便秘だけはモルヒネを使うほとんどの人にあらわれ、モルヒネを使う限り続いてしまいます。

モルヒネは下痢を止める作用もあるため、痛み止めとして使った場合には便秘になってしまうのです。便秘が続くと、食欲がなくなってきたり、胃がもたれたり、吐き気を生じることがあります。そのため、下剤を使って便秘にならないようにします。

下剤各種 写真また、のみ薬だけでなく、注射剤や坐薬を使用しても便秘になってしまいますので、下剤の量を調節して、モルヒネ使用前と同じお通じになるようにしましょう。

右の写真のように、下剤には、腸管の運動を促したり、便に水分を含ませて軟らかくするなど、効き方の違う薬があり、何種類か組み合わせて使うことでお通じの具合がよくなる場合もあります。また、同じ作用の下剤でも、錠剤・水薬・粉薬・坐薬など、いろいろな形状のものがあります。

現在お使いの下剤が合わないようであれば、別の形状や種類の下剤に変更できますので、遠慮せずに医師または薬剤師にご相談ください。

その他、繊維の多いものを食べたり、水分を多めにとるなど、生活上の工夫により便秘を予防することも大切です。
Q6  覚せい剤などの乱用薬物とモルヒネとは、どのように違うのですか?
A6  モルヒネを、覚せい剤、ヘロイン、マリファナ(大麻)、LSDなどの乱用薬物と同じ仲間とお考えですか? 覚せい剤、ヘロイン、マリファナ(大麻)やLSDを使うと、幻覚や妄想があらわれたり、依存性が強いためにやめることができなくなるだけでなく、人格が変わってしまうなどの精神障害を引き起こします。やめることができた場合にも、精神や体に障害が残ることがあります。これらの乱用薬物は医薬品ではなく、痛みの治療に用いられるモルヒネとはまったく関係のないものです。

モルヒネは、痛みを止める作用の強い薬ですが、乱用薬物とは違って人格や性格を変えてしまうようなことはありません。また、やみくもに使う量が増えていくようなこともありませんし、痛みの原因がなくなれば2~3週間ぐらいかけてやめることもできます。もちろん、やめた後に悪い影響が残るようなことはありません。

このように、モルヒネは「麻薬」に分類されていますが、痛みの治療に使う限り、中毒にならないことがわかっています。
Q7  痛み止めの薬は、痛いときだけ使うのですか?
A7  痛みのあらわれ方はさまざまです。歯の痛みや頭痛の場合には、痛み止めの薬を「痛くなったとき」だけ使います。また、寝ているときだけ痛い、あるいは座っているときだけ痛いなど、痛くなるときがはっきりしている場合には、痛み出す前に薬を使うこともあります。

では、いつも痛い場合にはどうすればよいでしょうか。いつも痛くないようにするには、痛み止めの薬を規則正しく使う必要があります。例えば高血圧の患者さんの場合には、血圧がいつも高いわけですから、毎日薬を規則正しく使っているはずです。決して血圧が上がるのを待ってから血圧を下げる薬をのむようなことはしないでしょう。痛み止めの薬についても、同じようなことが当てはまります。毎日決められた時間に使うと、痛みを抑えるのに必要な量の薬がいつも体の中にあるので、痛みのない状態を続けていくことができるのです。モルヒネの場合には、胃腸障害という副作用がありませんので、食事の時間とは関係なく、できるだけ等間隔にのむ(使う)ようにします。

痛みが出てから薬をのんでいる場合 イラスト
決まった時間通りに薬をのんでいる場合 イラスト
Q8  痛みを伝えるには、どのような表現方法があるのでしょうか?
A8  痛みはご本人にしかわからない症状です。あなたの痛みの程度や性質、痛い部分、どんなときに痛いかを伝えるのは、なかなか難しいものです。痛みを表現するには、言葉や数字を使う方法があります。具体的な方法をいくつかご紹介しましょう。


言葉で表現する方法

・痛くない
・少し痛い(何とか、我慢できる痛み)
・かなり痛い(できれば、痛みをもっと止めたい)
・非常に痛い(我慢できないほどの痛み)


数字で表現する方法

まったく痛くないときを「0」とし、今までに最も痛かったときを「10」とする方法です。

痛みの性質を伝えるには、ピリピリした痛み、ズキンズキンした痛み、電気が走るような痛み、などの表現があります。痛い部分や種類が1つでない場合にも、なるべく具体的に伝えていただくと治療に役立ちます。

フェイススケールの一例 イラスト

以上のような表現方法を上手に使って、あなたの痛みの程度や性質、痛い部分、どんなときに痛いかを積極的に伝えるようにしましょう。あなた自身が「痛み」を伝えることから、痛みの治療は始まります。

また、薬を使い始めたら、のんだ時間や痛みの程度などを書きとめておくと、薬ののみ忘れを防ぐだけでなく、医師や看護師に体の調子などを伝えるのにとても便利です。もし痛みが十分取れなかった場合などには、医師はこの記録を参考にして薬の種類や量を変えることがあります。このように、記録をとっておくと、薬の量やのむ時間を決めるのにとても役立ちます。

Q9  モルヒネを他の薬と一緒にのんでもよいのでしょうか?
A9  現在のところ、モルヒネと一緒に使ってはいけないとされている薬はありません。胃腸薬やビタミン剤、風邪薬などと一緒にのんでも問題ありませんし、病院で処方された睡眠薬、下剤あるいは吐き気止め、高血圧や糖尿病の薬などと一緒にのんでも構いません。また、モルヒネをお茶やコーヒーあるいは牛乳でのんでも差し支えありません。

その他、お酒などのアルコール類をのんでも構いませんが、ふだんと比べて酔いやすくなる可能性がありますので、お酒をのむ場合には、時間をかけて少しずつのみ、お酒の量も控えめにしたほうがよいでしょう。
Q10  モルヒネを使えない場合には? —フェンタニル—
A10  モルヒネには、粉薬、水薬、錠剤、カプセルなどののみ薬だけでなく、坐剤や注射薬もありますので、患者さんの状態に合わせて使うことができます。しかし、薬をのむことができない場合は、おしりから入れる坐剤を使ったり、あるいは注射をしなければならないなどの不便な点や、一部にモルヒネとの相性があまりよくない方がいらっしゃることから、モルヒネとは別の薬が待ち望まれていました。

そこで、モルヒネと同じ「麻薬」に分類されており、1960年代から麻酔薬として使われてきたフェンタニルという成分が、モルヒネと同じように痛みを止める効果が優れていることから、モルヒネとの相性があまりよくない方の痛み止めとして、モルヒネのかわりに使えないかと検討されてきました。そして、皮膚から吸収されやすい特長を生かした「デュロテップ(R)パッチ」という貼り薬の形で、がん患者さんの強い痛みを和らげるために使うことができるようになったのです。

平成14年(2002年)に登場したデュロテップパッチは、フェンタニルを含んでおり、強い痛み止めとしてははじめての貼り薬です。モルヒネとの相性がよくないために、モルヒネの副作用(吐き気・便秘など)がいつまでも強くあらわれてしまい、モルヒネを十分量使用することができないような場合にデュロテップパッチを使います。

デュロテップパッチには、2.5mg、5mg、7.5mg、10mgの4種類の製品があり、患者さんの痛みの程度に合わせて、医師が4種類の中から最適な製品を選びます。もちろん、モルヒネと同じように、治療などにより痛みが軽くなったり、なくなった場合には、デュロテップパッチも減らしたり中止することができます。

デュロテップパッチの種類 写真

デュロテップパッチは、中に含まれているフェンタニルが皮膚を通ってゆっくりと吸収され、痛みを止める効果を発揮します。そのため、効果があらわれるまでに時間がかかりますし、突然の痛みに対して応急的に使用することはできません。はじめて薬を貼ってからききめがあらわれるまでにおよそ1日の時間がかかってしまう方もいらっしゃいますし、痛みを軽くするために必要な薬の量が決まるまでにしばらく時間がかかる方もいらっしゃいます。

また、この薬は痛みを止める効果が3日間(72時間)続くようにつくられていますので、3日(72時間)ごとに新しい薬に貼り替える必要があります。薬の量の調節もこのときに行いますので、必要な薬の量が決まるまでにしばらく時間がかかる方が出てきてしまうのです。

現在のところ、フェンタニルを用いた薬はこのデュロテップパッチと注射薬だけですので、デュロテップパッチを貼っていても痛みがある場合には、応急的に少量のモルヒネを使用しています。

デュロテップパッチを使うためには、ある一定量のモルヒネを定期的に(時間を決めて)使用していることが条件となります。あなたがデュロテップパッチに変更することができるかどうかは担当の医師にご相談ください。

デュロテップパッチを使っていて、最も注意していただきたい副作用は、「呼吸が遅くなる」「呼吸が浅くなる」「呼吸が苦しくなる」などの症状です。誤ってデュロテップパッチの枚数を多く貼りすぎてしまった場合や、デュロテップパッチを貼っている皮膚の温度や体温が上がってしまった場合など、フェンタニルが体の中に多く入りすぎた場合にあらわれることがある副作用です。

デュロテップパッチを貼っていて、このような症状に気が付いた場合には、すぐにはがして、医師にご連絡ください。

麻薬に指定されている強い痛み止めですが、起こる可能性のある副作用としては、モルヒネと同じく吐き気・嘔吐、眠気、便秘があげられます。ただし、その程度はモルヒネよりも軽く、頻度も低いといわれています。

実際、痛み止めの成分をモルヒネからフェンタニルに変えたところ、それまでのひどい吐き気が楽になった方や、下剤の量が少なくなった方もいらっしゃいました。

また、デュロテップパッチを貼っていた部分に「かゆくなる」「発疹ができる」「皮膚が赤くなる」などの症状があらわれることがあります。皮膚の弱い方はあらかじめ担当の医師にご相談いただき、ご自分の判断でかゆみ止めなどの薬(塗り薬、のみ薬など)を使用しないようにしてください。
Q11  モルヒネを使えない場合には? —オキシコドン—
A11  モルヒネの副作用(吐き気、便秘など)がいつまでも強くあらわれてしまい、モルヒネを十分量使用することができないような場合に使える薬として、平成14年(2002年)にフェンタニルの貼り薬「デュロテップ(R)パッチ」が発売され、現在多くの患者さんに使われています。吐き気や便秘などの副作用が比較的少なく、効果の長続きする薬なのですが、薬の効果が安定するまでに時間がかかったり、ある一定量のモルヒネを使用していないと変更できないなどの不便な点もありました。

一定量に満たないモルヒネを使っている患者さんでもモルヒネのかわりに使用できる薬として、モルヒネと同じ「麻薬」に分類されており、1916年に合成され、その後痛み止めとして欧米で広く使われてきたオキシコドンという成分が注目されました。

日本では今までオキシコドンの注射薬しかなく、がん患者さんの強い痛みを和らげるためにはあまり使われていませんでしたが、平成15年(2003年)に口からのむことができる錠剤「オキシコンチン(R)錠」の形で発売され、使うことができるようになりました。


オキシコンチン錠

オキシコンチン錠 写真 平成15年(2003年)に登場したオキシコンチン錠は、オキシコドンを含んでおり、ききめが長く続くように工夫を凝らした錠剤です。

オキシコドンの痛み止めとしての強さはモルヒネと同等と考えられていますが、オキシコンチン錠はがん患者さんの中程度から強い痛みを取るために使うことが認められていますので(モルヒネののみ薬は激しい痛みに使用)、モルヒネを使用する程の痛みではない患者さんでも使うことができます。また、モルヒネとの相性があまりよくない方の中で、一定量のモルヒネを使用していないなどの理由からフェンタニルの貼り薬に変更できない患者さんにも使うことができる薬です。

現在、オキシコドンが5mg、10mg、20mg、または40mg含まれている4種類のオキシコンチン錠が使用されています。モルヒネを使っておらずオキシコンチン錠から開始される方は1回5mgや10mgなど少量から始めて痛みが取れるまで徐々に量を増やしていきます。また、モルヒネから変更される方は使っていたモルヒネの量に合わせてのむ薬の量が決まります。

もちろん、モルヒネと同じように、治療などにより痛みが軽くなったり消えた場合には、オキシコンチン錠も減らしたり中止することができます。

オキシコンチン錠は、例えて言うならばスポンジの編み目の中にオキシコドンが詰まっていて、水分を吸収してゆっくり溶け出す仕組みになっています。体の中でゆっくりと吸収され、痛みを止める効果を発揮しますので、効果があらわれるまでに少し時間がかかりますし、突然の痛みに対して応急的に使用することはできません。現在のところ、オキシコドンを用いた薬はこのオキシコンチン錠と、注射薬だけですので、オキシコンチン錠をのんでいても痛みがある場合には、応急的に少量のモルヒネを使用しています。

この薬は痛みを止める効果がおよそ12時間続くようにつくられていますので、お食事に関係なく12時間ごとに時間を決めてのむ必要があります。また、オキシコンチン錠を割ったり砕いたりすると、せっかくの錠剤の仕組みが壊れてしまいますので、飲み物と一緒にかまずにそのままおのみください。

なお、オキシコンチン錠のスポンジの編み目はとても硬いため、大便中に錠剤の「抜け殻」が排泄されることがありますが、薬の成分はすでに吸収されているので心配ありません。あわてて新しい薬を追加してのまないようにしましょう。

オキシコンチン錠は麻薬に指定されている効果の強い痛み止めですが、起こる可能性の高い副作用としては、モルヒネと同じく吐き気・嘔吐、眠気、便秘があげられます。これら副作用の頻度や程度は個人差がありますが、痛み止めの成分をモルヒネからオキシコドンに変更することで吐き気や眠気などの副作用が軽くなった方もいらっしゃいます。強い吐き気などの副作用が長く続く場合には、担当の医師にご相談ください。


国立がん研究センター中央病院    薬剤部
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