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薬と飲食物の関係について

更新日:2004年12月02日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2004年12月02日 更新しました。
2003年05月13日 掲載しました。
中国には「医食同源」という古くから伝わる言葉があります。病気の治療もふだんの食事も、ともに人の生命を養い健康を維持するためのもので、その源は同じとする考え方です(三省堂「大辞林」より引用、一部改)。日本では昔から、「スイカと天ぷら」、「ウナギと梅干し」など食べ合わせのよくないものは気をつけるように、生活の知恵として伝えられてきました。では、お薬の場合はどうでしょうか。お薬によっては、他のお薬と一緒に飲むと、お薬の働きが強くなったり弱くなったりします。また、ときには副作用が出やすくなることもあります。これをお薬の「相互作用」と呼んでいますが、これは「お薬とお薬」だけでなく、「お薬と食べ物」や「お薬と飲み物」でも同じことが起こる場合があるのをご存じですか。

お薬と飲食物の相互作用は主に、
  1) 飲食物がお薬の吸収に影響する。
  2) 飲食物がお薬の代謝(分解や解毒されること)に影響する。
  3) 飲食物がお薬の排泄(尿や便などと一緒になって体の外に出ること)に影響する。
などが考えられます。

お薬と飲食物の関係について、すべてを説明することはできませんが、いくつか例をご紹介しましょう。

1.お酒(アルコール飲料)

お薬を服用しているときにアルコール飲料を飲むと、お薬の効果が強くなったり弱くなったりすることがあり、副作用も出やすくなることがあります。また、ある種のお薬はアルコールの代謝を抑える働きがあるので、お酒に酔ったときの症状が強くあらわれることもあります。さらに、お薬もアルコールも主に肝臓で代謝されますので、肝臓に大きな負担がかかります。

睡眠薬や精神的な緊張を和らげるお薬などは、アルコール飲料と一緒に飲むと効果が非常に強くなります。お薬とアルコール飲料を一緒に飲むのは避けましょう。

2.お茶(タンニン含有食物)

お茶やコーヒーに含まれるタンニンは貧血の治療に使われる鉄剤の吸収を阻害することから、鉄剤を服用されている方に「服用の前後1時間はお茶やコーヒーを飲まないで下さい」と注意を促していたこともありました。しかしながら、最近は適度にお茶を飲んでも治療に必要な量は吸収されることが明らかになりました。お茶は食後の楽しみの1つでもあります。お茶を楽しんだ後は、忘れずに鉄剤を服用してください。

※鉄剤をお茶で服用することをお勧めするわけではありませんので、濃いお茶やコーヒーでの服用は避けてください。

3.チーズ・ワイン(チラミン含有物)

タンパク質が分解してできる物質の1つにチラミンがあり、血圧を上げる働きがあります。このチラミンはタンパク質からできますので食品にも含まれていますが、チラミンを含む食品を食べても、ふだんは体の中で別の物質に解毒されるので、症状があらわれることはありません。
ところが、チラミンが別の物質に解毒されるのを抑えてしまうお薬があります。抗がん剤の一種である塩酸プロカルバジン(ナツラン)と、結核を治療する薬の一種であるイソニアジド(イスコチン、ヒドラなど)というお薬です。これらのお薬で治療を受けている方がチラミンを多く含む食品を食べると、まれにですが、血圧が上昇し、頭痛や動悸(心臓がドキドキする)、汗が出る、首や肩が凝る、吐き気がするなどの症状があらわれることがあります。その場合、症状は食後30分以内にあらわれ、数時間続くのが一般的です。

食生活上、また栄養学的にもチラミンを含む食品を食べないようにすることはできません。塩酸プロカルバジンやイソニアジドを服用しているか、服用をやめてから2週間経過していない方は、表に記載されている食品を食べ過ぎないようにしましょう。もし、食後30分以内に上記のような症状を経験された場合には、その原因と思われる食品を避けるようにしましょう。

チラミンを含む食品の種類は多く、すべてを紹介することはできませんので、チラミンを多く含んでいる食品と注意するポイントを紹介します。
チラミンを多く含有する主な食物 ポイント
乳製品 チーズ、サワークリーム、ヨーグルトなど ・調理してもチラミンは分解されない。
・熟成・発酵した食品は避ける。
・古くなった食品を避け、新鮮な食品を食べる。
アルコール飲料 ワイン、ビールなど
肉 ・ 魚類 サラミ、ソーセージ、レバー、薫製食品など

4.牛乳(乳製品)

皆さんもご存じのように、カルシウム(Ca)は骨を形成する重要な要素です。骨はカルシウムの貯蔵庫としての役割があります。一方、食物から吸収されるカルシウムの量が少なくなると、骨からカルシウムが放出されます。この状態が長く続くと、骨はスカスカの状態になってしまいます。健康を考えて、カルシウムを多く含む牛乳を飲むように心がけている方も少なくないと思います。

ところで、カルシウムをとり過ぎた場合はどうでしょうか。

この場合は、必要な分のカルシウムだけが腸から吸収され、余分なカルシウムは体外へ排泄される仕組みになっています。しかしながら、アルカリ性制酸剤(胃酸を中和し胸やけや胃の痛みなどの症状を和らげる働きのあるお薬、例えばマーロックスや炭酸水素ナトリウムなど、下剤としても用いられる酸化マグネシウムなど)とカルシウムを同時に服用すると、腸からのカルシウムの吸収がよくなり過ぎて、必要以上のカルシウムが血液中に入ってしまいます。血液中のカルシウム値が異常に高くなると、頭痛やめまい、吐き気・嘔吐、食欲不振、脱力感、無気力、倦怠感などの症状があらわれます。

国立がん研究センター中央病院では、カルシウムと同時に飲むときに注意してほしいお薬の袋に次のような記載をしています。

「牛乳(乳製品)を大量にとると、吐き気・嘔吐・倦怠感などがあらわれることがあります。個人差はありますが、目安として牛乳は1日1リットル以上飲まないようにしましょう。」

牛乳の場合ですと、通常は、1日1リットル以上を飲まなければ問題になることはありません。カルシウムを含む飲食物は乳製品以外にも多くありますが、アルカリ性制酸剤と問題になることが報告されているのは、牛乳やアイスクリームなどの乳製品だけです。神経質になる必要はありませんが、アルカリ性制酸剤を服用している方は、牛乳やアイスクリームなどの乳製品のとり過ぎに注意しましょう。

カルシウムを含む飲食物は、この他にもお薬との相互作用が報告されていますので、「5.ミネラル含有飲食物」もごらんください。

5.ミネラル含有飲食物

カルシウム(Ca)は骨の成分として重要なミネラルですが、他のお薬と一緒に服用するとお薬の吸収を阻害することがあります。お薬の吸収を阻害するミネラル類には、カルシウムの他、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)などが知られています。

牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品にはカルシウムが多く含まれています。また、最近は、食生活に不足している栄養やミネラルを補い、健康の維持や増進を支援するための健康食品が市販されています。

・スポーツドリンク
・栄養食品
・特定保健用食品

などと呼ばれている製品には、カルシウム、マグネシウムや鉄などが含まれていることがあります。これらの商品には、含まれる成分とその量が表示されていますので注意して下さい。お薬を飲んでいる間はこのような食品がとれないわけではありません。これらの食品は、お薬と同時にとるのではなく、2時間程度の間隔をあけるようにしましょう。

カルシウムを含む飲食物は、この他にもお薬との相互作用が報告されていますので、「4.牛乳(乳製品)」もごらんください。

6.青魚(ヒスタミン・ヒスチジン含有食物)

青魚には、動脈硬化を防ぐエイコサペンタエン酸(EPA)や、「頭をよくする物質」で話題となったドコサヘキサエン酸 (DHA)が多く含まれることで知られています。その他にもアミノ酸の一種であるヒスチジンを多く含んでいます。このヒスチジンは細菌によって分解され、ヒスタミンというアレルギーのもととなる物質に変化します。鮮度の落ちたサバにあたるのはこのためです。では、ヒスチジンやヒスタミンとお薬の関係はどうでしょうか。

通常、ヒスチジンが悪さをすることはありません。しかし、細菌によってヒスチジンからつくられたヒスタミンには注意が必要です。少量のヒスタミンは、通常なら体の中で解毒されるのですが、それを抑えてしまうお薬があるからです。抗がん剤の一種である塩酸プロカルバジン(ナツラン)と、結核を治療する薬の一種であるイソニアジド(イスコチン、ヒドラなど)というお薬です。これらのお薬で治療を受けている方がヒスタミンを含む食物を食べると、まれにですが、顔が赤くなる、頭痛、発疹ができる、悪心、嘔吐、汗が出る、動悸(心臓がドキドキする)、だるいなどの症状があらわれることがあります。

ヒスタミンは鮮度が落ちるに従って増えてきます。ヒスタミンが細菌によってヒスチジンからつくられるためです。塩酸プロカルバジンやイソニアジドを服用している方や、服用をやめて2週間経過していない方は、ヒスタミンの解毒力が一般の人よりも低下しています。ですから、表に記載されている魚類を食べる場合、必ず新鮮なものを食べるようにして下さい。また、食べ過ぎないようにしましょう。もし、上記のような症状を経験された場合には、その原因と思われる魚類を避けるようにしましょう。

ヒスチジンを多く含んでいる魚類と注意するポイントを紹介します。
ヒスチジンを多く含有する青魚・魚類 ポイント
かじき、まぐろ、ぶり、はまち、さば、さんま、いわし、あじ、さより、さわら、とびうお、かつお、ツナ、たらこ ・新鮮な魚類を食べるようにする。
・調理後もなるべく早目に食べる。

7.グレープフルーツ(ジュース)

臓器移植の際に免疫力を抑制するお薬、高血圧症や狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗剤などとグレープフルーツジュースを一緒に飲むと、水で飲む場合よりも血液の中のお薬の濃度が上がる場合があることがわかってきました。オレンジやミカンではこのようなことは報告されていません。グレープフルーツに含まれているフロクマリン誘導体などの成分が原因と考えられていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。

国立がん研究センター中央病院では、グレープフルーツ(ジュース)と同時に飲むときに注意してほしいお薬の袋に次のような記載をしています。
「グレープフルーツ(ジュース)は、このお薬の働きを強くすることがあります。このお薬服用中はグレープフルーツ(ジュース)の摂取を控えてください。」

グレープフルーツ(ジュース)の影響は4日間ほど残る場合もありますので、安全性を第一に考えると、摂取を控えるのがよいでしょう。

8.ビタミン含有飲食物

ビタミン剤について

健康を保持・増進する上でビタミンは極めて重要ですが、多ければよいというものでもありません。病気などにより不足している場合は別ですが、普通はバランスのよい食事により必要なビタミンをとることができます。ビタミンは栄養食品や栄養補助食品の他、ドリンク剤にも含まれています。水溶性ビタミン(水に溶けやすいビタミン)は、多くとっても尿中に排泄されてしまいます。また、脂溶性ビタミン(油に溶けやすいビタミン)は体の中に蓄積され、副作用があらわれることがありますので、とり過ぎに注意しましょう。

ビタミンK

血液が固まるのを調節し、狭心症や脳梗塞の治療に用いるワルファリンというお薬があります。血液が正常に固まるのに必要なビタミンKは、ワルファリンの効果を弱めてしまいます。ワルファリンを服用している方は、ビタミンKを多く含む食物や納豆を控えることが必要です。納豆についている納豆菌はビタミンKを産生する細菌です。

ビタミンKを含む食物を食べないのは、食生活上、また栄養学的にも無理ですので、1日にとるビタミンKの量を、過量にならない範囲で、できる限り一定にするように心がけて下さい。また、一時的に多くのビタミンKをとるのは避けましょう。

ビタミンKを多く含む食物(100gあるいは100ml中に含まれる量)(単位:mg)
クロレラ 3.60 抹茶 2.90 緑茶 1.43
アマノリ 1.39 ひきわり納豆 1.30 パセリ 0.73

ビタミンB(ピリドキシン、ピリドキサール)

パーキンソン病を治療するL-ドパ(ドパール、ドパストンなど)というお薬がありますが、ビタミンBはL-ドパの効果を弱めてしまいます。ビタミンBを含む食物を食べないのは、食生活上、また栄養学的にも無理ですので、食事以外の飲食物から一時的に多くのビタミンBをとるのは避けましょう。世界中の多くの国々では、ビタミンBの成人の所要量を1日当たり2mgに定めています(日本人の栄養所要量 第4次改定より)。表に示したように、食物中に含まれるビタミンBの量は決して多くありませんが、主食としている穀物に含まれているので欠乏する心配はありません。1本中に2〜10mgのビタミンBが含まれているドリンク剤もありますので、製品の成分表示に十分注意してください。

ビタミンBを多く含む食物(100g中に含まれる量) (単位:mg)
ひまわりの種(いり味付け) 1.18 びんちょうまぐろ(生) 0.94
ビーフジャーキー 0.85 スモークレバー(豚) 0.66
しろ鮭(生) 0.64 むろあじ(生) 0.57
レンズまめ(乾) 0.54 しか肉(生) 0.54
ひらまさ(生) 0.52 むろあじ(焼き) 0.52
さくらます(生) 0.52 ひよこまめ(フライ/味付け) 0.50
参考資料:五訂日本食品標準成分表(新規食品編)

9.ハーブ(セント・ジョーンズ・ワート:セイヨウオトギリソウ)

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)
セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ) 写真
セント・ジョーンズ・ワート(和名:セイヨウオトギリソウ)は、ハーブの一種で、「イライラする」「気分が落ち込む」「眠れない」などの症状を和らげるとして、花を含む地上部分やエキス、オイル、及びそれらを加工したお茶や錠剤などの形で、日本では健康食品として販売されています。

セント・ジョーンズ・ワートは、主にヨーロッパから中央アジアに分布している多年草で、6〜8月に左の写真のような黄色の花が咲きます。開花の時期が聖ヨハネの誕生日のころなので、「セント・ジョーンの植物(植物=ワート)」と呼ばれたのが名前の由来です。

最近、ある種のお薬とセント・ジョーンズ・ワートの間に相互作用があることがわかってきました。

通常、飲んだお薬は、吸収された後、肝臓で代謝(分解や解毒されること)されます。肝臓にはお薬を代謝するための酵素が何種類もあり、飲んだお薬によって代謝に使う酵素が違ってきます。

お薬が代謝される過程での相互作用については「くすりQ&A Q3.薬の相互作用にはどんなものがありますか? 」をごらんください。

セント・ジョーンズ・ワートは、何種類もある酵素のうち特定の酵素の量を増やしてしまうことが知られています。そのため、この酵素を使って代謝されるお薬とセント・ジョーンズ・ワートを一緒に飲んだ場合、お薬が必要以上に代謝されて、効果が弱まってしまう可能性があります。

セント・ジョーンズ・ワートを摂取している場合は、一緒に飲むお薬について注意をする必要があります。現在までにセント・ジョーンズ・ワートとの間に相互作用があることがはっきりとわかっているお薬を下に示します。

セント・ジョーンズ・ワートと一緒に飲んだ場合に効果が弱まってしまうお薬

  • 免疫力を抑えるお薬であるシクロスポリン(サンディミュンやネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)など
  • ウィルスの働きを抑えるお薬であるインジナビル(クリキシバン)など
  • 血液を固まりにくくするお薬であるワルファリン(ワーファリン)
  • 気管支ぜんそくに用いるお薬であるテオフィリン(テオドールなど)
  • 心臓の働きをよくするお薬であるジゴキシン(ジゴシンなど)、ジギトキシン(ジギトキシンなど)
  • 経口避妊薬など
上記のお薬の他にも、同じ酵素を使って代謝されるお薬はたくさんありますので、現在セント・ジョーンズ・ワートを摂取している方、またはこれからセント・ジョーンズ・ワートの摂取を考えている方は、医師に相談するようにしてください。

現在セント・ジョーンズ・ワートを摂取している方

  • 上記のお薬を飲んでいる方
    急にセント・ジョーンズ・ワートの摂取をやめた場合、酵素の量が変わってしまうため、お薬が代謝されなくなり、好ましくない症状が出ることが考えられます。そのため、医師の指示のもとにセント・ジョーンズ・ワートを徐々に減量し、中止する必要があります。
  • 他のお薬を飲んでいる方
    セント・ジョーンズ・ワートを摂取していることによって、お薬の代謝に影響を与えている可能性も考えられますので、担当の医師に「セント・ジョーンズ・ワートを摂取している」ことを伝え、医師の指示に従ってください。
  • お薬を飲んでいない方
    これから病院にかかる際には、必ず担当の医師に「セント・ジョーンズ・ワートを摂取している」ことを伝えてください。

これからセント・ジョーンズ・ワートの摂取を考えている方

  • 何かのお薬を飲んでいる場合、安全のためセント・ジョーンズ・ワートの摂取を控え、医師に相談してください。
※国立がん研究センター中央病院では、セント・ジョーンズ・ワートと同時に飲むことを避ける必要があるお薬の袋に次のような記載をしています。
「セイヨウオトギリソウは、このお薬の働きを弱めることがあります。このお薬服用中はセイヨウオトギリソウを含有する飲食物を摂取しないでください。」

国立がん研究センター中央病院  薬剤部
東病院 薬剤部
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