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女性生殖器がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション

更新日:2004年12月02日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年08月28日
更新履歴
2004年12月02日 更新しました。

1.女性生殖器がん手術後の排便障害

下痢や便秘にはさまざまな原因がありますが、ここでは広汎子宮全摘出術後におこる排便障害について説明します。

広汎子宮全摘出術の手術後に排便障害がおこるのは、手術操作で排便機能を支配する神経を傷つけるためで、直腸まで便がおりてきているにもかかわらず、便をしたいという気持ち(便意)がおきなかったり、便を排泄することができなくなったりすることがあります。

便秘を放っておくと、食欲不振、吐き気、腹痛、腹満感などの消化器症状があらわれたり、重度の場合は腸閉塞になったりすることがあります。また、下痢を放っておくと水分が体外に出ていくため、脱水症状をおこしてしまうことがあります。

1)便秘の予防

日常生活の工夫で便秘を予防する方法について紹介します。

(1)生活にリズムをもたせましょう

特に、毎日同じ時間に余裕を持ってトイレに座る排便習慣をつけましょう。

(2)食事に注意しましょう

  • バランスのとれた食事をしましょう。
    一般的に、便秘には繊維質の食品がよいといわれています。しかし、手術を受けた後は腸の運動が鈍くなるため、繊維質の食品を食べ過ぎるとかえって腸の運動を妨げ、腸閉塞を引きおこす場合があります。
    手術の後は、規則的に栄養バランスのとれた食事をしましょう。また、やわらかい繊維の含まれた食品を適量、摂取するよう心がけましょう。
  • 食べ過ぎに注意しましょう。
    食事は腹八分目と昔からいわれているように、食べ過ぎは消化の働きを鈍くします。一度にたくさん食べるのではなく、間食などで補うようにしましょう。
  • 水分を多くとりましょう。
    水分を多くとることは便の硬化を防ぎます。また、早朝起床時に冷水を飲むと腸を刺激し、排便を促す効果があります。試してみるのもよいでしょう。
  • 腸を刺激する食品を食べましょう。
    果物に含まれる有機酸は腸の運動を助けるので、食後のデザートなどにとるとよいでしょう。
調子が悪いときの食事

(3)適度な運動を心がけましょう

身体を動かすと腸の動きも活発になります。毎日の生活の中に軽い体操や散歩を取り入れましょう。また、入浴や腹部のマッサージも腸の動きを活発にしますのであわせて行ってみましょう。

2)便秘になった場合

便秘のページへ

日常生活を工夫しても、便秘になる場合には下剤の服用が必要です。下剤には次のようなものがあります。
  • 大腸に作用してその運動を活発にし、排便を促すもの
    商品名:センナ、コーラック、プルセニド、大黄、ラキソベロン、アローゼンなど
  • 便をやわらかくして、排便しやすくするもの
    (腸の中で水分が身体に吸収されるのを阻止するため、便に水分が多くなります)
    商品名:酸化マグネシウム(カマ)
これらの薬を状態に合わせて選んだり組み合わせたりして服用します。便の量やかたさによって薬を選んでみましょう。
  1. 便の量が少ない場合は、腸の動きを活発にする下剤を少量から服用してみましょう。
  2. 便がかたく、排便時に痛みを伴う場合は、腸内容をやわらかくするタイプの下剤を服用してみましょう。
  3. 毎日の食事や運動量によっても便の状態は異なります。自分の状態を把握し下剤の量を調節しましょう。また、「便の量が少ない」、「便がかたい」という症状は同時におこることが多いため、どの種類の薬を選んだらよいか判断に迷うことがあります。そういう場合は医師の指示のもとに2種類の薬を組み合わせて使用するのもよい方法です。

3)排泄ができない場合

肛門近くまで便がおりてきているのに排泄ができない場合は、以下の方法を試してみましょう。
  1. 温水洗浄便座で肛門を刺激してみましょう。
  2. ビニ−ル手袋をして、指で肛門を刺激してみましょう。
  3. 市販の浣腸薬を使ってみましょう。また、病院で処方された坐薬を使用してみましょう。

4)下痢になった場合

広汎子宮全摘出術の手術後に後遺症として下痢はほとんどおこりません。ただし、服用した下剤の量が多過ぎた場合に下痢をすることがあります。下痢になった場合は以下のことに注意してみましょう。
  1. 下痢がおさまるまで下剤の服用を中止し、脱水予防として水分を多めにとりましょう。
  2. 腹痛に対しては下腹部を温めましょう。痛みが和らぎます。
  3. 食事は温かくて消化のよいものを食べるようにしましょう。香辛料などの刺激物は控えましょう。
  4. 下痢がおさまらない場合は整腸剤の服用が必要になります。乳酸菌製剤は、副作用がほとんどないので医師の指示のもとに服用してみるとよいでしょう。
    商品名:ビオフェルミン、ミヤBM、ラックビー、ビフィダーなど
  5. 下剤の服用を再開する場合はそれまでよりも少ない量からはじめましょう。
人間の身体は人それぞれ違いがあります。以上のことを参考に便のコントロールを行っても、便秘や下痢の症状が改善されない場合、あるいは心配事がある場合は早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

2.女性生殖器がん手術後の排尿障害

腎臓でつくられた尿は、いったん膀胱にためられ(蓄尿)、いっぱいになったら体外に排出(排尿)されます。この蓄尿と排尿のサイクルは基本的生理現象のひとつで、何らかの障害があると尿の回数が多くなる、尿漏れ、尿が出にくい、尿が全く出ないなどのさまざまな症状が出現します。排尿障害とは、これらの症状を総称したものです。

婦人科では広汎性子宮全摘術を行った後などに排尿障害がおこります。この手術では排尿機能を支配する神経を傷つけてしまうため、手術後に尿意がない、尿が出にくいなどの排尿障害をおこすことがあります。

1)排尿障害の症状からみた病態

(1)尿意を感じない場合

健康な状態では尿意を感じ排尿しますが、排尿したい気持ちがおこらないため、膀胱に多量の尿がたまったままの状態になります。

(2)排尿できない場合や、排尿しても多量の残尿がある場合

膀胱に尿がたまり過ぎて膀胱の中の圧が高まるために、背中や腰が痛くなることがあります。また、膀胱に尿がたまり過ぎると腎臓へ逆流するようになり、それを繰り返すと腎臓の働きが悪くなります。尿がたまったままの状態を放置すると、細菌が繁殖しやすくなり膀胱炎や腎盂炎になることがあります。また、腎盂炎を繰り返しおこすと腎機能低下につながるので注意が必要です。

(3)尿が漏れる場合

不快感があることはもちろんですが、尿の刺激によって陰部がただれたり、清潔さを保ちにくいため、細菌の繁殖による炎症をおこしたりします。

2)排尿障害のリハビリテーションと方法

婦人科生殖器がんや直腸がんの根治術で骨盤神経の温存に注意が払われるようになり、適切な膀胱訓練が行われれば大半は自然排尿が可能になります。術後状態が回復してきたら留置カテーテルを抜去し自然排尿を試みて排尿状態を評価します。この際、腹圧・用手排尿する場合はVUR(膀胱尿管逆流)を引きおこす可能性があるので、長時間いきまないように注意します。

(1)術後留置カテーテル抜去後の排尿状態の評価

以前は、膀胱留置カテーテルを抜去する際に、一時的にカテーテルをクランプ(閉鎖)して「尿意」を確認することを「膀胱訓練」として行ってきました。しかし、最近では、クランプすることで上行感染の危険があるため、むしろ有害と考えられ行われていません。

カテーテルをクランプしないで行う排尿状態評価は以下のように行います 。
  1. カテーテルを抜去します。
  2. 可能であれば水分を摂取し、尿意を感じたら排尿して、残尿量を測定します。残尿の確認には導尿、または超音波を用います。
  3. 残尿量が50ml以上であれば、導尿の継続による膀胱訓練か、カテーテルの再留置を行います。
    50ml以下になれば訓練を終了します。
    しかし、一時的に残尿が減ったとしても再度増加する場合があるので、しばらくは残尿をチェックする必要があります。

(2)膀胱訓練としての間欠導尿法について

膀胱とは、蓄尿と排尿という2つの働きを持っています。蓄尿時には膀胱は弛緩し、排尿時には収縮します。膀胱訓練とはこの弛緩と収縮を人工的に膀胱に経験させる方法です。これを繰り返し経験させ従来の機能を取り戻すのに適しているのが、間欠導尿法です。これは、カテーテルをクランプするよりも感染の危険性も少なくなります。

導尿は、完全尿閉時(自分で排尿できない時)には4時間ごとに行います。この場合は尿意にかかわらず、4時間ごとに確実に導尿し、定期的に膀胱を収縮させることが重要です(1回量が300〜400ml以上にならないよう調節必要)。

自然排尿が可能なら、自然排尿後に導尿を行い残尿量に応じて導尿回数を減らしていきます。排尿率が80%を超えたら訓練を終了します。
  • 残尿が100ml以上 : 自然排尿ごとに行います。
  • 残尿が50〜100ml : 1日2〜4回
  • 残尿が30〜50ml : 1日1〜2回か、不要になります。
自分で導尿が行える場合は、自己導尿を行ってもらいます。退院後自分でできない場合は家族による導尿を指導する場合もあります。

(3)自己導尿の手順(女性)

男性の導尿法については「大腸がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」の項を参照して下さい。

<準備するもの>
カテーテル(12Fネラトンカテーテル)、潤滑ゼリー(必要時)、コップまたは尿器、鏡です。
<方法>
  1. 必要物品を用意し手指を石鹸と流水で洗います。
  2. 導尿しやすい姿勢をとります。椅子または洋式便所なら浅く腰かけ、和式便所または部屋ならしゃがみます。尿道口(尿の出る口)を鏡で確認します。
  3. 陰部を左手で開き、尿道口からカテーテル(必要なら潤滑ゼリーをつける)をゆっくり膀胱まで挿入(5〜6cm)したら、さらに2cmほど奥に入れ、出てきた尿をコップなどにとります。
  4. 尿を出し終えたら2cmほど引き出し完全に尿を出しきります。出なくなったらカテーテルを抜きます。

(4)感染について

尿路感染予防で大切なことは、膀胱の過伸展による感染を防ぐことです。カテーテルの消毒の有無、尿道口の消毒の有無、手洗いの有無は感染の要因とはならないことが、学会発表などで証明されています。よって、膀胱が過伸展をおこさない時間間隔で導尿することが感染対策として重要です。

3)尿漏れ対策

水分のとり方や排尿感覚を調整したり、肛門を引き締めたり緩めたりする運動を行うと尿漏れを少なくする効果があります。尿漏れの対策は量によってパッドなどを使用します。

4)水分のとり方

一日の排尿量が1,000ml以上になるよう水分を十分にとるようにしましょう。
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