性機能障害とリハビリテーション(女性):[国立がん研究センター がん情報サービス]
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性機能障害とリハビリテーション(女性)

更新日:2006年02月28日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年07月09日
更新履歴
2006年02月28日 更新いたしました。
子宮がんや卵巣がんの手術をした人が、手術後の生活で最も不安なことのひとつに性生活の問題があります。「もう無理なのではないか」「うまくいくはずがない」などの不安や思い込みが大きな障害となってしまうようです。

子宮がん(子宮体がん子宮頸がん)や卵巣がんの手術は、子宮摘出、子宮と両側の卵巣摘出、両側の卵巣摘出、片側の卵巣摘出などがあります。

このような手術によって、子宮や卵巣がなくなったり、腟が短くなったりします。また、卵巣の手術は女性ホルモンの分泌に変化をおこすことがあります。どちらか一方の卵巣が残っている場合には、ホルモン分泌も正常で身体に大きな変化はおこらないのですが、両側の卵巣をとり除いた場合には卵巣からの女性ホルモンの分泌がなくなります。このため手術前に月経が順調であった場合でも、人工的に閉経した状態になってしまい、卵巣欠落症状と呼ばれる早めの更年期障害がおこってきます。

1.子宮や卵巣、腟を手術で摘出した場合の性機能障害

子宮は鶏卵ぐらいの大きさで、子宮の内側はとてもやわらかい粘膜におおわれており、ホルモンの働きによりさまざまに変化し月経がおこります。子宮を手術で摘出した場合、月経はなくなり妊娠も不可能になります。しかし、帯下(おりもの)は腟から分泌されるものですから、手術後も分泌があります。

腟は子宮から続いている筋肉でできた管で、10〜13cmの長さがあります。腟の壁には粘膜のひだが多数あります。腟は子宮から続いている臓器ですから、子宮を摘出する場合には腟も数cm切除します。切除する長さは手術の種類と病状によって違います。腟は一時的に短くなりますが、短くなったことで生じる問題はありません。また、性交などにより腟の収縮力が戻り、数ヶ月で手術前と同じような感覚が得られるようになります。

卵巣は親指の頭くらいの大きさで子宮の横に左右ひとつずつあります。女性ホルモンの分泌と卵子の排出という働きがあります。

1)卵巣の片側を摘出した場合

残っている卵巣が今までどおり2つの卵巣の働きをします。ですから卵子の排出もありますし、女性ホルモンの分泌の変化もありません。子宮があれば妊娠は可能です。しかし、子宮を摘出している場合には腹腔内に排卵されますが、妊娠できず卵子は退化し、吸収されます。

2)卵巣を両側とも摘出した場合

卵子の排出はなくなり、子宮がある場合でも妊娠は不可能です。卵巣からの女性ホルモンの分泌もなくなります。そのため、卵巣欠落症状がおこったり、腟からの分泌物が減少することがあります。卵巣欠落症状とは、卵巣からの女性ホルモンの分泌がなくなってしまったことによりおこる症状のことで、頭痛・肩こり・のぼせ・動悸・不眠などがあります。症状の出る時期や症状の強さや期間には個人差があります。この症状を軽くするためにホルモン剤を使用する場合もありますが、血行をよくしたり、精神的にリラックスすることでコントロールできるといわれています。入浴や軽い運動をすること、音楽を聴いたり、趣味を生かして時間を過ごすなど、自分に合った方法を探してみるのもよいでしょう。

2.退院後の性生活をはじめる時期

一般的にはいつからでも構いませんが、担当医に相談してからはじめるほうが安心です。長い間性生活を持たないと腟の伸びが悪くなってくるので、あまり心配し過ぎず、はじめるほうがよいでしょう。アンケート調査では術後の体力が戻り、パートナーと話し合い協力を得て開始することでうまくいったという例が多くあったようです。精神的にゆとりが持てる程度の体力の回復、話し合うことでお互いを理解することがポイントとなるでしょう。

子宮や卵巣、腟の部分に放射線療法を受けた場合、照射部位にヒリヒリ感や熱感などの症状がある間は性交を避け、症状がなくなってから担当医または看護師に相談し開始するとよいでしょう。症状が続く場合は担当医や看護師に相談してください。

3.性生活

子宮の手術をした場合は、腟も一緒に切除し縫ってありますのではじめは痛みます。性交の回数を重ねていくうちに、縫った部分がやわらかくなり腟の伸びもよくなるので痛みは軽くなります。

両方の卵巣をとっている場合は分泌物が少なくなり、摩擦による痛みを伴うことがあります。そのような時は潤滑剤の使用をお勧めします。市販の性交用の潤滑剤(リューブゼリーなど)は、不快なべとつきがなく安全性も確認されており、水溶性のものが多いのでぬるま湯で洗い流すことができるなど使用方法が簡単です。

腟の傷が切れたりすることは普通はありません。刺激で出血する場合もありますが、少量であれば自然に回復していくので問題ありません。はじめは挿入の浅い体位からはじめるのがよいでしょう。出血が続くようであれば担当医に相談して下さい。

腟を切ってしまっても性生活が行えます。腟を切除しているために、はじめは腟が短くなったように感じると思います。実際に性交をする時には、ペニスが深く挿入されないような体位をとり、ゆっくりと挿入するようにするとよいでしょう。性生活を重ねていくうちに、数ヶ月で手術前とほとんどかわらない感覚が得られるようになります。むしろ長い間性生活がないと、腟の伸びが悪くなってきます。また、分泌物の量は精神的な影響(したくない、こわいなど)で少なくなってしまうので、自信を持ち、リラックスすることも大切です。子宮を切除し腟の断端を縫っている場合、射精された精液はすべて身体の外に流れ出てきます。性交によってがんが再発、転移することはありません。また、パートナーにがんがうつることもありません。

経験された方が困ったこと、また性生活のない方の理由の中で大半を占めるのが、痛みと痛みへの不安、自信がないなどの精神面の問題があるようです。痛みに対しては上記のような潤滑剤の使用や体位の工夫で、ある程度解決された方も多く有効であるといえます。精神面の問題に対してはパートナーとゆっくり話し合うこと、焦らずに時間をかけていくことが解決への糸口となっているようです。

性欲、性感はかわりません。性交時、最も感じる部位は子宮ではなく、腟の下方1/3の部分や小陰唇、クリトリスにあるといわれています。子宮をとったことが性感や満足度の低下をおこすことはありません。パートナーとよく相談し、お互いの気持ちを思いやりながら新しい性生活をスタートしてみましょう。
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