性機能障害とリハビリテーション(男性):[国立がん研究センター がん情報サービス]
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性機能障害とリハビリテーション(男性)

更新日:2004年12月15日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1997年12月10日
更新履歴
2004年12月15日 更新しました。
1997年12月10日 掲載しました。

性機能障害とは、性欲、勃起、性交、極致感のいずれかひとつ以上欠けるか、もしくは不十分なものといわれています。その中でも直腸がんや泌尿器科系がん(腎臓、膀胱、前立腺、精巣)の手術後におこりやすい障害には、男性の勃起障害、射精障害、性欲減退などがあります。

男性の性器は、交感神経、副交感神経(骨盤内臓神経)、及び体性神経(陰部神経)の支配を受けています。精神的、感情的興奮や外陰部への刺激が中枢神経を介して勃起を誘発します(勃起神経)。そして精液が後部尿道に排出され尿道圧が高まり、陰茎筋群の収縮がおこり精液が体外へ射出されます(射精機能)。骨盤内及び腹部大動脈の周辺には、これらの機能を調節するための重要な神経や血管があり、これらが骨盤内臓器切除やリンパ節郭清術で損傷されてしまうため、術後に性機能障害があらわれるのです。これらの機能を温存するためには神経を完全に残すことが望ましいのですが、がんの治療には、がんをとり残さないようにすることが優先されるため、神経を温存できない場合があります。しかし、最近では神経をできる限り温存して性生活が保たれるように、手術手技の向上のための努力がなされています。

以下に男性の主な性機能障害(勃起機能、射精機能)について述べ、対策を説明します。

1.勃起機能障害

勃起とは、陰茎海綿体内に血液が充満して陰茎が膨張してかたくなる現象のことで、性的興奮を伴う性的勃起と性的興奮を伴わない反射的勃起とがあります。

勃起障害とは、性交時に有効な勃起がおこらないために性交が行えない状態をいいます。

1)検査

がん手術で勃起障害がおきた原因を調べます。まず、問診による性機能調査や、夜間の勃起状態を調べる検査法(リジスキャンなど)により性機能を調査します。夜間の勃起状態を調べる検査法は、正常な男性では生理的現象によって睡眠のREM期(レム期:夢を見ている浅い眠りの状態)に一致して勃起現象がおこります。しかし、勃起が得られない場合は勃起機能障害があることになります。まず、手術前後に勃起機能を調べます。手術後、夜間にでも自然な勃起があれば機能は正常です。しかし、時々心理的要因により性交ができなくなることもあります。反対に夜間にでも自然な勃起がない場合は、勃起に関与する陰茎組織、神経、血管などの障害が考えられます。

治療法などを決めるため、勃起障害が神経性のものか、血管性のものかを区別する必要があります。そのためには血流を調べる超音波検査をします。その結果、血管系に異常がなければ神経系に異常があると考えられます。反対に、超音波ドップラーで異常があれば血管系に異常があると考えられます

2)勃起障害の分類

  1. 心因性勃起障害
  2. 神経性勃起障害
  3. 血管性勃起障害

3)治療

性機能障害の治療は一般に容易ではありませんが、現在、次のような治療が行われています。

(1)心因性の場合

年齢、環境や立場、発症の状況などにより個人差があります。一般に男性は勃起機能が障害されることによって自信を失ったり、落ち込み、悩みます。回復をねらってさまざまなことを試みますが、それでもうまくいかないことがわかると落ち込んでしまいます。ひとりで悩まずにパートナーの協力を求め、心理的な問題を解決するため、積極的な心理療法を行うとよくなる場合もあります。

(2)神経性の場合

陰茎を陰圧下において勃起をおこさせ、陰茎の根元を締めて勃起を持続させる器具(陰圧式器具)があります。この器具は多くの場合に有効ですが、使用に若干の熟練を要します。

また、塩酸パパベリン・プロスタグランジンなどの血管平滑筋弛緩剤を陰茎海綿体に注射します。これを注入することで動脈の拡張を引きおこし、陰茎海綿体内への血液流入量を増加させ勃起をおこします。

(3)血管性の場合

一般に治療が非常に困難ですが、場合によっては陰茎の血管の手術で機能が回復することもあります。また、両側の陰茎海綿体にシリコン性の柱を挿入して、人工的勃起をつくりだす方法(陰茎プロステーシス挿入手術)があります。失われた性器の感覚、射精機能を回復させることはできませんが、性的コンプレックスをぬぐい去ることができる場合もあります。

2.射精機能障害

射精とは、性的興奮が極限に達すると神経の作用により陰嚢(いんのう)、精管、前立腺の平滑筋群が収縮し、精子を含んだ精液が分泌され後部尿道に排出されます(第I段階)。同時に交感神経の働きにより内尿道口は閉鎖し、後部尿道の短縮と会陰筋群の収縮により、後部尿道の精液は体外に射出されます(第II段階)。

逆行性射精とは、神経、筋組織に障害が生じ、精液が体外に射出できずに膀胱内に逆に射出されることをいいます。その原因としては、腹部大動脈周囲リンパ節郭清(かくせい:リンパ節を切除すること)により、交感神経が障害され、内尿道口の閉鎖不全をおこした場合や、経尿道的前立腺切除(TUR-P)や内尿道口の変化、その他の手術による筋組織の障害などがあります。

この他にも大量化学療法や放射線療法により、性機能障害が生じ男性不妊症になることもあります。

このような場合、全く妊娠不可能なわけではなく、事前に精子を採取し配偶者間人工受精をする方法などもあります。逆行性射精の場合も膀胱内に射出された精子を回収する方法もあります。

3.まとめ

性機能障害があると、「自分は男性として性的な魅力を失った」と感じ、そのような自分を卑下するなど、自尊心の低下がある方もいます。しかし、性機能障害がおきたからといって、本来その人の持つ男らしさに何ら影響を及ぼすものではありません。

性に対する問題は非常にデリケートでプライベートなものであり、医療従事者に相談するような内容ではないと思い込んだりしていませんか。性機能障害の相談は、男性の場合泌尿器科となります。泌尿器科を受診し、適正な評価を受け治療法を選択します。その結果、勃起不全であればクエン酸シルデナフィル(バイアグラ)などの薬物療法が検討される場合もあります。バイアグラの使用に関しては医師が処方の前に必ず診察・心電図測定して心機能のチェックを行い、処方が決定したら服用に関する説明が行われます(バイアグラは保健適応外なので、全額自費負担となります)。この薬は副作用での死亡例も報告されていますので、必ず医師に相談の上、処方を受けて、適正に服用しましょう。

性機能障害のサポートにはパートナーの理解と支えが必要です。「いわなくてもわかるだろう」と、口を閉ざしてしまって気持ちがすれ違うより、いたわりの気持ちを持って話し合ってみるのもひとつの方法です。また、専門職からの説明時にパートナーに同席してもらうと、パートナーの理解がより深まり、適切な対応ができるでしょう。

一口に性機能障害といっても原因、障害の程度、治療法と個人差があり、また時間が経過するにつれて回復することもあり、長い目で経過をみていく必要があります。他人には相談しにくいことでもありますが、勇気を持って担当医に相談し前向きに取り組んでいくことが大切です。
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