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大腸がん手術後のストーマケア

更新日:2015年10月05日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2000年06月07日
更新履歴
2015年10月05日 ページタイトルを「ストーマケア」から「大腸がん手術後のストーマケア」に変更しました。
2015年09月14日 内容を全面的に更新しました。
2004年12月15日 更新しました。

1.ストーマとは

ストーマ(stomaストマともいう)は、手術などによって腹壁につくられた排泄口のことで、人工肛門などの消化器ストーマと、人工膀胱などの尿路ストーマがあります。ストーマは、腸や尿管を腹壁の外に引き出して管の内側を折り返してつくられ、その外見、形状は人によってさまざまです。

消化管ストーマで代表的なものは人工肛門ですが、直腸がんの手術で直腸と肛門を切除する場合、あるいは大腸が閉塞して便が通過できない場合に、大腸や回腸(小腸)を用いて便の排泄口がつくられます。尿路ストーマ(人工膀胱)は、膀胱がんで膀胱と尿道の一部をとる必要がある場合に、小腸を用いた回腸導管や、尿管を用いた尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)によって尿の排泄口がつくられます。

肛門や尿道には括約筋という筋肉があり、自分の意思で排泄物を出したり我慢したりというコントロールをしています。しかし、ストーマは排泄のタイミングを自分の意志でコントロールできません。そのため、ストーマ装具を腹部に装着して排泄物を受けとめます。ストーマ装具は、排泄物を受けとめるストーマ袋(パウチとも呼ばれます)と、袋を取り付ける土台(面板、皮膚保護剤とも呼ばれます)からなります。ストーマ袋にたまった排泄物は、トイレなどに捨てます。

腸管を用いたストーマは、赤い色(腸管の内側の色)をしており、粘液でいつも湿っています。尿管を用いたストーマは肌色をしています。腹部につくられたストーマは一見「痛そう」に見えますが、痛みを伝える神経がないので、排泄時に痛みを感じることはありません。ただ、粘膜には血管が密集しており刺激や摩擦により出血しやすいので、傷つかないようにケアする必要があります。

2.ストーマケア

1)ストーマ造設術前

手術前に担当医や看護師からストーマの造設について、また、ストーマ装具やストーマケア、日常生活などについて説明があります。手術前は不安や疑問を感じている方がほとんどです。少しでも不安や疑問を軽減できるよう、ストーマの基本的な知識を事前に得ておくとよいでしょう。

ストーマを造設する位置は、手術前に医師、看護師が、いろいろな条件を検討して決め、腹部に印をつけます。このような機会にストーマについて疑問な点を聞くのもよいでしょう。

2)ストーマ造設術後

手術のすぐあとのストーマは紫がかった赤色をして、むくんでいるので大きく見えますが、徐々に血液の循環が改善し、鮮やかな赤色に変化していきます。また、数週間でむくみも落ち着き、本来の大きさになります。

はじめのうちは看護師がストーマ装具の交換を行います。その後は体力の回復状況に合わせて看護師が説明しますので、徐々にご自身でできるようになります。

3)ストーマ装具の交換方法

以下に掲載しているストーマ洗浄法・ストーマ装具装着法は、排泄物を受けとめるストーマ袋(パウチとも呼ばれます)と、袋を取り付ける土台(面板、皮膚保護剤とも呼ばれます)が一体となった型(ワンピース型)の一例です。袋と土台がわかれたツーピース型の装具もあります。ストーマ装具の選択、やケア方法は個人によってそれぞれ違います。おかかりの病院でご確認ください。
(1)石鹸を使って流水で手を洗う

(2)お湯、石鹸または弱酸性洗浄料、ガーゼ、剥離剤、ごみ袋、ストーマ装具を用意する
図1 ストーマ装具交換時に必要な道具類
図1 ストーマ装具交換時に必要な道具類
(3)皮膚を刺激しないように、装具の縁を静かに少しずつはがしていく
図2 ストーマ装具のはがし方
図2 ストーマ装具のはがし方
(4)石鹸をよく泡立て、ストーマの周囲の皮膚をやさしく丁寧に洗う
図3 ストーマ周囲の洗い方
図3 ストーマ周囲の洗い方
(5)濡れたガーゼまたはシャワーなどで石鹸分を完全に落とす。水分を拭き取り、よく乾かす

(6)皮膚を観察する

(7)はがした装具の皮膚接着面を観察し、ふやけ方や溶け方を確認する。溶け具合などを装具交換時期の目安とする
図4 皮膚保護剤のふやけ・溶け具合
図4 皮膚保護剤のふやけ・溶け具合
(8)ストーマに合わせて装具を貼りつけ、周囲を押さえて密着させる
図5 ストーマ装具の貼り方
図5 ストーマ装具の貼り方
(9)下端のプレートを手前に折り、ストーマ袋の口を閉める
図6 ストーマ袋の口の閉め方例
図6 ストーマ袋の口の閉め方例

4)ストーマ周囲の皮膚のただれ(スキントラブル)の対処

ストーマ周囲のトラブルの原因には、次のようなものがあります。
  • 排泄物の接触
  • 皮膚保護剤が合わない
  • 装具を剝がすときの刺激
  • 発汗による細菌感染
これらのトラブルの予防、改善のためには、以下のような適切なストーマケアが大切です。
  • ストーマ装具を剝がすときは、ゆっくり剝がす
  • ストーマ周囲の皮膚は優しく洗う
  • 土台のストーマ孔は、ストーマより1~2mm大きめにカットし、小さすぎたり大きすぎないようにする
  • ストーマ装具を貼ったあとに、装具が皮膚に密着するように、上からしっかり押さえる。
  • ストーマ周囲の皮膚にしわやくぼみがある、ストーマが陥没しているなどの場合は、医師や看護師にストーマケア方法を相談する
  • 装具の交換間隔や皮膚保護剤の選択について、医師や看護師に相談する

3.日常生活における留意点

基本的に制限されることはありません。ストーマケアの慣れや体力の回復に応じて活動を広げていきましょう。

ストーマ周囲の皮膚炎やその他ストーマに関する悩み事の相談に乗り、ストーマケアやストーマ装具などの情報や生活に役立つ情報を提供し、ストーマ保有者の方々を長期にわたり支援していくための専門外来として、ストーマ外来があります。特に問題がない場合でも医師や看護師がストーマの状態を確認しますので、定期的に受診しましょう。


ストーマ外来のある病院を探したいとき
外部サイトへのリンク一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会「ストーマ外来のある病院を探そう」

1)食事

ストーマをつくっても、特に食事が制限されることはありません。バランスのよい食事を心がけ、よく噛んで食べましょう。ただ、食物繊維は、とりすぎると腸管に溜まりやすくなることがあります。とりすぎに注意し、調理の工夫(繊維に逆らって切る、細かく切る、軟らかく煮るなど)をするといいでしょう。

体重の増減によりストーマの形が変化したり、しわやくぼみが生じることがあります。食事の量を徐々に増やしていきながら、活動量に見合った食事量となるように調整しましょう。体形の変化によりストーマケアがうまくいかないなどの不都合が生じる場合には、医師、看護師に相談しましょう。

2)下痢

下痢は、バランスのとれていない食事、過度の緊張やストレス、薬の副作用などで起こります。下痢をすると身体の水分が不足したり、電解質のバランスが崩れますので、スポーツドリンクなどを飲んで水分を補給するとよいでしょう。

<下痢のときの工夫>
  • 乳製品で下痢を起こしやすい方は、乳製品を控えましょう。
  • アルコール、カフェイン、炭酸飲料、脂肪、豆類やきのこ類などの不溶性食物繊維、香辛料、冷たい飲み物などは腸の働きを活発にしますので控えましょう。
  • 軟らかく消化のよいものを少しずつとりましょう。
  • ジャガイモやリンゴ、バナナ、ももなどの水溶性食物繊維をとってみましょう。ごはん、もち、うどん、パンなども便の軟らかさを調節する効果が期待できます。
  • 下剤を内服している場合は、減量または中止しましょう。

3)便秘

便秘とは、一定の期間、じゅうぶんな量の便が出ない場合をいいます。いろいろな原因がありますが、下痢と同じく過度の緊張やストレス、運動不足、バランスのとれていない食事などで起こります。また、薬の副作用などで起こることもあります。

<便秘のときの工夫>
  • 水分を多めにとりましょう。
  • 十分な食物繊維をとりましょう。
  • 朝起きてすぐに水や牛乳をとると腸の動きが活発になります。
  • 適度な運動をしましょう。
  • ビフィズス菌、乳酸菌を含んだ乳製品をとりましょう。
  • 下剤の種類と量を医師に相談しましょう。
下剤を服用しても便秘が続く、ガスが出ずに腹痛があるときは医師の診察が必要です。

4)ガスの音

ガスの80%は、食べるときに飲み込む空気によるものだといわれています。空気を飲み込まないように口を閉じて食べるなどの工夫をしましょう。また、食物の種類によってガスを多く発生するものもあるので、人と会う約束などがある場合は控えるとよいでしょう。ガスが出るときには、ストーマ装具の上に手を置くと、音が手に伝わって音の大きさを抑えられます。

<ガスを発生しやすい食品>
 ビール、炭酸飲料、豆類、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、ヤマイモ、貝類など

5)便や尿のにおい

ストーマ装具には防臭加工が施されていますので、トイレに排泄するとき以外、におうことはありません。においが気になるときには、排泄物の漏れがないか、排泄口が汚れていないか、ガス抜きフィルターから染み出ていないか確認してみましょう。それでも、便や尿のにおいが気になるときは、次の食品の摂取を控えてみましょう。

<においが発生しやすい食品>
  • ねぎ類(ねぎ、たまねぎ、にんにく、ニラ、らっきょうなど)
  • 肉や魚、卵、乳製品などの高タンパク質
  • 高脂肪の食品
  • ビール
また、ストーマ袋の中に入れる潤滑消臭剤なども市販されていますので利用すると安心です。

6)入浴

ストーマがあるからといって入浴を制限する必要はありません。ストーマ装具を付けたままでも、外しても入浴できます。入浴はストーマ周囲の皮膚を清潔にでき、腸の動きをよくするなどの利点があります。

(1)装具を付けたままの入浴

  • 入浴前には、袋の中の排泄物をトイレに流します
  • 袋は折りたたんでテープなどで留めておくとよいでしょう
  • 脱臭フィルターが付いている装具の場合は、水が入らないようフィルター用シールを使いましょう
  • 入浴後はストーマ装具についた水気をふきとり、よく乾燥させます

(2)装具を外しての入浴

  • 不意に便が出たときのために、ビニール袋やプリンなどの空きカップなどを準備しておくと安心です

(3)温泉や銭湯での入浴

  • 温泉や銭湯での入浴もできます。しかし、温泉の成分によりストーマ粘膜を刺激する可能性や、不意に排泄物が出る可能性がありますので、ストーマ袋を付けたままで入浴しましょう

7)睡眠

就寝前にストーマ袋を空にし、ストーマ装具がしっかり装着されていることを確認しましょう。尿路ストーマでは夜間ストーマ装具と蓄尿袋を接続し、蓄尿袋に流すことができます。水様便(回腸ストーマの人)の場合は、高分子吸収体をストーマ袋の中に入れ、便を有形化することもあります。

8)外出

外出の際は、予備のストーマ装具一式を持ち歩くと安心です。いつでも必要に応じてストーマ装具交換ができるようにしておけば心に余裕がもてます。
公共機関やショッピングセンターの施設構内などには多機能トイレがあり、オストメイト対応のトイレも設置がすすんでおり、ストーマ保有者が使いやすいようにシャワーや汚物入れ、着替え台などが備わっています。オストメイト対応のトイレ、多機能トイレには、このようなマークがあります。
図7 オストメイトマーク
図7 オストメイトマーク
事前に、外出先の近辺でオストメイト対応トイレのある施設を探しておくとよいでしょう。ウェブサイト「オストメイトJP」で、全国のオストメイト対応トイレの検索ができます。

外部サイトへのリンクオストメイトJP

9)衣服

ベルトやウエストゴムなどがストーマにかからないように工夫できれば、手術前と同様の衣服で構いません。ウエストのサイズを少し緩めたり、ストーマの位置にベルトがあたる場合はサスペンダー(ズボンつり)を利用するなどしてみましょう。ストーマ装具の下は夏冬関係なく蒸れるので、皮膚とストーマ装具の間の汗を吸収できるよう下着を工夫したり、パウチカバー(ガーゼなど)を用いるとよいでしょう。

10)スポーツ

体力の回復とともに徐々に手術前と同様に運動して構いません。散歩から始め、少しずつ運動量を増やしていきましょう。スポーツの前は排泄物を捨ててから行います。ストーマ装具が汗で剝がれたり、身体の動きでずれたりしないようにストーマ用ベルトを用いたり、テープで補強すると安心です。水泳や短時間の運動を行う際には、肌色で小さめの装具をご利用になると便利です。

11)仕事

仕事復帰の時期には、仕事の内容や術後の体力の回復状況などにより個人差がありますが、ストーマケアや日常生活に慣れたら、職場復帰が可能です。担当医から今後の診療スケジュールや体力回復の見通しなどの情報を得て、必要に応じて会社側へ伝え、今後の仕事と治療の両立について相談できる機会がもてるとよいでしょう。

病名を上司や同僚に話すかどうかは個々の判断によると思いますが、職場内に体調などを理解し支援してくれる人がいると心強いでしょう。

その他、通勤途中のトイレの場所(例えば駅のトイレなど)を確認しておくと、万一のときにあわてずにすむでしょう。

がんと仕事のQ&Aもご参照ください。

12)学校

仕事復帰と同様に、ストーマケアや日常生活に慣れ、体力が回復したら学校へ復帰できます。これまでの学校生活と同様に過ごせるよう、自分で装具交換や排泄処理ができるようになっておきましょう。

担任の先生や養護教諭の先生に、ストーマケアについて具体的な内容を説明し、理解を得られる体制をつくっておけると安心です(例えば、身体をぶつけ合う激しい運動は見学にする、授業途中でもトイレに行くことができる、など)。

13)旅行

体力が回復してきたら、これまで通り自由に旅行できます。まずは一泊旅行から始めて、徐々に自信をつけていくとよいでしょう。
車で旅行する場合、車内が高温になる場所に装具を置きっぱなしにしないよう注意してください。土台の皮膚保護剤の粘着力が低下したり変形する可能性があります。

長期海外旅行の際は、担当医に相談し、英語や渡航先の言語で書かれた診断書を作成してもらい、空港でストーマについて質問されたときの説明文を準備しておくと安心です。飛行機に乗る際、ストーマばさみは機内に持ち込めませんので預ける荷物の中に入れておき、機内持ち込み用の装具の土台の穴は事前にカットしておくとよいでしょう。

13)性生活

事前に排泄物を処理して小さめのストーマ装具を利用したり、装具にカバーをかけたりなどして工夫するとよいでしょう。また、負担のない体位をパートナーと協力して工夫したり、潤滑剤などを利用したりするとよいでしょう。お互い焦らずパートナーを思いやる気持ちが大切です。
女性の方は、ストーマを保有しながら妊娠・出産もできますので、希望される場合は担当医に相談してみましょう。
男性の方は、術式によっては勃起不全などの性機能障害が生じる場合があります。心配なことは担当医に相談しましょう。

4.社会的なサポートについて

1)助成制度

永久的なストーマをつくった方は、身体障害の認定が受けられます。認定されると身体障害者手帳が交付され、ストーマ装具の給付や公共交通機関の割引、携帯電話料金の割引、税金の減免などの諸助成を受けることができます。お住まいの市区町村の障害福祉係の窓口で手続きの方法や申請できる条件、サービスの詳しい内容などをご確認ください。

2)患者会

ストーマ保有者とそのご家族の会が全国にはいくつもあります。患者会は、よりよい社会復帰を目指して、互いに励ましあいながら悩みや不安を解消していく場であり、たくさんのストーマ保有者の方々が入会されています。わが国で最も大きい患者会は公益社団法人日本オストミー協会です。日本各地域に支部を置き、活発に活動しています。お住まいの近くの支部や全国のストーマ外来を紹介してくれます。

外部サイトへのリンク公益社団法人日本オストミー協会
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