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上肢切断・離断後のリハビリテーション

更新日:2004年12月02日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2004年12月02日 更新しました。
1996年06月04日 掲載しました。

1.切断・離断とは

切断とは、手が骨の部分で切り離された状態をいいます。一方、関節の部分で切り離された状態を離断といいます。切断・離断は、主に皮膚科・整形外科領域の病気の場合に行われます。腫瘍が広範囲におよび、手に栄養を運ぶ血管を安全に残すことができない場合や、腫瘍の部分だけを手術しても再発の可能性が高い場合に行われます。

切断・離断術後には、幻肢や幻肢痛がおこることがあります。幻肢とは、手術でなくなっているはずの手が残っているような感覚です。この幻の手にしびれや痛みを感じる場合を幻肢痛といいます。幻肢や幻肢痛は手術後におこる正常の反応です。薬を必要とする場合もありますが、多くは訓練を進めるうちに消失します。

切断・離断後も残された機能を十分に生かすとともに、切断・離断された手の機能や形態を補うための人工の手(義手)を用いて日常生活ができるようになります。

2.義手の種類

義手はたくさんの種類があり、その人の障害に合わせていろいろな工夫ができます。機能的に分けて装飾用、作業用、能動式の3種類があります。また切断・離断部位によって、肩義手、上腕義手、肘義手、前腕義手、手部義手に分けられます。主な義手を機能別に紹介しましょう。

1)装飾用義手

腕や手の外観を整える目的のもので、ウレタンなどやわらかい素材で表面がつくられており、指も5本あります。しかし、手先を動かすことはできません。

2)作業用義手

外観よりも種々の作業に適することを目的につくられているもので、作業に応じて簡単な操作で手先器具を交換できます。

3)能動式義手

身体の運動を利用して手先器具の開閉や肘継手をコントロールする義手です。装着者の操作で職場や家庭での軽作業ができます。

3.切断・離断後のリハビリテーション

手術を行った直後から義手を装着して実際の生活に適応するまでに、段階的なリハビリテーションが必要になります。では、具体的なリハビリテーションを紹介しましょう。

1)切断・離断直後

この段階は、義手装着訓練をスムーズに行うために、切断・離断端のむくみと筋肉などがこわばって関節が固まっておこる関節の拘縮(こうしゅく)を予防することが大切です。むくみを予防し、切断部位をかたちよく整えるために切断・離断端に弾力包帯やギプスを巻きます。さらに切断・離断した腕や手を心臓より高い位置に保ち血液の循環をよくすることも大切です。

2)義手装着前訓練

手術後数日目から残された関節の正常な動きを保つための関節可動域訓練や切断・離断端の強化訓練を行います。

最初は、関節を動かさず筋肉を動かす運動をはじめます。まず、自分でできる運動、例えば布団の中で全身の伸びをするのもいいでしょう。

傷の抜糸が終わったら次の段階の運動です。例えば、上肢切断の場合の関節可動域訓練として次のような運動があります。

  • 両手を横上方や前上方に上げたり、後ろへ上げる運動
  • 両手を肩の高さに上げて肩をひねる運動
必ず両手で行い、鏡を見ながらバランスに注意しましょう。運動量の目安は、関節や筋肉が痛みを感じる前にやめて繰り返し行います。

また、切断・離断端の皮膚の強化訓練として次のようなことをします。

  • 手や小枕などで断端をたたく
  • 断端を砂嚢(さのう)のようなかたい枕で圧迫し刺激する
それとあわせて片手動作の訓練をします。切断肢が利き手であれば、利き手交換の訓練も必要です。片手で食事、排泄、入浴、書字などの生活に必要な動作ができるように訓練を行います。

3)義手装着訓練

手術後約1ヶ月で断端を採型し仮義手がつくられるので、義手の装着訓練をはじめます。義手は肩たすきや胸部バンドにより保持されています。肘や手先をコントロールするためのケ−ブルもついています。ひもやバンド類が多くもつれやすいため、机の上に置いて装着の訓練を行うとよいでしょう。手術後数ヶ月で本義手ができますが、訓練は仮義手の段階から行います。

その後、上腕義手の場合は肘継手のロック・コントロール訓練、肘継手の屈曲訓練、手先の開閉動作訓練が行われます。そして、次に義手を使っての実用訓練になります。

4)義手使用訓練

基本訓練として、手先の位置の設定、利き手の決定、握る、離すなどの反復訓練が行われます。その後、日常生活に必要な動作の訓練です。例えば、食事動作訓練、衣服の着脱訓練、事務動作訓練(電話、書字、ワープロ)、整容動作訓練(入浴、歯みがき、ひげそり)、自動車運転などです。適切な訓練によって義手を用いてたくさんのことができるようになります。生活を楽しむためにチャレンジしてみましょう。

4.義手装着時のチェック

義手装着時は次の点に注意しましょう。

  • 圧迫部位はないか
  • 痛みや筋肉の疲労部位はないか
  • 異常音や、がたつきはないか
  • 皮膚の異常はないか
異常を感じた時には、担当医、理学療法士、義肢装具士に相談しましょう。

5.心の問題

切断・離断には、身体的な機能障害の他に心理的な問題が生じます。手の一部を失うことは、自分の身体に対するイメ−ジを損ない、心理的な混乱をもたらすことがあります。しかし、この混乱は事実を受け入れる段階として必要なことなのです。

担当医や看護師は、手術前から心理面の変化に対しても対応し、受け入れていく過程の支援をします。また理学療法士やソ−シャルワ−カ−も相談に乗ります。同じような手術を受けた人に会い、話を聞くこともできます。

患者さんだけでは解決が難しい問題もご家族をはじめ多くの人々の支えがあれば、乗り越えることができるでしょう。失うことばかりを考えるのではなく、義手を用いてたくさんのことができるようになるという前向きの姿勢が大切です。

6.障害者にかかわりのある法律と相談窓口

*身体障害者福祉法(身体障害者手帳の申請)

この法律は身体障害者の生活の安定のためにあります。該当者には身体障害者手帳が交付され、障害の種類とその等級によっていろいろなサービスが受けられます。

*福祉事務所(都・区・市が設置)

身体障害者福祉司やケースワーカーが、身体障害者手帳の交付、施設への入所、装具の給付、身体障害者住宅などの相談、指導を行っています。

*社会保険事務所

健康保険の継続療養や傷病手当金の給付など障害者年金の手続きを行っています。

*公共職業安定所

職業紹介、職業指導、雇用保険などの窓口や身体障害者の専用窓口が設けられています。

*理学診療科のある病院、または身体障害者福祉センター

義肢装具の製作から義肢装着訓練、日常生活や職業訓練などが受けられますが、施設によって異なりますので、相談内容を問い合わせて下さい。

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