ドナーは採取日の1〜2日前に入院し、大きな問題がなければ骨髄採取2日後に退院となります。全身麻酔をして骨髄採取を行います。うつぶせになった状態で、両側の腸骨(ちょうこつ:腰の骨)に針を刺して骨髄液を採取します。1回5ml程度、左右それぞれ50〜100回程度行います。針を刺す場所は少しずつずらしますが、皮膚に残る針のあとは、通常左右2、3ヵ所ずつくらいです。採取の時間は約1〜2時間です。採取後、数時間たったところで針を刺した部分の出血がないことを確認できれば、歩くことができます。採取後、一時的に熱が出ることがありますが、多くの場合、翌日には消失します。また腰の痛みが残りますが退院時には改善し、約1週間程度で消失します。退院2週間後に、体調の確認を外来で行います。
骨髄採取は多量の血液を採るので、採取後の貧血を避けるために輸血が必要になります。その際、他人の血液を輸血することによる感染などの危険性を避けるために、あらかじめ自分の血液(自己血)を保存しておきます。自己血の保存は、採取の3週間前から1週間前までの間に1回200〜400mlで1〜2回行っておきます。もともとの血液の状態によっては、貧血予防のため、同時に鉄剤を内服することもあります。保存した自己血は、採取時手術室で投与されます。採取量は骨髄全体のごく一部ですので、骨髄を採取したことによる身体への影響はほとんどありません。
最近、ドナーの方の骨髄採取の際の損害賠償保険ができました。この費用は、骨髄の提供を受ける患者さん側の負担となります。
骨髄と異なり、通常の末梢血の中には造血幹細胞はほとんどいません。しかしながら、化学療法後の白血球が回復する時期やG-CSFを投与したときには、末梢血の中にも造血幹細胞が現れます。これを狙って採取するのが末梢血幹細胞採取です。
それぞれの病気の治療として、有効な化学療法を行います。その後、白血球の回復の時期に合わせてG-CSFの注射を開始し、白血球の上昇をみながら採取の日程を決めます。採取は、血液成分連続分離装置を用いて行います。これは血液中の必要な成分(今回の場合は幹細胞を含んでいる部分)だけを集め、その他の不必要な成分(例えば赤血球など)はそのまま体に戻すことができる機械です。したがって骨髄採取のときのように、貧血が問題になることはありません。採取の際には腕に2ヵ所針を刺すか、あるいは首や足の付け根に管を入れて一方から血液を抜き、一方から幹細胞分離後の血液を戻します。採取時間は約3〜4時間で、最終的な採取量は約200〜300mlです。採取した細胞は移植時まで凍結保存されます。採取時に四肢のしびれ、吐き気を感じることがありますが、その際にはカルシウムを注射して対処します。採取は通常1〜3日で終了します。
ドナーの方は、採取予定日の4〜5日前に入院します。G-CSFを1日1回あるいは2回、皮下に注射します。白血球が増えるときに腰痛、頭痛等が出現するので、同時に鎮痛剤も服用します。毎日採血をして、白血球の上昇を確認してから採取を開始します。採取の方法は、自家末梢血幹細胞採取のときと同様に、必要な成分だけを採取します。採取終了後は1〜2日で退院となります。末梢血幹細胞採取のときにも、損害賠償保険に加入することができます。費用は、提供を受ける患者さんが負担します。
先に述べたように、臍帯血(さいたいけつ)は赤ちゃんが生まれるとき、一緒に出てくる胎盤から採った血液です。臍帯血は約50ml採取され、そのまま各地域の臍帯血バンクに預けられて凍結保存されます。現在、臍帯血採取ができる施設は限られています。