造血幹細胞移植の方法:[国立がん研究センター がん情報サービス]
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造血幹細胞移植の方法

更新日:2015年07月06日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2006年10月01日
更新履歴
2015年07月06日 過去の実施状況等に関する内容を削除しました。
2006年10月01日 掲載しました。

1.前処置療法

前処置療法(ぜんしょちりょうほう)とは、抗がん剤や全身放射線照射、ときに免疫抑制剤を組み合わせた、移植の前に行う治療のことです。がん細胞を殺してしまうため、あるいはドナーの細胞を受け入れられるように患者さん自身の免疫力を低下させるために、移植の約1週間前から行います。薬剤の種類や量、放射線照射量等は、病気の種類や造血幹細胞の種類、または患者さんの年齢や体の状態によって異なります。前処置療法では大量の抗がん剤投与や全身放射線照射により、通常の化学療法よりも強い副作用(口内炎、心筋障害、下痢、膀胱炎(ぼうこうえん)、肝機能異常、腎機能異常等)が出ることがあります。また、一時的に白血球が極度に減少することにより、感染が起こりやすい状態となります。同時に前処置療法の副作用として赤血球や血小板も減少するため、貧血に対してあるいは出血を抑えるために、適宜輸血を行っていきます。

2.造血幹細胞輸注

1)骨髄移植の場合

骨髄移植の場合、血縁ドナーあるいはバンクドナーから採られた骨髄液を、そのまま患者さんに入れます。採取される骨髄液は通常400〜1,000mlで、患者さんとドナーの方の血液型が一致している場合には、輸血と同じように点滴注射します。輸注時間は大体2〜4時間です。血液型が不一致の場合には、赤血球や血漿(けっしょう)を除く処理をしてからの輸注となります。その際、輸注液の量は約200ml程度に減少させます。血液型が違う場合、わずかに残ったドナーの赤血球が体内で壊れるため尿が茶色っぽくなることがありますが、一時的なもので心配いりません。輸注時、一時的に発熱やアレルギー反応が認められることがありますので、前もって副腎皮質ステロイドホルモンの点滴をする場合があります。

2)末梢血幹細胞移植の場合

移植前に患者さん自身、あるいはドナーから採られた末梢血幹細胞は、通常はいったんパックで凍結保存します。保存されていた細胞を移植当日に37度のお湯で溶かし、そのまま点滴で輸注します。保存パック数にもよりますが、輸注時間は大体30分〜2時間です。末梢血幹細胞の場合は、必要な細胞だけを集めて保存しているので、ドナーと患者さんとの間の血液型の不一致は問題になりません。

輸注時、発熱や頭痛、吐き気が生じることがあります。これは、ドナーの細胞を入れたことによる影響だけでなく、細胞保存の際に用いた細胞保護薬(DMSOという薬品)による作用と考えられています。輸注時に独特な臭いがすることがありますが、それはこの薬の臭いです。また、細胞凍結時に赤血球が壊れるため尿が茶色っぽくなることがありますが、一時的なものですから心配いりません。発熱やアレルギー反応等の副作用を避けるため、輸注前には副腎皮質ステロイドホルモンの点滴をする場合があります。

3)臍帯血移植の場合

臍帯血(さいたいけつ)は、赤ちゃんが生まれて臍帯(:臍の緒(へそのお))を切り離した後に、臍帯と胎盤に残っている血液を採取したものです。胎盤がお母さんの体に残っている状態で、臍帯に針を刺して採取します。お母さんが胎盤を出した後産(あとざん)の後に臍帯血を取り出す方法もありますが、一般的には後産の前が多いようです。赤ちゃんが生まれてから後産の間には時間がありますので、採取の作業は赤ちゃんやお母さんには全く負担はかかりません。保存された臍帯血は、移植前に臍帯血バンクから各移植施設に届けられ、各施設で保存されます。パックで凍結保存されていた臍帯血は移植当日に37度のお湯で溶かされ、注射器に集められます。凍結された臍帯血の量はとても少なく、大体20〜40ml程度です。したがって輸注は点滴の管から注射し、5〜10分くらいで終わります。臍帯血移植は輸注する臍帯血の量が少ないため、血液型の不一致は実際には問題になりません。

3.回復

個人差がありますが、前処置療法によって移植日の頃には白血球数がほとんど「ゼロ」に近い状態になります。移植した細胞が骨髄に入って白血球をつくり出すまでには時間がかかるので、白血球がほとんどない状態が2〜3週間続きます。この白血球が低い時期をなるべく短くするため、移植後に白血球を増やす薬(G-CSFといいます)を使うことがあります。しかしながらこの時期は、前処置治療による副作用で下痢や口内炎といった症状が出てくることが多く、白血球が少ないため多くの人が熱を出します。白血球の一部である好中球が500/μl(1μlあたり500個)を超えると“生着”(せいちゃく)と呼び、移植した細胞が新しい骨髄で血液をつくりはじめたことになります。その後、赤血球や血小板数の増加がみられ、輸血が不要になります。一方、まれに白血球が増えてこない、あるいは一度増えた白血球が再び減少してしまうということがあります。これを“生着不全”(せいちゃくふぜん)といいます。この場合、さらに追加して造血幹細胞を入れたり、ドナーのリンパ球(白血球の一部)を入れたりして対応します。同種移植の場合、白血球が増えてくると「移植片宿主病(Graft versus Host Disease; GVHD)」と呼ばれる、ドナーの白血球が患者さんを攻撃する反応が起こります。GVHDを予防するために、移植前から免疫抑制剤が投与されていますが、皮疹(ひしん)、下痢、黄疸(おうだん)等の症状が起こる場合があります。この場合、免疫抑制剤の増量や追加で対応します。

生着が確認されると、無菌室から出て一般病棟で生活することができます。感染症状がなく、食事がとれるようになり、免疫抑制剤の量が安定したら退院です。

しかしながら、白血球数は回復しても機能は十分回復していないため、通常では問題にならないようなウイルスや真菌(カビ)による感染を引き起こすことがあります。免疫力が普通の人と同じくらいまでに回復するのに、1〜2年はかかると考えられています。また、同種移植の場合には、移植後100日を超えても慢性GVHDが出てくる可能性があります。皮疹、肝障害が中心ですが、角膜炎、口内炎、筋炎、関節症状、細気管支炎等、多様な症状が出る場合があります。GVHDは重篤(じゅうとく)になると治療が難しくなるので、早期に対応することが大切です。

このように移植後もさまざまな問題が起こりうるので、定期的な通院で検査を行いつつ経過をみていきます。
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