造血幹細胞移植には、正常な造血機能を構築できる造血幹細胞が必要です。この造血幹細胞をどこから得るかによって、造血幹細胞移植を大きく2つに分類します。すなわち、患者さん自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・保存し、それを移植に用いる「自家造血幹細胞移植」と、ドナーの方から提供された造血幹細胞を移植に用いる「同種造血幹細胞移植」です。同種造血幹細胞移植の「同種」とは「同じ種類の生物」という意味で、ヒト(ドナーの方)の造血幹細胞をヒト(患者さん)に移植することです。
自家移植では、患者さん自身の造血幹細胞を使用するため、ドナーを探す必要はありません。移植に必要な造血幹細胞は、ほぼ必ず得ることができます。最近では、自家移植に用いる造血幹細胞は、ほとんど末梢血幹細胞から採取します。患者さんの状態や疾患によっては、自家骨髄採取を行うことがあります。採取された造血幹細胞は、いったん凍結保存されます。凍結された造血幹細胞は、少なくとも5年程度は問題なく保存できます。移植に当たっては、大量の抗がん剤や全身放射線照射などの移植前治療によって、患者さんの体内にあるがん細胞を壊滅させます。自家移植では、この移植前治療の抗腫瘍効果に期待して、原疾患の治癒を目指します。移植前治療によって、骨髄の造血機能も強く抑制されます。そこに、凍結保存されていた造血幹細胞を解凍して患者さんに移植します。移植された造血幹細胞は患者さん由来のものなので、ほとんどの場合は速やかに骨髄に生着し、骨髄の造血機能は回復します。患者さん自身の造血幹細胞を移植するので、移植後に免疫担当細胞と患者さんの体の間での免疫反応(拒絶反応)が起こることはありません。
自家移植では、あらかじめ患者さんの造血幹細胞を採取、保存しておく必要があります。造血幹細胞の採取は、原則的に患者さんの体内のがん細胞が最も少なく、かつ正常な造血機能が回復している時期に行います。こうした時期でも患者さんの体内には微量のがん細胞が残存していることがあるので、採取した造血幹細胞の中にも混入している可能性は否定できません。そしてこの混入したがん細胞が、自家造血幹細胞移植後の原疾患の再発に関与している可能性があります。また、自家造血幹細胞移植では、後に述べる同種免疫反応による抗腫瘍効果は期待できません。
一方、同種移植は、まず造血幹細胞を提供してくれるドナーの方を探す必要があります。血縁者あるいは非血縁者で、HLAと呼ばれる白血球の血液型が一致、あるいは類似しているドナー候補を検索するか、HLAの条件が合った臍帯血(さいたいけつ)を検索しなければなりません。HLAには非常に多くの型があります。すべての患者さんに対して、移植に適切なHLAを持ったドナーの方がいるわけではありません。HLAが一致したドナー候補が見つかったとしても、ドナーとして適格であるためにはさまざまな条件が必要です。血縁ドナーから提供される場合は、骨髄採取あるいは末梢血幹細胞採取のいずれかの方法が選択されます。非血縁ドナー(骨髄バンク)の場合は、骨髄採取によって造血幹細胞が提供されます。
HLAについては「造血幹細胞移植の副作用:移植片対宿主病 2.HLAとは?」、ドナーの条件については「造血幹細胞移植の対象となる病気 3.ドナーの条件」をご参照ください。
同種移植の場合には、採取された造血幹細胞の中にがん細胞が入っていることはありません。患者さんは移植の約1週間前から移植前治療を受けていて、ドナーの方からの造血幹細胞採取は移植のスケジュールに合わせて実施することが多いため、同種移植で造血幹細胞を凍結保存することはあまりありません。ドナーの方の都合や、患者さんの移植のタイミングによっては採取した造血幹細胞を凍結保存することもありますが、その方法は自家移植の場合と同様です。
移植前治療によって、患者さんの体内にあるがん細胞と骨髄の造血機能は強く抑制されます。同時に、患者さんの免疫機能も抑えられます。そこに、ドナーから採取した造血幹細胞を移植します。患者さんの体内に入った造血幹細胞は患者さんにとっては異物なので、移植前治療によって患者さんの免疫機能が十分に抑制されていない場合には、移植した造血幹細胞が排除されることがあります。これを「拒絶」あるいは「生着不全」と呼びます。患者さんの骨髄に移植した造血幹細胞が生着すると、次第に造血機能は回復してきます。
造血機能が回復してきたころから、移植した造血幹細胞から分化したドナー由来の免疫担当細胞は、患者さんの体内で各臓器や組織を異物と認識し、その場所で免疫反応を起こすようになります。これが「移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう、Graft Versus Host Disease:GVHD)」と呼ばれる、同種移植における最大の合併症です。GVHDに対しては、免疫抑制剤やステロイドといった薬剤による予防や治療が必要になります。重症なGVHDは移植成績にもかかわるため、GVHDへの対処が同種移植では非常に重要になります。一方でドナー由来の免疫担当細胞は、患者さんの体内に残存するがん細胞に対しても免疫反応を起こし、がんを排除しようとします。これを「同種免疫反応による抗腫瘍効果」といいます。これは移植前治療と異なる機序で、がんを縮小させ、あるいは再発を予防する効果で、同種移植にのみ認められます。
GVHDについて、詳しくは「造血幹細胞移植の副作用:移植片対宿主病 1.移植片対宿主病とは」をご参照ください。
以上のように、自家移植と同種移植には多くの相違があります。一般的にはGVHDへの対処などが必要なため、自家移植に比べて同種移植は移植関連合併症の発症率が高いと考えられています。一方で同種免疫反応などの抗腫瘍効果は、同種移植のほうがより期待できると思われます。自家移植と同種移植のいずれを選択するかについては、原疾患の種類や病気の状態、患者さんの状況等から総合的に判断します。図1にわが国の造血幹細胞移植の症例数を疾患別に分け、自家移植と同種移植の内訳を表したものを示します。
図1 疾患別移植の種類(成人)

日本造血細胞移植学会平成17年度全国調査報告書より
AML:急性骨髄性白血病 ALL:急性リンパ性白血病 CML:慢性骨髄性白血病 MDS:骨髄異形成症候群
NHL:非ホジキンリンパ腫 HL:ホジキンリンパ腫 MM:多発性骨髄腫 AA:再生不良性貧血
ST:固形腫瘍
(神田.造血幹細胞移植診療マニュアル 2006 より改変)
同種造血幹細胞移植は、幹細胞を提供するドナーによって分類できます。そのポイントとして、血縁者のドナーか非血縁者のドナーかという点と、HLAが適合するドナーかHLAが不適合なドナーかという点があげられます。下記の分類に基づいて説明します。
白血球の型であるHLAには多くの種類がありますが、造血幹細胞移植ではHLA-A、HLA-B、HLA-DRの3種類が重要です。A、B、DRのそれぞれに2個の型があるので、造血幹細胞移植の患者さんとドナーの方との間では、原則的には6個の型を適合させる必要があります。HLAは遺伝によってその型が決定されるので、兄弟姉妹の間では1/4の確率でHLAが適合するといわれています。HLAが適合する血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植ではGVHDの発症頻度が低いため、移植関連合併症の発症率も低いことがわかっています。したがって、同種造血幹細胞移植が必要な患者さんのドナーを探す際には、まずHLAの適合する血縁者の有無を検索するのが一般的です。
日本骨髄バンクは1991年に設立され、現在約25万人がドナー登録をしています。骨髄バンクを通じた非血縁者間同種骨髄移植は1992年から開始され、現在までに約8,000例の移植が実施されています。現在では、移植を希望して登録した患者さんの約80%には、HLA-A、B、DRが適合するドナー候補が見つかるといわれています。しかし、実際に非血縁者ドナーから移植を受けることができたのは、登録患者の約1/3程度とされています。その最大の原因は、患者さんが骨髄バンクへ登録してから実際に骨髄提供を受けるまでに、かなりの時間を要することが考えられます。HLAが適合するドナー候補が見つかったとしても、そのドナーの健康診断や日程調整、骨髄を採取する病院との調整等、移植に至るまで多くの行程があるためです。
HLA適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の治療成績は、血縁者ドナーからの移植に匹敵するようになってきました。しかし、血縁者ドナーからの移植に比べてGVHDの発症頻度は若干高く、これが移植成績に影響を及ぼしています。最近では、HLAを遺伝子のレベルまで詳しく調べる検査方法が発達しています。HLAの型をより細かく適合させることが、GVHDの発症や移植関連合併症の発生率に関係することがわかってきました。今後の技術の進歩によって、HLA適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の治療成績は、さらに向上すると期待されます。
HLAの6個の型がすべて適合する血縁者ドナーが見つからなかったとき、その一部が異なるドナー候補を探すことがあります。6個のHLAのうち5個が適合している血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の成績は、HLA適合非血縁者ドナーからのものに匹敵すると報告されています(図2)。
図2 ドナー別の生存率の比較
A 病初期移植![]() |
B 進行期移植
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| Match:HLA適合血縁者間移植 Unrelated:HLA適合非血縁者間移植 1-locus mismatch:HLA1抗原不適合血縁者間移植 HLA適合血縁者間移植は病初期移植においては他の移植に比して成績が良好である. HLA適合非血縁者間移植とHLA1抗原不適合血縁者間移植の間には移植成績に差がない. (Kanda Y, et al. Blood 2003;102:1541 より引用) |
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非血縁者ドナーからの移植でも、HLAが不適合の場合はGVHDの発症頻度が上昇し、移植関連の合併症が増加することが知られています。しかし、HLA適合非血縁者ドナーが見つからない場合、6個のHLAのうち5個が適合している非血縁者ドナーからの移植を実施することがあります。このようなHLA不適合非血縁者間ドナーから同種造血幹細胞移植を実施する際には、免疫抑制剤によってGVHD予防を強化したり、移植関連合併症の発症に対処したりといった工夫が必要です。これらの技術の進歩によって、HLA不適合非血縁者ドナーからの移植は、HLA適合非血縁者ドナーからの移植に近い成績を上げるようになってきています。
造血幹細胞は骨髄に存在し、「分化」と「自己複製」という2つの機能を調節して、造血機能を維持しています。造血幹細胞は基本的には骨髄に存在しますが、特殊な状況下では、末梢血幹細胞として全身の血液中に流れ出すことがあります。また、赤ちゃんとお母さんを結ぶ臍帯(臍の緒(へそのお))と胎盤(たいばん)の中に含まれる臍帯血にも、造血幹細胞が存在しています。造血幹細胞移植は、移植に用いる細胞の種類によって、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の3種類に分類されます。
造血幹細胞は本来骨髄に存在するので、骨髄液を採取して移植することで、造血幹細胞を移植するという方法です。現在、血縁者間移植の約30〜40%と、非血縁者間移植で実施されている移植法です。骨髄液を採取するときには、ドナーは全身麻酔を受けることになります。骨髄液は、腸骨(ちょうこつ)という骨盤の骨から採取します。採取した骨髄液は、点滴や輸血と同様に、患者さんの静脈に輸注されます。移植された骨髄液に含まれる造血幹細胞が、骨髄に生着して正常な造血機能を回復するまでには、移植後およそ2〜3週間かかります。現在のような骨髄移植の方法は1970年代に開発され、以後30年以上にわたって発展し、確立された治療法といえます。
骨髄の採取方法について、詳しくは「造血幹細胞の採取方法 1.骨髄採取」をご参照ください。
骨髄の造血機能が活発になっているときや、G-CSFという白血球を増やす薬を投与した後には、本来骨髄に存在する造血幹細胞が、全身の血液の中に流れ出すことが知られています。このような幹細胞を、末梢血幹細胞と呼びます。この末梢血幹細胞を採取して移植に用いるのが末梢血幹細胞移植で、現在ほとんどの自家移植と、血縁者間移植の約60〜70%で行われています。血縁者間移植の場合、ドナーにG-CSFを4〜6日間にわたり連日投与し、末梢血に流れ出た造血幹細胞を「血球成分分離装置」という機械を用いて採取します。これをアフェレーシスといいます。末梢血幹細胞採取の場合、ドナーは全身麻酔を受ける必要はありません。採取した末梢血幹細胞は、患者さんの静脈から輸注されます。移植された末梢血幹細胞が骨髄に生着して正常な造血機能を回復するまでには、約1〜2週間を要します。骨髄移植に比べ、造血機能の回復が約1週間程度早いことが知られています。移植後の経過は骨髄移植の場合とあまり変わりませんが、末梢血幹細胞移植の場合、骨髄移植よりも慢性GVHDの発症率が高くなるという報告があります。末梢血幹細胞移植は、1980年代後半から臨床現場で実施されはじめた治療法です。血縁者間移植では、骨髄移植と末梢血幹細胞移植のいずれが優れた治療法であるかは、まだ結論が出ていません。また、ドナーの方にとって、骨髄採取と末梢血幹細胞採取のいずれがより安全であるかについても不明です。今後の研究の結果を待たなければなりません。血縁者間移植時に骨髄移植をするか末梢血幹細胞移植をするかについては、患者さんの原疾患や病気の状態、患者さんの全身状態、ドナーの方の健康状態等、さまざまな条件を検討したうえで選択する必要があります。
末梢血幹細胞の採取方法について、詳しくは「造血幹細胞の採取方法 2.末梢血幹細胞採取」をご参照ください。
従来、赤ちゃんとお母さんを結ぶ臍帯と胎盤は、分娩(ぶんべん)後に破棄されていました。しかし、この臍帯と胎盤の中に含まれる臍帯血に、造血幹細胞が存在していることが発見されました。この幹細胞を移植に用いるのが臍帯血移植です。現在では、「日本さい帯血バンクネットワーク」の全国の各臍帯血バンクに、約26,000本の臍帯血が凍結保存されています。臍帯血移植の最大の特徴は、幹細胞がすでに採取・保存されているため、移植が可能なHLAを有する臍帯血があれば、短期間で幹細胞を提供できることです。また、本来は破棄されていた臍帯血から幹細胞を採取するので、ドナーに対する負担がないことも大きなメリットです。臍帯血に含まれる幹細胞は、骨髄や末梢血に存在する幹細胞に比べ、より少ない細胞数で造血機能を回復させることができるといわれています。また、臍帯血移植は他の移植に比べてGVHDが起こりにくく、そのため6個のHLAのうち2個が不適合であっても移植が可能です。しかし、臍帯血中から採取できる幹細胞の数は限られていて、患者さんの体格によっては、移植に必要な量の幹細胞を得られないこともあります。
凍結保存されている臍帯血は、融解した後に直ちに患者さんの静脈から輸注されます。移植された臍帯血の幹細胞が骨髄に生着して正常な造血機能を回復するまでには、約3〜4週間を要します。骨髄移植あるいは末梢血幹細胞移植に比べて、臍帯血移植は造血機能を回復するまでに時間がかかるといわれています。それまでの間、患者さんは非常に感染しやすい状態に置かれます。また、臍帯血移植後は他の移植に比べ、慢性GVHDの程度が軽いのではないかともいわれています。
非血縁者間移植では、骨髄バンクを介した同種骨髄移植と臍帯血バンクを用いた臍帯血移植のいずれが優れているかについて、結論は出ていません。しかし、骨髄バンクと臍帯血バンクのそれぞれの特性を生かして相互に補完することで、非血縁者間移植が必要である患者さんに対して、造血幹細胞が適切に提供されることになると考えられます。表1に、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の比較のまとめを示します。
表1 骨髄移植,末梢血幹細胞移植,臍帯血移植の比較
| 骨髄移植 |
末梢血幹細胞移植 |
臍帯血移植 | ||
| ドナー |
長所 |
通常1回の採取で必要細胞数を確保できる 過去の実績があり,採取方法が確立している |
全身麻酔が不要である 自己血貯血が不要である |
ドナーに対する負担がほとんどない |
| 短所 |
全身麻酔に伴う合併症を認める 穿刺部の疼痛,出血,感染などの合併症を認める 移植前に自己血貯血を必要とすることが多い |
G-CSF投与に伴う合併症を認める アフェレーシスに伴う合併症を認める 1回の採取で必要細胞数を確保できないことがある G-CSF投与の長期的安全性が不明である |
分娩中あるいは分娩直後に臍帯血を採取する | |
| 患者 |
長所 |
慢性GVHDが末梢血幹細胞移植に比べて少ない |
造血回復が早い GVL効果が増強される可能性がある |
申し込みから提供までの期間が短い GVHDが起こりにくい |
| 短所 |
造血回復が末梢血幹細胞移植に比べて遅い |
急性GVHDが多い可能性がある 慢性GVHDが多い |
造血回復が遅い 移植可能な細胞数が限られている |
同種造血幹細胞移植の前には、移植前治療という大量の抗がん剤および放射線照射による治療が行われます。移植前治療の目的は、造血幹細胞移植の前にがん細胞をできるだけ死滅させることと、移植された造血幹細胞を速やかに患者さんの体内に生着させることです。しかし、移植前治療の大量の抗がん剤や放射線照射といった治療には強い毒性(治療関連毒性)があり、患者さんが高齢で体力が低下していたり、全身状態が悪かったりする場合には、こうした毒性に体が耐えられない危険性もあります。
一方、同種造血幹細胞移植では、移植した造血幹細胞に由来する免疫担当細胞が、患者さんの体内に残存しているがん細胞に対して免疫反応を起こして、がんを縮小させる効果が認められました。これを、同種免疫による抗腫瘍効果といいます。
そこで、従来より移植前治療の強度を弱めることによって治療関連毒性を軽減し、残存したがんに対しては、同種免疫による抗腫瘍効果を用いて治療を行うという方法が開発されました。これを「骨髄非破壊的移植前治療を用いた同種造血幹細胞移植(ミニ移植)」と呼びます。ミニ移植の「ミニ」とは、「移植前治療の強度を弱めた」という意味です。逆に、従来の強力な移植前治療を用いた造血幹細胞移植を、「骨髄破壊的前治療を用いた同種造血幹細胞移植(フル移植)」と呼ぶことがあります。
ミニ移植については「同種造血幹細胞移植:ミニ移植」をご参照ください。
ミニ移植の開発によって、従来は同種造血幹細胞移植の適応とならなかった55〜60歳以上の高齢者や、併存疾患を有する患者さんに対しても移植を実施できるようになりました。最近では、50歳以上の患者さんに対する同種移植で、ミニ移植はフル移植と同等の成績が得られたという報告もあります(図3)。
図3 50歳以上の患者に対するミニ移植とフル移植による同種造血幹細胞移植の比較

50歳以上の患者に対するミニ移植とフル移植の比較である。
ミニ移植の2年生存率は39%,フル移植の2年生存率は29%であり,ミニ移植の方が移植成績が良好であった。
(Alyea EP, et al. Blood 2001; 98: 3569 より引用)
ミニ移植は移植前治療に関連する毒性は軽減していますが、移植前治療による抗腫瘍効果も減弱しています。結果的に、移植後の原疾患の再発が増加する危険性が考えられます。ミニ移植が本当にフル移植と同等の成績が得られる治療法なのか、ミニ移植で用いられる移植前治療に最適な薬剤は何なのか、ミニ移植の適応となる疾患や病気の状態はどのようなものなのかなど、これから解決しなければならない問題は山積しています。今後の研究の成果が待たれます。