口腔(こうくう)がんの確立したリスク要因は、喫煙と飲酒とされています。全口腔がんの80%は喫煙習慣が原因で、たばこ対策により口腔がんが劇的に減少することが示されています。飲酒も単独で、また喫煙と相乗的に作用して口腔がんのリスクを高くするという根拠は、十分あるとされています。さらに、熱い飲食物もおそらく確実にリスクを高くします。一方、野菜や果物、中でも新鮮な果物の予防効果は、おそらく確実とされています。
これらの食物に豊富に含まれるビタミンC、E、β−カロテン等の栄養素不足や、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)との関連を示す研究もあります。
鼻咽頭(びいんとう)がんはまれながんですが、中国、台湾などの東南アジア地区で伝統的に食べられる塩蔵魚で、リスクが高くなることが確実とされています。特に、乳児期から幼少時代の摂取はリスクの増大につながります。また、ホルムアルデヒドの取り扱い作業との関連は、確立したリスク要因です。その他にEBウイルス(Epstein-Barr Virus)やHLAの多型についても関連が指摘されていますが、まだよくわかっていません。
多くのがんと異なり、喫煙・食物の影響は小さいとされています。一方、ニッケル、クロム等金属などの取り扱い作業や、木材・革製品等の製造で材料のくずなどに暴露(ばくろ)することとの関連が、確立したリスク要因とされています。
食道がんについては、喫煙と飲酒が確立したリスク要因とされています。特に扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんでは、その関連が強いことがわかっています。また、喫煙と飲酒が相乗的に作用して、リスクが高くなることも指摘されています。
食道がんが多くみられる南ブラジルやウルグアイでは、熱いマテ茶を飲む習慣があります。中国や日本、香港からも、熱い飲食物が食道粘膜の炎症を通して食道がんのリスクをあげることを示す研究結果が、多く報告されています。熱いものを飲んだり食べたりする食習慣が、おそらく確実なリスク要因でしょう。近年、欧米で急増している腺がんについては、胃・食道逆流症に加えて、肥満で確実にリスクが高くなるとされています。予防要因では、野菜や果物の摂取がおそらく確実とされています。
喫煙が胃がんのリスクを高めることは、多くのコホート研究でも一致して示され、確立したリスク要因とされています。一方、飲酒については、噴門部がんを除いて、関連があるとする根拠は十分とはいえません。食塩および高塩分食品については、胃がんのリスクを高めるとする疫学研究(えきがくけんきゅう)、またそれを支持する動物実験研究も多く、おそらく確実とされています。また野菜や果物の摂取、特に果物の摂取が、おそらく確実な予防要因とされています。ほかに、ビタミンC、カロテノイド、にんにく、緑茶等について、胃がんの予防要因候補とする研究結果が蓄積されつつありますが、まだはっきりとした結論は出ていません。
多くの疫学研究や動物実験等により、胃粘膜にすみつく細菌として知られるヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter Pylori) の持続感染は、確立した胃がんのリスク要因とされています。この関連は、胃の部位別には非噴門部がんでより強い一方、胃がんの組織型によっては差異がみられないことが、多くの研究の一致した結果です。
大腸がんでは、直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴は、リスク要因になります。特に、家族性大腸腺腫症(かぞくせいだいちょうせんしゅしょう)と遺伝性非ポリポーシス性大腸がんの家系は、確立した大腸がんのリスク要因とされています。生活習慣では、過体重と肥満で結腸がんリスクが高くなることが確実とされています。また、飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ等)は、おそらく確実な大腸がんリスクとされています。
国際がん研究機構(IARC)の評価では、喫煙が大腸がんのリスク要因であるとする科学的根拠は少なからずあるものの、十分とはいえないとされています。日本人を対象にした疫学研究を系統的に総括した論文(2006年)では、喫煙習慣は、日本人では大腸がんリスクを上昇させる可能性があるとの結論に達しています。部位別の判定では、直腸がんについてはリスク上昇の可能性がある一方、結腸がんについては不十分と判定されています。
その他、ヘテロサイクリックアミンやニトロサミン等が大腸がんのリスク要因である根拠が、限定的または不十分とされています。
大腸がんの予防要因としては、運動の結腸がん予防効果が確実とされています。また、従来「確実」とされていた野菜については、IARCのレポート(2003年)での新しい評価で、「おそらく確実」と変更されました。その主な理由は、最近発表されたいくつかの大規模なコホート研究の結果、予防的な関連が認められなかったことです。また果物は、同年のIARCレポートでは、大腸がん予防の可能性があるとされています。その他、可能性あり、またはエビデンス不十分な予防要因として、葉酸(ようさん)、カルシウム、ビタミンD、食物繊維摂取等があげられています。また、非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAIDs、アスピリンを含む)とホルモン補充療法が、リスクを減少させる要因としてあげられています。
肝がんは、肺がんや子宮頸(しきゅうけい)がんと並び、主要な発生要因が明らかになっているがんの1つです。肝臓がんの大部分(90%)を占める肝細胞がんの最も重要な要因は、肝炎ウイルスの持続感染です。ウイルスの持続感染によって、肝細胞で長期にわたって炎症と再生が繰り返されるうちに遺伝子の突然変異が積み重なり、肝がんへの進展に重要な役割を果たしていると考えられています。
世界中の肝がんの約4分の3は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染によるものです。日本では、肝細胞がんの80%がHCV、15%がHBVの持続感染に起因すると試算されています。このため、日本の肝がんの予防としては、肝炎ウイルス感染予防と肝炎ウイルスの持続感染者に対する肝がん発生予防が柱となります。
感染以外の肝細胞がんのリスク要因としては、大量飲酒、喫煙、食事に混入するカビ毒のアフラトキシンが確実とされています。ほかに、糖尿病患者でリスクが高いことや、コーヒー飲用者でリスクが低いことを示す研究結果があり、その確認が今後の課題となっています。
また、日本では少ないですが、タイ北東部などで高率に発生する胆管細胞がん(肝内胆管がん)については、淡水魚の生食習慣が感染源であるタイ肝吸虫(Opisthorchis Viverrini)やその他の肝吸虫の持続感染が、発生要因として知られています。
胆道(胆嚢(たんのう)、胆管)がんは発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られています。その中で、胆石や胆嚢・胆管炎、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵胆管合流異常症(すいたんかんごうりゅういじょうしょう)等の胆道系疾患の既往は、胆嚢がんのリスク要因として知られています。そして、胆嚢摘出術などによる治療は、胆道がんのリスクを低下させるという報告もあります。そのほか、女性であること、肥満や高カロリー摂取、野菜や果物の低摂取、出産回数が多いこと、特殊なものとしては、ある種の農薬との関連等がリスク要因の候補としてあげられています。
膵(すい)がんは、相対的には発生率が低かったことなどの理由で、疫学的な研究結果が限られています。膵がんのリスク要因として確立されているのは、喫煙だけです。少量から中程度の飲酒やコーヒーとの関連は、かつては注目されていましたが、今のところ否定的です。食事要因としては、高脂肪食や肉摂取がリスクを増加させ、また、野菜や果物の摂取がリスクを低下させる可能性が示されています。その他、糖尿病の罹患(りかん)や大量飲酒に伴う慢性膵炎によってリスクがあがるという一致した報告がありますが、さらに研究が進んだ段階で結論を出す必要があります。
喫煙および飲酒によって、確実に喉頭(こうとう)がんのリスクが高くなります。禁煙と飲酒はそれぞれが別々に、または双方が相乗的に働いて、喉頭がん発生のリスクを確実に高くします。その他、アスベストなどの職業性の暴露との関連が指摘されています。
肺がんのリスク要因を考えるうえで、喫煙習慣を切り離して考えることはできません。非喫煙者に対する喫煙者の肺がんリスクは、欧米では20倍以上とされていますが、日本ではそれよりも低くなっています。日本人を対象とした疫学研究のメタ・アナリシス(2006年)では、男性で4.4倍、女性で2.8倍という結果でした。また、組織型別では、扁平上皮がんについては男性12倍、女性11倍であるのに対し、腺がんについては男性2.3倍、女性1.4倍と大きな違いが示されています。欧米では、たばこが肺がんの発生原因の90%とされていますが、日本では男性で68%、女性では18%程度と推計されています。また、受動喫煙によって肺がんのリスクが高くなるという科学的根拠は十分あると評価され、受動喫煙がない者に対し、20〜30%程度高くなると推計されています。
その他、アスベスト、シリカ、砒素(ひそ)、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガス等の職業や一般環境での暴露、さらに、石炭ストーブの燃焼や不純物の混ざった植物油の高温調理により生じる煙(中国の一部地域)、ラドンなどによる室内環境汚染も、肺がんのリスク要因とする根拠は十分とされています。
野菜や果物の摂取、特に、果物はリスクの軽減につながっている可能性があるとされていますが、多くの研究で、喫煙など別の要因による結果への影響を完全に取り除けていない可能性があり、十分とはされていません。野菜や果物の中のどの成分が重要な役割を果たしているかについては、わかっていません。最も注目されたのが、抗酸化作用を持つβ−カロテンでしたが、欧米で喫煙者などハイリスク・グループを対象にして行われた2つの無作為化比較試験の成績は、β−カロテンを多く摂取(1日20〜30mg)すると、かえって肺がんリスクが20〜30%程度高くなるという結果に終わりました。そのため喫煙者では、高用量のβ−カロテンは、肺がんリスクを高くする根拠が十分とされています。
ほかに遺伝的素因として、発がん物質の代謝経路(たいしゃけいろ)にある酵素の活性などを決める遺伝子多型が、いくつか候補にあげられています。遺伝子関連の研究はまだ初期の段階にあり、根拠としては不十分です。
胸膜(きょうまく)および腹膜中皮腫(ふくまくちゅうひしゅ)は、そのほとんどがアスベスト(石綿)の吸引により発生します。アスベスト鉱山労働者やアスベストを扱う労働者に限らず、鉱山や工場周辺の住民、あるいは、労働者の家族にも発生しています。暴露が多いほど、また暴露歴が長いほど、リスクが高くなります。アスベストに暴露してから中皮腫が発生するまでの期間が長いのが特徴で、最短で20年前後、平均で約40年程度かかります。アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(青石綿)等のアンフィボール系のアスベストでリスクが高くなります。胸膜中皮腫はすべてのアスベストが原因となる一方、腹膜中皮腫は、クリソタイル(白石綿)では起こりにくいことが知られています。
詳細に調べれば、中皮腫患者さんのほとんどは過去に何らかのアスベスト暴露歴がありますが、特に女性では、明らかな暴露歴が見当たらない場合もあります。喫煙によってアスベストによる肺がんリスクは強められますが、中皮腫のリスクが強められることはないものと考えられています。
乳がんの発生、増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲンレベルに影響を与えるようなものがほとんどです。実際に体内のエストロゲンレベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高くなるという根拠は、十分とされています。
生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。また、体格では高身長、閉経後の肥満が確立したリスク要因ですが、閉経前乳がんについては、逆に肥満者でリスクが低くなることが指摘されています。
飲酒習慣により、乳がんリスクが高くなることは確実、また、運動による乳がん予防効果はおそらく確実とされています。その他の食事、栄養素に関しては、脂質、野菜、果物、食物繊維、イソフラボン等が注目されているものの、十分に根拠がそろっているものはまだありません。
その他、一親等の乳がんの家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳がんの確立したリスク要因とされています。
ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が、子宮頸がん、特に扁平上皮がんの確立したリスク要因とされています。子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤(しんじゅん)がんへの進展がみられやすいことがわかっています。子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、性的パートナーが多い、多産、他の性行為感染症が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用、低所得階層との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。
外陰がんは、HPV感染以外では、硬化性苔癬(こうかせいたいせん)が重要なリスク要因とされています。膣がんは、子宮頸がんに連続する病変である場合が多く、HPV関連疾患として、子宮頸がんと共通のリスク要因によると考えられます。
その他、妊婦がディ・エチル・スチル・ベストロール(DES)を使用すると、生まれた子どもの膣がん(明細胞腺がん)のリスクが高くなることが知られています。
子宮体がんは、エストロゲンによって増殖するタイプと、エストロゲンに関係なく発生するタイプに分けられます。確立したリスク要因としては、閉経年齢が遅い、出産歴がない、肥満、エストロゲン産生がんがリスク要因とされています。薬剤では、乳がんのホルモン療法に用いられるタモキシフェンや、更年期障害等に対するホルモン補充療法などで用いられる、エストロゲン製剤の単独使用等があげられます。
その他のリスク要因として、糖尿病、高血圧、乳がんや大腸がんの家族歴との関連が指摘されています。
また、絨毛(じゅうもう)がんの最大の確立したリスク要因は、胞状奇胎(ほうじょうきたい)です。正常妊娠と比較した場合、全胞状奇胎の絨毛がんリスクは1000倍以上高くなります。
卵巣がんの組織型は多様で、その発生も単一の機序では説明できません。卵巣がんの発生と強い関連性を示す単一の要因はありません。卵巣がんの発生には、複数の要因が関与していると考えられています。卵巣がんの確立したリスク要因は、卵巣がんの家族歴のみとされています。大部分の卵巣がんは散発性ですが、家族性腫瘍として、乳がんと同じくBRCA1、BRCA2遺伝子の変異が知られています。
ほかにリスク要因として、出産歴がないことが指摘されています。また、経口避妊薬の使用は、卵巣がんのリスクを低下させます。
婦人科疾患では、骨盤内炎症性疾患、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症がリスク要因として指摘されています。その他、可能性のあるリスク要因として、肥満、食事、排卵誘発剤の使用、ホルモン補充療法があげられます。
卵管がんについて確立した要因はありませんが、卵巣がんと同様の要因が関連していると考えられています。
前立腺がんの確立したリスク要因は、年齢(高齢者)、人種(黒人)、前立腺がんの家族歴とされています。動物実験などから、アンドロゲンが前立腺がんの発生に重要な役割を果たしているのではないかと考えられてきましたが、現在のところ、疫学研究ではこの仮説に一致する結果は得られていません。最近では、IGF-1によってリスクが高くなる可能性が指摘されています。
食事、栄養素に関しても、現状では確立された要因はありませんが、リスク要因として脂質、乳製品、カルシウムが、予防要因として野菜、果物、カロテノイド(中でもリコペン)、ビタミンE、セレン、ビタミンD、イソフラボン等が候補にあげられています。喫煙、体格、アルコール、身体活動についても、関連の可能性が探られています。
精巣がんの確立したリスク要因は、停留精巣の既往とされています。停留精巣を持つ男性の精巣がんリスクは、そうでない男性の2.5〜11.4倍と報告されています。ホルモン要因と遺伝要因も重要な原因と考えられ、胎児期のエストロゲン暴露、精巣がんの家族歴も、リスク要因の候補としてあげられています。また、後天性免疫不全症候群(AIDS)、耳下腺睾丸炎(じかせんこうがんえん)、EB(Epstein-Barr)ウイルス等の感染症で精巣がんのリスクが高くなることから、免疫系もリスク要因である可能性が指摘されています。
陰茎がんは、新生児期に包皮切除を行う習慣のある地域では発生率が低いことから、包茎、亀頭包皮炎、生殖器の不衛生がリスク要因ではないかと考えられています。梅毒や尖圭(せんけい)コンジロームなどの性感染症や、性的パートナーが多いこと、また、陰茎がんの男性を夫に持つ女性では子宮頸がんのリスクが高くなることから、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)感染もリスク要因の候補にあげられています。その他、光化学療法PUVA(ソラレン8-methoxypsoralen+UV-A)を受けている乾癬(かんせん)患者さんでリスクの上昇が報告されていて、紫外線もリスク要因となる可能性が指摘されています。
腎細胞がんの確立されたリスク要因は、喫煙と肥満(特に女性の肥満)とされています。その他、利尿剤服用(特に女性)、フェナセチン含有鎮痛剤が、リスク要因の候補にあげられています。ほかに、膀胱(ぼうこう)がんほど強い関連ではありませんが、アスベストやドライクリーニング従事者によるテトラクロロエチレン暴露等、職業性暴露が可能性のあるリスク要因として指摘されています。基礎疾患としては、von Hippel-Lindau病や結節硬化症、多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)がリスク要因とされています。
腎盂(じんう)・尿管がんについては、喫煙とフェナセチン含有鎮痛剤が、確立されたリスク要因とされています。
膀胱がんの確立されたリスク要因は喫煙です。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙のために発生するとの試算があります。
また、職業性暴露による、ナフチルアミン、ベンジジン、アミノビフェニルも確立したリスク要因とされています。
発展途上国では、ビルハルツ住血吸虫症がリスク要因である可能性が高いとされています。その他、リスク要因の候補として、フェナセチン含有鎮痛剤、シクロホスファミド、コーヒー、塩素消毒した飲料水があげられていますが、疫学研究では一致した結果は得られていません。
甲状腺がんは女性に多く、また若年に比較的多く発生するという特徴があります。甲状腺がんは、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がんに分類され、組織別にリスク要因が異なります。
甲状腺がんの確立されたリスク要因は、放射線被曝のみとされていますが、特に小児期の暴露は感受性が高く、乳頭がんとの関連が強いことがわかっています。
甲状腺組織の発達に関連する、甲状腺刺激ホルモン(Thyroid-Stimulating Hormone:TSH)の増加は、甲状腺がんのリスク要因ではないかと指摘されています。TSH制御に不可欠であるヨードは、摂取過剰で乳頭がんの、また、欠乏で濾胞がんのリスク要因となることが報告されています。
甲状腺がんの遺伝要因は強くはないものの、髄様がんは多発性内分泌腺腫症(たはつせいないぶんぴせんしゅしょう:MEN2A/B)として発生することや、家族性が強いことが報告されています。
【主要参考文献】
| 1. | Stewart BW and Kleihues, eds. World cancer report, IARC Press, Lyon (2003) |
| 2. | Schottenfeld D and Fraumeni JF, eds. Cancer Epidemiology and Prevention, Second Edition, Oxford University Press, New York - Oxford (1996) |
| 3. | Adami HO, Hunter D, Trichopoulos D, eds. Text book of Cancer Epidemiology, Oxford University Press, New York -Oxford (2002) |