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がん検診について

更新日:2011年08月03日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2006年10月01日
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2011年08月03日 更新しました。

1.はじめに

現在、わが国のがんによる死亡者数は年間30万人を超え、死亡原因の第1位を占めるようになりました。しかし診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見、そして早期治療が可能となってきました。がん検診はこうした医療技術に基づき、がんの死亡率を減少させることができる確実な方法です。

がん検診を正しく受けるためには、「がん検診を正しく知る」ことが必要です。正しい知識を持ってがん検診を受診しましょう。

2.がん検診の目的

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことでがんによる死亡を減少させることです。単に多くのがんを見つけることが、がん検診の目的ではありません。

1)検診の対象は症状のない人

無症状のうちに「がん」を早期に発見し治療することが大切です。無症状の人には進行がんが少なく、早期のうちにがんを発見することができます。そのがんを治療することにより、がんによる死亡のリスクを軽減することができます。

2)検診と健診

検診は特定の病気を発見し、早期に治療を行うことが目的です。具体的には、がん検診や糖尿病検診等があります。

健診は健康かどうかを確認し、健康上の問題がなく、社会生活が正常に行えるかどうかを判断します。学校健診や就職時の健診がこれに当たります。

3)がん検診の基本条件

最終的な目標であるがんによる死亡を減少させるためには、早期発見できる方法だけではなく、さまざまな条件が必要です。

(1)がんになる人が多く、また死亡の重大な原因であること

がん検診の対象は健康な人です。このため、がんが見つかる確率は必ずしも高いとはいえません。検診を行うのに向いているがんは、そのがんになる人が多いこと、またそのがんによる死亡が多いものです。こうしたがんは、がん検診により多くの人々の命を助けることができます。
具体的には、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸(しきゅうけい)がん等です。

(2)がん検診を行うことで、そのがんによる死亡が確実に減少すること

がん検診の目的は、早期発見によりそのがんで死亡する可能性を減少させることです。ただし、多くのがんを見つけるだけでは、その目的を達成することはできません。それは、がん検診により発見されるがんの中には、生命予後に影響を与えない、すなわち死亡原因にはならないものが含まれている可能性があるからです。がん検診により死亡を確実に減少させることができるかどうかは、科学的な方法に基づく検証が必要です。そうした科学的根拠に基づくことで、がん検診本来の目的が達成できます。

(3)がん検診を行う検査方法があること

多くの人を対象として行うことのできる検査方法が必要です。特定の施設や専門家でないと検査ができないなど、実施が困難な方法はがん検診には不向きです。検査のための医療機器や、検査を行う医師や検査技師等が十分確保できることも基本条件となります。

(4)検査が安全であること

どのような検査にも偶発症(医療行為に伴って予期せず起こる合併症)の可能性はありますが、その頻度は検査方法によって異なります。健康な人を対象に行う検査には、偶発症の可能性ができるだけ低いことが望まれます。

(5)検査の精度がある程度高いこと

がん検診で見つける目標となるのは、放置すると死亡に至る可能性の高いがんです。小さながんの中にも進行して死亡に至るものがありますが、生命に影響のないがんも多く含まれています。がん検診の目的は、小さながんを見つけることではありません。必ずしも非常に精度の高い検査である必要はなく、死亡に至る可能性の高いがんを、できるだけ正確に見つけることができる検査が、がん検診の方法として適しています。

(6)発見されたがんについて治療法があること

発見されたがんに対する治療法が確立している必要があります。効果的な治療法が確立していることより、救命が可能になります。

(7)総合的にみて、検診を受けるメリットがデメリットを上回ること

(1)〜(6)までの条件を備え、検診を受けるメリットが明らかに大きいと判断できれば、がん検診として適切といえます。このほかにも市町村で行う検診などについては、経済性についても検討される場合があります。

3.がん検診のメリット、デメリット

がん検診にはデメリットが付きものですが、メリットは検診によってはないこともあり、科学的に証明できてはじめてメリットがあるかどうかわかります。メリットがある場合にも、両者を比べてメリットのほうが大きいと判断できることが重要です。

1)がん検診のメリット

がん検診の目的は、早期発見により、そのがんで死亡する可能性を減少させることです。ただし、多くのがんを早期に見つけるだけでは、その目的を達成することはできません。それは、がん検診により発見されるがんの中には生命予後に影響を与えない、すなわち死亡原因にはならないものが含まれている可能性があるからです。死亡を確実に減少させることができるかどうかは、科学的な方法に基づく検証が必要です(「5.がん検診の効果とは」を参照してください)。そうした科学的根拠のある検診ではじめてがん検診本来の目的が達成できます。

効果があると判断されたがん検診の最大のメリットは、早期発見、早期治療による救命の効果です。症状があって外来を受診した場合には、がん検診と比べ、進行したがんが多く見つかります。一方、がん検診は症状のない健康な人を対象にしていることから、早期がんが多く発見されます。早期がんはそのほとんどが治り、しかも軽い治療ですみます。一方、進行がんは、臓器によって程度が違いますが、治すことができない場合が多くなります。

がん検診によってがんが早期に見つかるばかりではなく、いわゆる前がん病変が発見されることがあります。子宮頸がんにおける異型上皮、大腸がんにおける大腸腺腫(ポリープ)等がその例です。このような前がん病変は、それを治療することでがんになることを防ぐことができます。実際、検診によりがんを減らせることが、これら2つのがん検診ではわかっています。

がん検診を受けて「異常なし」の判定が下ったとしましょう。多くの人々は「がんがない」ことで安心します。これもがん検診のメリットということができます。

2)がん検診のデメリット

がん検診のデメリットとは、検診の欠点や検診を受けることによる不利益のことです。この項を設けた目的は、がん検診を受ける際には、このようなデメリットがあるということも十分に理解していただきたいからです。それでは具体的にデメリットを検証していきましょう。

(1)がん検診でがんが100%見つかるわけではないこと

どのように優れた検査でも、100%の精度ではありません。がんが発生した時点から、一定の大きさになるまで検査で発見することはできません。その可能性は、がんの種類や検査の精度によって異なります。さらに、がんそのものが見つけにくい形であったり、見つけにくい場所に出たりする場合があります。このため、ある程度の見逃しは、どのような検診であっても起こってしまいます。

(2)結果的に不必要な治療や検査を招く可能性があること

検診では、本来生命状態に影響しない、微小でその後も進行がんにはならないがんを見つける場合があります。これを「過剰診断」といいます。今のところ、このようながんと普通のがんを区別することはできません。そこで早期に治療することを重点に考えた場合、このようながんにも手術などの治療を行わざるをえないことになります。
次に、がん検診によってがんの疑いがあると判定され、精密検査を行ってもがんがない場合も多くあります。これを検診での「偽陽性」といいます。この「偽陽性」はある程度までは避けようがなく、精密検査を行ってはじめてそれとわかるもので、精密検査をしないわけにはいきません。
早期発見、早期治療のためにはある程度やむをえないことですが、結果的にみれば不必要な治療や検査が行われることがあります。

(3)検査に伴う偶発症の問題

偶発症の具体例としては、胃の内視鏡検査で出血や穿孔(せんこう:胃壁に穴を開けること)を起こすものがあります。極めてまれですが、死亡に至ることがあります。専門の学会の報告では、胃の検査では約1万件に1件(0.01%)、大腸の検査は約1,500件に1件(0.07%)となっています。またX線検査、CT検査等による放射線被曝によりがんの誘発や遺伝的影響があることも、極めて低い確率ではありますが、否定することはできません。例示した内視鏡検査では、検査を行う医師の技術向上や機器の改善が進められ、また、放射線被曝についても機器の開発、改善によってその影響を最小限に抑えられるようになっています。ただ、極めて低い可能性ですが、こうした偶発症が起こる可能性も理解しておいてください。

(4)受診者の心理的影響

がん検診を受ける場合、多かれ少なかれ心理的な負担があります。検診によって「がんがありそう(異常あり)」とされた場合、精密検査を受診しなくてはなりません。その場合、悪性か良性か、検査の結果が出るまでの間の心理的な負担は重いものです。しかし、がん検診のかけがえのない利点は、がんの早期発見と早期治療による救命ができることです。このメリットを生かすためには、医師や看護師からの十分な説明を受け、がん検診のメリットだけではなく、デメリットついても併せて知っておくことが必要です。

4.がん検診の流れ

がん検診は、一見健康な人に対して、「がんがありそう(異常あり)」、「がんがなさそう(異常なし)」ということを判定し、「ありそう」とされる人を精密検査で診断し、救命できる「がん」を発見することを目的としています。

がん検診は、「がんがある」、「がんがない」ということが判明するまでのすべての過程を指します。図1に示すように、がん検診を受けて「異常がない」場合は、定期的に次回の検診を受診することになりますが、「精密検査が必要」と判断された場合には、精密検査を受診することが必要です。「精密検査」を受診して、「異常なし、または良性の病変」であったときは、次回の検診へ。「がん」と判定された場合は、治療へ進むことががん検診の流れです。途中で精密検査や治療を受けない場合は、がん検診の効果はなくなってしまいます。
図1 がん検診のながれ
図1 がん検診のながれ

5.がん検診の効果とは?

近年、がん検診の効果を科学的な方法で評価したうえで、「効果がある」とわかってから公共の政策として実施するのが、国際標準となってきました。実は、がん検診にも効果があるものとないものがあるのです。

わが国でも、がん検診の効果の判定は行われています。この中で、科学的な方法によって、がん死亡率の減少が認められたのは、表1に示すいくつかの検診です。それ以外の方法は、今のところ効果があるかどうか不明、あるいは効果のない検診といえます。
表1 科学的根拠のあるがん検診
対象臓器 効果のある検診方法
胃X線
子宮頸部 細胞診
乳房 視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用
胸部X線と喀痰細胞診(喫煙者のみ)の併用
大腸 便潜血検査、大腸内視鏡

1)「発見率」だけではがん検診の評価はできない

検診を受けた人の中で、特定のがんが発見された割合を「発見率」といいますが、発見率だけでは、検診を正確に評価することはできません。なぜなら発見率は、対象となる集団の特徴によって大きく異なるからです。子宮頸がんや乳がん等、比較的40歳代に多いものもありますが、多くのがんは年齢が高くなるほど増加します。

同じがん検診を行っても、60歳以上の受診者が多い市町村の検診では発見率が高く、30〜40歳代が中心の職場の検診では発見率が低くなります。このように発見率の差は、がん検診の精度や医師の診断能力の差よりも、対象グループの年齢や性別に影響を受けることが多いのです。つまり、発見率が高くても必ずしも診断精度の高い検診であるとは限らないのです。

2)がん検診を評価するRCT(無作為化比較対照試験)の考え方

効果のあるがん検診かどうかを決めるには、いかに多くのがんを発見するか(発見率)ではなく、がんを発見したことによりそのがんによる死亡率を減少させる効果があるかどうかということが、判定の基準となります。それでは、がん検診が対象となるがんの死亡率を減少させる効果があるということを、どのようにして証明するのでしょうか。

がん検診の効果の最も信頼性が高い研究方法として認められているのは、無作為化比較対照試験(Randomized Controlled Trial : RCT)です。

図2に示すように、RCTは、検診の対象となるがんの死亡率が検診を行わないグループ(対照グループ)に比べて検診を行うグループ(検診グループ)で低下するかどうかを検証する試験です。研究に参加する人を類似の特性を持つ2つの集団にするために、くじ引きなどで振り分けます。そのようにしていわば双子のように似た2つの集団をつくり、そのうえで検診グループで、本当にがんによる死亡が減少するかどうかを長期にわたって追跡し検証するものです。

がん検診の効果を判定するための研究方法としては、ここに掲げたRCTのほか、コホート研究や症例対照研究等の科学的検証方法があります。これらの複数の研究を総合し、本当に効果があるがん検診は何であるかが検討されます。しかし、医療施設からの発見率や生存率などの報告、そして専門家の意見等は、がん検診の効果を判定するための根拠としては信頼性の低いものです。
図2 無作為化比較対照試験(Randomized Controlled Trial : RCT)の仕組み
図2 無作為化比較対照試験(Randomized Controlled Trial : RCT)の仕組み

6.部位別がん検診の実際

1)胃がん検診

男女ともに、40歳以上は年に1回、胃がん検診を受けましょう。

(1)胃がん検診の方法

胃の検査方法として一般的なものは、「胃X線検査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。この中で胃がん検診の方法として、“効果がある”と判定されている検査は、「胃X線検査」です。胃がん検診として、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」は“効果不明”と判定されています。

(2)胃X線検査(“効果あり”=○)

胃X線検査は、バリウム(造影剤)と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、胃の中の粘膜を観察する検査です。胃がんを見つけることが目的ですが、良性の病気である潰瘍(かいよう)やポリープも発見されます。検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は、70〜80%です。検査当日は朝食が食べられないなど、検査を受ける際の注意事項があります。副作用としては、検査後の便秘やバリウムの誤飲等があります。

(3)胃内視鏡検査(“効果不明”=△)

胃の中を内視鏡で直接観察する検査です。内視鏡を口から挿入するため、検査の準備として鎮痙剤(ちんけいざい:胃の動きを抑える注射)やのどの麻酔が必要です。胃内視鏡検査は胃の中の小さな病変を見つけることが可能で、胃X線検査でがんなどが疑われた場合、一般に精密検査として用いられます。ただし、注射や麻酔によるショック、出血や穿孔(胃の粘膜に穴を開けてしまうこと)といった医療事故の危険が、まれですがあります。検査を受ける前には、担当医から検査の準備と内容について説明を受けてください。

(4)ペプシノゲン検査(“効果不明”=△)

血液検査によって、胃粘膜の老化度(萎縮度(いしゅくど))を調べます。胃がんを直接見つけるための検査ではありませんが、一部の胃がんは萎縮の進んだ粘膜から発生することがあるため、この検査で胃がんが見つかることがあります。陽性と判定された場合は、胃がんになる可能性があるので、定期的な検診を受けることが望ましいといえます。

(5)ヘリコバクターピロリ抗体検査(“効果不明”=△)

血液検査によって、ヘリコバクターピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。ヘリコバクターピロリ菌は、胃がんの原因となりうる細菌ですが、感染した人がすべて胃がんになるわけではありません。ヘリコバクターピロリ菌が原因となる胃がんは、小児期にヘリコバクターピロリ菌に感染し、高齢化してから発症しますが、その数はごく少数です。40歳以上の70%がヘリコバクターピロリ菌に感染しています。この検査では感染しているかどうかはわかりますが、胃がんの診断はできません。

(6)胃がん検診の精密検査

胃X線検査では、約10%の人が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は2種類ありますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の程度”により選択されます。
1. 胃内視鏡検査
病変が疑われた部位を、内視鏡によって詳しく観察します。現在、精密検査には主にこの方法が用いられます。必要に応じて胃の粘膜に色素をつけたり、細胞を採る検査ができます。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学的に診断します。
2. 胃X線検査
病変が疑われた部位を詳しく撮影します。このため検査に時間がかかったり、撮影のため、おなかを圧迫したりすることがあります。

(7)胃がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]
40歳以上の方は、年1回、胃X線による胃がん検診を受けましょう。
[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]
治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。

2)大腸がん検診

男女ともに、40歳以上は年に1回、大腸がん検診を受けましょう。

(1)大腸がん検診の方法

大腸がん検診の方法として、「効果がある」と判定されている検査は「便潜血検査」、「全大腸内視鏡検査」です。がん検診の中でも効果が最もよくわかっている検診です。
図3 大腸がんの部位別頻度
図3 大腸がんの部位別頻度

(2)便潜血検査(“効果あり”=○)

がんやポリープなどの大腸疾患があると、大腸内に出血することがあります。この検査は、その血液を検出する検査です。便潜血検査が陽性になった場合には、その原因を明らかにするために、精密検査を受けることが必要です。病変から常に出血しているとは限りませんので、陽性になったから精密検査の代わりに、と便潜血検査を再度行うことは意味がありません。きちんと精密検査を受けることが大事です。
全大腸内視鏡検査と比べて検査精度は劣りますが、安全、簡単、安価で、一度に多くの検査が実施可能である等、検診方法として非常に優れた特徴があります。また、最も信頼性の高いRCT(無作為化比較対照試験)で効果がきちんと証明されています。

(3)全大腸内視鏡検査(“効果あり”=○)

大腸すべてを内視鏡で観察する方法で、がんやポリープに対する診断精度が非常に高いのが特徴です。
問題点としては、まれに出血や腸に穴が開く(穿孔)などの事故が起きる可能性があることです。また、比較的高度な技術を必要とする検査で、多くの受診者に行うことはできません。
専門施設では検診法の1つに入りますが、現時点では、検診法よりは主として精密検査のための検査法です。

(4)大腸がん検診の精密検査

便潜血検査では、約7%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は何種類かありますが、全大腸内視鏡検査が基本です。
1. 全大腸内視鏡検査
精密検査として第一に推奨される方法です。内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸の全部位を撮影し、がんやポリープなどの病変がないかを確認します。必要に応じて、大腸の粘膜の細胞を採る検査をすることがあります。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学的に診断します。検査の準備として、鎮痙剤(ちんけいざい:大腸の動きを抑える薬)や鎮痛剤の注射が必要です。全大腸内視鏡検査は大腸の中の小さな病変を見つけることが可能で、注腸X線検査でがんなどが疑われた場合にも用いられることがあります。ただし、注射によるショックや、内視鏡の操作によっては出血や穿孔(大腸の粘膜に穴を開けてしまうこと)といった医療事故の危険が、まれですがあります。検査を受ける前には、担当医から検査の準備と内容について説明を受けてください。
2. 注腸X線検査
肛門からチューブを挿入してバリウム(造影剤)と空気を注入し、大腸の全部位のX線写真を撮影して、がんやポリープなどの病変がないかを確認します。大腸のどこに病変があるのか、体の向きを変えながらさまざまな方向から撮影します。この検査ではがんの多い直腸、S状結腸がしばしばみえにくくなるため、S状結腸内視鏡検査を併用します。
検査前日には、検査のための準備食(検査食)と下剤を用い、検査当日の朝食は食べられません。また、検査中から検査後にわたり、大腸内に注入されたバリウムと空気でおなかの張った感じがします。さらにバリウムが原因となり、検査後に便秘することがあります。

(5)大腸がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]
40歳以上の方は、年1回、便潜血検査による大腸がん検診を受けましょう。
[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]
治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査や治療を受けてください。

3)肺がん検診

男女ともに、40歳以上は年に1回、肺がん検診を受けましょう。

(1)肺がん検診の方法

肺がんの予防には禁煙が何といっても重要で、検診の効果は限られています。
肺がんの検診方法として“効果がある”と判定されているのは「胸部X線検査」と、さらに喫煙者には「喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)」を組み合わせた方法があります。「喀痰細胞診」は単独では行いません。喫煙者として検査対象となるのは、喫煙指数が400以上あるいは600以上の方です。(※喫煙指数:1日の喫煙本数×喫煙年数)

(2)胸部X線検査と喀痰細胞診の併用(“効果あり”=○)

「胸部X線検査」は、肺全体のX線撮影です。「喀痰細胞診」は、主に喫煙者を対象として「胸部X線検査」に併用して行います。喀痰を採取して、気管支等のがんから痰に混じって出てくるがん細胞の有無を、顕微鏡で観察します。喫煙者などに発生する太い気管支の扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんなどは、この検査で診断をつけられることがあります。
「胸部X線検査」と「喀痰細胞診」の組み合わせによる検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は、70%前後です。

(3)胸部CT検査(“効果不明”=△)

CTスキャナーと呼ばれる検査装置の寝台に横になり、X線を用いて検査します。1回息を止めている間に、肺全体を連続的に撮影することが可能で、ミリ単位で画像を作成します。

(4)肺がん検診の精密検査

胸部X線検査の約3%、喀痰細胞診の約1%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。
精密検査の方法は、CT、気管支鏡等がありますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の有無”により選択されます。
1. 胸部CT検査
病変が疑われた部位を、CTによって詳しく撮影します。このため造影剤を注射したり、検査に時間がかかることがあります。
2. 気管支鏡検査
気管支鏡を口から気管支に挿入して、病変が疑われた部位を直接観察します。必要に応じて細胞を採る検査をすることがあります。採取した細胞は、悪性かどうかを診断します。

(5)肺がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]
40歳以上の方は、年1回、胸部X線検査による肺がん検診を受けましょう。
[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]
治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。

4)子宮頸がん検診

20歳以上の女性は、2年に1回、子宮頸がん検診を受けましょう。

(1)子宮頸がんと子宮体がん

子宮がんには子宮頸部と体部の2種類のがんがあり、両者はその部位もがんの種類も異なります。子宮頸がんは、子宮の入り口の頸部から発生します。
体がんは、子宮の奥にある内膜から発生します。内膜は生理のときにはがれてしまうので、閉経前に体がんが発生することはまれです。
子宮頸がんは、30〜40歳代に多く(10万人あたり10〜15人)、体がんは50〜60歳代が多く診断されます(10万人あたり20人)。体がんは閉経以降にそのリスクが高くなります。現在のところ、検診の対象となるのは子宮頸がんです。
図4 子宮の部位
図4 子宮の部位

(2)子宮頸がん検診の方法

子宮頸がん検診の方法として“効果がある”のは、「細胞診」です。進行がんになるのを防ぐことができ、がん検診の中でも効果の高い検診と考えられます。子宮体がん検診は、“効果が不明”です。

(3)細胞診(“効果あり”=○)

婦人科の専門医によって、子宮頸部の粘膜を採取し、がん細胞の有無やがん細胞の種類(組織型)を知ることができます。これを細胞診といい、この検査によって子宮頸がんの診断ができます。ただし生理中の場合、十分な検査ができない場合があります。検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は50〜80%です。検査後に、まれに出血することもあります。

(4)子宮頸がん検診の精密検査

細胞診では、約1%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は、組織診やコルポスコープ等がありますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の程度”により選択されます。
1. コルポスコープ
コルポスコープは、子宮頸部の粘膜表面を拡大し、細かい部分を観察できる医療機械です。この機械で観察するのと同時に粘膜の組織を採取して、悪性かどうかの検査をします。
2. 組織診
疑わしい部分から組織を取り、標本をつくって顕微鏡で診断する方法です。痛みはほとんどなく、まれに出血することもありますが、まもなく止まります。

(5)子宮体がんについては?

体がんの検診は、今のところ効果が証明されていません。むしろ、症状があれば必ず病院を受診するということが大切です。
子宮体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血することが多く、不正性器出血での発見が90%といわれています。少量でも出血があれば、すぐに医療機関を受診すれば早期発見が可能です。検査としては、体部の細胞を採って調べる体部細胞診が行われます。下着にしみがつくことや、下腹部痛も出血に次ぐ症状です。

(6)子宮頸がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]
20歳以上の方は、2年に1回、細胞診による子宮頸がん検診を受けましょう。
[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]
治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。

5)乳がん検診

40歳以上の女性は、2年に1回、乳がん検診を受けましょう。

(1)乳がん検診の方法

乳がん検診の方法として、“効果がある”のは、「マンモグラフィ」と「視触診」の組み合わせです。視触診単独の検診は“効果なし”です。「乳房超音波検査」は“効果不明”です。

(2)マンモグラフィ(“効果あり”=○)

マンモグラフィとは、乳房X線撮影のことです。この検査では、医師の触診だけでは発見できないしこりを診断することができます。小さな、とくに石灰化のある乳がんの発見に適しています。このほか、乳房の良性疾患などが診断できます。検査の感度(がんのある人を正しく診断できる精度)は、80〜90%です。検査時に乳房をできるだけ平らにして撮影するため、多少の痛みがあります。

(3)視触診(“効果なし”=×)

医師が乳房を診察し、しこりの有無を判断する検査です。触診で発見できるものは、ある程度の大きさのあるしこりに限られています。このため視触診単独では、検診としての効果がありません。

(4)乳房超音波検査(“効果が不明”=△)

超音波により、乳房の病変を検査する方法です。乳房超音波検査は、医師の触診だけでは発見できない小さいしこりや、しこりの良性、悪性の診断に用いられています。乳腺の発達した人や、若年者の検査に適しています。

(5)乳がん検診の精密検査

マンモグラフィと視触診の組み合わせによる検査では、約8%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は、マンモグラフィ、超音波、MRI、CT、穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)用語集アイコンや針生検等がありますが、その方法は、“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の有無”により選択されます。
1. マンモグラフィ
病変が疑われた部位を詳しく観察するため、多方向から観察します。
2. 乳房超音波検査
超音波により、病変が疑われた部位を詳しく観察します。
3. 乳房MRI検査
病変が疑われた部位を、MRIによって詳しく撮影します。このとき、造影剤を注射したり、検査に時間がかかることがあります。
4. 乳房CT検査
病変が疑われた部位をCTによって、詳しく撮影します。このとき、造影剤を注射したり、検査に時間がかかることがあります。
5. 穿刺吸引細胞診、針生検
しこりなど疑わしい病変が見つかった場合、細い注射針を刺して中の細胞や組織を採取し、悪性かどうか調べます。

(6)乳がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]
40歳以上の方は、2年に1回、マンモグラフィによる乳がん検診を受けましょう。
[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]
治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。 治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。
アンケートにご協力ください
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簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
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