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ポジトロンCT(PET)検査Q&A
更新日:2007年02月26日 掲載日:2001年10月05日
はじめに
最近、がんの診断でPET検査が注目されています。この検査は、従来の「がんの形を見る」、つまり形態を見る画像診断とは原理的に異なり、「がんの機能をみる」、つまり機能画像診断として非常に有用性が高いものです。しかしながら「すべてのがんが早期発見できる」、「100%確実に診断可能」といった、夢のような診断法ではありません。ここでは簡単にPETの原理や有用性、そして弱点等を説明します。
| Q1 |
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PET(ペット)って何? |
A1
PETとは、Positron Emission Tomographyの略で、ポジトロン(陽電子:注1)を放出するアイソトープ(注2)で標識された薬剤を注射し、その体内分布を特殊なカメラで映像化する新しい診断法です。ポジトロンCTとも呼ばれます。
PETで使用される薬剤(FDGと呼びます:注3)は、ブドウ糖をアイソトープで標識したものです。細胞はブドウ糖をエネルギー源として使っていますが、がん細胞は正常の細胞よりも活動性が高いため、栄養であるブドウ糖をたくさん取り込む性質があります。
したがって、FDGもがん組織に多く取り込まれ、この部分から正常組織よりも強い放射線が出てきます。放射線の量はがん細胞がブドウ糖を取り込む量、つまり活動性に比例するため、PETはがん細胞の機能(活動性)を反映する検査といってよいでしょう。
注1:
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ポジトロンというのは、陽電子といって、プラスの電気を帯びた電子のことです。ポジトロンは、マイナスの電気を帯びた普通の電子に出会うと結合して消滅し、γ線(ガンマ線)と呼ばれる放射線に姿を変えます。このγ線は、エネルギーが一定、放射方向が一定等の特徴があり、画像化するのに非常に適しています。PETではこのγ線を体外から観測して、薬剤の体内分布を映像化します。
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| 注2: |
アイソトープは同位元素と呼ばれ、原子番号は同じで質量数だけが異なった元素のことです。原子番号が同じ元素ということは、物理化学的な性質はほとんど同じということです。つまり、ある化合物の元素を同位元素に置き替えてもその性質は全く変化しないため、ブドウ糖やアミノ酸、ホルモンなど人体の生理活性物質を調べるのに非常に好都合です。放射能を出す同位元素を、特に放射性同位元素(ラジオアイソトープ)と呼び、これを利用した医療用検査を「核医学検査」と呼びます。PETも、核医学検査の1つです。
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| 注3: |
FDGは、正確には18F-FDG(2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース)と呼び、グルコースの水酸基の1つを18-Fに置換した構造です。18-Fの半減期は約110分です。
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| Q2 |
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PETで何がわかるの?(注4) |
A2
PETは、がんの性質(悪性度)診断や転移・再発巣の診断、あるいは治療効果判定に有用性が高い検査です。
通常の画像診断(X線CTやMRI、超音波検査等)はがんの「形や大きさ」を見る検査です。それに対してPETは、がん細胞の「活動性」、言葉を換えれば、「悪性度」まで知ることができると考えられています。例えば形は小さくてもPETで悪性度の高いがんであることがわかれば、手術の範囲を広くしたり、あるいは抗がん剤を併用するなど適切な治療方針に変更することが可能になります。
また、がんは離れた臓器に転移したり、いったん治療してもまた再発してくる場合があります。転移や再発がどの臓器に出現するかを予測することは困難なので、従来は可能性の高い臓器に対してだけ、CTや超音波検査等が行われていました。その点、PETは1回で全身を検査できる優れた特徴を持っているため、予期せぬところに生じた転移や再発を、早期に発見できる検査として期待されています。
さらに、がん細胞は死滅するよりも先に活動性が低下するので、PETを使えば、従来よりも早い時期に放射線治療や化学療法の効果判定を診断することが可能です。これにより、次の段階の治療方針を早く決めることができる場合もあります。
| 注4:PETの有用性が高い例を具体的に示します。 |
| 1) |
良悪性の鑑別
CTで肺に腫瘍が見つかったが、悪性か良性かの診断が難しいといわれた。 |
| 2) |
再発の診断
以前に大腸がんが見つかって手術をしたが、最近腫瘍マーカーが上昇してきた。 |
| 3) |
全身病変の検索
悪性リンパ腫や悪性黒色腫の病期(ステージ)。 |
| 4) |
リンパ節の質的診断
食道がん、肺がん等でリンパ節転移が疑わしいといわれた。
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| 5) |
治療効果判定
抗がん剤や放射線治療を受けたが、どの程度がんに効果があったのかわからない。 |
| このほかにも多くの種類のがんに有効ですが、以下の文章もご参照ください。
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| Q3 |
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PETの弱点は? |
A3
PETにも弱点がいくつかあります。その1つは空間分解能が悪いという点で、これは写真で例えれば、ピントがずれたような画像のことです。したがって、 PETの画像だけでは異常が発見されてもピントが悪いために、「病気がどこにあるのか」ということがはっきりとわからない場合があります(後述の「臨床例」を参照してください)。この解決策として、PETの画像を評価する際には必ずCTやMRIといった、空間分解能の高い画像と対比させて診断することが重要となります。
また、FDGは炎症巣にも集積することが知られています。例えば、肺炎なども異常集積としてとらえられるので、がんとの区別が難しい場合があります。
さらに、PETでは診断が難しい、あるいはその有用性が低いがんがいくつか知られています。例えば、胃がん、腎がん、尿管がん、膀胱(ぼうこう)がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病等です。
ただし、これらのがんは「原発巣の診断には向かない」ということで、遠隔転移や再発診断にはPETが有効な場合もあります。
いずれにせよ、ある患者さんに対してPETが有用か有用でないかに関しては専門的な判断が必要ですので、一概に述べることは困難です。検査を受ける前に、専門医(放射線科医)へのご相談をお勧めします。
| Q4 |
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PETの安全性は? |
A4
PETで使用される薬剤はブドウ糖の一種で、副作用の報告はありません。毎日院内で合成、精製されますが、そのたびに専任の薬剤師が品質管理試験を行い、安全性を確認しています。
また、体内に投与されるアイソトープは量が少なく、半減期も非常に短い(半減期110分)ため、被曝量(ひばくりょう)は人体にほとんど影響のないごく微量です。およそ人間が1年間に自然界から受ける被曝線量と、ほぼ同じ程度とお考えください。
| Q5 |
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検査は苦しくないの? |
A5
検査はまず静脈注射をした後、薬剤が全身に分布するまで約1時間ほど待ちます。その後は、ポジトロンカメラのベッドに寝ているだけです。カメラはCTの装置に似ていますが、大きな音もせず、狭くもありません。撮影時間は30〜60分程度で、この間は安静にします(つまり、注射から検査終了まで約2時間かかります)。
なお、検査前の1食分(例えば、午後の検査であれば昼食)は食べられず、甘い飲料も摂取禁止ですからご注意ください。
PET検査を行なっている施設については、東北大学核薬学研究部ホームページ「
PET関係のリンク」をご覧ください。
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