(1)肝内胆管がん
がんが肝臓の右葉(自分側から見て右側の大きい部分)・左葉(左側の小さい部分)のどちらかのみにある場合には、がんとその周辺の肝臓の一部またはがんのある側を切除します。がんが左右の葉を越えて広がっている場合には、さらに大きく切除する拡大肝葉切除を行います。がんが肝門の近くにある場合には、肝外胆管や胆のうの切除と同時に、周囲のリンパ節郭清を行うこともあります。
(2)肝門部領域胆管がん
がんを取りきることを目的として、胆管のほかに肝臓や胆のうなど周りの臓器の一部や、周辺のリンパ節も切除するのが一般的です(図7)。肝門部領域では、胆管、門脈、肝動脈が分岐していて構造が複雑なので、肝門部領域胆管がんの手術は難しい手術になります。切除後は、残した胆管と小腸の一部をつなぐなど、臓器の機能を回復するための再建手術を行います。
【16ページ図 図7.肝門部領域胆管がんの切除範囲の一例(右肝切除・肝外胆管切除)】
【図終わり】
(3)遠位胆管がん
遠位胆管は膵臓を通っているため、遠位胆管にできたがんは膵臓へ広がることがあります。そのため、膵頭十二指腸切除を行って、胆管、胆のう、膵頭部(十二指腸に接している側の膵臓)、十二指腸および連続する胃や腸の一部を切除するのが一般的です(図8)。周囲のリンパ節郭清も行います。切除後は、残した胆管や膵臓、胃を小腸とつなぎ合わせ、食物や消化液が小腸に流れるようにするなどの再建手術を行います。
【17ページ図 図8.膵頭十二指腸切除の範囲】
【図終わり】
(4)胆のうがん
がんが胆のう内部にとどまっている場合には、胆のうの摘出手術を行います(図9)。がんが胆のうの周囲まで広がっている場合には、その広がりに応じて、肝臓、胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節など周りの臓器の切除が必要になります。
【18ページ図 図9.胆のう摘出手術の範囲】
【図終わり】
(5)十二指腸乳頭部がん
十二指腸乳頭部がんの標準手術は膵頭十二指腸切除です(図8)。この手術では、十二指腸、膵頭部、肝外胆管、胆のう、周辺のリンパ節を切除します。連続している胃や小腸を切除することもあります。残った胆管を小腸に、膵臓を小腸や胃などにつなぎ合わせる再建手術を行います。