手術には、甲状腺をすべて摘出する全摘術、甲状腺の約2/3以上を切除する亜全摘術、片側の甲状腺(右葉あるいは左葉)を切除する葉切除術などがあります(図4)。葉切除術の際、必要な場合は峡部も一緒に切除します。これを葉峡部切除術といいます。手術の方法は、がんのある場所や、大きさ、転移の有無などによって決めます。
【15ページ図 図4.甲状腺がんの主な手術の方法】
【図終わり】
甲状腺をすべて摘出すると、甲状腺ホルモンが分泌されなくなります。甲状腺機能の温存と合併症を軽減するため、がんの状態によって、再発のリスクが低いと考えられる場合には、全摘術ではなく、葉切除術を行うことを検討します。
気管傍リンパ節(気管の側面にあるリンパ節)への転移が疑われる場合には、気管周囲郭清を行います。また、頸部リンパ節への転移があれば、頸部リンパ節全体を切除する頸部郭清を行います。必要な場合には、縦隔の上寄り部分を切除する上縦隔郭清を行うこともあります。