4-3-1 手術の方法

手術では、がんと胃の一部またはすべてを取り除きます。同時に胃の周囲のリンパ節を取り除くリンパ節郭清かくせいや、食べ物の通り道をつくり直す再建手術(消化管再建)も行われます。

(1) 胃の切除範囲

切除する胃の範囲は、がんのある部位と進行度によって決まります。胃の切除範囲によっていくつかの方法があり、17ページ代表的なものは、胃全摘術、幽門側胃切除術、幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術です(図6)。

【17ページ図 図6 胃切除の方法】

図6 胃切除の方法

【図終わり】

(2) リンパ節郭清

胃を切除する際に、胃の周囲にあるリンパ節も切除します。胃のすぐそばのリンパ節と、胃から少し離れたリンパ節を合わせて切除する「D2リンパ節郭清」が標準的に行われます。早期がんで、リンパ節転移がない場合には、郭清するリンパ節の範囲を狭くした「D1リンパ節郭清」または「D1+リンパ節郭清」が行われます。

(3) 消化管再建

消化管再建とは、胃の切除手術の際に、食道と残った胃や腸などの消化管を縫い合わせてつなぎ、新しく食べ物の通り道をつくり直すことです。再建の方法にはいくつかの種類があり、胃の切除範囲などによって決まります。

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(4) 周辺臓器の合併切除

胃の周囲にある、肝臓、横隔膜、膵臓、胆のう、横行結腸などの臓器にがんが浸潤している場合、胃の切除と同時に、これらの臓器の一部を切除することがあります。これを他臓器合併切除といい、がんを完全に切除することを目指して行われます。