4-3-2 手術の合併症

胃がんの手術に伴う主な合併症として、ほうごうぜんすいえきろうこれらに伴う腹腔内のうようなどがあります。

(1) 縫合不全

手術のときに消化管を縫い合わせたところがうまくつながらなかった場合に、つなぎ目から食べ物や消化液が漏れることを縫合不全といいます。炎症が起こり痛みや熱が出ます。また、腹膜炎が起こり、再手術が必要になる場合があります。

(2) 膵液漏

膵臓の周りのリンパ節郭清を行ったときに、一時的に膵液が漏れ出すことを膵液漏といいます。膵液は、タンパク質や脂肪を分解する酵素を含むので、膵液漏が起こると、周囲の臓器や血管を溶かし、感染が起こって膿瘍(膿がたまること)ができたり、出血を起こしたりすることがあります。

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(3) 腹腔内膿瘍

縫合不全や膵液漏によって感染が起こり、おなかの中にできた膿のかたまりを腹腔内膿瘍といいます。膿瘍ができる場所により症状は異なりますが、多くの場合、腹痛や発熱といった症状があらわれます。画像検査で確認し、膿瘍ができていれば、感染を抑えるために抗菌薬を使います。また、膿を外に出すためのカテーテルを体の中に一定期間入れておく場合もあります。

(4) その他、手術後に起こる症状と食事の注意点

胃を切除したあとは、食後に動悸、発汗、めまいなどが起こるダンピング症候群や、貧血などにもなりやすくなるため、食事のとり方や内容にも注意が必要です。

手術(外科治療)後に起こる症状と食事の注意点
 胃を切除したあとには、ダンピング症候群や逆流性食道炎が起こりやすくなったり、貧血や骨粗しょう症になったり、体重が減ることも多いため、特に食事のしかたや内容に注意しましょう。
 水分で固形物を流し込むような食べ方は避け、「少量ずつ」「何回かに分けて」「よくかんで」「ゆっくり」食べることを基本として、新しい胃腸の状態に応じた食べ方に少しずつ慣れていくことが大切です。
 人によって、手術後の食事の状況や好みは異なり、新しい胃腸の状態に慣れるまでには、数カ月~1年ほどかかることもあります。自分に合った食事のしかたは、栄養士などの医療者に相談してみましょう。

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