4-2-1 肝切除

がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除く治療法です。多くの場合、がんが肝臓にとどまっており、3個以下の場合に行います。がんの大きさには特に制限はなく、10cmを超えるような巨大なものであっても、切除が可能な場合もあります。

また、がんが脈管(門脈、静脈、胆管)へ広がっている場合でも、肝切除を行うことがあります。ただし、腹水がある場合は、肝切除後に肝不全(肝臓が機能しなくなること)になる危険性が高いため、通常は肝切除以外の治療を行います。

切除の方法は、がんがある場所や肝機能に応じて、小さい範囲での切除から、広い範囲での切除までさまざまです。

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がんがある場所やがんの数によっては、おなかに小さな穴をいくつかあけ、そこから手術器具などを挿入して行う腹腔鏡ふくくうきょう下手術が可能な場合があります。しかし腹腔鏡下手術は、特に肝臓の広い範囲を切除する場合において完全に確立した方法ではなく、安全性も十分とはいえません。そのため、開腹手術と内視鏡手術の経験を十分にもつチームがある施設で行われるべきとされています。

腹腔鏡下手術を希望する場合には、担当医と十分に相談しましょう。その他に、看護師などの医療スタッフや、全国の「がん診療連携拠点病院」などに設置されているがん相談支援センターに相談することもできます。