4−2−4 妊よう性温存手術

妊娠するための力を保つことを目的として、妊よう性温存手術を検討することもできます。卵巣がん・卵管がんの手術では、通常、両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除します。しかし、将来の妊娠の可能性を残したいという強い希望がある場合や、がんの性質がおとなしく、片方の卵巣・卵管だけにとどまっている場合などには、がんのない側の卵巣と卵管を切除せずに妊娠の可能性を残す手術ができることもあります。

妊よう性温存手術を検討することができるのは、明細胞がん以外の卵巣がん・卵管がんで、さらに手術進行期がTA期で異型度が低い(グレード1)であるという条件に限られています。

これらの条件を満たしていると判定するためには、初回腫瘍減量手術において、がんを可能な限り完全に切除する必要があります。

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妊よう制温存手術の基本的な手術法として、がんのある側の卵巣と卵管、大網の切除、さらに腹水細胞診を行うことが勧められています。

また、上の条件以外にも、以下のことが必要です。

(1)妊娠可能年齢であり、妊娠への強い希望があること。

(2)患者と家族が、卵巣がん・卵管がんや妊よう性温存治療、再発の可能性について十分に理解していること。

(3)治療後も長期にわたり厳重な経過観察を続けること。

(4)婦人科腫瘍に精通した婦人科の医師による注意深い腹腔内の検査や術後の経過観察が可能であること。

これらの条件を満たした上で妊よう性温存手術が可能となります。

妊よう性温存手術を検討するときには、自分のがんの状態やリスクについて十分理解して、担当医とよく相談することが必要です。

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