末梢神経は、脊髄から手足の先まで伸びている細い線維で、感覚などの情報を脳に伝えます。末梢神経が圧迫されて傷がつくと、手足にしびれを感じることがあります。1本または数本の末梢神経が外傷、圧迫などの傷害を受けた場合、その神経が支配する場所に一致して感覚鈍麻などが認められます。神経叢(しんけいそう)という神経の分岐・吻合(ふんごう)によって形成される網目状の集合体がありますが、例えば上腕神経叢、腰仙骨部神経叢への浸潤・圧迫が起こると神経支配領域にしびれが現れます。
また、血管にがん組織が浸潤すると、血管周囲のリンパ管の炎症や血管の収縮・弛緩(しかん)が起こり、やけつくような痛みとしびれが広がります。
脊髄は、脊柱管内の長い円柱状の神経組織です。脊髄が圧迫されたり傷害されると、足先からはじまるしびれと同時に足が前に出にくくなる、階段を降りるときに不自由を感じるなど、運動機能の症状も加わることがあります。脊髄神経は、合計31対より成っており(頸髄8対、胸髄12対、腰髄5対、仙髄5対、尾髄1対)、末梢神経の分布とは別に、それぞれ決まった皮膚領域の感覚に関連しています。がんの脊椎骨転移で脊髄から出てくる神経が圧迫されると、その神経が支配する領域の皮膚の表面の感覚が鈍くなり、しびれを伴います。脊髄神経の場合、傷ついた神経の支配領域の感覚が鈍くなっているにも関わらず、痛みを感じたり、軽く触れるなど通常では痛みを感じない刺激により、痛みが生じることがあります。
血行をよくするには、ぬるめのお湯でゆっくり入浴したり、ウォーキングを続けると効果的です。血行障害が原因であれば、しびれているところをマッサージすると症状が和らぎます。ただし、触れただけで痛みがあるような場合、マッサージは控えましょう。血管を丈夫に保つビタミンC、血液の流れを改善するビタミンEなどを多めに、バランスよくとるようにしましょう。
末梢神経を圧迫したり、傷つけたりしないように、日ごろから良い姿勢をとり、長時間同じ姿勢をとらないようにしましょう。
柔らかい布地や、圧迫しない寝衣・寝具類を使用しましょう。たたく、圧迫するなどの刺激は避けましょう。
温度覚、痛覚、触覚などの表在感覚が障害されている場合は、温罨法(おんあんぽう)・冷罨法(れいあんぽう)、入浴、洗髪時などに温度を調整して、熱傷、凍傷、外傷などに注意しましょう。
一般的には、神経線維の栄養補給、再生促進のためにビタミン剤(B1、B12)が使われます。がんの浸潤や圧迫に伴う神経障害が原因となったしびれには、モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬があまり効かないことが多く、鎮痛補助薬(抗けいれん薬、抗不整脈薬、抗うつ薬、ステロイド、NMDA受容体拮抗薬などからなります)が使われることがあります。