痛み止め・消化管の狭さくによる嘔気・嘔吐(おうと):[がん情報サービス]
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痛み止め・消化管の狭さくによる嘔気・嘔吐(おうと)

更新日:2006年10月01日     掲載日:2006年10月01日

嘔気とは、嘔吐せずにいられなくなるような不快な感覚であり、しばしば、顔面蒼白(そうはく)、冷汗、唾液分泌、頻脈、下痢などの自律神経症状を伴います。嘔気・嘔吐の原因は、胃腸障害、薬物、毒物、感染、前庭器への作用(乗り物酔い)などさまざまです。

1.「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」の副作用

1)原因

嘔気は「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」を飲みはじめたときに出やすい副作用の1つです。

オピオイドによる嘔気・嘔吐は次の3つの原因から生じます。
  • 延髄(えんずい)の化学受容器引金体(Chemoreceptor trigger zone、CTZ)を直接刺激し、その刺激が嘔吐中枢に伝わる
    (化学受容器引金体にはドーパミンレセプターがあり、「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」はこのレセプターに作用することにより、嘔吐を引き起こすと考えられています)
  • 前庭器を介して化学受容器引金体を間接的に刺激する
    (ふらつき感を伴った乗り物酔いに似た嘔気・嘔吐が、体を動かしたときなどに出現する場合は、前庭器の過敏が原因と考えられます)
  • 胃の運動低下によって、内容物の停滞と胃壁の伸展が生じる
    (オピオイドは、胃の前庭部の緊張により運動性を低下させ、胃内容物の停留が生じます)
嘔気は「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」の開始直後からみられ、約1/3の人に生じ、嘔気の程度は個人差があります。たいていの場合、2週間程度でなくなります。まれに嘔気のコントロールに苦慮することがあり、モルヒネ以外のオピオイドへの変更が必要となる場合があります。

2)対処方法

「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」を服用するときに、吐き気(はきけ)止めの薬を一緒に飲むと、嘔気はなくなります。吐き気止めの薬が必要なのは約2週間です。吐き気止めを開始しても1日3回以上嘔吐する場合や、「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」が飲めない場合は、医師、看護師、薬剤師にご相談ください。

痛み止めの薬の知識


「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」を服用して、何時間後に嘔気が生じたかを記録しておきましょう。そうすることで、嘔気が、「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」の血中濃度が一番高い時間と重なっているかを調べることができます。

また、乗り物に乗ったとき、体を急に動かしたときなど、どのようなときに嘔気が生じたかを記録しておきましょう。食事との関係も記録しておきましょう。「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」の血中濃度が一番高い時間と、食事の時間をずらすこともできます。
  • 食事は消化のよいものをゆっくりとり、刺激や匂いの強い食物は避けましょう。
  • 音楽を聴いたり、テレビを見るなど気分転換しましょう。
  • 軽い体操で精神的な緊張を取り除き、リラックスした気持ちを持続できるような環境をつくりましょう。
  • 嘔気が起こってしまったときには、右を下にして横になり、腹式呼吸をします。また、冷水でうがいをするなどして、口腔内を清潔にしましょう。
  • 部屋の換気を良くして、臭いなど吐き気を誘う因子をなくしましょう。

2.消化管通過障害による嘔気・嘔吐

1)原因と身体への影響

がんの再発や、転移による消化管の圧迫や狭窄、手術後の腸管癒着(ゆちゃく)などが原因で起こります。腹痛、腹部のはり、排便・排ガスがないなどの症状を伴い、食事中や食事後に苦しくなり、吐くと楽になることもあります。

嘔吐によって、水分と一緒に、胃液・十二指腸液などに含まれる電解質も身体の外に出てしまいます。電解質(カリウム・ナトリウム・塩素など)は、体内の水分量の調節、神経筋肉の興奮・伝達、体内の水分バランス保持(酸性・アルカリ性に傾きすぎないようにする)などの働きがあります。そのため、電解質や水分が多量に失われると、脱力感、倦怠感、手足のしびれなどの電解質異常症状、のどの渇き、皮膚の乾燥、尿量の減少、体重の減少などの脱水症状が出てきます。これらが進行すると、だんだんと衰弱し、意識障害などを起こすこともあります。

また、嘔吐することによって、消化・吸収の働きが低下し、体内に必要な栄養が行き届かなくなり、栄養状態の低下、体重減少が起こります。ほかに、吐物(とぶつ)が誤って気道に入ると肺炎、ひどいときには窒息(ちっそく)を起こすこともあります。

身体的な苦痛だけでなく、精神的にも不安・苦痛をもたらします。そして、それらによって食欲がなくなって食事が食べられなくなり、栄養状態が低下することもあります。

2)対処方法

原因がわからず頻回に嘔気・嘔吐をする場合は、病院を受診しましょう。嘔気・嘔吐は身体的な苦痛のみならず、精神的な苦痛も大きいので、少しでも軽くするには次のような工夫があげられます。

(1)姿勢

  • 誤嚥(ごえん)用語集アイコンを避けるために、姿勢は横向きにしましょう。仰向けにしかなれない場合は、顔を横に向けましょう。
  • 全身の緊張をほぐすために、ひざを深く曲げたり、意識的に深呼吸などして気分を楽にしましょう。
  • 背を低くして、背中をさすってもらいましょう。
  • 急に動くと嘔吐を誘発することがあるので、ゆっくり動きましょう。
  • 胃を安静(胃の運動を抑える)にするために、胃の上に氷嚢などを置き、頭を冷やし、軽く目を閉じて静かにしていましょう。

(2)衛生面

  • 口の中の臭いは嘔気を誘いますので、うがいなどして清潔にしましょう。
  • うがいは番茶、レモン水、炭酸水、氷水などでするとさっぱりします。落ち着いたら、氷片などを含むのもよいでしょう。

(3)環境の調整

  • 吐物は速やかに片付ける。
  • 汚れた寝衣や寝具などは、清潔なものと交換する。
  • 刺激的な香りの花を置かないようにしましょう。
  • 室内は静かに暗くし、ときどき窓を開けて空気の入れ替えをしましょう。

(4)食事

  • 嘔吐のある場合は、消化管の粘膜が敏感になっています。食事のたびに吐くようなときは、食事を1、2回差し控えてみましょう。
  • 医師の指示に従って、水分をとりましょう。電解質バランス飲料、栄養バランス飲料、ジュースなどが体力保持によいでしょう。
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