十分な食事摂取は、体の組織の消耗を防ぎ、治療によって障害を受けた細胞の再生を助けます。また、感染症にもかかりにくくします。バランスのとれた食事から、十分な栄養がとれるように心がけましょう。
食事は朝、昼、夕食ともに、主食と主菜、副菜を組み合わせて食べましょう。
| 主食: | 米飯、パン、めん類など 主食に含まれる糖質は、脂質とともにエネルギー源です。 |
| 主菜: | 魚、肉、卵、豆類、乳製品 体をつくる良質のタンパク源です。 |
| 副菜: | 野菜、海藻、果物 体のリズムを整えるビタミン、ミネラルの宝庫です。 |
食事は談話をしたり、音楽を聴いたりして、ゆっくり時間をかけて食べましょう。食欲も増し、消化吸収も良くなります。
間食は、肥満防止やダイエットのためにはタブー視されています。しかし、疲労回復のためや、病気で食事量が少ない方には必要です。また、人との楽しい語らいのひとときに役立ちます。
寝る前は胃腸の負担になりますので、間食は避けましょう。
体の状態に合わせた、消化しやすい食事にしましょう。消化しにくい食品でもきざんだり、軟らかく煮込むなど料理法を工夫すれば、多くの摂取が可能になります。
<消化しやすい料理および食品>
| 穀類 | 粥、おじや、雑炊、煮込みうどん、フレンチトースト、やわらかいパンなど |
| 卵 | 半熟卵、茶わん蒸し、卵豆腐、炒り卵、温泉卵、スクランブルエッグ、ふわふわ卵、卵とじ煮、オムレツ、かきたま汁、プリンなど |
| 魚類 | たい、ひらめ、かれい、あじ、たら、まぐろ、さけ、かきなどの煮物・焼き物など |
| 肉類 | グラタン、シチュー、つくね煮、蒸し鶏、肉団子スープ煮・うま煮、ロールキャベツ、そぼろ煮など |
| 乳製品 | クリーム煮、シチュー、ババロア、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、牛乳ゼリーなど |
| 豆類 | 湯豆腐、煮奴、冷や奴、豆腐あんかけ、みそ煮、炒り豆腐、白和え、納豆、みそ汁、生揚げ含め煮など |
| いも類 | 含め煮、そぼろ煮、粉ふきいも、クリーム煮、茶巾絞り、マッシュポテト、ポテトサラダ、とろろいもなど |
| 野菜類 | 煮物、スープ煮、クリーム煮、煮浸し、卵とじ煮、みそ汁、あんかけなど |
| 飲物 | お茶、麦茶、紅茶、乳酸飲料、ジュースなど |
| 菓子類 | ビスケット、クッキー、キャンディー、カステラ、菓子パン、和菓子、ゼリーなど |
治療による副作用に対応し、治療を継続するため、また感染の予防、免疫力をつけるためにも十分な栄養は必要です。エネルギーやタンパク質、またビタミン・ミネラルも不足しないようにとりましょう。
| 食パン | 60g(6枚切り1枚) |
| ゆでうどん | 160g(2/3玉) |
| ゆでそば | 120g(2/3玉) |
| もち | 70g(1枚半) |
| 蒸し中華めん | 80g(2/3玉) |
| 生中華めん | 60g(1/2玉) |
| コーンフレーク | 40g(カップ2杯) |
| じゃがいも | 220g(中2個) |
| さつまいも | 120g(小1本) |
| かぼちゃ | 180g(6切れ) |
| とうもろこし | 180g(中1本) |
| 小麦粉 | 40g(大さじ4杯) |
| 牛乳 | バナナ | ビスケット |
| ヨーグルト | リンゴ | せんべい |
| チーズ | 天然果汁 | カステラ |
| アイスクリーム | 果汁30-50% | あめ |
| ゼリー | チョコレート |
| はちみつ | 20g 大さじ1杯 60kcal |
| マヨネーズ | 12g 大さじ1杯 80kcal |
| イチゴジャム | 20g 大さじ1杯 50kcal |
| バター | 12g 大さじ1杯 90kcal |
| 砂糖 | 10g 大さじ1杯 40kcal |
| 魚 | わが国では、昔から魚介類を主要なタンパク源としてきました。魚は「食べる薬」ともいわれています。体にとても良いので、毎日1回は意識的に食卓にのせましょう。 |
| 肉 | コレステロールなどで肉類を敬遠する方がいらっしゃいますが、肉類も良質なタンパク質です。肉の脂身(あぶらみ)の気になる方は、ヒレ、もも、ササミなど脂の少ない部位を選択するとよいでしょう。 |
| 卵 | 卵は、体内では合成できない必須アミノ酸をすべてそろえた、良質のタンパク質です。 |
| 乳製品 | 1日に200〜400ccはとりたいものです。また、乳製品は腸内のビフィズス菌を増殖させ、悪い菌を抑え、腸の働きを活発にし、便秘を解消させます。 |
| 大豆・ 大豆製品 |
大豆は「畑の肉」ともいわれている良質のタンパク質です。大豆に含まれている脂肪は、血中コレステロールを下げる働きがあります。その他リジン、カルシウム、食物繊維などを含み、生活習慣病や老化防止に効果があります。豆腐、油揚げ、生揚げ、納豆など、いろいろな大豆製品をとりましょう。 |
食事はできるだけ料理のレパートリーを広げ、いろいろな食品からとりましょう。
1日30種類の食品を基本に食べると、栄養のバランスは自然に良くなります。
体調が悪くなってしまったり、買い物ができない場合に備えて、レトルト食品や缶詰、冷凍食品等を用意しておくとよいでしょう。
| 乾物 | 麩、カットわかめ、ふりかけ、高野豆腐など |
| 冷凍食品 | ミックス野菜、かぼちゃ、いんげん、グリンピース、ほうれん草、小松菜、そら豆、シュウマイ、グラタン、うどん、ハンバーグ、その他おかず類など |
| 缶詰 | 果物類、さけ、かに、あさり、ツナ、焼きとり、みそ汁、ポタージュなど |
| インスタント食品 | みそ汁、スープ、カップラーメン、カップうどんなど |
| レトルト食品 | ハヤシライス、粥、白飯、煮物など |
| 青菜 | 茹でてから |
| いも類・かぼちゃ | ややかたくゆでてから |
| やまいも | すりおろしてから |
| しょうが | そのまま密封してから |
| たけのこ、ふき、ごぼう | 繊維の多いものは不適当 |
アルコールは、飲みすぎると各臓器に負担をかけ、病気を悪化させる要因になります。
適量のアルコールは、ストレスが緩和されますし、食生活を豊かなものにしてくれます。
糖尿病のある人では、血糖がコントロールされていれば少量のアルコールが楽しめます。
手術後も少量のアルコールは飲むことができますが、炭酸を含むビールはおなかが張り、食事が食べにくくなったり、ゲップが出たりしますので控えましょう。
また、術後しばらくはアルコールに弱くなり酔いやすくなりますので注意してください。
食事はおいしく、楽しく食べましょう。患者さんに合わせた食事で栄養状態を保つためには、ご家族の方が食事の大切さを理解し、協力することが大切です。
| 食品 | 量 | 目安 | |
| 主に糖質を含む食品 | 米飯 | 200g×2食 | 1食に大きめの茶わん1杯 |
| パン | 90g | 食パン6枚切り1枚半 | |
| じゃがいも | 110g | 中1個 | |
| 主にタンパク質を含む食品 | 鶏卵 | 50g | M玉1個 |
| 魚 | 70g | 中1切れ | |
| 肉 | 40g | 薄切り2枚 | |
| 豆腐 | 100g | 1/3丁 | |
| 牛乳 | 200cc | 1カップ | |
| 主に脂肪を含む食品 | 油脂 | 20g | 大さじ軽く2杯 |
| 主にビタミン・ミネラルを含む食品 | 果物 | 200g | みかん中1個とりんご1/4個 |
| 野菜 | 300g | 両手いっぱい | |
| 海藻 | 適量 | ||
| きのこ | 適量 | ||
| 調味料 | 砂糖 | 10g | 大さじ1杯 |
| みそ | 20g | みそ汁軽く2杯 |
| 年齢(歳) | 男 | 女 |
| 18〜29 | 2,300(kcal) | 1,750(kcal) |
| 30〜49 | 2,250 | 1,700 |
| 50〜69 | 2,050 | 1,650 |
| 70以上 | 1,600 | 1,350 |
| 18歳〜
(成人) |
男(g) | 女(g) |
| 60 | 50 |
| 朝食 | 10時 | 昼食 | 3時 | 夕食 |
| トースト ポタージュ トマト・キュウリ 半熟卵 カフェオレ |
クッキー 牛乳 野菜わさび和え フルーツヨーグルト |
冷や麦 蒸し鶏 |
和菓子 お茶 |
まぜご飯 魚塩焼き おろし レモン 炒り煮 胡麻(ごま)よごし 豆腐のみそ汁 |
化学療法、放射線療法(頭頸部や胸部照射)の副作用で起こります。
味付けの濃いもの(甘味、塩味、酸味、苦味)、冷たすぎるもの、熱いもの、硬いもの、水気の少ない料理などにより、口内が刺激され痛みが増します。
症状を和らげる飲み薬やうがい薬もありますので、担当医に相談しましょう。
吐き気は消化管の通過障害のある人、化学療法や放射線療法の副作用、便秘、消化管の閉塞、胃内食物の停滞による膨満、胃の痛み、脳にがんがあるとき、血液中のカルシウム値が高くなっているときなどに起こります。
においや見た目なども誘因になりますので、食材料を吟味したり、盛りつけ、食事量にも配慮することが必要です。
また、吐き気や嘔吐の原因によっては食べないほうがよい場合もありますので、担当医に相談しましょう。
化学療法、放射線療法(特に頭頸部照射)の副作用で、一時的に味覚が変化してしまうことがあります。
塩味や醤油味が苦く感じたり、金属味がする場合、甘味に過敏になり、何を食べても甘く感じる場合、また逆に甘味を全く感じない場合などがあります。食事に味がない、薄すぎる、砂をかんでいるようだ、などといわれることがあります。原因として、味を感じる味蕾(みらい)細胞の減少や感受性の低下、栄養不足による感覚の変化、歯の清潔度の低下などが考えられます。
化学療法、放射線療法、服用している薬などによって起こります。原因は粘膜の病変による唾液の分泌の低下、口からの水分の過剰蒸発などによると考えられています。
口内炎、のどのはれや痛み、飲み込む力がなくなったとき、神経麻痺、のどや食道が狭くなっているときに起こります。
| 水分 | 薄めた果汁、薄いみそ汁、ジュース、スポーツ飲料、ゼリー、プリンなど |
| 消化のよいもの | 粥、うどん、豆腐、煮魚、茶わん蒸し、おろしりんご、うらごし葉菜類など |
| 油料理、脂身の多い食品 | 揚げ物、炒め物、洋風料理など |
| 冷たい食品 | 氷水、アイスキャンディーなど |
| 繊維の多い食品 | こんにゃく、きのこ、海藻類、豆類、繊維の多い野菜など |
| 乳糖の多い食品 | 牛乳、低脂肪牛乳など |
| 刺激の強い嗜好品 | アルコール、濃いコーヒー、濃いお茶など |
| においの強い野菜 | ねぎ、しょうが、にんにく、にら、パセリなど |
便秘解消のための食事のとり方は、その状態、原因により異なる場合がありますので、担当医に相談することをお勧めします。ここでは一般的な弛緩(しかん)性便秘を中心に、食生活見直しのポイントを提案します。
| 穀類 | 米(玄米に多く精白米には少ない)、麦、雑穀、そば、オートミール |
| いも類 | さつまいも、じゃがいも、さといも、こんにゃく |
| 豆類 | 大豆、おから、納豆、煮豆 |
| 果実類 | 柿、バナナ、いちご、いちじく、りんご |
| 野菜類 | 根菜類(ごぼう、れんこん、にんじん)、ほうれん草、小松菜、かぼちゃ、ブロッコリー |
| きのこ類 | しいたけ、しめじ、えのきたけ、まいたけ、なめこ |
| 海藻類 | わかめ、ひじき、こんぶ、のり |