復職後の働き方

更新日:2014年12月22日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2014年12月22日 冊子第2版の内容に更新しました。
2013年10月25日 掲載しました。
Q18 職場関係者に治療の副作用を説明するのですが、なかなか理解してもらえないようです。うまく伝えるヒントはありませんか。
Q19 抗がん剤の副作用で業務に支障をきたしてしまうのではないかと心配です。
Q20 副作用のため、通勤が困難です。よい方法はありますか。
Q21 抗がん剤治療で毛髪やまつ毛が抜けました。そのままだと仕事にもさしつかえますが、外見を整えるアドバイスはありますか。
Q22 職場でカツラを利用していますが、蒸れて苦痛です。いい対処法はないでしょうか。
Q23 治療のため外見がかなり変化しました。職場の人間関係にも影響が出ているのですが、改善するにはどうしたらいいでしょうか。
Q24 体調に波があります。具合が悪いときには仕事への意欲を維持できず、仕事の質も低下してしまいます。ここを克服するにはどうしたらいいでしょうか。
Q25 後遺症で体調が不安定な中、自分の年齢を考えると、もう仕事は無理かな、という気持ちになるときもあります。なかなか前向きになれないのですが…。
Q26 職場で病名を公表していません。体調が悪くても周囲に相談しづらいのですが、正直に話したほうがいいのでしょうか。
Q27 職場では病気を公表していません。健康診断のとき、「既往歴」の箇所に治療歴を記入する必要がありますか。
Q28 通院のため有給休暇を申請するとき、理由を聞かれることがあります。答えなくてはいけないのでしょうか。
Q29 職場復帰当初は、上司や同僚もいろいろ配慮してくれましたが、復帰して1年もたつと元に戻ってしまいました。配慮を続けてもらうにはどうしたらよいでしょうか。
Q30 休職中に直属の上司が変わりました。信頼関係が築けるかどうか、心配です。
Q31 上司が不在がちで、病気や仕事について、なかなか話す機会がありません。どのように相談したらいいでしょうか。
Q32 治療で仕事に遅刻したら上司に叱責されました。理解を得る方法はありますか。
Q33 会社のつきあい(飲み会など)をうまく断るにはどうすればいいでしょうか。
Q34 治療のため、同僚に仕事をかなり肩代わりしてもらっています。自分が代わりにできることはありますか。迷惑をかけることが心苦しいのですが…。
Q35 職を失うことが怖く、体調が悪くても無理して勤務してきました。でも、このまま続ける自信がありません。相談する場所はありますか。
Q36 仕事に復帰したのですが、体力が落ちて勤務がつらい状況です。せっかく復帰したのでまた休みたくはないのですが…。
Q37 たとえ体調不良でも、キャリアを維持するためには休むわけにはいかず、無理を重ねています。休んでもキャリアを維持できる方法がありますか。
Q38 治療後に異動を申し出ましたが、聞き入れてもらえませんでした。そういう権利はないのでしょうか。
Q39 責任ある仕事から外され、今の仕事にはどうしてもやりがいが感じられません。気持ちを切り替えるためのヒントはないでしょうか。
Q40 体力と気力がだいぶ戻ってきました。今の仕事内容は軽すぎて不満なのですが、会社に交渉する余地はあるでしょうか。
Q41 休職したため、昇格や昇給が見送られてしまいました。納得できないのですが、交渉できますか。今後、昇進のチャンスはないのでしょうか。
Q42 正社員から契約社員になり、雇用保険に入れなくなりました。どうしたらいいでしょうか。
Q43 職場の中で、ゆっくり休息が取れる場所がありません。休憩時間も、もっと長く取りたいと思います。会社と、どのように交渉したらよいでしょう。
Q44 産業医や産業看護職とはどんな職種ですか。何をしてくれるのでしょうか。
Q45 産業医や産業看護職に相談した内容は、人事など会社関係者に筒抜けになってしまうのでしょうか。
Q46 小さな職場なので、産業医や産業看護職が勤務していません。会社の外で産業保健スタッフに相談できる窓口はないでしょうか。
Q47 体調が悪く、産業医から「残業禁止」の指示が出ているのに、上司が無視します。誰に相談したらよいでしょうか。
Q48 私は派遣労働者ですが、派遣先の産業医・産業看護職に自分の体調や働き方を相談できるでしょうか?
Q49 通院で有給休暇を使いきったため、通院時は欠勤扱いになって減給対象となります。これはしかたがないのでしょうか。
Q50 病院が遠隔地にあるため、通院のために仕事に支障が出ます。近所の病院に移ることはできますか。
Q51 平日昼間の通院では、どうしても仕事に支障をきたします。週末や夜間に治療を受けられる病院はないでしょうか。
Q52 病状の変化により突然会社に退職の申し出をせざるをえなかった場合、退職金のことで不利になることはありますか。
Q53 がんと診断されたことを会社に報告したら解雇されてしまいました。不当解雇ではないでしょうか。相談窓口はありませんか。
Q54 がんになっても仕事を生きがいにがんばるつもりでしたが、退職勧告を受けました。生きる意味をどうやって探していけばいいでしょうか。
Q55 小児がん経験者です。成人になった今も体調不良のときがあり、今後就職できるか心配です。相談する場所はありますか。
Q56 副作用で味覚異常になりました。調理の仕事なのですが、どうすればいいでしょうか。
Q18職場関係者に治療の副作用を説明するのですが、なかなか理解してもらえないようです。うまく伝えるヒントはありませんか。   
A18まずは、あなたが医師から受けた説明を思いおこしてみましょう。その説明をご自分の言葉に置きかえていくと相手にはわかりやすいかもしれません。自分や家族が病気になれば気になって勉強しますから、難しい医学用語も理解できるようになります。しかし、職場関係者はその病気や医学用語に慣れていませんから、かみくだいて説明をする必要があります。

国立がん研究センターの「がん情報サービス」ホームページなど、信頼できるホームページで副作用を検索して、それを印刷して渡すのも1つの手です。説明を準備しているときに、あなたご自身が理解不足のところが見つかったら、遠慮せずに主治医や看護師に質問してください。

国立がん研究センター「がん情報サービス」
Q19抗がん剤の副作用で業務に支障をきたしてしまうのではないかと心配です。    
A19はじめての化学療法の前には、どの程度の副作用が出るのか予想できず、不安になるものです。特に外来化学療法を受けながら仕事を続ける場合、仕事への影響が心配になるのも当然です。抗がん剤の種類や組み合わせから、一般的に予想される副作用の内容や程度について、ざっくばらんに主治医に聞いてみましょう。

ただし、同じ副作用でも、仕事の内容によって影響はさまざまです。また、副作用の出方には個人差もあります。その化学療法を一度経験してみると、副作用の程度や仕事への影響も大体実感できますので、休憩場所の確保など、職場に配慮してほしいことを考えて上司に相談してみましょう。
産業医や産業看護職がいる場合は、ぜひ相談してみてください。ひとりで悩まず、まずは予想される状況をできるだけ正確に把握し、関係者と相談していくことです。
こうして化学療法を乗り越えました
最初の抗がん剤は3週に1回の投与を6クールでした。金曜日の夕方か土曜日の朝一番に投与して、土日は何も予定をいれず、買い物もしないでいいように準備。もっともきついのが当日と翌日で、制吐剤を服用しても嘔吐(おうと)が激しく、数分おきに吐いてしまうほどなのですが、3日目からはおさまるのでした。月曜日には出勤可能になりますが、月曜日は社内で事務仕事の日と決めて、出張は火曜日以降にいれ、なるべく大勢でのミーティングも避けました。また3週目の直前の数日間は最高に回復して元気なので、友人との約束などはその時期にいれました。

次の抗がん剤は、毎週投与のパクリタキセルで、前後の採血と合わせるとほぼ毎日通院しているようなものでした。ただ、嘔吐がなかったので、点滴が終わってから会社に戻って夜の電話会議に出たり、点滴中に仕事の資料を読んだりしていました。つらいと思うヒマもなかったので、あれこれ考えずに乗り越えられたのかもしれません。

〈女性 診断時48歳 乳がん 正社員〉
Q20副作用のため、通勤が困難です。よい方法はありますか。    
A20全身倦怠感、痛み、排せつ頻度の変化などで、通勤に苦労する方は少なくありません。もっとも重要なのは、投薬などで最大限症状を和らげることです。症状のため通勤に支障をきたしていることを主治医に伝え、もっと症状を抑えられないか相談しましょう。

通勤中にトイレの途中下車が必要であれば、通常より早く家を出て通勤時間を十分確保することが必要です。通勤途中の駅やコンビニエンスストアにトイレがあるかどうか、事前に把握しておくのもよいでしょう。

加えて、勤務先にフレックスタイム制度がないか、勤務時間の変更が可能かどうか、一時的に在宅ワークにできないか、などを確認し、会社と相談してみましょう。その場合、そのような配慮が必要になる期間のおよその予想も伝えると、会社側も対応が楽です。期間のめどについては、主治医に相談しましょう。

一見健康に見える人が使う「体調不良バッジ」も役立つかもしれません。
優先席にも座ります
私は、子宮頸(けい)がんによる広汎子宮摘出術をしていて、軽いですがリンパ浮腫(ふしゅ)になっています。立ち仕事や重い物を持ったりすることはできないので、キャリーバッグを使用する、タクシーをちょい乗りするなど体と相談しながらやっています。

お金がかからない方法としては、電車などでの移動は遠慮しないで優先席にも座ります。また、集中すると難しいのですが、同じ姿勢を続けないように気を付けています。例えば台所仕事は、知らない間に立ちっぱなしで数時間たってしまうので、必ず弾性ストッキングを着用した上で、途中でゴロゴロしながら休憩をいれるようにしています。パソコン仕事も同様です。それから、高熱が出たら自己判断せずにすぐに病院に行くことも重要です(リンパ浮腫の合併症を疑うため)。

このような自分の体の状態をまわりにわかってもらうには、一度では難しく、言い続けなければなりません。言い続けることも精神的にはつらいことですが、それが一番の近道のような気もします。

〈女性 診断時34歳 子宮頸がん 自営業〉
元気に見えてもつらいカラダがあります「知ってほしいキャンペーン」
特定非営利活動法人HOPE★プロジェクトでは、「知ってほしいキャンペーン」を展開しています。外見上は元気そうに見えても、病気や治療のために体調不良の状態にある人は少なくありません。交通機関の中や職場などで「つらい、しんどい」と声に出せず、我慢をしている方たちの存在を視覚的に示し、「病と共に歩む人」への理解を深めてもらうため、体験者の声を取り入れてキーホルダーや啓発グッズを製作、販売しています。

特定非営利活動法人HOPE★プロジェクト
「知ってほしいキャンペーン」
「オストメイトを知ってもらおうプロジェクト」
ブーケ(若い女性オストメイトの会)では、「オストメイトをみんなに知ってほしい」「オストメイト対応トイレや身障者トイレを使うのはちょっとためらわれる」「見えない障害を知ってほしい」という体験者の声を取り入れ、オストメイトを知ってもらう活動の1つとして、オストメイトマークストラップを制作、販売しています。

ブーケ「オストメイトを知ってもらおうプロジェクト」
郵便局備え付けの郵便振替用紙で、必要個数の金額を振り込む。
非会員価格 1個330円。 2個以上は1個300円(いずれも発送料込)
記号番号 00910-0-150600  加入者名 ブーケ
備考欄に必ず、「ストラップ希望」と記入。お名前の記入を忘れずに!
Q21抗がん剤治療で毛髪やまつ毛が抜けました。そのままだと仕事にもさしつかえますが、外見を整えるアドバイスはありますか。     
A21抗がん剤治療によって、頭髪だけでなく、まつ毛、眉毛、鼻毛など体中の体毛が抜けることがあります。

頭髪については、多くのカツラメーカーが治療用のウィッグを販売しています。頭髪の種類や価格はさまざまで、フルタイプ、部分タイプ、帽子やバンダナと組み合わせたものなど、かたちもいろいろあります。複数のメーカーや医療スタッフに相談して、ご自分にあう物を見つけましょう。院内で展示されている場合もあります。患者会で使用体験談を聞くのも役立ちます。

まつ毛や眉毛については、メークで工夫することが可能です。
仕事をするための外見ケア
仕事を続けようとした際に、治療によって起きる他人から見える部分の外見の変化、例えば、頭髪や眉の脱毛、肌のしみや変色、爪の変形や変色などにどのように対応すればよいのか、悩む方は多いでしょう。ある調査では、仕事の際に、治療で変化する前と同様の外見でいることが重要だと考える方が9割を超えています。

治療する前と同様の外見といっても、まったく同じ姿を再現することにこだわる必要はありません。「健康そうで自分らしく見える外見」に整えていくことが大切です。

例えば頭髪の脱毛については、同じ髪型のウィッグを探しがちですが、かぶり心地が自分によく似合うと思えるウィッグを見つけるようにするとよいでしょう。顔色が悪く見えて周囲から心配されてしまうのであれば、男性でもほほ紅を少しつけて勤務するのもよい方法です。また、爪の色が気になり名刺が出しにくいという方であれば、肌色に近いマニキュアにつやのないマットタイプのトップコートを併用することで変色を目立たなくしたり、ネイルチップを使ってカバーしたりする方法もあります。職場の服装ルールや周囲との関係を考慮して、自分が過ごしやすい方法を選ぶことをお勧めします。

外見ケアの方法についてはさまざまな情報が流れていますが、商品販売に絡んだ情報も多く、公平で正しい情報を集めるのに苦労される方が多いようです。

仕事をしていくために外見をどのように整えればいいのか悩んだら、まずは通院している病院の看護師さんに相談してみましょう。2012年に実施されたがん診療連携拠点病院を対象とした全国調査(274/388施設:有効回答率71%)では、94%の施設が外見支援に関する取り組みを行っていると答えており、病院内で患者の外見支援も進んできています。外見の変化があることで、就労やその他の活動をあきらめることはありません。1人で悩まず、まずは相談するところから始めてみてください。

〈国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター 藤間勝子、野澤桂子〉
Q22職場でカツラを利用していますが、蒸れて苦痛です。いい対処法はないでしょうか。    
A22最近は、通気性が改善された蒸れにくいカツラも販売されているようです。カツラメーカーに相談してみましょう。また、患者会などで、体験者からのアドバイスを求めることも一案です。休憩時間にトイレの個室などプライバシーが保てる場所でこまめにカツラを外して汗を拭くのもおすすめです。
Q23治療のため外見がかなり変化しました。職場の人間関係にも影響が出ているのですが、改善するにはどうしたらいいでしょうか。     
A23外見が変わったとき、残念ながら距離ができてしまう人もいれば、今までどおりのつきあいを続けられる人もいます。無理に人間関係を本に戻そうと試みても、なかなか難しいこともあります。周囲の人々にも、あなたの変化を受け入れるための時間が必要です。時間がたつにつれ、徐々に関係が戻っていくかもしれません。

外見については、形成外科手術も含めた医学的方法、あるいはメーキャップやカツラなどによってかなり補正する余地があります。医療スタッフや患者会、カツラメーカーなどに相談してみましょう。
Q24体調に波があります。具合が悪いときには仕事への意欲を維持できず、仕事の質も低下してしまいます。ここを克服するにはどうしたらいいでしょうか。     
A24調子が悪いときには無理をしないことです。周囲の方にも体調の変動をわかってもらうように、日頃からコミュニケーションを大切にしておきましょう。体調は徐々に落ち着いてくるとはいえ、波があるのはつらいものです。まずはメリハリを意識するようにして、調子がよいときに悪いときをカバーするような姿勢でいたらどうでしょう。
再発の不安には波があります
術後の経過が良好で、通常の生活では“がん”を気にすることが少なくなっていますが、再発への不安は常にもっており、「5年生存率」についても、私にとって「7~8割が生きられている」ではなく、「2~3割の確率で死んでしまう」という意味の数字になります。

この不安には波があり、(1)あまり気にせず過ごせるとき、(2)残りの人生が短いかもしれない。だからこそ今は仕事の面も家庭の面も精いっぱい生きたいという前向きなとき、(3)漠然と「死」という言葉が頭をよぎって悶々とするとき、があります。就寝前に考え込んだりすることが多いです。

現時点では、万が一再発となっても、きちんとその事実を自分で受け止め、最善と思われる道を選択できる人間でいたいと常々思っています。

要は「なるようになるさ!」的な気持ちかもしれません。たとえ「死」という道につながっていたとしても、その時点で自分自身が納得できる人生を終えられるようにしたいと思っています。
〈男性 診断時41歳 胃がん 正社員〉
Q25後遺症で体調が不安定な中、自分の年齢を考えると、もう仕事は無理かな、という気持ちになるときもあります。なかなか前向きになれないのですが…。     
A25今まで自分が培ってきた技能を、もう一度振り返るときかもしれません。ご自身の得意領域や強みは何でしょうか。体調と折り合いをつけながら、継続できる働き方はないでしょうか。ご自分の気持ちを振り返り、家族や職場の方とも相談して、継続できる道を探してみてください。患者会などで、ほかの方の体験談を聞くのも役立つでしょう。
人工肛門~わたしの工夫
(1)常に準備していたもの:
★通勤バッグの中:交換用具一式を2セット
★会社デスクの引き出し:
・下着、ストッキング、かさばらない着替えを2セット
・洋服をまとめるゴム(会社の狭いトイレで手際よく交換ができるように)

(2)会議の工夫
事情を知らない外部の人も入る会議のときには、ガスが出やすい食べ物や炭酸を控え、場合によっては食事時間をずらしました。

〈女性 診断時40歳 直腸がん 正社員〉
Q26職場で病名を公表していません。体調が悪くても周囲に相談しづらいのですが、正直に話したほうがいいのでしょうか。   
A26長期的には、職場関係者に病気の状況を正確に伝え、適切な配慮を得ることが望ましいと思われます。しかし現実には、病気を公表することで生じる不利益を心配して、職場の誰にも知らせていない方も少なくありません。しかし、1人でも職場の中に理解者がいると、気持ちがとても楽になります。信頼できる同僚や上司はいないでしょうか?病名を公表しないメリットとデメリットを、もう一度考えてみてください。

どうしても公表できない場合、体調が悪いときには、がんという言葉を使わず実際に起きている症状そのもの(頭痛、吐き気など)を使って説明してもよいかもしれません。
話をするだけで少し気持ちが落ち着きました
公表について、特に難しい点はありませんでした。もともとあまり隠し事ができるタイプではなかったこともありますが、タイミング的にたまたま勤務時間中に、病院から携帯へ電話が入り“がん”の宣告を受けたこともあり、あまり自分自身の中で混乱する前に、公表した(してしまった)というのが本音です。

まわりのメンバーもいろいろと気遣ってくれましたので、その後の術前検査や、入院、手術、術後の件についても特に隠すことなく説明することができました。自分自身の心の中だけに抱え込まずに周りのメンバーと話をすることで、気遣いが得られただけでなく、自分自身のストレスも少なくすんだのではないかと感じています。特に、がん宣告を受けた直後は自分の気持ちの整理がつかない状態ですので、話をするだけでも少し気持ちが落ち着けた記憶があります。

これはあくまでも私のケースになります。その人の性格にもよりますし、周りの方々との関係や、職種によっても変わってくるとは思います。

〈男性 診断時41歳 胃がん 正社員〉
堂々と話せば、相手も長所として受け止めてくれます
入社したときは、社長にしか病気のことは伝えていませんでした。月1回検査通院が必要であることが現場の上司に伝わっておらず、通院をさせてもらえなかったことがあります。時々、体調を崩したりしたので、全員が集まるミーティングのときに病名とこれまでの治療と当時の状況について説明をしました。

その頃は私も遠慮していて表面的なことしか話しませんでしたし、同僚は同僚で、病気のことをあまり聞いたら悪いかな?と思って聞けなかったようです。私自身も病気のことを話すときに深刻な顔をしていたので、聞いた側も返答に困って申し訳なさそうになっていました。

そこで、自分の病気について人に話すときの「話し方」「伝え方」に気を付けるようにしました。私自身がそうでしたが、病気になったことを自分の欠点だと思ってしまうと、病気の件を人に話すときに、相手にも欠点として伝わってしまいます。逆に、病気を経験したけれども働こうと思っている自分に自信と誇りをもって堂々と話せば、相手も長所として受け止めてくれます。

今では、「抗がん剤で髪がいったん全部抜けたけどこれだけ生えてきました」などと、深刻な顔をせずに平然と話すことで、相手もそのうち普通の会話として受け止めてくれるようになりました。また、できないこと、制限が必要なこともはっきり言い、逆にできること、制限しなくていいこともはっきりアピールしています。例えば「薬があるから忘年会でお酒は飲めない」「骨が弱いから会社のバレーボール大会は見学のみ」ということをはっきり言う一方で、「旅行に行った」「週3日ウオーキングをしている」など、病気だからといって何もかもダメでおとなしく生活しているわけではなく、普通の子と同じように遊びも楽しんでいることもアピールしています。

仕事関係の初対面の人には、今でも病気について話すことを躊躇したり、話せなかったりすることもあります。でも、きちんと伝えた場合には、病人=気の毒で弱々しいイメージではなく、たくましいイメージで好意的にとらえていただけることが多いです。

病歴は変えられないけれど、伝え方の技術を磨くことで、病歴をプラスの経験に変えて社会に受け入れてもらいやすくなると感じています。

〈女性 診断時19歳 卵巣がん 正社員〉
取引先への説明
取引先には、自分ががん治療を受けていることを隠さず伝えました。万一、病気や治療のために約束を直前にキャンセルしなくてはならない場合も寛容に対応いただけたり、残業できない事情も理解いただけたりするからです。伝えたことで疎遠になった人もいますが、かえって仲良くなった人もいます。「実は自分も…」「実は家族が…」という話になることもありました。

〈男性 診断時49歳 肺がん 正社員〉
Q27職場では病気を公表していません。健康診断のとき、「既往歴」の箇所に治療歴を記入する必要がありますか。   
A27会社側には労働者の安全と健康に配慮する義務があります。健康診断時に既往歴を聞くのは、その労働者が担当業務を安全に遂行できる状態にあるかどうか、会社側が確認するためです。もし病歴が仕事にまったく影響しないと確信がもてるのであれば、既往歴欄に記入する必要はないかもしれません。

しかし、既往歴欄はまた、会社とコミュニケーションをとる1つの手段として使うこともできます。病気を社内で公表することによって生じる不利益は、多くの場合、お互いの理解不足から生じます。自分の状況を会社に理解してもらうための伝達力が求められますが、病状や治療スケジュールに関する正確な情報に基づき、十分コミュニケーションをとることで、労働者は会社から適切な配慮を得ることが可能です。一方で、会社側には、がんという病名の響きに惑わされない冷静な対応が求められます。
伝えたほうが隠すストレスがなかった
職場復帰ができたときには、ここまで来たという喜びと、大丈夫だろうかという不安が入り交じった気持ちでした。

仕事は学童保育の指導員です。抗がん剤の副作用で脱毛したままでしたが、自分に喝をいれて仕事への意欲を高める意味で、あえて隠さずスキンヘッド姿で出勤しました。子どもには「白血病と同じような病気で治療している」と伝えましたが、率直に「死んじゃうの?」と聞いてくる子もいましたね。「それはわかんないなー、そういう人もいるし、元気になる人もいるよ」と答えました。子どもは「そうなんだー」と、そのまま受け止めているようでした。百人一首の札を使った「坊主めくり」遊びをやるときには、「坊主」を私の名前に変えて「○○ちゃんが出た—!」と笑いを取りましたよ。

もちろん職場の仲間にも治療の経過は伝えました。職場の休業制度も使わせてもらいました。周囲に理解してもらえるように伝えたほうが、隠すストレスがないと思います。もちろん、話せばOKという職場ばかりではないでしょうが。私の場合はそうだったということです。

〈男性 診断時54歳 悪性リンパ腫 正社員〉
努めて明るく
忙しい職場でしたが、半日勤務から復帰。1カ月後にはフルタイムになりましたが、残業は免除してもらいました。

復帰した日に、部署全員を集めたミーティングであいさつ。直腸がんであったこと、人工肛門を着けたのでトイレ回数が多くなること、そして、自分でも知らないうちにガスが出ることもあるから「ちょっと臭うかもしれないけどゴメンネ!」と努めて明るく言いました。暗く言うと周囲も暗くなってしまうから、努めて明るく。

同僚たちは「…あっ、そう」という感じでしたが、実はどう反応したらいいのか、オナラの話に笑ってもいいのか、戸惑っていたみたいですね(笑)。「あっ、そう」が、精いっぱいだったのかも。でも、事実を淡々と受け止めてくれたと思います。説明を聞いて、「そういえば、うちのおばあちゃんも人工肛門着けてたなぁ」と話す若い社員もいましたよ。

〈女性 診断時40歳 直腸がん 正社員〉
Q28通院のため有給休暇を申請するとき、理由を聞かれることがあります。答えなくてはいけないのでしょうか。   
A28有給休暇は労働者の権利ですから、本来、申請時に理由を伝える必要はありません。ただし、通院への理解や仕事上の配慮を職場から得たいと考える場合は、伝えたほうがよい場合もあるでしょう。また、上司としてはあなたとのコミュニケーションを大切にしたい、あるいは心配してくれているのかもしれません。必ずしも細かく伝える必要はありませんが、大ざっぱでもいいので説明してあげると納得するかもしれません。
決して悪い方向には行かないと信じて
職場の責任者に病気を打ち明けたとき、相手はがんのことなど全然わかっていないようでした。仕事が忙しい時期だから手術を延ばせないかというほどでしたから。こんな理解のない職場は辞めてやる、と思ったのですが、別の上司が「あなたがいない間はみんなでカバーするから。待っているから!」と声をかけてくれたおかげで、踏みとどまりました。

その後、職場に復帰をしましたし、地域の患者会活動も始めて地元の新聞で時々紹介されるようにもなりました。かつて手術を延ばせといった上司が「友達ががんになったのだけれど、どう接してあげたらいいだろう」と相談してきたときには、病気を隠さないでいてよかったと思いましたね。

病気を公表するかどうか迷う方には、勇気を出して知ってもらおうよ、決して悪い方向には行かないと信じて明るく伝えましょうよ、と言いたいです。伝えることで、周囲が検診にいくきっかけになったり、相談に乗ってあげられたりする。それにはとても大きな意味があると思います。

〈女性 診断時50歳 大腸がん 正社員〉
Q29職場復帰当初は、上司や同僚もいろいろ配慮してくれましたが、復帰して1年もたつと元に戻ってしまいました。配慮を続けてもらうにはどうしたらよいでしょうか。   
A29周囲がつい配慮を忘れてしまうほど、あなたの働き方がもとに戻っているということかもしれません。それでも、全身倦怠感など、外見からはわかりにくい症状が続くこともあります。もし配慮を続けてほしいと思うのであれば、遠慮せずにその旨を周囲に伝え続けることです。
周囲は忘れてしまうものです
勤務中は普通にふるまっているので、同僚たちの中には私が進行がんの治療を続けていることをつい忘れてしまう人もいます。定時刻までに退社しますが、それ以降にミーティングを入れられることもあり、それは私の都合にあわないことを繰り返し伝えます。それくらいくどく伝えて、ようやく覚えてもらえる。周囲は忘れてしまうものですから。

〈男性 診断時49歳 肺がん 正社員〉
同僚とのコミュニケーションの工夫
私は元来おしゃべりというか、黙っていられないたちで、病気のことについては職場(福祉施設)でも基本的に隠さず話していました。肉腫という希少がんは10万人に1人の割合で発症することや生存率などを、同僚との普段の会話に織り込んでみたりしました。

通院先は車で30分ほどでしたが、予約しても4時間待ちはざらである状況を職場に伝え、朝、診察券を出してから出勤し、午後に病院に行くことで丸1日休まないようにしました。その結果かどうか、休みを取ったり遅刻や早退をすることに対して、直接嫌な顔をされたり苦情を言われたりすることはありませんでした。

実際に職場の仲間がどのように受け止めていたのかはわかりません。そのうち聞いてみたい気もします。

〈女性 診断時42歳 子宮肉腫 正社員〉
Q30休職中に直属の上司が変わりました。信頼関係が築けるかどうか、心配です。   
A30前の上司と連絡が取れる場合は、依頼して、あなたに関する情報を新しい上司に引き継いでもらいましょう。人事部で相談を受けてくれる場合もあるでしょう。

とはいえ、実際にはスタッフの異動時に情報が引き継がれなかったり、引き継ぎが不正確だったりするケースもあるようです。会社関係者だけに任せるのではなく、ご自分でも、新しい上司とコミュニケーションを取る工夫をしてみましょう。相手が理解しやすいように病気の経緯を書面で用意したり、個人的に面談を申し込んだりするのも一案です。
新しい職場でのコミュニケーション
障害者雇用制度で新しい職場に就職しました。採用担当から配属部署には、障害者枠雇用であることと配慮のポイントは伝えられましたが、病名などは伝えられませんでした。そこで入職時のあいさつのときに自分から、直腸がん治療を受けたこと、人工肛門保有者であること、トイレ回数が多いことなどを伝えました。驚かれるかと思ったら、「あ、そうなの」「無理なことは言ってね」「そんなことより楽しく働こうね」という反応でした。

ただ、メンバーの出入りが頻繁な部署だったので、誰にどこまで話すか迷うこともありましたね。自分のあとから入ってきた人や隣の部署の人にまでは言っていません。耳に入っているかもしれませんが。
上司も3度替わりました。新しい上司が私の事情をどこまで知っているかわからないため、替わるたびに自分から面談を申し入れて状況を説明するようにしました。

〈女性 診断時40歳 直腸がん 正社員〉
Q31上司が不在がちで、病気や仕事について、なかなか話す機会がありません。どのように相談したらいいでしょうか。   
A31上司が不在がちの場合、口頭ではなく、メールや文書などで相談するという方法もあります。また、さらに上の上司に相談し、当該上司には報告だけしておくという手もあるでしょう。
Q32治療で仕事に遅刻したら上司に叱責されました。理解を得る方法はありますか。   
A32理由が治療であれ、仕事に遅刻したら上司には叱責されるかもしれません。緊急の場合を除いて治療は事前に予定されていますから、職場関係者の理解を得るためにも、ある程度長期的な治療スケジュールや、通院日の時間スケジュールを共有しておくことも大事です。病院の都合で治療や検査が長引くこともありますから、治療中の仕事のスケジュールに余裕をもたせて計画しましょう。
Q33会社のつきあい(飲み会など)をうまく断るにはどうすればいいでしょうか。    
A33これは病気に限った話ではありませんが、体調が悪く、気も進まないときに無理をする必要はありません。普段から、「体調管理のため、まだ夜は出歩けない」と周囲に伝えておくのも一案です。体力が回復してから、負担にならない範囲でつきあってもよいでしょう。
Q34治療のため、同僚に仕事をかなり肩代わりしてもらっています。自分が代わりにできることはありますか。迷惑をかけることが心苦しいのですが…。   
A34同じ部署の同僚は、あなたの仕事を助けてくれる心強いサポーターです。まずは、仕事をカバーしてくれている同僚に、「ありがとう」「とても助かる」と感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。メールなどでもよいでしょう。治療のために仕事量を配慮してもらっているなら、今あなたに与えられた仕事をできるだけ確実にこなせばよいと思います。

同僚との関係は、「持ちつ持たれつ」です。ご自分の体調が回復したときに、今度は仕事でしっかり恩返しをしましょう。
同僚の理解を得るために~産業保健師の視点
がんに限りませんが、何か治療が必要になったとき、職場や同僚に迷惑をかけたくないと思う方は少なくありません。でも私たちは、いつ誰が病気になるかわかりません。ですから、元気な人が病気になった人の分をフォローして、病気なった人が元気になったらその役目を担ってくれればいい。焦る気持ちが強い方には、そういう思いをお話しさせていただいています。

ただ、職場の理解と協力が得られる程度は、病気になる前や復帰後のご本人の人間関係、そして業務への取り組み姿勢によって左右されることもあります。周囲からの手助けを得やすい方とそうではない方がいらっしゃることも事実だと思います。

個人差はありますが、治療を受けている方は同僚に対して感謝の気持ちをもってくださっていると思います。しかし、中には気持ちの表現がうまくない方や、職場の支援に対する理解不足などから感謝の気持ちを伝えられずにいる方もいます。また、治療に対する不安や副作用が長く続き、正直それどころではない方もおられます。「大変なのはわかるけど…もう少し職場に連絡があってもいいよね」と、職場の仲間に思われないよう配慮することは、ご本人には大変な労力(気遣いといいますか…)になりますが、そのあたりも実は大事です。同僚は大切な支援者ですから、ご本人と同僚との意思疎通がスムーズになるようにお手伝いすることも、産業医・産業看護職の重要な役割だと思っています。

一人一人の働きぶりと周囲との良好な人間関係が土台になって、職場の支援力が育っていくのではないでしょうか。

(足利銀行人事部 産業保健師 湯澤洋美)
同僚への気遣い
カバーしてくれる同僚にはそれなりに気を使いました。逆の立場だったら自分だって、頭ではわかっていても、「ああ、あの人また休みか」と思ってしまうでしょうから。化学療法で休みを取る前日は、朝ミーティングで「明日は通院でお休みをいただきます、スミマセン」と明るく確認しました。申し訳ないと思いすぎて卑屈になる必要はありません。それから、治療が午後2~3時ごろには終わるので、必ず職場に電話をいれて、「今日は何かなかった?」「明日の予定は?」のように声をかけました。

〈女性 診断時40歳 直腸がん 正社員〉
Q35職を失うことが怖く、体調が悪くても無理して勤務してきました。でも、このまま続ける自信がありません。相談する場所はありますか。   
A35職場には病気のことをどの程度説明していますか?病気を説明することによる不利益を心配する方は多いのですが、あなたの体調について正確な情報を職場に伝えないと配慮は引き出せません。また、たとえ失職しなくても、体調が悪化してしまっては元も子もありません。

まずは、職場の上司や同僚、あるいは人事関係者で信頼できる人に、現在のつらい状況を相談してみましょう。職場側には労働者のあなたの安全と健康に配慮する義務(安全配慮義務)があります。あなたの体調について職場側が確認しておきたい情報もあるはずですから、主治医をはじめとした医療関係者の協力も得ましょう。
治療中に励みになったこと
治療中励みになったのは、家族と仲間と看護師の皆さんの存在です。

当時小学校2年生の息子が見舞いにくるたびに、この子の成長を見ずに死ねるかという思いが募りました。

妻もいつも前向きで「病気は必ず治る、私はとても運がよいから」と言い続けてくれました。いろいろ大変だったと思いますが、家をよく守り、子どもと一緒に前向きに生活をしてくれたのはとてもありがたかったです。看護師さんたちがいろいろ話し相手になってくれたことも。後半の3カ月は相部屋でしたが、同室の年齢の近い患者さんたちとはウマがあう方が多く、お互いに励まし合いながら過ごすことができました。残念ながら鬼籍に入られた方もいますが、退院後も「あの病室は本当によかった」と話しておられたことが忘れられません。

それから、もともと本を読むのが好きだったので、長い入院中の有り余る時間を読書にあてました。入院中、やることがあるというのはとても大切なことかもしれません。毎日本を読み知識を蓄えることも「励み」になったといえます。

〈男性 診断時47歳 白血病 正社員〉
僕には見知らぬ応援団がたくさんいた
家族の存在はもちろんですが、友人、職場の同僚の応援も励ましになりました。また私の治療には直接会ったことがない大勢の方々からも応援してもらっていると気付いたことも大きな励みになりました。

発病から3年後に再発して骨髄移植を受けましたが、骨髄バンクのドナーさんとは移植前後にバンクを通して2度手紙のやりとりができます。移植前に送ったお礼の手紙の返事を移植後の無菌室のベッドの上で受け取りました。その手紙を読んでドナーさんが提供してくださったのにはドナーさんのお気持ちはもちろんですが、ご両親や職場の皆さんのご理解とご協力や励ましがあったことも知りました。「自分の家族も同僚も、みんながんばってくださいと言っています」とつづられた手紙を読んだとき、自分にはこれほど多くの見知らぬ応援団がいるのだと気付き、非常に励みになりました。

〈男性 診断時54歳 悪性リンパ腫 正社員〉
Q36仕事に復帰したのですが、体力が落ちて勤務がつらい状況です。せっかく復帰したのでまた休みたくはないのですが…。    
A36「仕事に復帰されたばかりでまた休みたくない」、「ほかの人に迷惑をかけたくない」という気持ちは大変よくわかります。それだけお仕事のことを大事に思われているのだと思います。しかしながら、多くの場合、仕事は継続的・安定的なパフォーマンスを提供することが求められます。ですから、きつい時にがんばりすぎて休んだり、または体調を崩して仕事ができなくなったら、結果的にほかの人に迷惑をかけたりしてしまうかもしれません。また、がんばりすぎて体調を壊してしまった場合、多くの同僚の方は心を痛められると思います。

仕事を継続するにあたっては、正直に体調が悪いことを上司に話して、一時的に仕事の量を軽減してもらうことが可能でしたらお願いするとよいと思います。この際、自分から言いにくい場合は、職場に産業医や産業看護職等がいれば仲介してもらったほうが良い結果を得られるかもしれません。

また、本当に体調が悪い場合は休む選択肢もあってもよいと思います。ギリギリまでがんばることで体調を大きく崩したら、かえって長い期間の休みが必要になる場合も多いからです。自分を支援してくれる仲間が周りに少しでも増えるように、普段から周囲とコミュニケーションを取っておきましょう。
好きな職場を辞めたとき
診断時に働いていたのは海外出張や残業も多い職場でしたが、大好きな仕事で充実していました。でも復職して徐々に体力も戻ってきたとき、ふと思ったんですね。好きな仕事だからこそ、少し無理がきくようになったら、自分はまたがんばりすぎてしまうのではないか。むしろ、これまで仕事中心の暮らしだったから、がんをきっかけにほかのことにも目を向けてみようか、と。そういう気持ちが自然に芽生えてきたんです。

隠し事ができないので、その気持ちを周囲に伝えました。嫌になってやめるのではない。体のことも気になるし、良くなったらセーブがきかなくなって無理をするかもしれない。少しのんびりしてもいいかな、という気持ちになる新しい自分が生まれちゃった、と。

上司はわかってくれました。ただし、仕事の段取りがスムーズにいくように、せめてあれとこれはやってほしいというリクエストを出されました。そこをきちんと対応していたら、辞めるまで結局9カ月もかかってしまったのですけど(笑)。

〈女性 診断時40歳 直腸がん 正社員〉
Q37たとえ体調不良でも、キャリアを維持するためには休むわけにはいかず、無理を重ねています。休んでもキャリアを維持できる方法がありますか。   
A37まず主治医と、体調不良が今後どのくらいで改善するか、またどのような働き方が理想的かをご確認ください。

一定の期間を経て、もとの仕事量がこなせる体力に戻るなら、一時的に仕事量を軽減した上で、もとの職位に戻るよう、会社と交渉することが可能かもしれません。

もし長期にわたって体調が安定しない場合は、会社の求める職位を全うできないために、キャリアの維持が難しくなる場合もあります。その場合は、自分の体調にあったキャリアの再構築を考える時期ととらえてみてはいかがでしょうか。

今まで築き上げたキャリアを手放す不安があるかもしれませんが、ご家族や上司、そして人事部を交えてご自身の希望と体調を相談することで、健康を取り戻すのにふさわしい働き方が見つかるかもしれません。体力が安定した際に、今までの経験と能力をいかして、同じ職場内で新しいチャレンジをしたり、あるいは転職したりというかたちでキャリアの再構築を行う可能性もあるのです。
自己管理は自信につながる
進行がんの治療をしながら仕事を続けています。体調を整えるため、病気になる前に比べてはるかに意識的な自己管理をするようになりました。

1.症状コントロールの薬をマメに使う
鎮痛剤や咳止め、便通の薬など、主治医と相談して手持ちの薬を確保し、症状によってマメに使うようにしています。身体的なコンディション作りはとても大切。体が快調になれば気分が上向き、仕事のアイデアも浮かびます。そうすると活躍できているという自信につながり、自分のQOL(生活の質)もあがりますね。
2.天気予報をチェック
その日の天気や気温によって、衣服をよく考えます。風邪をひいたりしないように。
3.スケジュールに余裕をもつ
大事な用件は1日ひとつにしています。ミーティングなどで移動するときには時間的な余裕を十分にもち、何かアクシデントがあっても対応できるようにします。時間に余裕があれば交通機関の車内で座れることも多いです。
4.とにかく無理をしない
無理をしない、それにつきます。

自己管理はときにしんどいこともありますが、粘り強く続けるといいことが見えてきます。一日一日を大切に生活できているという実感と手ごたえが生まれ、それが自信にもつながりますね。

〈男性 診断時49歳 肺がん 正社員〉
Q38治療後に異動を申し出ましたが、聞き入れてもらえませんでした。そういう権利はないのでしょうか。   
A38体調不良で仕事を軽減させたい場合、主治医に今後の見込みを確認し、その情報を基に人事部や産業医に相談することはできます。しかし、会社側にあなたの体調に適した職務がなかったり、あるいは異勤配置にコストがかかったりする場合は、交渉が難しくなるかもしれません。何らかの配慮をしてもらうことで現在の仕事を続けられるかどうか、話し合うことが重要です。
「ポツン」のときに考えた
入社して1年が過ぎ、職場に慣れ、ようやく自分の成果をまとめられるときに、がんの再発が発覚。即座に入院、9カ月後に職場復帰をしました。

退院後、同期が先に昇格していき、私自身、丸1年、取り残され、不安と葛藤が生まれました。研修などにも、自分だけ声がかからない。
ポツン。そんな感じ。
でも、ポツンのときに考えました。自分にとって仕事の意味って何でしょう。同期とレースをするために仕事しているわけではない。長い会社人生の中で1年ぐらい、実はささいなこと。私は、入院中に独学で勉強したことがあり、逆にそれを評価していただき、適職へ異動になりました。

仕事ができなくて残されたわけではない。それを上司や同僚がわかってくれていればそれでいいのではないかな、と私は考えています。

〈男性 診断時24歳 精巣がん 正社員〉
Q39責任ある仕事から外され、今の仕事にはどうしてもやりがいが感じられません。気持ちを切り替えるためのヒントはないでしょうか。   
A39自分の可能性や夢を、少し長期的な視点で考えてみてはいかがでしょう。仕事を続けていること、また、さらにやりがいのある仕事がしたいという意欲をもち続けているのは素晴らしいことです。現在は健康面を優先して目の前の仕事をしっかりこなし、徐々に体調が安定してきたら、新たなチャレンジを考えてよいかもしれません。そのときには、体調について主治医から詳しい情報を得た上で、会社側とよく話し合いましょう。
仕事で挫折を味わったとき…
仕事で挫折を味わい、気持ちを切り替えるのに時間がかかるのは、本当にやりたい夢だったからですね。私は、「もしあのときに病気にならなければ」と20年近くたった今でも思い続けています。仕事で挫折を経験した当時、私は多くの闘病記に救いを求めました。こんなつらい時期を、サバイバーの先輩たちはどうやって乗り越えたのか、知りたかったのです。そこには、いくつもの「試練」が書かれており、人間の強さに励まされました。しかし同時に、自分のモデルとなる生き方を闘病記の中に見つけることはできませんでした。人生はそれぞれが異なり、私には私の行く道しかないということに気付かせてくれたのが、闘病記でした。悔しさやむなしさは消えません。消えませんが、それらに人生を支配されてしまうわけにはいかない。「自分がどう生きるのか」を自問しながら日々過ごしています。

〈女性 診断時28歳 脳腫瘍 自営業〉
Q40体力と気力がだいぶ戻ってきました。今の仕事内容は軽すぎて不満なのですが、会社に交渉する余地はあるでしょうか。   
A40会社に相談する余地はあると思われます。その際、病状に関する主治医の客観的な見解があれば、会社との交渉場面で説得力をもちます。また、今の仕事で成果をあげた上で、ご自分の今後の仕事についてリポートなどを用意して具体的に提案するのも一案でしょう。
現在の会社では希望の仕事に就く可能性が少ないのであれば、転職や起業という選択肢もあるかもしれません。転職や起業に伴うリスクはがん治療歴をもたないほかの労働者と同様です。ただし、病名や現在の病状などについて、あらためて周囲に説明するための準備は必要でしょう。
Q41休職したため、昇格や昇給が見送られてしまいました。納得できないのですが、交渉できますか。今後、昇進のチャンスはないのでしょうか。   
A41昇格や昇給(*)の制度や判断は会社により異なりますが、ご自身が納得できない場合は交渉してみるとよいでしょう。一般的に、昇給は仕事の成果と勤務姿勢から評価されますから、評定期間中すべて休職していれば、昇格や昇給は見送られることが多いと思われます。評定期間中のある期間休職しても十分成果が出ているとあなたが考えるのであれば、上司や担当者に相談する時間を作ってもらいましょう。

また、今回はチャンスを逃しても、今後の仕事や勤務姿勢が評価される可能性はあります。もし今後も、十分な成果や実力を発揮しても認められない場合は、別の部署への異動希望を出したり、転職を視野にいれたりしてもよいかもしれません。

*昇格、昇級などの用語はその会社の人事賃金制度で用いる表現によります。
Q42正社員から契約社員になり、雇用保険に入れなくなりました。どうしたらいいでしょうか。   
A42契約社員であっても、1週間20時間以上働いているのであれば原則として雇用保険に加入する必要があります(会社は雇用保険に加入させる義務があります)。加入手続きをしてもらえない場合は近くのハローワークか都道府県労働局の総合労働相談コーナーへ相談しましょう。
Q43職場の中で、ゆっくり休息が取れる場所がありません。休憩時間も、もっと長く取りたいと思います。会社と、どのように交渉したらよいでしょう。   
A43どうして休憩が必要なのかをしっかり説明しましょう。一方的な主張ではなく、相談というかたちで、お互いにメリットが生まれるように話をするとよいかもしれません。休憩時間の延長を依頼するなら、同時に、延長時間分を早朝勤務や残業で対応する提案をしたり、勤務時間の短縮に応じた減給を受け入れると申し出たりするなどの工夫です。また、職場内で休息を取れる場所が確保できれば、仕事が効率的になることを説明しましょう。
Q44産業医や産業看護職とはどんな職種ですか。何をしてくれるのでしょうか。   
A44産業医とは、企業などにおいて健康管理を担う医師のことです。労働者を常時50人以上使用する事業場では、産業医を選任しなければなりません。労働者が常時1,000人以上いる大企業には専属(常勤)の産業医がいます。

産業医は基本的に治療行為は行わず、健康診断の結果を基にした働き方に関するアドバイスや保健指導、職場巡視による作業環境や作業方法の改善指導、長時間残業者への面接、長期間病気休業していた労働者の職場復帰支援、さらには健康教育など、仕事と健康に関わるさまざまな職務を担当しています。

産業看護師とは企業などに勤務する看護師のことで、産業医と同様に従業員の健康管理に従事します。産業医と協働で働くこともあれば、産業医がいない職場で独立して勤務することもあります。

がん治療と仕事の両立を目指すときに、職場の事情を理解し医学知識もある専門家として、産業医や産業看護職は頼りになる相談相手になります。
Q45産業医や産業看護職に相談した内容は、人事など会社関係者に筒抜けになってしまうのでしょうか。   
A45産業医や産業看護職も、一般の医師や看護師と同様に、業務上知り得た他人の秘密を正当な理由なく漏らしてはいけないという守秘義務を負っています(刑法134条)。健康診断などで知り得た情報を漏らすことも禁じられています(労働安全衛生法第104条)。したがって原則的に、相談内容が関係者に筒抜けになることはありません。産業医や産業看護職が従業員から受けた相談の内容を上司や人事に報告するときには、その従業員の同意を得ることが必要です。

ただし事業場側には、職場で働く従業員の安全と健康に配慮する義務(安全配慮義務・労働契約法第5条)があります。報告したほうが明らかに従業員の安全を守ることができると判断された場合は、同意なしでも報告する可能性はあります。また、報告しないとほかの労働者や一般市民に明らかに危険が及ぶ場合も同様です。

特に病名や病状を勤め先に伝えていない場合、産業医や産業看護師への相談内容がきちんと守秘義務に守られるのか、心配になるかもしれません。前述のように相談内容が筒抜けになることはありませんが、むしろ産業医や産業看護職に、事業場内での病気の説明の仕方や職場で配慮してほしいことなどを相談したらどうでしょう。職場の事情を理解し、医学知識もあるので、強い味方になってくれるはずです。
Q46小さな職場なので、産業医や産業看護職が勤務していません。会社の外で産業保健スタッフに相談できる窓口はないでしょうか。    
A46産業医が選任されるのは50人以上の労働者が働く事業場だけですし、産業看護職も一定規模以上の事業場に配置されることがほとんどなので、産業医や産業看護職に相談できない職場も少なくありません。

厚生労働省は、そのような小規模の事業場で働く労働者のために、都道府県の産業保健総合支援センターや地域窓口(地域産業保健センター)を設置しています。健康診断結果に基づいた健康管理やメンタルヘルスなどについて、医師や保健師が個別相談に応じてくれます。
Q47体調が悪く、産業医から「残業禁止」の指示が出ているのに、上司が無視します。誰に相談したらよいでしょうか。   
A47この場合の産業医の「残業禁止」の指示は、労働安全衛生法に基づく勧告権限の行使と考えられ、事業者は正当な理由がない限り、それを尊重しなければなりません。この上司は、産業医からの「残業禁止」の意見に対する意味を十分に理解していないのかもしれません。まずは人事労務担当者に相談してください。可能であれば直接産業医に相談してもいいでしょう。
Q48私は派遣労働者ですが、派遣先の産業医・産業看護職に自分の体調や働き方を相談できるでしょうか?   
A48産業医や産業看護職が対応するのは、その会社と労働契約を結んでいる従業員です。したがって、派遣労働者の方の場合、派遣先のスタッフに相談はできません。ただし派遣元に産業医や産業看護職がいるなら、そちらに相談することができます。

また、派遣契約の中に「派遣労働者に派遣先の診療所などを利用させる」旨の定めがある場合もありますので、一度相談してみてもよいでしょう。
Q49通院で有給休暇を使いきったため、通院時は欠勤扱いになって減給対象となります。これはしかたがないのでしょうか。   
A49有給休暇を消化し、さらに欠勤した場合は「ノーワーク、ノーペイ(労働しなければ賃金なし)」の原則で給料が減額される場合が少なくありません。会社によっては、欠勤分の補てんを目的とした給付制度をもつところもありますので、会社の就業規則を確認すると共に、担当者に相談してみるとよいでしょう。

また、会社の制度としてフレックスタイム勤務制度がある会社であれば、その制度を利用して労働時間の調整をすることができます。フレックスタイム制度とは、一人一人の1カ月の労働時間を一定にしながら始業および終業時間は各自の自由裁量にゆだねられる制度です。必ず全員が就業しなければならない時間帯(例:午前11時~午後3時)として「コアタイム」が設定されているのが一般的で、コアタイム以外の時間で、1日の労働時間を満たせば、自由に出・退勤できます。

例えば、週3日、早めの出・退勤にし、就業前後に通院時間を確保したり、朝の通勤ラッシュを避けるために時間をずらし遅めの出勤にしたりするなど、各自の状況にあわせて勤務時間帯の調整ができる点が大変便利です。
Q50病院が遠隔地にあるため、通院のために仕事に支障が出ます。近所の病院に移ることはできますか。    
A50必要な治療が遠隔地の医療機関でしか行えないのであれば、そこへの通院はやむを得ないかもしれません。しかし、近所の医療機関でも可能な治療だったり、現在が経過観察の時期だったりするのであれば、主治医と相談の上で、近所の医療機関に通院することも可能かもしれません。その場合、完全に転院するのか、経過観察は近所の医療機関、治療は遠隔地の病院のような分業方式でいくのか、状況に応じて考える必要があります。主治医と率直によく相談するのがポイントです。長期的なメリット・デメリットを検討し、ご自分が納得できるかたちにしましょう。
Q51平日昼間の通院では、どうしても仕事に支障をきたします。週末や夜間に治療を受けられる病院はないでしょうか。    
A51地域によっては、土日や夜間のがん診療に対応する病院もあります。お住まいの地区にそのような病院があるかどうかは、地域のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターなどに問い合わせるとよいでしょう。
通院日数短縮の秘策
複数の科(脳外科、耳鼻科、眼科、内分泌内科)を受診しているうえに手術前の外来受診が困難だったので、3日間の事前精査入院を設定してもらいました。この期間内に時間のかかる検査を集中的に行い、複数科の診察も受けることができて、とても助かりました。

術後には通院時間の確保に苦労し、職場にも迷惑をかけました。そこで主治医と相談の上、複数科の診察と検査を同一日か隣接日にできるように工夫をしてもらいました。自宅から近い病院を手術病院として選んだことも入退院をスムーズにさせ、外来診療を短時間ですますことができる一因になっていると思います。

〈男性 診断時37歳 脳腫瘍 自営業〉
Q52病状の変化により突然会社に退職の申し出をせざるをえなかった場合、退職金のことで不利になることはありますか。   
A52まずは本当に退職という申し出がご自身にとって最適なのか、家族と一緒によく検討してください。退職金等の規定は会社ごとに異なりますから、不利なるかどうかは会社によって違います。できるだけ不利にならないよう、会社の退職金制度を確認しましょう。
「早まってやめるな」と言ってくれた知り合い
子宮肉腫という希少がんになったとき、職場(福祉施設)に迷惑がかかるのではないか、子どもとじっくりつきあう方がいいのではないかと弱気になりました。そこで相談に乗ってくれたのは、子宮がんだった職場の先輩のご主人でした。治療・入院の前にお会いして、「このまま仕事を続けられるのか、続けてよいものだろうか…」とうかがったとき、「仕事を辞める必要はないし辞めるのはいつでもできる、かえって治療に向かう意欲になるし気が紛れる」と励ましてくれました。

〈女性 診断時42歳 子宮肉腫 正社員〉
Q53がんと診断されたことを会社に報告したら解雇されてしまいました。不当解雇ではないでしょうか。相談窓口はありませんか。   
A53労働契約法および労働基準法では、労働者を解雇するには合理的な理由の存在と解雇予告の手続きが必要であると定めています。まず、会社の人事・労務部署に解雇理由を確認しましょう。また、就業規則の解雇規定において、解雇理由が具体的に明記されているか、そしてご自分がそれにあてはまるかを確認しましょう。会社は、解雇した人からリクエストされた場合には、解雇理由を書面で交付しなければならないとされています(労働基準法22条)。

解雇予告は少なくとも30日前までに行うことなどが義務付けられていますから、解雇のタイミングも確認しましょう。

不当解雇の可能性があると思われるのであれば、お住まいの地域の総合労働相談コーナーや労働組合が相談に乗ってくれます。
Q54がんになっても仕事を生きがいにがんばるつもりでしたが、退職勧告を受けました。生きる意味をどうやって探していけばいいでしょうか。   
A54退職勧告には納得していますか?もし職場関係者があなたの状況を正確に把握してくれていないと思うのであれば、主治医の力などを借りて、ご自分の状況を詳しく説明しましょう。それでも状況が変わらず、職場側の判断が不当だと思われるのであれば、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどで相談することもできます。

一方、退職勧告はやむを得ないと考えている場合、頭では納得していても、もうその職場で働けないという事実を受け止めるのはつらいことです。しかし、もし社会で働き続けたいと思うのなら、現在のあなたの状況で無理なく働ける就労条件の職場を見つけるチャンスにもなります。次の職場がすぐ見つかるとは限りませんし、転職による減収があるかもしれません。しかし、与えられた職場で自分をいかす道を工夫することはできます。将来体調が戻ってきたとき、その状況に応じて、また働き方を修正することもできるでしょう。ご自分の仕事を少し長い目で考えてみるのもよいと思います。

場合によっては、働くことが現実的ではないケースもあるかもしれません。多くの場合、仕事は私たちに生きがいを与えてくれますが、果たして生きがいの源は仕事だけでしょうか。仕事中心の暮らしをしてきた方がいきなりものの見方を変えるのは難しいかもしれませんが、私たちが生きる毎日の中には、仕事以外にもさまざまな「生きる意味」が隠れているのではないでしょうか。
病気の体験から得たこと
一日一瞬を大切にする気持ちは同年代の一般の人には負けないと思っています。病気になって、家族、医療従事者、友人、そして社会保険など、多くの人に助けられ、支えられて生きてきました。だから、社会に有益な人間になりたいと思っています。資格試験を受験するときには、「落ちたらまた来年受ければいい」ではなく、「来年は元気かどうかわからないから何としてでも今年受かりたい」という覚悟で挑んでいます。また、病気になったからこそ、日々の健康管理には一段と気を使っています。

〈女性 診断時19歳 卵巣がん 正社員〉
Q55小児がん経験者です。成人になった今も体調不良のときがあり、今後就職できるか心配です。相談する場所はありますか。  
A55小児がん経験者の就労相談の窓口としては、「がんの子どもを守る会」があげられます。あなたが学生であれば、通学する大学などの就職支援担当者も相談に乗ってくれるでしょう。体調については、ぜひ主治医に相談してみてください。就労にはさまざまなかたちがあります。社会人としてご自身をいかす方法について、多くの方に相談するとともに、ご自分でもじっくり考えてみましょう。
小児がん経験者への支援
病名を伝えただけで面接官の態度が変わった、定期健診で休みを取ることに嫌な顔をされたなどの明らかな偏見は、小児がん経験者をはじめ医師や支援者の研究や啓発活動により、徐々に減ってきてはいます。その一方、小児がん経験者自身にも超えなくてはならない課題があることがわかってきました。小児がんの好発年齢は乳幼児期から学齢期前半です。本来であれば、家庭や社会のさまざまな刺激を受けて心身ともに成長をしていく時期です。小児がん経験者の社会的自立を困難にする理由のひとつとして、このような大事な時期に治療生活を送らなければならなかったため、年齢にふさわしい自立心や社会性が十分育まれなかった可能性も指摘されています。

この穴埋めをして自立を支援しようという試みが、治療中から、医療従事者を中心に始められています。公益財団法人がんの子どもを守る会でも、小児がん経験者が主体となる活動への助成やソーシャルスキルトレーニングなどを行っています。企業などの協力も得ながら、少しずつ支援体制が作られ始めています。

小児がんを経験して乗り越えた子どもたちは一様に、他人への思いやりがあり、気持ちを察する力があるともいわれています。また、社会に貢献したい気持ちが強いことも特徴的です。あと少しでジャンプができる、でも「ホップ」「ステップ」で立ち止まってしまう小児がん経験者と家族もいます。きっかけや情報が欲しい方は、当会のソーシャルワーカーへお問い合わせください(連絡先は巻末)。一緒に考えてきたいと思っています。

〈公益財団法人がんの子どもを守る会ソーシャルワーカー 樋口明子〉
Q56副作用で味覚異常になりました。調理の仕事なのですが、どうすればいいでしょうか。    
A56まず主治医に、味覚障害が改善する可能性について確認してください。もし改善が見込めるのなら、障害の程度にもよりますが、一時的に同僚に味のチェックを頼むなどして仕事が続けられそうか、職場に相談するのも一案です。

残念ながら調理の仕事を続けることが難しい場合、飲食業でのサービス担当など、それまでの経緯をいかして職種を変更するという選択肢もあります。

【がんになったら手にとるガイド】
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身近な人ががんになったとき
207.身近な人ががんになったとき(PDF)

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