がん死亡率の5か国比較:フランス、イタリア、日本、イギリスおよびアメリカ

肺がん

-WHO死亡統計データベースより(1960-2000)
更新日:2006年10月01日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2006年10月01日 掲載しました。
肺がんの、日本、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアにおける年齢調整死亡率(昭和60年モデル人口で補正)を図1に示した。

男性の肺がん年齢調整死亡率は、1960年以降、5か国全ての国で著しく増加した(図1、左)。1960年から1970年代における、アメリカ、イギリス男性の年齢調整死亡率は、日本、フランス、イタリア男性と比較して非常に高かった。イギリス男性の肺がん年齢死亡率は、1970年後半に、アメリカ男性の肺がん年齢調整死亡率は1990年頃にピークが観察されている。日本、フランス、イタリア男性の肺がん年齢調整死亡率は、1960年以降増加したが、その後1990年頃には、平衡状態(日本とイタリア)、あるいは、減少傾向(フランス)に転じている。これら5か国の肺がん年齢調整死亡率は、近年、差が小さくなっている。

女性の肺がん年齢調整死亡率は、イギリスとアメリカでは、1960年以降急激に増加したが、1990年頃には平衡状態に達した。日本、フランス、イタリアの女性の肺がん年齢調整死亡率も1960年以降徐々に増加したが、その増加の程度はイギリスとアメリカに比べ緩慢であった。日本、フランス、イタリアの女性の肺がん年齢調整死亡率は、2000年段階では、まだ減少傾向が観察されていない状況である。

40歳以上の男性の5歳年齢階級別肺がん死亡率を、死亡年別(図2)、および、出生年別(図3)に示した。5か国中、最も早く肺がん増加傾向のピークが観察されたのは、全ての年齢階級においてイギリス男性である(図2)。イタリア、イギリス、アメリカでは、各年齢階級ともに肺がん死亡率増加のピークが観察されている。このピークは、図3を見ると、1930年生まれの男性(アメリカとイタリア)、あるいは、1900年生まれの男性(イギリス)と一致している。これらの減少は、出生コホート効果として捉えることができる。日本とフランスの男性の年齢階級別死亡率には、イタリア、イギリス、アメリカほど明らかなピークは見られないが、1930年頃に生まれた男性に小さなピークが観察される。

40歳以上の女性の5歳年齢階級別肺がん死亡率を、死亡年別(図4)、および、出生年別(図5)に示した。イギリス、および、アメリカの女性では、高齢層を除く全ての年齢階級で肺がん死亡率の急激な増加が見られ、その後減少に転じている。男性と同様に出生コホート効果が観察され、肺がん死亡率のピークは、1930年生まれ(アメリカ)、および、1920年後半生まれ(イギリス)に一致して観察される(図5)。フランスの40-59歳の女性では、1980

年以降肺がん死亡率増加が非常に顕著である。2000年時点の日本女性とフランス女性の年齢階級別肺がん死亡率を比較すると、40-59歳では日本女性の方がフランス女性より低いが、64歳以降では日本女性の方がフランス女性より高い。(注)データはWHO死亡統計データベース(2004年2月版)からダウンロードし、著者らが集計した(ICD-7: 162-163, ICD-8: 162, ICD-9: 162, ICD-10: C33-C34)。本稿での図示と解釈の責任はWHO死亡統計データベースではなく著者らにある。
図1.男女別肺がん年齢調整死亡率(昭和60年モデル人口で補正、人口10万対)
図1.男女別肺がん年齢調整死亡率(昭和60年モデル人口で補正、人口10万対)
図2.5か国における40歳以上男性年齢階級別肺がん死亡率(人口10万対)
図2.5か国における40歳以上男性年齢階級別肺がん死亡率(人口10万対)
図3.5か国における40歳以上男性年齢階級別出生コホート肺がん死亡率(人口10万対)
図3.5か国における40歳以上男性年齢階級別出生コホート肺がん死亡率(人口10万対)
図4.5か国における40歳以上女性年齢階級別肺がん死亡率(人口10万対)
図4.5か国における40歳以上女性年齢階級別肺がん死亡率(人口10万対)
図5.5か国における40歳以上女性年齢階級別出生コホート肺がん死亡率(人口10万対)
図5.5か国における40歳以上女性年齢階級別出生コホート肺がん死亡率(人口10万対)


資料:(財)がん研究振興財団「臨床腫瘍学の展望」
    Japanese Journal of Clinical Oncology 2005; 35(1-12)
アンケートにご協力ください
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
アンケートページへ