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脳腫瘍〈小児〉(のうしゅよう)

更新・確認日:2019年04月18日 [ 履歴 ]
履歴
2019年04月18日 内容を更新するとともに4タブ形式に変更し、でんし冊子PDFを追加しました。
2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

日常生活について

腫瘍や治療の影響で、日常生活ではサポートが必要になることもありますが、基本的には、可能な範囲で、入院前と変わらない生活を送ることが大切です。しかし、治療の影響に関する高次脳機能障害(脳への損傷によって起こり、日常生活および社会生活への適応に困難を生じる、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害)などが起こることがあります。そのため、個々の患者さんに合わせて、就学を含め生活環境を整えるなど、社会との関わり合い方を探りながら日常生活をサポートしていくことが大切です。

学校生活への復帰

学校への復帰は、元の生活に戻る上でとても重要な要素です。相談員などと連携して、入院中から、復学に向けた準備をしっかり行っていきましょう。

例えば、小学校であれば、通常の学級や特別支援学級、特別支援学校といった選択肢の中から、どの場で教育を受けることが本人にとって最もよいのかを、その後の生涯にわたっての展望を含めて判断することが大切です。学びの場所が適切かについては、進学時や復学時だけでなく、必要に応じて見直すようにしましょう。常に、最適な教育を受けられるように、柔軟に対応していく必要があります。

また、復帰後は、スムーズな学校生活が送れるように、個別の状況に応じて、学校と連携しながら臨機応変な対応をしていくことが大切です。具体的な対応方法としては、教室では前の席を確保してもらう、コンピューターなどを活用して手書きの作業を減らす、授業を録音する、不得意な科目では個別の先生についてもらう、テストでは制限時間の延長や口頭での回答を認めてもらうことなどがあげられます。

経過観察

治療後は、体調や再発の有無を確認するために、定期的に通院します。治療終了直後は、MRIなどによる画像検査を数カ月ごとに行いますが、その後は経過時間に応じて頻度を減らしていくのが一般的です。通院の頻度や検査項目は、これまでに行った治療の種類などによって異なりますが、再発や晩期合併症が生じる危険性が高いほど、頻繁かつ長期的な通院が必要となります。

晩期合併症

小児脳腫瘍では、治療成績が向上してきた一方で、成長や時間の経過に伴い、腫瘍そのものや、薬物療法、放射線治療などの治療による影響で、さまざまな合併症が起こることがわかってきています。これを「晩期合併症(晩期障害)」といいます。

主な晩期合併症

小児脳腫瘍の晩期合併症には以下のようなものがあります。
なお、治療後30~40年といった超長期的な影響についてはまだわからないことが多いものの、脳卒中や認知機能低下(高次脳機能障害)などの晩期合併症が生じる可能性は、年数が経過するほど高まるともいわれています。

1)内分泌(ホルモンなど)に関するもの

下垂体の近くにできた脳腫瘍を治療した場合や、化学放射線療法を行った場合は、甲状腺の病気や成長障害、二次性徴の異常、不妊などが起こることがあります。そのため、治療計画を立てたり長期フォローアップを進めたりするときに、専門家への相談が必要となることがあります。

2)脳血管に関するもの

脳梗塞や、血管の奇形の1つである「海綿状血管腫」が生じることがあります。また、そのほかの血管の奇形や、脳卒中、脳に血液を送る血管が徐々に詰まって脳の血液不足や出血を引き起こす「もやもや病」なども起こることがあります。

3)神経系に関するもの

脳に対する放射線治療によって、神経系の晩期合併症が起こる可能性が高まることが知られており、てんかん、運動機能障害、視覚障害などがみられることがあります。また、使用した薬剤によっては、難聴や耳鳴りが生じるなど聴覚や内耳に関連した症状があらわれることもあります。

4)認知機能に関するもの

文字を書くことや読書が困難になったり、集中力が長時間維持できなくなったりする「高次脳機能障害」がみられることがあります。高次脳機能障害は、記憶力や知能が低下する、計画を立てて実行することが難しくなるなどの症状としてあらわれることもあります。

5)後頭蓋窩(こうとうがいか)症候群

後頭蓋窩症候群(PFS)は、後頭蓋窩にある小脳の腫瘍を取り除いた場合にあらわれる合併症です。神経機能や認知機能の障害が起こったり、言語の発達が芳しくなく、言葉を発さない無言症に至ったりすることが特徴で、患者さんの年齢に応じた感情表現ができるようにサポートする必要があります。

6)二次がん

頭蓋への放射線治療を行った場合、膠芽腫(こうがしゅ)や髄膜腫(ずいまくしゅ)が生じる可能性があります。また、このような二次性の脳腫瘍が生じる可能性は、時間が経過するにつれて高まることが知られています。

長期フォローアップ

腫瘍の種類やこれまでの治療内容によって、通院の頻度や起こりやすい晩期合併症は異なりますが、子どもは治療後も成長を続けていくため、発達段階に応じた、幅広いフォローアップケアが重要です。小児脳腫瘍の治療後は、一人一人の患者さんに合わせて、いつ・どこで・どのようにフォローアップケアを行うかといった、長期フォローアップの方針を決めていきます。

晩期合併症を見逃さないために、治療後少しでも気になることがあれば、すぐに医師に相談しましょう。特に自覚症状がなかったとしても、生涯にわたり長期フォローアップを受けることで、晩期合併症などの早期発見に努めることが大切です。

また、長期フォローアップでは、家族や周囲による、心理面でのサポートも欠かせません。
地域で小児がん治療を中心的に担う施設として国が指定した「小児がん拠点病院」には、相談支援センターが設置されており、さまざまな相談をすることができます。検査や治療に関することはもちろんですが、医療者とのコミュニケーションや経済的負担への不安、副作用や合併症との付き合い方などを相談するのもよいでしょう。
治療面だけでなく、心理面も含め、超長期的な視点で健康管理を行っていくことが重要です。
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
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