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肝腫瘍〈小児〉(かんしゅよう)

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更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

手術(外科治療)

図2 肝臓と周囲の臓器
図2 肝臓と周囲の臓器
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肝臓の悪性腫瘍では、手術により腫瘍を全部切除することが長期生存のための必須条件と考えられています。

肝臓は胆のうと下大静脈を結んだ線を境に左葉と右葉に分かれ、さらにそれぞれが4つの区域に分かれています。肝臓の手術はどこでも切り込めるわけではなく、これらの区域やそこに向かう血管の枝分かれを考えて、左外側区域切除、左葉切除、右葉切除、拡大右葉切除、三区域切除といった標準術式の中から選択されます。多くの場合、はじめは腫瘍がいくつかの区域にまたがっており、手術の後に残さなければならない重要な血管を巻き込んでいます。そこで抗がん剤治療により腫瘍を小さくして、上記のうちどれかの手術で腫瘍が切除可能と判断されたところで手術を行います。

切除は基本的に区域ごとに行い、定型的に切除した方が、腫瘍摘出率が高く局所再発率が低くなります。そして、肝芽腫では腫瘍の完全摘出率が高いほど生存率も高くなります。肝細胞がんについても腫瘍を完全に取りきれるかどうかが予後に大きく影響します。
抗がん剤治療を徹底的に行っても、腫瘍のできた位置や進展度によっては切除が不可能な場合もありますし、大事な血管と腫瘍が接していて、血管を残せば腫瘍細胞が血管のまわりに残ってしまう可能性が高いと考えられる場合もあります。近年ではこのような場合、遠隔転移がなければ、近年では肝移植も1つの選択肢と考えられるようになりました。再発例を除けば80%以上の生存率が得られたとする報告もみられますが、世界中で数百例が行われているのみであり経過観察期間も短く有効性は確立されていません。将来的な治療の選択肢として期待されています。

肝臓は血管豊富な臓器のため、肝切除術の合併症として出血が大きな問題となることがあります。そのため、輸血の準備が必須となります。また、手術後には肝臓の断端にしみ出した胆汁がたまったり、範囲の大きい肝切除では、時に残した肝臓に向かう胆管の枝が狭くなったりして、黄疸(おうだん)が出ることがあります。

手術の合併症や術後の副作用について、担当医に確認しておきましょう。

抗がん剤治療(化学療法)

肝芽腫では、抗がん剤の投与で腫瘍が小さくなり、その結果として、当初は切除不能と考えられていても、切除が可能となる場合も多くみられます。また、切除した後にわずかながん細胞が残った場合にも、抗がん剤治療である程度はその腫瘍を縮小させることができると考えられています。したがって肝芽腫では抗がん剤の投与が必須です。シスプラチンとアドリアマイシンを用いた化学療法、抗がん剤の動脈注入療法、動脈塞栓(そくせん)療法などが試みられます。

肝芽腫において大量化学療法は、有用である可能性は高いのですが根拠はまだ不十分であり、今後のさらなる検討が必要とされています。

一方、肝細胞がんでは、抗がん剤の効果が限られているため、外科的切除が主体となります。

副作用としては、骨髄抑制(白血球の減少)に伴う感染症、シスプラチンによる腎障害、聴力障害、アドリアマイシンによる心筋障害、抗がん剤のすべてに共通するものとして二次がん、不妊があげられます。これらは骨髄抑制を除けば、必ず生じるものではありませんが注意を要します。

いずれにしろ、小児腫瘍を専門にした小児科医と小児外科医、さらに病理医や放射線科医の連携がしっかりとれている専門病院で治療を行うことが不可欠です。
図3 小児の肝腫瘍の治療と臨床診断
図3 小児の肝腫瘍の治療と臨床診断
日本小児がん学会*編「小児がん診療ガイドライン 2011年版」(金原出版)より作成 *現日本小児血液・がん学会
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