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骨肉腫〈小児〉(こつにくしゅ)

更新・確認日:2019年06月20日 [ 履歴 ]
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2019年06月20日 タイトルに〈小児〉を追記しました。
2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

骨肉腫とは

骨肉腫は小児の骨に発生する悪性腫瘍(がん)の中で最も頻度の高い代表的な骨のがんです。しかし、日本国内でこの病気にかかる人は1年間に150人くらいであり、がんの中では非常にまれな部類に入ります。また、10歳代の思春期、すなわち中学生や高校生くらいの年齢に発生しやすい病気です。
大腿骨の骨幹端部に発生した骨肉腫
大腿骨の骨幹端部に発生した骨肉腫 画像

骨腫瘍の症状

骨肉腫は、痛みと腫(は)れが最初の症状です。骨肉腫は大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ:すねの骨)の膝関節(しつかんせつ)に近いところに発生することが最も多く(60~70%)、次いで多いのは肩に近い上腕骨です。

同じ小児の骨に発生するがんであるユーイング肉腫も同じような症状で始まります。

ユーイング肉腫も大腿骨に多く発生しますが、骨肉腫と違って関節から離れた骨の真ん中に発生しやすい傾向があります。また、骨盤や背骨などにも発生します。表面から腫れがわかりにくいため、診断がつくまでに大きくなっていたり、麻痺(まひ)が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません。

いずれにしても、痛みがずっと続く場合には要注意です。我慢しないで、専門医(小児科)の診察を受けましょう。



更新・確認日:2017年02月03日 [ 履歴 ]
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2017年02月03日 「がんといわれたとき」の項目を「子どもががんと言われた親の心に起こること」「小児がんと言われた子どもの心に起こること」に変更しました。
2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

小児がんの診療の流れ

この図は、はじめて小児がんを疑われたときから、「受診」そして「経過観察・長期フォローアップ」に至るまでの流れです。今後の見通しを確認するための目安としてお使いください。
がんの疑い      「風邪のような症状が治らない」「顔色が悪い」「いつもと様子が違う」などと感じたら、まず、病院や医院で医師に相談しましょう。
 
受診   受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。伝えたいことはあらかじめメモにまとめておくとよいでしょう。検査の予定や次の診察日が決まります。
 
検査・診断   検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかったりすることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。治療法を選択する際には、検査や診断についての理解が必要となります。不安や疑問に思ったことは医療者に尋ねましょう。
 
治療の選択   担当医が、がんや体の状態に合った治療の方針について説明します。治療の目的や効果、治療に伴う副作用について整理しておきましょう。信頼できる情報を集め、お子さんやご家族、医療者と話し合い、お子さんの希望に沿う方法を見つけましょう。
 
治療   治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、気が付いたことはいつでも医療者に相談しましょう。お子さんにとって、よりよい方法を一緒に考えていきましょう。
 
長期フォローアップ   治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。治療が終わって長い時間が経過してからあらわれる副作用や成長への影響に対応するために、長期のフォローアップを行います。

受診と相談の勧め

がん(腫瘍[しゅよう])という病気は、患者さんごとに症状のあらわれかたが異なります。また、はっきりした症状がみられない場合もあります。お子さんに何か気に掛かる点がある場合や、健康診断などで詳しい検査が必要と言われたときには、きちんと医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご家族が判断したり、病気が見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、病気ではないことが確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

全国の国指定の小児がん拠点病院がん相談支援センターでは、小児のがんについて知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしています。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で、また対面だけでなく、電話などでも相談できます。わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

小児がん拠点病院は「小児がん拠点病院を探す」から検索することができます。

子どもががんと言われた親の心に起こること

がん(腫瘍)という診断を受けることは、わが子を失うかもしれない恐怖で心がいっぱいになる方が多いでしょう。何がいけなかったのだろうかと思い悩み、早く気付けなかった罪悪感にさいなまれたり、見守ることにつらさを感じたりすることもあるかもしれません。精神的な衝撃を受ける中で、治療の説明を理解し、子どもに伝え、判断していく必要があります。

子どもが命に関わるかもしれない病気になることは、親にとってもトラウマ(心的外傷)体験になると考えられています。ご家族も気分が悪くなったり、体調を崩したりすることがあります。

ご家族に心がけていただきたいこと

子どものがんと大人のがんとでは、その性質がまったく異なります。小児がんについての情報はいろいろなところから得ることができますが、正確でないものもあります。できるだけご家族そろって専門家の話をよく聞いて、現状を正しく理解することが大切です。わからないことは遠慮せずに質問するようにしましょう。

子どもの入院生活はどのようになるのか、検査や治療に子どもは耐えられるのだろうか、入院が始まるときに家族はどのような態勢を取ればよいのだろうか、ほかのきょうだいの生活はどのように維持していけばよいのだろうか、と頭の中は大混乱となることがあるかもしれません。
病院内にも、多方面からサポートするスタッフがいます。ささいなことと思ってもひとりで悩まないで、医療者に伝えて適切な相談者を紹介してもらいましょう。

一方、ご家族の関心が、病気の子どもに集中してしまうと、きょうだいは寂しい思いをします。きょうだいにも理解できる範囲で、病気のこと、今後の見通しについて説明をしておくことが大切です。面会に年齢制限があるなど、きょうだいを会わせるのが難しい場合もありますが、できれば会わせたり、電話で話したりする機会をつくるとよいでしょう。

小児がんと言われた子どもの心に起こること

小学生以上の子どもたちの中には、親と同様に「がん(腫瘍)」という言葉から、命に関わるかもしれない病気であると感じる子もいます。また、幼児期の子どもたちは大人たちの反応を非常によく観察していますので、周囲のただならぬ雰囲気から大変なことが起こっているのだということを感じ取ります。

治療を受けるには、「治したい」という本人の自覚が必要です。今起きていることや、これからのことがわからない上に、体調も悪いとなると、子どもはとても不安になります。不安が高まると、いろいろなことに敏感になります。例えば痛みに敏感になったり、寝付きが悪くなったりします。納得して治療に臨めるように子どもにどのように伝えるか、医療スタッフとしっかり話し合いましょう。周囲から支えられていることを感じながら、この試練を乗り越えることができると、子どもは自分に自信を持ち、発病前以上に成長できることが知られています。これからの入院生活の中で本人が孤立しないように、家族と医療スタッフの間の信頼が築けるような態勢をまず整えましょう。



更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

検査と診断

画像診断

診断には主にレントゲン(X線)撮影が行われます。骨肉腫では、膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されていたり、それに混じっていびつな形の骨ができていたりします(図の中で、{ 記号で示した範囲が腫瘍のある部位を示し、壊れているところは黒っぽく、骨ができているところは白く見えます)。このようなレントゲン(単純X線)所見を示すものは通常型と呼ばれる高悪性度のもので、小児に発生する骨肉腫の大部分はこれに該当します。まれに抗がん剤治療を必要としない低悪性度の骨肉腫もありますが、この場合、多くは骨の表面にみられます。
図1 レントゲン画像 図2 MR画像
図1 レントゲン画像 図2 MR画像
骨肉腫では腫瘍が骨からしみ出して骨の外側に大きなかたまりを作ることが特徴です。しかし、この部分はレントゲン(X線)でみにくいため、CTやMRIなどでその広がりを検査します。また内臓やリンパ節に転移があるかどうかを調べるためにはCTを用い、別の骨に転移があるかどうかを調べるために放射性同位元素を用いる骨シンチグラフィーという検査をします。

血液検査

骨の腫瘍では血液検査をしても特別な異常はみられないことが多いのですが、骨肉腫ではアルカリホスファターゼという酵素の値が高くなっていることがあります。ユーイング肉腫では、CRPという炎症を表す数字が高くなっていることがあり、発熱などを伴うと骨髄炎と間違われることがあります。抗生物質を服用すると一時的に症状が軽くなることがあり、ますます骨髄炎との区別が難しくなるため、担当医とよく相談する必要があります。

病理検査

細胞レベルでの正確な診断である確定診断は、病理検査で行われます。手術で腫瘍の一部分を採って(生検)、採取した腫瘍組織を顕微鏡で診断(病理診断)します。

病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。骨肉腫においては、表1のような分類がよく用いられます。骨肉腫は発見されたときすでに、病期IIBまで進んでいる場合が多くあります。転移があると病期IIIになりIIBの患者さんに比べて治りにくくなります。したがって、転移の有無を調べることが重要です。

転移:がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこでふえること。
表1 Enneking(エネキン)の外科的病期分類
表1 Enneking(エネキン)の外科的病期分類の図



更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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手術(外科治療)

治療は抗がん剤治療と手術が基本になります。手術の原則は腫瘍を周囲の健康な組織で包んで取ることであり、これを広範切除(こうはんせつじょ)といいます。手足に栄養を送る重要な血管や、手足を動かす神経を残すことができれば、手足を残す患肢温存手術(かんしおんぞんしゅじゅつ)が可能であり、切断しなくてもすみます。手術のために欠損した骨の部分には自分の骨を別の部分から取ってきて移植したり、腫瘍用に開発された人工関節を入れたりして再建(さいけん)をします。

骨肉腫は骨の端にある軟骨部分である成長軟骨のすぐそばにできるため、手術の際にここを残すことはほとんど不可能です。特に10歳以下の、まだこれから身長が大幅に伸びる時期の子どもの場合には、膝の近くの成長軟骨をとってしまうと、成長が終わる頃には病気がない方の足に比べて10cm以上も短くなり、日常生活に支障を来すことになります。

そのため、大腿で切断をして義足を使うほうが生活しやすいという場合が多くなります。また、回転形成術といって、血管・神経以外は病気の部分を含めて皮膚も筋肉もとってしまい、残ったすねの下から足首、足を引っ張り上げて、前後180°逆さ(足の裏が前を向くよう)にして大腿部に接合する手術があります。こうすると前後が逆になった足首が膝の働きをしてくれるようになり、機能的には大腿で切断するよりすぐれたものになります。

しかし、最近は延長することが可能な腫瘍用人工関節や、さまざまな方法で骨を延長させる骨延長術が進歩し、10歳以下の子どもにも積極的に患肢温存を試みるようになっています。

一方、子どもの素晴らしい点は、適応能力がすぐれているということです。周囲が障害を理解できれば、子どもたちは障害を克服する、すぐれた資質をもっています。

放射線治療

骨肉腫は放射線を用いた治療が効きにくい腫瘍のため、放射線治療はほとんど行われません。しかし、腫瘍の大きさや生じた場所の問題から安全な広範切除が難しい場合や、再建が難しい患肢温存術を行う場合に、手術前あるいは手術後の補助的な治療として行うことがあります。

抗がん剤治療(化学療法)

骨肉腫が手術だけで治療されていた1970年以前は、90%近くの患者さんが再発していました。しかし現在では、手術後に抗がん剤治療を行うことで再発率を下げ、治癒率を上げることができます。また、手術前に抗がん剤治療を行い、腫瘍の縮小を図ることで手術がしやすくなり、患肢温存手術などが可能となります。

このため、通常2ヵ月から3ヵ月にわたる抗がん剤治療の後に手術を行い、摘出腫瘍で抗がん剤の効き方をみた後に、その効き方に応じて数ヵ月から1年の抗がん剤治療を追加することが、日本の治療の主流となっています。欧米でも日本と同様であり、基本的な抗がん剤の種類は同じですが、抗がん剤の量、内服か注射かなど投与の方法、組み合わせを変えてよく効くかどうか、また、新しい薬が効くかどうかなど、まだ確立されていない治療については、「臨床試験(りんしょうしけん)」として限定の治療が行われます。

使われる抗がん剤は、メトトレキサート、シスプラチン、アドリアマイシンの3剤が基本で、イホスファミドを加えることもあります。その他の薬剤が骨肉腫の治癒率向上に役立つかどうかはまだ研究中です。副作用としては、抗がん剤投与に伴う吐き気、嘔吐(おうと)や、それに続くだるさ、口内炎、白血球減少とそれに伴う感染症などに注意が必要です。また、シスプラチンでは腎障害や聴力障害、アドリアマイシンでは心臓の障害のおそれがありますので、それらの検査は定期的に行う必要があります。

予後(治りやすさ・治りにくさ)

骨肉腫の原発が四肢の骨で、治療を始めるときに転移のない骨肉腫は、現在の治療法での10年生存率(治療開始からある一定の期間経過した方々について、その時点で生存している方の割合)は60%以上と考えられます。また、治療前に転移があっても、あるいは治療後に転移が起こっても、肺転移に限られている場合は治る患者さんも多くなってきています。



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2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

経過観察

手術後の四肢(手足)の機能状態や、抗がん剤治療後の体調確認のため、また、再発の有無などの診察のために定期的な通院が必要です。

原発部位のレントゲン(X線)や、肺転移が起こっていないか調べるために胸部CTや胸部レントゲンなどの検査が行われます。また、別の骨に転移がないかを調べるために骨シンチグラフィーも定期的に行われます。

患肢温存手術後は、運動機能の回復のために集中的なリハビリテーションが必要になります。また、患肢の切断後は日常生活をできるだけ早期に再開するために、義肢の作成とそのフィッティング、歩行訓練が大切です。



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転移

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れで運ばれて別の臓器に移動し、そこでふえることをいいます。

肉腫は血液の流れで運ばれて転移することが多く、骨肉腫が最も多く転移する先は肺です。診断時にすでに肺転移があっても転移巣の数が限られている場合は、術前の抗がん剤治療と肺の転移巣を手術で切除することにより、20~30%の治癒が期待できます。治療後すぐに再発した場合の治療は難しいのですが、1年から2年目以降の再発に関しては、治癒する可能性もあります。

肺の次に多いのは同じ骨の中や、別の骨への転移です。別の骨への遠隔転移、あるいは広範囲にわたる肺転移巣がある場合には効果的な治療は難しいと考えられています。

再発

再発とは、治療によって目に見える大きさの腫瘍がなくなったあと、再び腫瘍が出現することをいいます。治療が終わってから数年後に、原発巣、または体の別の部位に再発することがあります。治療法は再発の部位、以前に行われた治療、またそのほかの要素により異なります。

肺にだけ再発している場合、治療法は外科的切除術単独または抗がん剤投与を併用します。がんが肺以外の別の部位にも再発している場合は、複数の抗がん剤を使う多剤併用(たざいへいよう)の抗がん剤治療が主に行われます。

晩期合併症

晩期合併症とは治療後しばらくしてから起こる問題のことです。

晩期合併症は疾患そのものの影響よりも、抗がん剤、放射線治療、手術、輸血などの治療が原因となっていることが多く、本人やご家族に、晩期合併症について現在どのようなことがわかっているのかを知っていただくことはとても大切です。どのような晩期合併症が出やすいかは、病気の種類、受けた治療、また治療を受けた年齢により異なります。晩期合併症の程度も軽いものから重いものまでいろいろです。

アントラサイクリン系の心筋への障害など、抗がん剤による晩期合併症は、長期間にわたる注意深い経過観察が必要です。腫瘍が大きく十分な切除ができなかった場合、患肢温存術の前後に放射線照射を行うことがありますが、その場合、放射線治療の副作用として、皮膚・筋肉の壊死(えし)や、関節が動きにくくなる拘縮(こうしゅく)といった状態などが、発生することがあります。放射線の照射を行う時期と量によっては、軟骨の障害による患肢の成長障害などが起こる可能性もあります。

治療部位以外でも体のことについて気になることがあれば、担当医に相談しましょう。