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軟部肉腫(なんぶにくしゅ)

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更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

小児の軟部肉腫とは

子どもの軟部肉腫(あるいは悪性軟部腫瘍)とは、体の軟部組織から発生した悪性腫瘍のことです。軟部組織あるいは軟部とは、肺や肝臓などの実質臓器と支持組織である骨や皮膚を除いた、筋肉、結合組織(腱)、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経を指します。この腫瘍は、手足、後腹膜、頭頸部など体のいろいろな部位に発生します。

わが国での悪性軟部腫瘍の発生率は5万人に1人くらいで、まれな腫瘍です。このうち小児に発生する軟部肉腫はさらに少なく、全小児がんの5~6%にあたりますが、横紋筋(おうもんきん)の腫瘍である横紋筋肉腫および未分化肉腫(みぶんかにくしゅ)が、小児軟部肉腫の全症例の半数以上を占めます。

ここでは、横紋筋肉腫を除いた主な小児の軟部肉腫(非横紋筋肉腫性軟部肉腫)について説明します。軟部肉腫は30種類以上もあり、多くの非横紋筋性軟部肉腫は、小児よりも成人に多く、小児も成人もほぼ同じ自然経過をたどります。代表的な小児軟部肉腫について、その発生起源と発生しやすい部位について述べます。
大腿部の内転筋内に発生した軟部肉腫
大腿部の内転筋内に発生した軟部肉腫 画像

線維肉腫(せんいにくしゅ)

発生起源:線維組織
好発部位:上肢・下肢
体幹(たいかん:胴体)に発生する場合もあります。

乳幼児(4歳未満)に発生する線維肉腫は、局所では浸潤性(しんじゅんせい)ですが転移は少なく、手術単独で予後(治療による今後の見通し)は極めて良好です。

悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫瘍[あくせいしんけいしょうしゅよう])

発生起源:神経
好発部位:上肢・下肢、後腹膜、体幹

神経線維腫症1型の4%は悪性化して発症することもありますが、神経線維腫症に関係なく発生することもあります。滑膜肉腫に次いで、小児に多い軟部肉腫です。

滑膜肉腫(かつまくにくしゅ)

発生起源:関節の近く。しかし、その起源は不明です。
好発部位:下肢、次いで上肢、体幹に発生します。

横紋筋肉腫を除いた小児軟部肉腫で最も多く、20歳未満の患者さんが約3割を占めます。よく起こる転移は肺転移です。

平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)

発生起源:消化管、血管の平滑筋
好発部位:皮下、腹部か後腹膜に発生

脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)

発生起源:脂肪
好発部位:下肢・上肢、後腹膜

乳児型は乳児期に発生し、高分化型脂肪肉腫は年長者に発生しやすいです。

悪性血管周皮腫(あくせいけっかんしゅうひしゅ)

発生起源:血管
好発部位:上肢、下肢、体幹、頭頸部

すべての年齢層に発生します。

胞巣状軟部肉腫(ほうそうじょうなんぶにくしゅ)

発生起源:筋肉。しかし、その起源は不明です。
好発部位:下肢、次いで上肢、頭頸部に発生します。

横紋筋肉腫を除いた小児軟部肉腫で最も多く、20歳未満の患者さんが約3割を占めます。よく起こる転移は肺転移です。

類上皮肉腫

発生起源:起源は不明です。
好発部位:上肢、下肢特に手足から下腿、前腕、次いで、体幹部

腱、腱鞘(けんしょう)に沿って皮下に広範に広がる硬い小腫瘤(しょうしゅりゅう:硬結)や潰瘍(かいよう)を形成します。経過は長くゆっくりした腫瘍ですが、リンパ節転移や肺転移を起こし、予後不良です。

悪性線維性組織球腫(あくせいせんいせいそしききゅうしゅ)

発生起源:線維組織
好発部位:下肢、上肢

発生年齢は、腫瘍により多少の違いがみられます。線維肉腫では2歳以下の乳幼児に発生するものと、10歳から15歳に発生するものがあります。
軟部肉腫は治療しにくい腫瘍の1つであり、最初の治療の成否によって、その人の予後(今後の見通し)や術後の機能に大きな差が出てきます。したがって、軟部腫瘍の治療は早期発見とともに、必ず専門家のいる病院で治療することが大切です。軟部肉腫は種類が多く、確実な診断をするためには腫瘍の一部をとり(切開生検)、病理組織学的に診断します。この生検はその後の治療をするにあたって非常に大切な検査で、やはり専門的知識を必要とします。治療としては悪性度の高い肉腫は手術だけではなく、化学療法(抗がん剤)や放射線療法、さらには温熱療法などいろいろな治療を組み合わせる治療(集学的治療)を行います。

症状

軟部肉腫の大部分は、皮下や筋肉の中にできたこぶのようなものです。主な症状は痛みのないしこり(腫瘤[しゅりゅう])や腫れ(腫脹[しゅちょう])ですが、痛みがないため放置されていることも多く、大きな腫瘤になってから受診となることもあります。

大腿などでは筋肉の厚い場所に発生すると、腫瘤が触れにくいために、受診時には大腿全体が大きく腫れたようになっていることもあります。また、手足にできた腫瘍が大きくなると、関節が曲がらなくなったり、座ることができなくなったりすることもあります。

一部には腫瘤自体に痛みがあったり、腫瘤が大きくなって神経を圧迫し、痛みを伴うこともあります。また、皮膚の色が変わったり潰瘍(かいよう)ができることもあります。
乳児の場合、訴えがないので親の注意が大切です。
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