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軟部肉腫〈小児〉(なんぶにくしゅ)

更新・確認日:2019年06月20日 [ 履歴 ]
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2019年06月20日 タイトルに〈小児〉を追記し、本文に「軟部肉腫〈成人〉」へのリンクを追加しました。
2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

小児の軟部肉腫とは

子どもの軟部肉腫(あるいは悪性軟部腫瘍)とは、体の軟部組織から発生した悪性腫瘍のことです。軟部組織あるいは軟部とは、肺や肝臓などの実質臓器と支持組織である骨や皮膚を除いた、筋肉、結合組織(腱)、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経を指します。この腫瘍は、手足、後腹膜、頭頸部など体のいろいろな部位に発生します。

わが国での悪性軟部腫瘍の発生率は5万人に1人くらいで、まれな腫瘍です。このうち小児に発生する軟部肉腫はさらに少なく、全小児がんの5~6%にあたりますが、横紋筋(おうもんきん)の腫瘍である横紋筋肉腫および未分化肉腫(みぶんかにくしゅ)が、小児軟部肉腫の全症例の半数以上を占めます。

ここでは、横紋筋肉腫を除いた主な小児の軟部肉腫(非横紋筋肉腫性軟部肉腫)について説明します。軟部肉腫は30種類以上もあり、多くの非横紋筋性軟部肉腫は、小児よりも成人に多く、小児も成人もほぼ同じ自然経過をたどります。代表的な小児軟部肉腫について、その発生起源と発生しやすい部位について述べます。

成人の軟部肉腫については「軟部肉腫〈成人〉」をご参照ください。
大腿部の内転筋内に発生した軟部肉腫
大腿部の内転筋内に発生した軟部肉腫 画像

線維肉腫(せんいにくしゅ)

発生起源:線維組織
好発部位:上肢・下肢
体幹(たいかん:胴体)に発生する場合もあります。

乳幼児(4歳未満)に発生する線維肉腫は、局所では浸潤性(しんじゅんせい)ですが転移は少なく、手術単独で予後(治療による今後の見通し)は極めて良好です。

悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫瘍[あくせいしんけいしょうしゅよう])

発生起源:神経
好発部位:上肢・下肢、後腹膜、体幹

神経線維腫症1型の4%は悪性化して発症することもありますが、神経線維腫症に関係なく発生することもあります。滑膜肉腫に次いで、小児に多い軟部肉腫です。

滑膜肉腫(かつまくにくしゅ)

発生起源:関節の近く。しかし、その起源は不明です。
好発部位:下肢、次いで上肢、体幹に発生します。

横紋筋肉腫を除いた小児軟部肉腫で最も多く、20歳未満の患者さんが約3割を占めます。よく起こる転移は肺転移です。

平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)

発生起源:消化管、血管の平滑筋
好発部位:皮下、腹部か後腹膜に発生

脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)

発生起源:脂肪
好発部位:下肢・上肢、後腹膜

乳児型は乳児期に発生し、高分化型脂肪肉腫は年長者に発生しやすいです。

悪性血管周皮腫(あくせいけっかんしゅうひしゅ)

発生起源:血管
好発部位:上肢、下肢、体幹、頭頸部

すべての年齢層に発生します。

胞巣状軟部肉腫(ほうそうじょうなんぶにくしゅ)

発生起源:筋肉。しかし、その起源は不明です。
好発部位:下肢、次いで上肢、頭頸部に発生します。

横紋筋肉腫を除いた小児軟部肉腫で最も多く、20歳未満の患者さんが約3割を占めます。よく起こる転移は肺転移です。

類上皮肉腫

発生起源:起源は不明です。
好発部位:上肢、下肢特に手足から下腿、前腕、次いで、体幹部

腱、腱鞘(けんしょう)に沿って皮下に広範に広がる硬い小腫瘤(しょうしゅりゅう:硬結)や潰瘍(かいよう)を形成します。経過は長くゆっくりした腫瘍ですが、リンパ節転移や肺転移を起こし、予後不良です。

悪性線維性組織球腫(あくせいせんいせいそしききゅうしゅ)

発生起源:線維組織
好発部位:下肢、上肢

発生年齢は、腫瘍により多少の違いがみられます。線維肉腫では2歳以下の乳幼児に発生するものと、10歳から15歳に発生するものがあります。
軟部肉腫は治療しにくい腫瘍の1つであり、最初の治療の成否によって、その人の予後(今後の見通し)や術後の機能に大きな差が出てきます。したがって、軟部腫瘍の治療は早期発見とともに、必ず専門家のいる病院で治療することが大切です。軟部肉腫は種類が多く、確実な診断をするためには腫瘍の一部をとり(切開生検)、病理組織学的に診断します。この生検はその後の治療をするにあたって非常に大切な検査で、やはり専門的知識を必要とします。治療としては悪性度の高い肉腫は手術だけではなく、化学療法(抗がん剤)や放射線療法、さらには温熱療法などいろいろな治療を組み合わせる治療(集学的治療)を行います。

症状

軟部肉腫の大部分は、皮下や筋肉の中にできたこぶのようなものです。主な症状は痛みのないしこり(腫瘤[しゅりゅう])や腫れ(腫脹[しゅちょう])ですが、痛みがないため放置されていることも多く、大きな腫瘤になってから受診となることもあります。

大腿などでは筋肉の厚い場所に発生すると、腫瘤が触れにくいために、受診時には大腿全体が大きく腫れたようになっていることもあります。また、手足にできた腫瘍が大きくなると、関節が曲がらなくなったり、座ることができなくなったりすることもあります。

一部には腫瘤自体に痛みがあったり、腫瘤が大きくなって神経を圧迫し、痛みを伴うこともあります。また、皮膚の色が変わったり潰瘍(かいよう)ができることもあります。
乳児の場合、訴えがないので親の注意が大切です。



更新・確認日:2017年02月03日 [ 履歴 ]
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2017年02月03日 「がんといわれたとき」の項目を「子どもががんと言われた親の心に起こること」「小児がんと言われた子どもの心に起こること」に変更しました。
2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

小児がんの診療の流れ

この図は、はじめて小児がんを疑われたときから、「受診」そして「経過観察・長期フォローアップ」に至るまでの流れです。今後の見通しを確認するための目安としてお使いください。
がんの疑い      「風邪のような症状が治らない」「顔色が悪い」「いつもと様子が違う」などと感じたら、まず、病院や医院で医師に相談しましょう。
 
受診   受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。伝えたいことはあらかじめメモにまとめておくとよいでしょう。検査の予定や次の診察日が決まります。
 
検査・診断   検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかったりすることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。治療法を選択する際には、検査や診断についての理解が必要となります。不安や疑問に思ったことは医療者に尋ねましょう。
 
治療の選択   担当医が、がんや体の状態に合った治療の方針について説明します。治療の目的や効果、治療に伴う副作用について整理しておきましょう。信頼できる情報を集め、お子さんやご家族、医療者と話し合い、お子さんの希望に沿う方法を見つけましょう。
 
治療   治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、気が付いたことはいつでも医療者に相談しましょう。お子さんにとって、よりよい方法を一緒に考えていきましょう。
 
長期フォローアップ   治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。治療が終わって長い時間が経過してからあらわれる副作用や成長への影響に対応するために、長期のフォローアップを行います。

受診と相談の勧め

がん(腫瘍[しゅよう])という病気は、患者さんごとに症状のあらわれかたが異なります。また、はっきりした症状がみられない場合もあります。お子さんに何か気に掛かる点がある場合や、健康診断などで詳しい検査が必要と言われたときには、きちんと医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご家族が判断したり、病気が見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、病気ではないことが確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

全国の国指定の小児がん拠点病院がん相談支援センターでは、小児のがんについて知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしています。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で、また対面だけでなく、電話などでも相談できます。わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

小児がん拠点病院は「小児がん拠点病院を探す」から検索することができます。

子どもががんと言われた親の心に起こること

がん(腫瘍)という診断を受けることは、わが子を失うかもしれない恐怖で心がいっぱいになる方が多いでしょう。何がいけなかったのだろうかと思い悩み、早く気付けなかった罪悪感にさいなまれたり、見守ることにつらさを感じたりすることもあるかもしれません。精神的な衝撃を受ける中で、治療の説明を理解し、子どもに伝え、判断していく必要があります。

子どもが命に関わるかもしれない病気になることは、親にとってもトラウマ(心的外傷)体験になると考えられています。ご家族も気分が悪くなったり、体調を崩したりすることがあります。

ご家族に心がけていただきたいこと

子どものがんと大人のがんとでは、その性質がまったく異なります。小児がんについての情報はいろいろなところから得ることができますが、正確でないものもあります。できるだけご家族そろって専門家の話をよく聞いて、現状を正しく理解することが大切です。わからないことは遠慮せずに質問するようにしましょう。

子どもの入院生活はどのようになるのか、検査や治療に子どもは耐えられるのだろうか、入院が始まるときに家族はどのような態勢を取ればよいのだろうか、ほかのきょうだいの生活はどのように維持していけばよいのだろうか、と頭の中は大混乱となることがあるかもしれません。
病院内にも、多方面からサポートするスタッフがいます。ささいなことと思ってもひとりで悩まないで、医療者に伝えて適切な相談者を紹介してもらいましょう。

一方、ご家族の関心が、病気の子どもに集中してしまうと、きょうだいは寂しい思いをします。きょうだいにも理解できる範囲で、病気のこと、今後の見通しについて説明をしておくことが大切です。面会に年齢制限があるなど、きょうだいを会わせるのが難しい場合もありますが、できれば会わせたり、電話で話したりする機会をつくるとよいでしょう。

小児がんと言われた子どもの心に起こること

小学生以上の子どもたちの中には、親と同様に「がん(腫瘍)」という言葉から、命に関わるかもしれない病気であると感じる子もいます。また、幼児期の子どもたちは大人たちの反応を非常によく観察していますので、周囲のただならぬ雰囲気から大変なことが起こっているのだということを感じ取ります。

治療を受けるには、「治したい」という本人の自覚が必要です。今起きていることや、これからのことがわからない上に、体調も悪いとなると、子どもはとても不安になります。不安が高まると、いろいろなことに敏感になります。例えば痛みに敏感になったり、寝付きが悪くなったりします。納得して治療に臨めるように子どもにどのように伝えるか、医療スタッフとしっかり話し合いましょう。周囲から支えられていることを感じながら、この試練を乗り越えることができると、子どもは自分に自信を持ち、発病前以上に成長できることが知られています。これからの入院生活の中で本人が孤立しないように、家族と医療スタッフの間の信頼が築けるような態勢をまず整えましょう。



更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

診断

まず視診と触診を行います。皮膚に治りにくい潰瘍(かいよう)ができている場合、悪性の疑いもあります。深い場所に発生した腫瘍で硬いものは、悪性の可能性が高くなります。特に大きさが5cmを超える腫瘍は注意が必要です。

病理組織診断のために針を刺して組織の一部を取り出して調べること(針生検)もあります。外来で簡単に行える検査ですが、針を刺す位置の問題や、刺したあとに出血して病巣が広がってしまうこともあるので、注意が必要です。

悪性の疑いがある場合は腫瘍の性質や広がりを調べるため、CT、MRI、超音波や血管造影などの検査を行います。これらの検査により、腫瘍の形や広がりを詳細かつ立体的につかむことができます。

軟部肉腫は血行性転移を起こしやすく、多くは肺に転移します。肉腫の種類によってはまれにリンパ節転移が起こります。転移を調べるためには、胸部、腹部のCT検査を行います。リンパ節転移やそのほかの転移に対しては、アイソトープを使ったシンチグラフィー(RI)などの検査も行います。

さらに約1cm角の組織を採取(切開生検)して病理組織学的に調べ、腫瘍の種類(組織亜型)やたちの悪さ(組織学的悪性度:細胞の形や増殖能力から判断します)を診断します。画像診断や病理組織学的検査は治療方針の決定や予後の予測に非常に大切です。

病期(ステージ)

軟部肉腫という診断がついた場合、肉腫がどの程度広がっているか、血行性に臓器転移しているかについて検査を行います。その結果、肉腫の広がりの程度に応じて治療方法が変わってきます。この肉腫の広がりの程度を病期(ステージ)といいます。いくつかの分類はありますが、小児の軟部肉腫では、すべての肉腫で共通して用いられる病期分類はありません。したがって、腫瘍の広がりや手術後の取り残しの程度などによって、次の3つに分けて治療法が選択されることが多くなります。

転移なし

腫瘍が発生した原発巣のみに腫瘍があり、ほかの臓器への転移を認めないもの。
手術後の検査により、完全に切除された腫瘍で、組織学的に切除縁が陰性のもの(第I群)、肉眼的には切除された腫瘍でも、顕微鏡的に残存腫瘍が認められたもの(第II群)、不完全切除か、あるいは生検のみで肉眼的腫瘍が残存したもの(第III群)に分けてその後の治療を組み立てます。

転移あり

腫瘍が発生した原発巣のみに腫瘍があるのではなく、ほかの臓器への転移を認めるもの(第IV群)

再発性

以前に治療が行われた後、腫瘍が発生した局所やほかの臓器に再発したもの



更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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治療

治療には手術(外科治療)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療などがあります。手術、放射線治療は局所の療法で、化学療法は全身的な治療です。転移があったり転移が疑われたりする場合や、悪性度の高い腫瘍では、全身的な治療が必要です。

温熱療法、免疫療法と呼ばれる治療は、現在、骨軟部腫瘍の治療法として、確立してはいません。

現在、軟部肉腫治療の主体は手術ですが、悪性度の高い腫瘍では、化学療法や放射線治療を組み合わせて治療を行うことが大切です。

手術(外科治療)

腫瘍が発生した局所にとどまっている場合、その局所の腫瘍を除去することができるのは手術です。
局所でなるべく再発が起こらないように手術を行うためには、腫瘍の性質をよく理解してから手術を行うことが大切です。

腫瘍は成長するときに、腫瘍の周囲に反応層といわれる膜のようなものをつくります。一見、この膜は腫瘍とは関係ないようですが、この反応層の中にはすでに腫瘍細胞が入り込んでいます。したがって、反応層で切除すると再発率が高くなります。

正しい切除の方法とは、反応層の外側で周囲の正常組織を十分含めて切除することです(広範切除)。

近年、腫瘍を大きく切除した後、再建として別の部位の皮膚、筋肉、骨などを切除部位に持ってきて細い血管を顕微鏡下でつないだり、静脈や人工血管を使って血管を移植したりする技術が進歩してきました。そのため、以前であれば切断するしかなかった患者さんでも、手足を残して機能が温存できるようになってきました(患肢温存術)。

現在、国立がん研究センターでの患肢温存率は90%以上です。しかし、症状によっては、腫瘍が大きくなり、血管や神経が侵されてしまい、切断、離断になることもあります。
リンパ節転移が疑われる場合は、リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除を行います。

化学療法(抗がん剤)

抗がん剤を用いて腫瘍細胞を死滅させる方法を、化学療法といいます。

静脈から点滴で投与された抗がん剤は、血液の流れで運ばれて全身に行き渡り腫瘍細胞を死滅させます(全身投与)。また、腫瘍に血液を送っている動脈に直接抗がん剤を注入し、局所の腫瘍細胞を死滅させる方法もあります(動脈内投与)。

手術後、再発転移が起こる場合、検査では発見できない小さな転移(微小転移)が手術の時点ですでにあったことが考えられます。このような微小転移を治療するため、術前や術後に抗がん剤の全身投与を行います(補助的化学療法)。手術前に行えば局所の腫瘍が小さくなることも期待できますし、術後に行えば再発転移の防止にもなります。

また、肺転移巣やそのほかの転移巣の治療あるいは手術ができない場合に、化学療法を行うこともあります。

通常、全身投与は数種類の抗がん剤を併用して投与します。従来、化学療法は副作用が強く、つらい治療の1つでしたが、最近は副作用を軽減する新しい薬剤やいろいろな支持療法が行われ、安全に行うことができるようになっています。

放射線療法

腫瘍細胞を死滅させ、腫瘍を小さくするために行います。しかし、軟部肉腫は放射線療法が比較的効きにくいものが多く、放射線治療を第一に選択することはあまりありません。手術ができない場合や、手術前に放射線治療を行って腫瘍をできるだけ小さくして手術で切除しやすくする場合や、手術後に腫瘍の取り残しが考えられる場合などに行います(補助的放射線療法)。

病期(ステージ)別治療

転移なしの治療

原発腫瘍が所属リンパ節と一緒に、広範切除という手術方法で完全に切除され、病理学的にも微小残存腫瘍細胞がないとき(第I群)は、局所補助療法は行いません。腫瘍細胞が残っていると考えられる微小残存陽性例(第II群)では追加放射線治療が行われますが、腫瘍が目で確認される肉眼的残存腫瘍、生検して腫瘍細胞があると判断された症例(第III群)では、まず外科的再切除が検討されます。解剖学的に追加切除が不可能な場合は、放射線治療が検討されることもあります。化学療法については、悪性度の高い腫瘍に対しては有用性が確認されつつありますが、悪性度の低い腫瘍には効果が確認されていません。

代表的な小児発生軟部腫瘍別に補助療法の必要性についてまとめると、

線維肉腫(年齢の高い小児)、神経線維肉腫、悪性血管周皮腫(4歳以上の小児)、悪性線維性組織球腫、平滑筋肉腫に対しては、手術で広範切除を行います。もし広範切除が十分でなかった場合は、放射線療法と化学療法を併用することもあります。

高分化線維肉腫(乳児)、高分化悪性血管周皮腫(4歳以下)、脂肪肉腫に対しては、手術で広範切除を行うことが最良です。もし術後に腫瘍が少し残った場合には、再度切除を行います。術後の放射線療法や化学療法は行いません。

胞巣状軟部肉腫は非常にまれな腫瘍で、経過はゆっくりしていますが、予後はよくありません。この腫瘍に対しては、手術により広範切除を行うことが最良です。十分な切除ができなかった場合は、放射線療法を追加することもあります。化学療法の効果は期待できませんので、化学療法が行われることはほとんどありません。

転移を認めた症例の治療

血行性転移を認める小児の軟部肉腫の場合は、どの種類の腫瘍でも予後はよくありません。原発の局所病巣に対しては、手術で広範切除します。そのあと、転移巣や患者さんの状況に合わせて化学療法を行います。化学療法の効果が認められ、手術が可能になれば転移病巣を切除することもあります。

生存率

国内では、小児、若年者の悪性軟部腫瘍の治療成績は不良とされてきました。線維肉腫での5歳以下の場合は83~92%、5歳以上の場合は60%、滑膜肉腫45~70%、胞巣状軟部肉腫50%、悪性線維性組織球腫50%以下、悪性血管周皮腫(年齢の高い小児)30~70%などと報告されてきました。しかし1995年以降の欧米での報告では、局所の放射線治療や高悪性度に対する全身化学療法が追加され、非横紋筋軟部肉腫の成績は約70%の5年生存率が報告されています。

国内でも手術手技の向上が進み、手足の悪性軟部腫瘍に対する成績は成人とほぼ同等、もしくはむしろ良好です。



更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

経過観察

治療終了後、抗がん剤や放射線治療を行った後の体調の変化や再発の確認などの経過観察のため、定期的な通院が必要です。

日常生活について

退院後の日常生活では、感染予防に努めましょう。受けた治療にもよりますが、治療後しばらくの間は予防接種を受けられないことがありますので、担当医に確認してください。

学校生活について

就園・就学や復学については、お子さんの状態や受け入れ側の態勢によって状況が異なります。担当医やソーシャルワーカーと、時期や今後のスケジュールについてよく話し合いながら決めていきましょう。

学校生活ではお子さんの希望を聞きながら、担任の先生や養護教諭などと相談し、できることから徐々に慣らしていきましょう。

水ぼうそうやはしかなどの特別な感染症が流行した場合は、学校から早めに連絡してもらうようにしてください。その際には対応について担当医に相談してください。



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晩期合併症

小児の腫瘍では、病気そのものが治癒した後、時間が経過してから、治療の影響により生じる合併症がみられる場合があり、これを「晩期合併症」といいます。

晩期合併症は疾患そのものの影響よりも、抗がん剤、放射線治療、手術、輸血などの治療が原因となっていることが多く、本人やご家族が、晩期合併症について現在どのようなことがわかっているのかを知ることはとても大切です。どのような晩期合併症が出やすいかは、病気の種類、受けた治療、また治療を受けた年齢により異なります。その症状の程度も軽いものから重いものまでいろいろです。

まずは治療の記録を保管し、定期的な通院を続けるよう心がけましょう。引っ越しなどで通院先の病院が変わる場合には担当医に相談してください。

具体的には、成長や発達への影響、生殖機能への影響、臓器機能への影響、二次がんなどがあります。ほとんどの晩期合併症は年齢を重ねるとともに発症しやすくなり、治療終了後何十年も経過してから症状があらわれることもあります。

晩期合併症に適切に対処するためには、長期にわたる定期的な診察と検査によって、経過を観察していくことが必要になります。また、治療の記録を残していくことも重要です。転居や結婚などにより生活環境や通院する医療機関が変わったときにも継続していきましょう。

お子さんやご家族が、晩期合併症について現在どのようなことがわかっているのかを知ることも大切です。医療の進歩によって対処のしかたも変化していきます。お子さんの体と心の成長に合わせて、周囲の方と協力しながら適切なアドバイスをしていきましょう。

再発転移

再発腫瘍の予後はよくありません。治療の選択は、以前に行われた治療の種類や再発の場所、さらには全身状態などに左右され、標準的な方法はありません。唯一、局所のみの再発例に対して手術による広範切除が勧められますが、治療成績はより不良です。遠隔転移で再発した場合、転移や患者さんの状況に合わせて化学療法や放射線療法が行われることもありますが、患者さんの体力、病状の進行状況では緩和治療が最も優れた治療になることもあります。