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軟部肉腫(なんぶにくしゅ)

更新日:2014年04月22日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

治療

治療には手術(外科治療)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療などがあります。手術、放射線治療は局所の療法で、化学療法は全身的な治療です。転移があったり転移が疑われたりする場合や、悪性度の高い腫瘍では、全身的な治療が必要です。

温熱療法、免疫療法と呼ばれる治療は、現在、骨軟部腫瘍の治療法として、確立してはいません。

現在、軟部肉腫治療の主体は手術ですが、悪性度の高い腫瘍では、化学療法や放射線治療を組み合わせて治療を行うことが大切です。

手術(外科治療)

腫瘍が発生した局所にとどまっている場合、その局所の腫瘍を除去することができるのは手術です。
局所でなるべく再発が起こらないように手術を行うためには、腫瘍の性質をよく理解してから手術を行うことが大切です。

腫瘍は成長するときに、腫瘍の周囲に反応層といわれる膜のようなものをつくります。一見、この膜は腫瘍とは関係ないようですが、この反応層の中にはすでに腫瘍細胞が入り込んでいます。したがって、反応層で切除すると再発率が高くなります。

正しい切除の方法とは、反応層の外側で周囲の正常組織を十分含めて切除することです(広範切除)。

近年、腫瘍を大きく切除した後、再建として別の部位の皮膚、筋肉、骨などを切除部位に持ってきて細い血管を顕微鏡下でつないだり、静脈や人工血管を使って血管を移植したりする技術が進歩してきました。そのため、以前であれば切断するしかなかった患者さんでも、手足を残して機能が温存できるようになってきました(患肢温存術)。

現在、国立がん研究センターでの患肢温存率は90%以上です。しかし、症状によっては、腫瘍が大きくなり、血管や神経が侵されてしまい、切断、離断になることもあります。
リンパ節転移が疑われる場合は、リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除を行います。

化学療法(抗がん剤)

抗がん剤を用いて腫瘍細胞を死滅させる方法を、化学療法といいます。

静脈から点滴で投与された抗がん剤は、血液の流れで運ばれて全身に行き渡り腫瘍細胞を死滅させます(全身投与)。また、腫瘍に血液を送っている動脈に直接抗がん剤を注入し、局所の腫瘍細胞を死滅させる方法もあります(動脈内投与)。

手術後、再発転移が起こる場合、検査では発見できない小さな転移(微小転移)が手術の時点ですでにあったことが考えられます。このような微小転移を治療するため、術前や術後に抗がん剤の全身投与を行います(補助的化学療法)。手術前に行えば局所の腫瘍が小さくなることも期待できますし、術後に行えば再発転移の防止にもなります。

また、肺転移巣やそのほかの転移巣の治療あるいは手術ができない場合に、化学療法を行うこともあります。

通常、全身投与は数種類の抗がん剤を併用して投与します。従来、化学療法は副作用が強く、つらい治療の1つでしたが、最近は副作用を軽減する新しい薬剤やいろいろな支持療法が行われ、安全に行うことができるようになっています。

放射線療法

腫瘍細胞を死滅させ、腫瘍を小さくするために行います。しかし、軟部肉腫は放射線療法が比較的効きにくいものが多く、放射線治療を第一に選択することはあまりありません。手術ができない場合や、手術前に放射線治療を行って腫瘍をできるだけ小さくして手術で切除しやすくする場合や、手術後に腫瘍の取り残しが考えられる場合などに行います(補助的放射線療法)。

病期(ステージ)別治療

転移なしの治療

原発腫瘍が所属リンパ節と一緒に、広範切除という手術方法で完全に切除され、病理学的にも微小残存腫瘍細胞がないとき(第I群)は、局所補助療法は行いません。腫瘍細胞が残っていると考えられる微小残存陽性例(第II群)では追加放射線治療が行われますが、腫瘍が目で確認される肉眼的残存腫瘍、生検して腫瘍細胞があると判断された症例(第III群)では、まず外科的再切除が検討されます。解剖学的に追加切除が不可能な場合は、放射線治療が検討されることもあります。化学療法については、悪性度の高い腫瘍に対しては有用性が確認されつつありますが、悪性度の低い腫瘍には効果が確認されていません。

代表的な小児発生軟部腫瘍別に補助療法の必要性についてまとめると、

線維肉腫(年齢の高い小児)、神経線維肉腫、悪性血管周皮腫(4歳以上の小児)、悪性線維性組織球腫、平滑筋肉腫に対しては、手術で広範切除を行います。もし広範切除が十分でなかった場合は、放射線療法と化学療法を併用することもあります。

高分化線維肉腫(乳児)、高分化悪性血管周皮腫(4歳以下)、脂肪肉腫に対しては、手術で広範切除を行うことが最良です。もし術後に腫瘍が少し残った場合には、再度切除を行います。術後の放射線療法や化学療法は行いません。

胞巣状軟部肉腫は非常にまれな腫瘍で、経過はゆっくりしていますが、予後はよくありません。この腫瘍に対しては、手術により広範切除を行うことが最良です。十分な切除ができなかった場合は、放射線療法を追加することもあります。化学療法の効果は期待できませんので、化学療法が行われることはほとんどありません。

転移を認めた症例の治療

血行性転移を認める小児の軟部肉腫の場合は、どの種類の腫瘍でも予後はよくありません。原発の局所病巣に対しては、手術で広範切除します。そのあと、転移巣や患者さんの状況に合わせて化学療法を行います。化学療法の効果が認められ、手術が可能になれば転移病巣を切除することもあります。

生存率

国内では、小児、若年者の悪性軟部腫瘍の治療成績は不良とされてきました。線維肉腫での5歳以下の場合は83~92%、5歳以上の場合は60%、滑膜肉腫45~70%、胞巣状軟部肉腫50%、悪性線維性組織球腫50%以下、悪性血管周皮腫(年齢の高い小児)30~70%などと報告されてきました。しかし1995年以降の欧米での報告では、局所の放射線治療や高悪性度に対する全身化学療法が追加され、非横紋筋軟部肉腫の成績は約70%の5年生存率が報告されています。

国内でも手術手技の向上が進み、手足の悪性軟部腫瘍に対する成績は成人とほぼ同等、もしくはむしろ良好です。
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