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地域相談支援フォーラム in 松本 開催記録

更新・確認日:2014年11月28日 [ 履歴 ]
履歴
2014年11月28日 掲載しました。
開催日時:平成26年11月23日(日)10:00~17:30
場所:信州大学医学部附属病院 外来棟大会議室
共催:長野県がん診療連携協議会情報連携部会、独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター、信州大学がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン
後援:長野県、山梨県、新潟県、群馬県(順不同)

■プログラム

  • 開会あいさつ
  • 講演会
  • 実践報告
  • 事例検討会・グループワーク
  • まとめ・総括
  • 閉会あいさつ

■概要

長野県がん診療連携協議会情報連携部会から企画応募された地域相談支援フォーラムが、「地方ならではのがん患者意思決定支援がここにある」をテーマとして開催されました。フォーラム開催にあたっては、長野県内を中心に山梨県、新潟県のがん相談支援センター相談員が運営委員に加わり、企画の採択以降、7回におよぶ委員会で準備を重ねました。午後のグループワークは、各県の相談員がファシリテーターをつとめ、甲信越を中心に、関東、北陸、東海など幅広い地域から総勢100人の相談員の参加を得て、充実した会となりました。
開会のあいさつ 若尾文彦センター長 写真
冒頭の開会あいさつで、若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)より、複数都道府県にまたがって開催する本地域相談支援フォーラムが、今回で8回目の開催となること、手挙げ型の企画としては今月行われた神奈川県のワークショップに次いで2つ目の企画であることが紹介されました。

本フォーラムを通し、「山間地域でのニーズを踏まえ、独居高齢者の意思決定支援を検討すること」は、超高齢化社会を迎える中で非常に重要な取り組みであることが述べられました。また、フォーラムを通して得られた成果は、「それぞれの地方の特色」を持ちつつも、全国に汎用できることが期待されること、参加者それぞれが日ごろの相談支援の中で生かせるものを持ち帰ってほしいとのあいさつがありました。
塚田昌大課長(健康福祉部保健・疾病対策課) 写真
続いて長野県がん診療連携協議会会長として本郷一博院長(信州大学医学部附属病院)より、フォーラム開催前夜に長野県を震源地として起きた地震や御嶽山の噴火について、関係各者への見舞いと感謝の言葉が述べられました。また、本フォーラムを通し、相談支援に関する他県の取り組みや、意思決定支援という重要なテーマについて学びたいとのあいさつがありました。

講演(中山和弘先生)

池上俊彦部会長(信州大学医学部附属病院、長野県がん診療連携協議会 情報連携部会長) 写真
続いて、池上俊彦部会長(信州大学医学部附属病院、長野県がん診療連携協議会 情報連携部会長)の座長により、聖路加国際大学の中山和弘先生の基調講演「患者中心の意思決定支援とガイドの開発」に移りました。講演の最初に、中山先生ご自身や家族としての体験から、医療において「患者さんが自分で決めること」の重要性と難しさを感じられたことが述べられ、難しい決定の際には、「患者さん自身のナラティブな経験の記録」が決断を後押ししてくれる力があると思ったこと、それがヘルスリテラシーや意思決定支援をテーマに研究を進める契機となったことが述べられました。

また、医療における意思決定支援については、海外での研究は徐々に蓄積されていますが、日本国内での研究はまだ少ないこと、まず「意思決定とは何か」から考える必要があることを説明していただきました。そのうえで、「意思決定支援」とは、少なくとも2つ以上の選択肢があり、その中から1つを選ぶことであり、よい意思決定のため、意思決定が必要な問題を明確にするなど7点の要素が必要であると解説をいただきました。
講演風景 写真
また、「インフォームド」とは、直訳すると「情報を得た」という意味であり、一方的に説明することではなく、患者さんがその情報を理解し実感できるような説明を受けることであること、情報は単なるデータではなく、そのデータが、患者さんにどういう意味、価値をもつかについてもあわせて伝えられなければならないという指摘もありました。例えば、「生存率99%」と言われることと、「死亡率1%」と言われることは、データとしては同じであっても、受け取り方には大きな違いあることにも留意が必要と指摘がありました。

意思決定支援の具体的なツールとして、カナダのOttawa Hospital Research Institute をはじめとした開発の取り組みが多数あることや、中山先生の研究室では乳がんの術式選択における支援ツール作成の取り組みがされていること、また中山先生が運営されているサイト「健康を決める力 」のご紹介もありました。

最後に、健康情報は命に関わるものであり、ヨーロッパ諸国では、健康情報を患者さんが理解できない状況は人権問題であるととらえられ、ヘルスリテラシーの向上は国が責任をもって対応する必要があるという機運が高まっていることが述べられました。また、調査結果では、日本では85%の人が「健康情報を十分に理解できない」と感じていることが明らかになっており、ヘルスリテラシー向上の取り組みは、日本でも重要となるとのお話で講演が終了しました。

実践報告

中村妙子さん(長野赤十字病院) 写真
続いて、中村妙子さん(長野赤十字病院)、伊藤礼子さん(伊那中央病院)が座長をつとめ、4題の実践報告が行われました。

小池賀津江さん(山梨県立中央病院)からは、山梨県内の約1割が高齢者のみの世帯であり、後期高齢者が近年顕著に増加していること、認知症の方の7割が在宅で生活している状況が紹介されました。その上で、高齢で認知症のある患者さんへの不安を軽減し、在宅での生活を継続させるため、相談支援の例が紹介されました。例えば、担当医が診療の場面で毎回丁寧に説明を繰り返したり、がん相談の看護師として小池さんが同席し、正面から目線を合わせて毎回自己紹介から始め、相手の返事を確認しながら対応したりするなど工夫している点が紹介されました。
五十嵐和枝さん(相澤病院) 写真
五十嵐和枝さん(相澤病院)からは、若い患者さんが増えていることを背景に、幼い子どものいる患者さんへの支援例が紹介されました。予後が短いと予想される患者さんに対して、本人とその家族(両親と子ども)それぞれに対して目標をたてた支援が行われたこと、医師の説明後に、患者さん本人と家族を別々にフォローする機会をもちながら、外来と病棟の関わり方の統一などの調整を行ったことが紹介されました。そして事例を振り返り、守秘義務と情報共有の両立の仕方や、遺族ケアが必要であるが、それらを誰がどこまで担うのかについては課題があると感じていると語られました。
市川統子さん(佐久総合病院佐久医療センター) 写真
市川統子さん(佐久総合病院佐久医療センター)からは、がんが長く付き合う病気になり、就労支援の必要性がうたわれるようにもなったが、病院でどこまでできるか困っている相談員も多いという現状を踏まえ、若い患者さんの就労支援に関して、会社の産業保健師さんと連携して取り組んだ事例が報告されました。会社側も、治療中のがん患者さんの受け入れに不安があったことから、がん相談支援センターが、患者さん本人のみならず、産業保健師など会社の担当者の相談先としても窓口となることを伝え、多職種での協働のもと、必要な情報提供を行ったこと、その結果、産業保健師からは、「職場が暖かい雰囲気になった」とポジティブなフィードバックを受けたことが紹介されました。そして、会社と病院が積極的に連携をとることで、患者さんのストレングス(強み)を生かした復職につなげることができたこと、就労支援は、患者さんの生きがいや存在価値の課題につながる重要な意思決定支援であるとの振り返りがありました。
橋爪睦さん(諏訪日赤病院) 写真
橋爪睦さん(諏訪日赤病院)からは、県境地域の医療アクセスが悪く、在宅療養の資源も少ない地域の患者さんを支援した事例について報告がありました。事例について、からだ、こころ、くらし、の視点から考察したあと、利用可能な医療資源を探すことにも苦労があったとのお話がありました。事例では、患者さんは親に病気を伝えておらず、自然療法を志向していましたが、症状が悪化してから抗がん剤治療を選択するなど葛藤があったことが紹介されました。そして、相談者が主に患者さんの家族であり、相談員が患者さん本人と話す機会が少なかったことから、より早い段階で直接患者さんとお話して支援できればとの思いが残ることなども述べられました。また、今回のフォーラムが、近県の相談員の人たちとのネットワークを広げる機会になることを、心強く思うとの感想がありました。

事例検討会・グループワーク

事例検討会・グループワークの写真
アイスブレークで午前中の疲れをほぐしたあと、橋爪睦さん(諏訪赤十字病院)と清水美穂子さん(飯田市立病院)の進行のもと、「山間地域で暮らす独居高齢者を支える家族の相談~抗がん剤の継続・中止をめぐる意思決定支援~」の事例検討会・グループワークが行われました。
事例提供は、横川史穂子さん(長野市民病院)から行われました。まず生活背景の紹介として、長野県の健康寿命が長い要因として、就労意欲や健康意欲が高いこと、高い公衆衛生水準、戦後の住民による食生活改善推進委員や保健補導員、相互扶助のある環境などがあると考えられると述べられました。
事例検討会・グループワークの写真
グループディスカッションの様子 写真
次いで、事例紹介が行われました。紹介された事例について、「さらにどんなことを聞いてみたいか(知りたいか)」「(自分であったら)面談をどう進めていくか」について、9つのグループに分かれてディスカッションが行われました。

その後、各グループからディスカッションの内容について報告がされ、事例にあげられた、「山に帰りたい」と言っている患者さんの言葉から、本人の持つ山への思いやこれまでの生活環境、それを踏まえた支援のあり方などについて、午前中に行われた「意思決定支援」の講義から学んだことを踏まえた検討がされました。

全グループからの報告が終わったあと、事例提供者の横川さんから実際にその後行った相談対応について紹介がありました。患者さんから「山には家族がいる」などと語られたことなどから、山間地域で暮らす独居の高齢者であっても、長年暮らしていた場所(山)には、友人や家族など、その人を支える多くのネットワークがあることが、今回のディスカッションでの意見とからめながら紹介されました。

最後に、群馬県庁、新潟県庁でがん対策を担当される方々から、本日の感想と今後の抱負、相談員に対するエールが送られました。閉会にあたって、池上俊彦部会長より、本日学んだことを、今日集まっていただいた皆さんが患者さんや家族への相談支援の中で生かしていくことが、本地域相談支援フォーラムの成功であると考えられることが述べられ、閉会しました。
グループディスカッションの様子 写真

■資料

資料1 地域相談支援フォーラムin松本 プログラム(PDF:240KB
資料2 患者中心の意思決定支援とガイドの開発(PDF:3.36MB)
用語集
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